
岡山県岡山市に位置する岡山理科大学には、生物地球学部があり、恐竜に関する最先端の研究が行われています。
そして、何と恐竜研究のリアルな現場を見てもらおうと、2018年に「恐竜学博物館」が学内にオープンしました。膨大な研究調査に基づいた恐竜解説を始め、モンゴル・ゴビ砂漠での最新の発掘調査などに触れてみよう。
また、日本ではここでしか見られないゴビハドロスの骨格標本や、世界最大級クラスの恐竜の足跡化石、恐竜の時代にも生息した植物の野外展示など見どころが多いです。
本記事では、恐竜が生きた太古の世界を感じられる「恐竜学博物館」を紹介します。
目次
岡山理科大学の恐竜学博物館とは

恐竜を含む古生物学を研究・学習できる大学は、東京大学や九州大学など国内に色々ありますが、2025年4月に岡山理科大学と福井県立大学で日本初となる「恐竜学科」が開設されました。
岡山理科大学では、生物地球学部内の「恐竜・古生物学コース」を学科に格上げする形で開設されたそうです。
冒頭でも触れた通り、2018年3月にオープンした「恐竜学博物館」は、2020年6月にリニューアルを行ない、ますます楽しく恐竜について学べるようになっています。
モンゴル・ゴビ砂漠での発掘調査成果をメインにして、研究室のまわりには、様々な恐竜の標本や化石などを展示。また、タイミング次第では、研究・化石クリーニング作業の様子を見られることも。学生が運営に深く関わっていることが見て取れますね。
大学関係者でなくても気軽に大学へ訪れて、無料で入館できるのはありがたいです。また、基本的に土曜日には、個人見学者向けの展示解説を行っています。
【周辺の見どころ】
恐竜学博物館周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
恐竜学博物館の行き方と展示室の数々

岡山理科大学の恐竜学博物館へ訪れる際には、大学正門からではなくて東門から入りましょう。東門から少し離れた場所にあるC2号館にて、恐竜学博物館のメイン展示室があります。
バスなどの公共交通機関を使い徒歩で訪れるのであれば、正門から入っても良いですが、車で訪れる場合は必ず東門から入り、恐竜学博物館の駐車場へ車をとめること。その際、守衛室で記名して守衛や学内職員等の指示に従って下さいね。
東門の位置が良く分からない場合は、「陸上自衛隊 三軒屋駐屯地」を目印にすると良いですよ。この駐屯地から西へ約300mほど進むと東門へ辿り着きます。

キャンパス内は広く、複数の棟が建ち並ぶので初めて訪れる人は道に迷いやすいですね。キャンパス内には、至るどころに恐竜学博物館の案内板があるので、それが指し示す方向へ歩きましょう。
また、大学内なので学生や大学職員が歩いている機会に出くわしやすいので、尋ねる方が早いかな。ちなみに私は道に迷ってしまい、親切な学生さんに案内して頂きました。(ありがとうございます。)

C2号館へ到着すると、1階の窓には恐竜の博物館らしい楽し気なデザインが施されているではないですか。こういうデザインで出迎えられると、思わず笑みを浮かべてしまいます。
恐竜の骨格標本などを展示しているのは、C2号館だけではなく、以下の棟にも分散しているので、ぜひ全てに足を運んで下さいね。見学の際には、平日は教室で授業を行っているので、教室付近では大声を出したり騒いだりしないようにお願いします。
- メイン展示室:C2号館(1階)
- サテライト展示:C2号館(3階)、A1号館(1階、3階)、50周年記念館
【C2号館1階】まずはメイン展示室へ

メイン展示室では、モンゴル・ゴビ砂漠にて発見されたゴビハドロスやプロトケラトプス、タルボサウルスなどの骨格標本が展示されています。
隣の部屋は研究室になっていて、この部屋の手前まで一般展示が続いていますが、その奥は関係者以外は立入禁止となっているので気を付けましょう。タイミングしだいでは、学生たちが研究している様子を見物できますね。
展示室へ向かう通路にも解説資料があり、アカデミックな大学の雰囲気を感じてやまないです。さらに通路の足元には、肉食恐竜の足跡を模したペイントが施されており、否応にも期待感を抱かせます。
展示室の中へ入ろうとすると、入口前には「ゴビハドロス」の全身骨格があるので、まずはこの恐竜を見物していこう。

ゴビハドロスは、後期白亜紀(約8500万年前)に生存していた恐竜です。
展示されているのは幼体の標本ですが、ほぼ完全に近い骨格が発掘されたそうで貴重そのものですよ。日本ではここでしか見られないそうなので、この機会にじっくりと見学しましょう。
大人へ成長すると2倍以上の大きさになるというのだから、改めて恐竜の大きさに驚くだろうな。

こちらの化石は、なんだか分かりますか。初見で分かったら恐竜博士を名乗っても良いかも。実は、プロトケラトプスの幼体が15体もいる集団化石だそうです。
それにしても、この化石からその正体を突き止めるとは、その道のプロは凄いですね。

うん、こちらの復元図をみるとイメージがしやすくて助かりました。パネル資料よると、幼体の骨は小さくて壊れやすいので、化石になるのは稀なんだそうな。
どうやら砂嵐に襲われて砂丘の中に生き埋めとなり、結果的に良好な状態で保存されたと考えられています。

ちなみに、こちらはプロトケラトプスの全身骨格です。どうですか、幼体からここまでの大きさに成長するとは、なんだか感慨深いですね。
オウムのようなクチバシと後頭部の大きなえり飾りが特徴的。草食恐竜の彼の性格は、普段はおとなしくて身を守る際には勇敢に戦っていたという。
体高は60cm程度なので、秋田犬ぐらいの大きさかな。現代に生きていたら、ひょっとすると最高の番犬ならぬ番恐竜?になっていたのかも知れないです。

うぉ!!!、なんと凶悪な爪なんだろうか。これは、テリジノサウルスの前脚の爪ですよ。この大きな刀剣のような爪で攻撃されたら人間だけでなく、大抵の動物はあの世に旅立ってしまうぞ。
以前は肉食恐竜と考えられていたそうですが、実際は植物食恐竜だったみたい。器用に爪を使い木々の葉をたぐり寄せたり、肉食恐竜と戦うときに爪を活用していたそうです。

こちらは、モンゴル・ゴビ砂漠から産出した最大の肉食恐竜・タルボサウルスの頭骨です。
頭からしてこの大きさなので、全体骨格となると物凄く大きい。当時(後期白亜紀)の生態系の頂点に君臨していたと考えられています。

タルボサウルスがまだ幼い時は、細身で軽快だったそうなので、成長段階に応じて狩猟スタイルを変化していたのかも。恐竜たちの各成長段階を解明することで、彼らの生態について深く学べると思います。
ちなみに、A1号館の1階にはタルボサウルス成体の全身組上げ骨格を展示さているので、お見逃しなく。そのあまりの大きさにビックリすると思います。(私がそうでした。)
【恐竜の博物館や発掘現場を紹介】
旅先で訪れた恐竜の博物館や発掘現場を、下記記事で紹介します。
【C2号館3階】図書館で日本産の恐竜に出会える

C2号館1階のメイン展示室を見学し終えたら、3階にある図書館へ向かいましょう。この図書館内にも様々な恐竜の骨格標本が展示されています。
図書館へ入館すると、まず始めにトリケラトプスの頭骨がお出迎え。奥の展示棚にもたくさんの骨格標本が並んでいるので、一通り見て回って下さいね。コリトサウルスという植物食恐竜だけでなく、馬や豚などの骨格標本もありました。
それにしても恐竜に囲まれて学べる図書館なんて、恐竜マニアにとっては垂涎ものの環境だろうな。たとえ恐竜マニアでなくても、活き活きとした骨格を眺めていれば、ワクワク感が増すばかりです。

個人的に、こちらのサテライト展示で注目したいのは「ヤマトサウルス」です。名前に「ヤマト」を冠することからピンとくる人もいるかと思います。
2004年5月に兵庫県淡路島で発見されたこの恐竜の化石は、後日に岡山理科大学を含む学術チームの研究によって、後期白亜紀のハドロサウルス類の新種と判明しました。
2021年に新種記載された日本産の恐竜ヤマトサウルスとして、後期白亜紀に世界中で大繁栄したハドロサウルス科の起源をにぎる原始的な種だということが分かり、ハドロサウルス科の多様化解明の大きなヒントを握っているそうですよ。


ヤマトサウルスは合計23点の化石からなっており、全身が見つかった訳ではありません。歯や肩の骨などが見つかっており、歯のかみ合わせは他のハドロサウルス類と比べて起伏が少ないのが特徴です。
歯型の大きさから全長8m、体重約4~5トン程度の大きさだったのではないかと考えられています。


また、1986年に香川県さぬき市でハドロサウルス類の化石が見つかりました。ヤマトサウルスと同じく、白亜紀後期のハドロサウルス類研究において重要な発見なんだそうです。
それにしても日本に原始的な種がいたという事実には驚きました。ひっとすると日本からハドロサウルス科の繁栄が始まったのかも。そう考えると、胸アツになるのは、私だけでしょうかね。
【A1号館】タルボサウルスの全身組上げ骨格を展示

A1号館1階のロビーでは、恐竜の王・ティラノサウルスにも引けを取らない大型肉食恐竜「タルボサウルス」の骨格標本とご対面できます。
全長11m、体高約3.5mに達し、他の恐竜の骨をかみ砕くほどの攻撃力を持つ、当時(後期白亜紀)モンゴルの王者であり、生態系の最上位に位置する存在でした。
ということは、この巨大生物に狙われもしたら、他の恐竜からしてみたら恐怖以外の何ものでもないでしょう。

また、最高速度は時速27kmほどもあるといわれていて、大型恐竜としては高い機動力を誇っていたと考えられています。大地を駆け抜けてタルボサウルスが迫ってくる様子を想像すると、鳥肌が立ちますね。
この標本は、1980年代にゴビ砂漠西部のブギンツァフで発掘された化石のレプリカだそうです。2018年4月から岡山理科大学4年生3名が、恐竜の組み上げと展示に取り組みました。

エスカレーターの裏側を覗いてみると、そこにはサウロロフスとアフリカゾウの脚の骨格標本が展示されているのでチェックしよう。
どうですか、脚の骨だけみても人間がとてもかなう相手ではないでしょ。サウロロフスは、かなり大型のハドロサウルス類だったそうで、体重はアフリカゾウの2倍以上もあったと言われています。


1階の展示品の見学後は、エレベータに乗って3階へ向かいましょう。渡り廊下には、ゴビ砂漠の発掘現場の風景写真が敷かれており、実際に骨や化石を探しているような雰囲気を味わえます。
さらに発掘に使用するハンマーやハケなどの道具が展示されており、誰もが知っている道具が多かったですね。

また、調査隊の一日について紹介しています。こういうのを見ると、冒険好きな人はテンションが上がるだろうな。
恐竜マニアの高校生ならば、大学でタルボサウルスやサウロロフスなど多くの恐竜を研究したり、機会があれば発掘現場へ行けるかと思うと、勉強へのモチベーションが高まるのではないでしょうかね。
【50周年記念館】世界最大級の恐竜足跡の化石にビックリ

岡山理科大学の50周年記念館は、加計学園創立50周年を記念して建設されました。館内では、学園の歴史を紹介する展示ギャラリーや多目的ホールなどがあります。
その一角には、世界最大級の恐竜足跡の化石があるので、ぜひ足を運んでみよう。
「足跡なんて化石になるのか?」と思っている人もいるでしょう。湿った地面を恐竜が歩くと足跡が残り、足跡が消える前に砂などで覆われてしまうと化石になる可能性があります。

多くの足跡の化石は、地層麺のくぼみとして保存されるそうな。その一方で、くぼみを埋めた砂が固まり凸型になるという。
モンゴルで見つかる足跡化石のほとんどが凸型なんだそうです。

こちらは、世界最大級の恐竜の足跡化石。う~む、なんという大きさだ。
この化石は2016年に発見されたそうで、足跡から体長30m級の巨大恐竜が実在した証拠なんだとか。体長30mといえば、7~8階建てのオフィスビルと同じぐらいの高さだな。
そんな巨大生物が、至るどころで闊歩していた時代にロマンを感じる人も多いのではないでしょうか。


「恐竜の足跡はどのような形?」と聞かれると、こちらの三本指の足跡をイメージする人が多いと思います。
三本足で指先がとがっていれば獣脚類ですね。また、指が太く先が丸い足跡は鳥脚類といえるかも。足跡の形をみれば、恐竜の種類や大きさが大まかに分かります。
恐竜時代の植物園

メイン展示室のあったC2号館の屋外には、恐竜の時代から現代まで系統をつないできた植物がたくさん植えられています。
恐竜の生態を知るには、当時の環境をよく知る必要があるので、その時代の植物への理解が必須ですね。たとえば、ナンヨウスギは中生代に全世界に広く分布した森の主役でした。
白亜紀後半には衰えてきましたが、現在でもニューギニア諸島やオーストラリアなど主に南半球に分布しています。
ちなみに、アメリカのアリゾナ州にある「化石の森国立公園」では、三畳紀の地層にて、珪化木とかしたナンヨウスギの大木がたくさん見られるそうですよ。

こちらは「20世紀最大の植物発見」と話題になったジュラシックツリー。1994年にオーストラリアで発見されるまで、絶滅したと思われていた2億年前の植物ですね。その発見の報に驚いた人も多いと思います。
絶滅回避のため、育てた苗を世界中に配布・販売しており、今では世界中で植栽されているとのこと。首の長い竜脚類が食べていた植物だと考えられているそうです。

おっ、これはソテツではないですか。日本国内では良く見かける機会が多いので、気にしていない人も多いだろうな。
実は、ソテツは約3億年前の古生代に登場しており、恐竜が生きていた中生代に最も栄えました。私たちにとって身近な植物ですが、遙か昔から存在していたことを知ると驚きますね。
その他にもオオトクサやハクモクレンなど色々あるので、恐竜時代の植物園を歩きながら、恐竜が存在した時代に思いを馳せてみてはいかがですか。
恐竜学博物館の基本情報とアクセス
| 住所 | 岡山県岡山市北区理大町1-1(岡山理科大学内) |
| 電話番号 | 086-256-9804(岡山理科大学 恐竜学博物館) |
| 開館時間 | 10:00~16:45 |
| 休館日 | 日曜日、月曜日、臨時休館あり |
| 入館料 | 無料 |
【アクセス】
- JR岡山駅から徒歩約30分
- JR法界院駅から徒歩約25分
- JR岡山駅西口から岡電バス「47 岡山理科大学」行きに乗り終点で下車
- 岡山自動車道「岡山IC」から車で約15分
恐竜学博物館の駐車場
恐竜学博物館の近くにある臨時駐車場をご利用して下さい。駐車スペースには制限があります。
岡山理科大学東門から入り、守衛室で記名して守衛や学内職員等の指示に従いましょう。
まとめ

岡山理科大学内にある「恐竜学博物館」では、大学施設ならではの工夫が施されており、恐竜学への関心を高めてくれる展示品は魅力的です。
膨大な研究調査に基づき様々な恐竜を解説しているので、恐竜ファンであれば見逃せないでしょう。また、モンゴルの多様な恐竜たちの生態と形態について学べたり、ヤマトサウルスなどの日本産の恐竜を紹介しています。
大学内の施設なので、入学試験やその他の重要行事の日には博物館も休館になる。なので、訪れる際には、公式ホームページなどで休館日を確認して下さいね。
施設内を巡りながら子供から大人まで楽しめる恐竜の世界に浸りましょう。

