
山陰地方の西部を巡る旅の最終日(4日目)は、山口県長門市から美祢市を経由して山口市へ向かいます。
昨日の旅は山陰の小京都・萩市の観光がメインとなりましたが、本日は海上アルプス・カルスト台地・鍾乳洞といった大自然を堪能する予定ですね。(昨日の旅の様子はこちらの記事からどうぞ)
具体的には、仙崎港から出港する遊覧船に乗って「海のアルプス」と呼ばれる青海島周辺をクルージングしたり、秋吉台カルストロードを走りながら、絶景スポットへ立ち寄るぞ。そして、日本最大級の鍾乳洞として有名な秋芳洞を冒険するスケジュールです。
昨晩から楽しみすぎて、本日は朝早く起きてしまった訳ですが、睡眠時間は十分にとったので問題ありません。さて、まずは海のアルプス待っていろよ。ということで、朝早くから青海島シーサイドスクエアへ向けて自転車を走らせました。
本記事では、大自然を堪能しながら長門市から山口市へ向かった旅の様子をお届けします。
目次
青海島クルージングに出航

青海島シーサイドスクエアにて、時刻を確認するとまだ8時前でした。
青海島観光汽船の営業開始は8時からなので、少し時間に余裕があるかな。そこで、海際にある昨日訪れた「NAGATO」の文字モニュメント前へ向かった次第です。
昨日もこのモニュメント前で愛車と記念撮影をしたのですが、またしても撮影したくなる。これもサイクリストの性(さが)でしょう。季節や時間帯によって、海や山の色など周囲の景色が変化してくるので、シャッターチャンスは逃さないですよ。
さて、気がかりなのは本日の遊覧船コースです。というのは、当日の天候や波の状態などにより5つあるコース(一周コース、観音洞コース、大島コース、赤瀬コース、花津浦・紫津浦コース)の内、どれになるのかが決まってしまう。ある意味、日頃の行ない(徳の積み重ね)が試されるかも。
個人的には、一周コースか観音洞コースに当たって欲しい。祈るような気持ちで、青海島観光汽船の建物の中へ入り、意を決して確認すると・・・


「観音洞コース」に当選だ。うん、ヤッター!!!希望通りのコースに胸をなでおろします。
一周コースではないということは、それなりに波があるのだろうな。観音洞コースの所要時間は1時間ですが、この程度ならば多少波が高くても、経験上船酔いしないのは分かっている。
船の上では逃げ場がないので、船酔いが酷い人は、絶対に酔い止め薬を飲んだ方がよい。船酔いの苦しみは、絶対に味わいたくないですね。
切符売り場にてチケットを購入すると、第1便(8時40分)の出航時刻までのんびりとくつろぎました。

青海島(おおみじま)は、長門市の沖合に浮かぶ周囲40kmの島です。約9000万年前の火山活動や地殻変動、長い年月を経て波の浸食によって生み出された奇岩や洞門が、山のようにそびえ立つ大自然の造形美を楽しめる。
そのあまりにも素晴らしい景観から「海上アルプス」と呼ばれているほどですよ。インターネットで海上アルプスの景色を見た時に、実際に見てみたいと思い、今回の旅を計画する時に組み込みました。
よく言われることですが、写真と実物では受ける印象が異なる場合が多いです。写真は一瞬の切り取りなので、現実の時間の流れや変化を捉えられないから仕方がないかも。
時間帯や光の加減などによって全く違った印象を受けるので、気になるものは実物を見た方が絶対に良いですね。
遊覧船の出航時刻5分前に再び乗り場へ向かうと、スタッフの案内により乗船しました。よいよ海上アルプスとご対面を果たせるかと思うとワクワクします。
それでは、仙崎港から青海島クルージングに出航!


かつて、日露戦争で東郷平八郎司令長官が率いる連合艦隊には、作戦参謀を務めた秋山真之が乗船していましたが、彼が考えた報告文を思い出す。
まさに「本日晴朗なれど波高し」の言葉通りの状態だ。船酔いは大丈夫だよね・・・


そのような心配とは裏腹に、青海島のダイナミックな絶景に目を奪われます。花津浦や黄金洞、幕岩、白旗岩、観音洞など見どころが目白押し。カメラのシャッターを押す指が止まりません。
それに先ほどからテンションが上がりぱなし。クルージングに参加して大正解ですね。気付いた時には仙崎港へ戻っており、あっという間に1時間が経過していました。
青海島クルージングについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
カルストロードへ向かう道中にて

興奮冷めやらぬまま青海島シーサイドスクエアを後にして、カルスト台地が広がる美祢市へ向けて自転車を走らせます。
先ほどは海の絶景を堪能しましたが、今度は陸の絶景を堪能するぞ。これから向かうのは、日本最大のカルスト台地として有名な秋吉台です。
以前、中国地方一周をした時に少し立ち寄ったことがあるのですが、その時は山口市から秋吉台展望台があるところまでしか走っておらず、カルスト台地を南北に縫うように縦断する約13kmの「秋吉台カルストロード(県道242号線)」のほんの一部しか走っていませんでした。
ということで、今回はカルストロードを走破します。どのような景色が見られるのか楽しみですね。

金松・みすゞの道(県道282号)を南下して、途中から進路を東へ変更すると長門三隅線(県道287号)へ合流。
道なりに進みしばらくして、観月橋交差点を左折すれば、国道191号線へ入りました。その後、宗頭交差点を右折して小群三隅線(県道28号)へ入り、蛇行する三隅川沿いを通過する頃には、のどかな風景が広がっていた次第です。




山中峠を下り、しばらくして右折して長門三隅線に分けれを告げると、秋吉台リフレッシュパークがある方向へ進む。
秋吉台リフレッシュパークは、温泉のあるオートキャンプ場。このような場所は、自転車でキャンプする人にとって貴重ですよ。私も自転車キャンプをする時は、近場に温泉施設や銭湯がないか必ずチェックしているぞ。
ここまで、ゆるやかな坂道が20km以上続いており、道中には3km程度の急坂区間(体感的に勾配は5%前後)がありましたが、そろそろ休憩したいですね。
秋吉台リフレッシュパークの前へ到着すると、玄関前の存在にビックリ。


なんとトトロがいるではないですか。胸にはハートマークのデザインが見て取れる。本家はそうだったかしら。けれど、これはこれで良し。そもそも山奥には、トトロが似合います。
また、チェーンアートの作品がいっぱい。こういうのは、何だかいいですね。

また、休憩するのに持って来いの東屋を発見したので、自販機でカルピスウォーターを買って、そこで少し休むことに。
ふ~、カルピスウォーターが美味い♪♪♪♪♪

奥の方へ目を向けると、屋根には「食彩館」と表示している建物を見つけました。これは食事処の予感がするぞ。ということで、そちらへ向かうと、思った通りレストランでしたね。
時刻を確認すると11時過ぎ。まだ少しお昼には早いと思いましたが、この先に食事処があるのか分からないので、中へ入ります。



メニューを見ると、美東ごぼうを使ったものが多い。美東ごぼうカレーや美東ごぼううどん、ごぼう麺焼きそばなど、ごぼう推しが凄いかな。
ごぼうは独特の風味と食感が良く、食物繊維が豊富なので私たち日本人にとっては、古くから親しまれている野菜ですね。
また、用意されている飲み物(麦茶やカルピスウォーターなど)が飲み放題なんだとか。ナンテコッタイ、さきほど買ったばかりなので、少し愕然としましたね。まっ、こういうこともあるさ。

そういえば、最近ごぼうを食べていなかったので、美東ごぼうカレーを注文。よくよく考えてみると、ごぼうが入ったカレーを食べたことがないかも。
期待と不安を織り交ぜる中、一口食べてみると、うん美味しい。ごぼうはカレーによく合います。スパイシーな美東ごぼうカレーに大満足。注文して正解でした。

ふと、天井へ目を向けると、吊るされたペットボトルを発見。
「なんだ、これ?」と思い近づいてみると、べっトボトルに貼られた紙には「空気清浄装置」と書かれているではないですか。おもしろそ~~♪
どうやらオリーブオイルを使った空気清浄装置ということで、これならば電気代やメンテナンスは入らないので、実にエコロジーだな。特許庁にて実用新案登録済みだそうで、花粉や黄砂、変異ウイルス、インフルエンザなどに心強い存在ですね。(この装置は販売もしています。)
【旅に役立つアイテムの紹介】
旅先で役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
カルストロードを疾走、感動的な風景が広がる

秋吉台リフレッシュパークから南下して、しばらくすると銭屋美祢線(県道239号)へ合流。そのまま道なりに南下すると、佐山交差点へ到着しました。
そして交差点を右折して、秋吉台公園線(県道242号)へ入ります。秋吉台公園線は、カルストロードの愛称を持ち、その名前の通りにカルスト台地を縦断する道ですよ。
そもそもカルスト台地とは、石灰岩が雨水や地下水によって浸食されてでき上がった台地のこと。以前、秋吉台展望台から眺めた草原の中に、独特な石灰岩が点在する景色をよく覚えている。日本とは思えない牧歌的な景観に驚きましたね。
さて、久しぶりに訪れるカルスト台地に期待すると、自転車のペダルを回す脚にも知らず知らずのうちに力が入ります。




しばらくすると、視界がよく開けてきて目の前には雄大な大自然が現れる。そのあまりにもスケールの大きさに、思わず「うぉ~~!!!!」と声が漏れてしまいました。
この景色は本当にすごいので、全国のサイクリストの皆さんにおすすめしたい。写真だけでは、この感動的な風景の素晴らしさをお伝えするのは難しいです。
その後、長者ヶ森駐車場へ辿り着くと、そこに自転車を停めてパワースポットとして知られる「長者ヶ森」や、標高約376mの北山山頂へ向けてちょっとしたハイキングを行ないました。

また、秋吉台展望台へ到着すると、ひと際たくさんの観光客が集まっていたぞ。平日なのに、この観光客の多さはさすがです。
秋吉台展望台では、お手軽に草原と石灰岩が織りなす風景を楽しめるし、石灰岩が手の届くところにあるのも魅力的。
それに展望台から眺めるカルスト台地の風景が素晴らしく、人気スポットなのもうなずけます。
展望台の隣には、お土産屋や「Mine秋吉台ジオパークセンター Karstar(カルスター)」という観光案内施設があり、カウンターからカルスト台地を眺めながらコーヒータイムとしゃれ込むのもいいですね。


ちなみに、私はカルスト台地を眺めながら、夏みかんソフトを食べて休憩を取りました。旅へ出かけてソフトクリーム屋を見かけると、つい立ち寄る機会が多い。そういうのは、私だけではないと思います。
おそらく、旅先での特別な体験として捉えられているのだろうな。旅先での開放感や旅の思い出を彩るのに、ソフトクリームを食べるのが適しているのだと思いますね。
秋吉台については、下記関連記事でくわしく紹介します。
日本最大級の鍾乳洞・秋芳洞を探検する

秋吉台の地下には、400を超える鍾乳洞があり、その中でも日本で最大級の広さを誇るのが秋芳洞です。
以前に秋芳洞を観光したことがありますが、まさに地下世界という言葉が相応しい場所だったのをよく覚えています。
たしか商店街を抜けた先に秋芳洞正面入口があったのを覚えていて、駐輪に適した場所がなかったかも。ということで、どこかに駐輪しようか考えている時に、秋吉台観光交流センターの前を通りかかると、サイクルスタンドがあるではないですか。
センター内に入り職員に話しかけ、秋芳洞を観光したいので一時的に自転車の駐輪をお願いしたところ、快くOKしてもらいました。ありがとうございます。


商店街の入口から秋芳洞正面入口までは約1kmほど。レトロな敷石の通路に沿って、たくさんのお土産屋やグルメのお店が軒を並べているぞ。
個人的に気になったのがソフトクリーム店が多いこと。特にソフトクリームの種類の多さにビックリ。お店によっては、なんと132種類もあるではないですか。今後も増え続けていく予定なので、気になる人はチェックしてみて。

また、商店街ではユニークな像を発見しました。こちらの像は「禅師かっぱ」といって、秋芳洞で雨乞い祈願をされた寿円禅師(じえんぜんじ)と行動を共にしたカッパだという。大願成就の守り神として、語り継がれているそうですよ。
少し調べてみると、秋芳洞の龍ヶ淵(りゅうがふち)にカッパが住んでいたみたい。なるほど、また一つ秋芳洞へ訪れる楽しみが増えましたね。

商店街を抜けると、秋芳洞の観覧券発売所があるので、そこで受付を済ましてさらに奥へ歩いていく。すると、秋芳洞正面入口とご対面。迫力のある入口にワクワクするかな。
心の中で「秋芳洞ノ探検ヲ開始スル、状況開始!」と叫び、洞内へ一歩踏み入れた次第です。



秋芳洞には、大小様々な鍾乳石や石筍が見られます。百枚皿や千町田、傘づくし、洞内富士、龍の抜け穴、五月雨御殿、巌窟王など見どころが目白押し。

その中でも特に美しいのは「黄金柱(こがねばしら)」だろうな。高さ15m、幅4mもある巨大な石灰華柱は、まさに自然の芸術品ですよ。
天井から洞床まで何層にも重なり合った、レースのように繊細で複雑な造形が素晴らしく、見どころの多い秋芳洞のおいて、その存在感は別格ですね。
久しぶりに訪れた秋芳洞でしたが、終始ワクワクしっぱなし。楽しい時間を過ごせました。秋芳洞については、下記関連記事でくわしく紹介します。
新山口駅へ向かう

秋芳洞の観光を終えて、本日の観光はこれにて終了。後は帰路につくだけですね。すでに時刻は17時前。暗くなるまでには、JR新山口駅までに辿り着きたい。
ペースを上げなくてもおそらく大丈夫だと思ったので、いつも通りマイペースで南下します。しばらくすると、美東秋芳西寺線(県道31号)へ合流。
道なりに南下をし続けて長田川に架かる橋を渡り、湯ノ口交差点を右手に進むと、小野三隅線(県道28号)へ入ったので、ひたすら道なりに南下しました。


そして、途中から明るい内に新山口駅へ辿り着くのを確信できたので、クールダウンしながらのんびりと走っていた次第です。


四十八瀬川沿いの道を走っていると、次第にビルディングが立ち並ぶ都市の風景に。ここまでくれば、JR新山口駅まであと少し。
町中は交通量が多いので、油断しませんよ。そのようなことを考えながら慎重に自転車を走らせてると、駅が見えてきました。
秋芳洞から約20kmぐらいの距離を走破したかな。1時間以内に新山口駅へ到着すると、テキパキと輪行袋に自転車を入れて新幹線に乗り込みます。
こうして本日の旅は、終わりを告げました。
まとめ

山陰地方の西部を4日間かけて巡りました。
名勝・長門峡から始まった旅は、山陰の小京都として知られる津和野町(島根県)や萩市(山口県)を巡り、日本海側から太平洋側へ向けて縦断すると、最期にJR新山口駅へ辿り着いた次第です。
津和野町や萩市の町並みを始め、太皷谷稲成神社や松陰神社、雲林寺などの神社仏閣や、城下町の中心であった城跡(津和野城跡と萩城跡)へ足を運びました。
また、「海のアルプス」と呼ばれる青海島周辺をクルージングしたり、秋吉台カルストロードを疾走したり、日本最大級の鍾乳洞として有名な秋芳洞を冒険し、充実した時間を過ごしましたね。
萩市の城下町巡りや下関市の角島、日本海に面し美しい千本鳥居の元乃隅神社(もとのすみじんじゃ)など、まだ見て回りたいスポットがいっぱいあるので、機会を作りまた山陰地方の西部を巡りたいと思います。