
日本全国には、数多くのサイクリングロードがあり、自転車趣味の人であれば、お気に入りのサイクリングロードの一つや二つはあるだろう。
主に里山や町中、川や海沿いに整備されていたりして、中には線路跡を整備された道もある。
福岡県にあるサイクリングロードの一つには、風光明媚な「遠賀宗像自転車道(おんがむなかたじてんしゃどう)」があり、主に平坦路が続くので初心者に優しいですね。
福岡県宗像市田熊から遠賀郡遠賀町までを結ぶ、約33.9kmの大規模自転車道ですが、大きく分けて3つのコースに分かれています。特に「玄界灘・響灘コース」がおすすめ。潮風を感じながら、思いっきりエンジョイしよう。
本記事では、遠賀宗像自転車道の中でも響灘の風景とグリーン舗装の自転車道のコントラストが映える「玄界灘・響灘コース」を紹介します。
目次
遠賀宗像自転車道とは

遠賀宗像自転車道は、福岡県宗像市と遠賀郡の遠賀町・芦屋町・岡垣町の4つの市町にまたがるサイクリングロードです。別名で「ひびき灘自転車道」とも呼ばれています。
1984年から整備を開始し、全線が舗装された自転車歩行者専用道ですが、一部に車道に沿って走る区間もあるので気を付けて下さいね。概ね車が入れない道なので、安全性は比較的高いといえます。
また、ロードバイクやクロスバイクのようなスポーツ向けの自転車でなくても、アップダウンがそれほどないので、ママチャリでも気軽に走れるのはありがたい。自転車だけでなく、散歩やジョギングを楽しむ人もいます。

遠賀宗像自転車道は、以下の3つのコースに分かれていて、それぞれを単独で走るのも良いし、続けて走るのも良し。
- 釣川コース
- 玄界灘・響灘コース
- 遠賀川コース
遠賀川の河川敷や松原の風景、そして何より風光明媚な玄界灘・響灘に面する絶景ロードが素晴らしい。四季折々の様々な風景を楽しんで下さいね。
また、少し寄り道して世界遺産・宗像大社へ足を運んでみてはいかがですか。
【サイクリングコースの紹介(その1)】
旅先で訪れたサイクリングコースを、下記記事で紹介します。
玄界灘・響灘コースの起点と終点

玄界灘・響灘コースの起点または終点は、「道の駅むなかた」と「芦屋海浜公園」です。
道の駅むなかたでは飲食ができる食事処があるし、トイレも完備されている。また、駐車場を利用できるので、サイクリングの拠点に適しています。
一方、芦屋海浜公園にも無料駐車場(プール営業期間は有料)やトイレ、自販機があり、すぐ近くの「芦屋町」にて食事ができるので、拠点にしてもそれほど不便には感じません。
どちらも車で訪れて、そのままサイクリングを楽しめるため利便性が良いです。また、両方ともレンタサイクルがあるので、マイ自転車を持ち込まなくても楽しめます。
ちなみに、鉄道を利用して輪行するのであれば、JR遠賀川駅へ下車して遠賀川コースから玄界灘・響灘コースへ入るか、JR東郷駅から釣川コースを経て玄界灘・響灘コースへ向かいましょう。
- 道の駅むなかた
- 住所 福岡県宗像市江口1172
- 電話番号 0940-62-3874
- 芦屋海浜公園
- 住所 福岡県遠賀郡芦屋町大字芦屋1455-284
- 電話番号 093-221-1001(芦屋町観光協会)
玄界灘・響灘コースの紹介
玄界灘・響灘コースは、その名の通り主に玄界灘と響灘に面する海岸線に整備された片道で約20kmほどのサイクリングロードです。
往復しても約40kmほどなので、本格的にスポーツ自転車を楽しんでいる人であれば、少し物足りないかも知れません。
初心者や時間があまりとられない方ならば、中間地点(約10km)に岡垣町の施設「観光ステーション北斗七星」があるので、ここで折り返しすのもアリですね。

この施設は、多目的休憩室や一年中利用できる温水シャワーなどを備えていて、海の家やレンタルサイクルもありますので、サイクリングの拠点にするにも適しています。
道中では、鐘崎海岸や波津海岸、新松原海岸、芦屋海岸など複数の風光明媚な景色を楽しんで下さいね。また、所々に休憩所が設けられているので活用していこう。
それでは、道の駅むなかたを起点、芦屋海浜公園を終点にして玄界灘・響灘コースをくわしく紹介します。
起点・道の駅むなかた周辺

道の駅むなかたの西側に流れる釣川沿いの道を少し北上すると、玄界灘・響灘コースの出入り口があります。
岡垣玄海線(県道300号)から道の駅を正面に見た場合、ちょうど道の駅の裏手側にグリーン舗装の自転車道が続いているので、分かりやすいですね。
この出入り口前には、「玄界灘・響灘コース」や「釣川コース」の案内板があるので、玄界灘・響灘コースを差している方向へ進みましょう。


走り始めは、のどかな田舎の風景が広がりますが、それも序盤だけですね。
その後、松林の中を通り抜け、町中を通過してから海が見えるルートへと変貌していきます。

道の駅から約1.5kmほど進むと「江口休憩所」を発見。
道の駅でしっかり休憩していれば、この休憩所はスルーする人がほとんどだろうな。(私もそうでした。)反対に芦屋海浜公園を起点して、道の駅へ向かうのであれば、貴重な休憩所ですよ。必要に応じてトイレ休憩して下さいね。
ちなみに、道の駅から江口休憩所へ到着する前には、東屋のみがある小さな広場(さつき松原休憩所)もあります。
さつき松原を通り抜け鐘崎地区へ

自転車道を道なりに進むと、左手側の海岸沿いには、約5㎞の黒松並木(さつき松原)が続きます。
樹齢200年以上の黒松並木が弧を描いており、美しい景観に自転車のペダルを漕ぐ足も軽やかになるというものだ。
日本の白砂青松100選に選ばれた、玄海国指定公園の中でも屈指の美しさですよ。道中は、柵などで中への侵入を防いでいますが、しばらくすると、横断歩道が見えてきて、左手側の小径から浜辺へ入れます。


グリーンの舗装路を道なりに進んでいると、玄海東小学校前交差点が見えてくる。ここで、グリーン舗装がプッツリと途切れてしまうので、初見では焦ってしまうだろう。
かくいう私もそうでしたが、信号機の近くにあった小さな案内板により、進むべき方向が分かりました。

案内板には、「玄界灘・響灘コース 鐘崎休憩所へまで2.5km」と表記されているので、玄海田島福間線(県道502号)を指し示す方法へ進もう。

約1kmほど道なりに北上すると、珍しい環状交差点が見えてきます。道がいくつか分岐するので、鐘崎地区へ向かって下さいね。

分岐する道路の前には、青色の案内標識で「岡垣」と記されているのでそちらへ進もう。(岡垣町は鐘崎地区を抜けて、海岸線を東へ進んだ先にある。)
路面の右端には、グリーンラインが引かれているのは良い目印。町中を徐行しながら先へ進みます。

そのまま道なりに進んでいると、右手側に自転車道の続きが現れるので、そちらへ進んで下さいね。注意深くチェックしていないと、見逃すかも知れないので気を付けるように。
ちなみに、自転車道へ入らずにそのまま道なりに進むと、織幡神社の周辺で行き止まりとなり、結局引き返すことになります。

しばらくすると、道端にベンチが並び、遠賀宗像自転車道のマップを表示した掲示板を発見。この場所が「鐘崎休憩所」です。初見ならば、鐘崎休憩所に辿り着くまでが少し分かりづらいかも。
ここから先はしばらくの間、岡垣玄海線(県道300号)を走るのでとても分かりやすいですよ。
ちなみに、「道の駅むなかた」から岡垣玄海線(県道300号)をずっと走り続けると、鐘崎休憩所へ到着します。なので、こちらのルートを使うのもアリですね。また、道に迷ったならば県道300号を探し出すと、正しい道へつながりやすいです。
潮風を感じる景観の良い平坦路が魅力的

鐘崎休憩所から東へ進むと、左手側には響灘の風景が広がっていきます。
静かな波の音を聞きながら黙々と走るのも良いし、気が向いたら自転車を停めて、わき道から砂浜へ向かうのも良し。気の向くままサイクリングを楽しもう。
また、潮風対策はしておくほうが無難かも。ここからは終点の芦屋海浜公園まで海沿いですので、ずっと潮風にさらされることになる。
肌荒れがひどくなる人であれば、夏場でも長袖を着ておくほうがいいと思うし、唇が荒れてしまうのであれば、リップクリームは必須ですね。

鐘崎休憩所から約600mほど進むと、鐘崎海水浴場へ到着します。綺麗な夕焼け空と打ち寄せる激しい波の対比を味わえる場所なんだそうな。
沖合には、自然のサンゴ礁をヒントにして造られた人工レリーフが並んでいる。この人工レリーフに波が砕ける様が、中々いい感じ。
私が訪れた日は、まだ海水浴シーズンには早かったためか、この美しい砂浜を独り占めできました。その後、しばらくの間、車道と並走しながら海沿いの道を駆け抜けます。




砂浜エリアが多くなってくると、注意したいのが路面上の「砂」の存在です。海沿いなので、どうしても風で砂が飛ばされてしまうのは、仕方がないでしょう。
調子に乗って砂の上を通過していると、スリップする危険があるし、砂の量によっては自転車を降りて、押し歩く必要がある。徐行しながら十分に気を付けて走って下さいね。
サイクリストに優しい施設と三里松原の美しい景観

こちらは、玄界灘・響灘コースの中間地点にある「岡垣町観光ステーション 北斗七星」です。
施設内では、自転車の持ち込みもOK。空気入れなども完備しており、休憩だけでなく自転車のメンテナンスができるので、サイクリストに優しい施設ですね。
それに「北斗七星」という名前の由来が面白い。岡垣町では、9月から11月頃にかけて、北斗七星のひしゃくが海岸から水を汲んでいるように見えるそうな。
これが見られる条件が厳しくて、北緯33度から34度で且つ北に水平線がある場所のみに限定されるという。九州北部の一部で見れるようですが、世界的にみても珍しいといいます。

また、目の前には、白い砂浜がなだらかな弓状になっている波津海岸の風景が気持ち良い。快水浴場百選にも選ばれており、例年海開きと共に多くの人で賑わうという。
波静かな雰囲気のある景色を楽しみながら、一息ついていこう。




岡垣町観光ステーションから東へ向かうと、これまでの景色が一風。海岸線に沿って形成された広大な松原が、約12kmほど続き、美しい海と相まってその景観は見事なり。三里松原と呼ばれるエリアへ突入しました。
松林は、見るからに防風林として機能しているのは分かるのですが、自転車道では潮風を直接浴びるので、恩恵はないかな。
また、この辺りは夜になると街灯がないので、闇の世界になるのは想像に難くない。そのような所でパンクすると、修理が大変です。なので、日の入り時刻はチェックして、明るい内に通過するのが無難だと思いました。
航空自衛隊の飛行訓練をご覧あれ

芦屋海岸へ近づいてくると、「キーン!」という甲高いジェット機特有の音が聞こえてくるではないですか。
最初は何事かと思いましたが、道の脇には「航空自衛隊 芦屋基地」の案内板を見かけ、この音にも納得。どうやら近くに芦屋基地があるようです。


調べてみると、平日(時間は不明)には戦闘機の飛行訓練が見られるということで、しばらくその場所で待っていました。すると、航空機が次々と飛んでくるので大興奮。
たまたまタイミング良くこのような場面に遭遇してラッキーでしたね。「キーン!」と音が聞こえてきたら、ぜひ空を見上げて、航空機が駆け抜ける勇士をご覧になってはいかがですか。
終点・芦屋海浜公園

そして、ついに芦屋海浜公園へ到着。響灘に隣接したこの公園には、広々とした芝生広場やビーチ、遊具(滑り台、ブランコ、トランポリンなど)があります。
これにて玄界灘・響灘コースの制覇は完了。しばらく休憩した後で、帰路について下さいね。
まとめ

遠賀宗像自転車道の玄界灘・響灘コースは、主に平坦路のため初心者でも走りやすいです。
鐘崎海岸や波津海岸、新松原海岸、芦屋海岸など複数の風光明媚な海岸線沿いを走るので、とても気持ち良く走れます。
「道の駅むなかた」から走り始め、終点となる芦屋海浜公園へ辿り着いた後は、そのまま遠賀川コースへ入るのも良いし、帰路に付くのも良し。
また、芦屋海浜公園の近くには、別のサイクリングロード「直方北九州自転車道」の始点があるので、そちらへ梯子するのも魅力的ですね。
福岡県へ訪れてサイクリングを考えているのであれば、遠賀宗像自転車道の玄界灘・響灘コースをおすすめします。
【サイクリングコースの紹介(その2)】
旅先で訪れたサイクリングコースを、下記記事で紹介します。



