
「航空機」や「宇宙」といったキーワードを聞いてワクワクするのであれば、一度は足を運びたい博物館が「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」です。
この博物館がある岐阜県各務原(かかみがはら)市は、戦前から陸軍の飛行場があり、現在も航空自衛隊の基地がある空の町。そのため、空を駆け抜ける航空機を見かける機会が多いですね。
本博物館は、国内で最も多くの実機が展示されていて、一堂にズラリと並ぶ迫力には驚くだろう。また、航空機だけでなく、宇宙開発や宇宙探査の歴史を学べる展示品もいっぱいです。
本記事では、「空宙博(そらはく)」の愛称で知られる「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」を紹介します。
目次
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館とは

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、その名の通り、航空機や宇宙に関する資料の収集や展示を行なう博物館です。
開館当初は、各務原市が運営していましたが、2018年のリニューアルに伴い岐阜県と各務原市から設立された「公益財団法人岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」にて運営しています。
展示面積は約1万平方メートルと広く、実機34機、実物大模型15機の計56機を展示していて、これだけの航空機を一堂に見られるのは、国内でここだけ。実機展示数は日本一ですね。
また、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)やNASA(米国航空宇宙局)などとも連携。展示物の貸借や国際交流・協力を進めています。
【周辺の見どころ】
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
無料で見物できる「屋外展示場」は迫力満点

駐車場から岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の入口へ向かうと、ポップなイラストが描かれたブルーの壁面の向こう側にたくさん並ぶ航空機がお出迎えしてくれます。
この入口から博物館建物へ向かう通路は、屋外の展示場となっていて無料で見物できますね。バラエティーに富んだ巨大な航空機は迫力満点。これだけの航空機を間近で見られる機会なんてそうそうないでしょう。
周囲は芝生広場となっているので、ベンチに座りながらゆったりと航空機を見物できます。それでは、野外展示されている航空機の一部を紹介。

こちらの機体は、陸上自衛隊の第101飛行隊(沖縄県那覇市)で救援機と使用されていたヘリコプター。ボーイング・バートル社で開発されたものを、ライセンス契約で川崎航空機工業(現:川崎重工)で国産化されました。
災害救助の報道などで、このヘリコプターを見たことがある人は多いかも。すでに自衛隊での運用は終了しているそうですよ。

こちらの機体は、荒天の洋上でも離着水できる飛行艇。海難救助や離島間の輸送などで活躍したそうです。かつては、山口県岩国市にある航空隊に所属していました。

こちらの機体は、各務原で量産された潜水艦を探知・攻撃できる航空機なんだとか。
1994年度まで海上自衛隊の主力機として活躍していたという。スマートのフォルムがいかにも「獲物は逃がさないぞ!」とアピールしている感じがするかな。

入口から博物館の建屋まで一直線に並ぶの滑走路のような風景がいい感じ。建屋自体がまるで格納庫のように見えますね。
さて、展示品を一通り見て回ったら、よいよ館内へ入りましょう。館内の屋内展示場には、屋外以上に多くの航空機が所狭しと並んでおり、その規模にビックリ。
戦後の航空機開発の歴史を学ぶため、欠かせない歴代の名機がいっぱいです。航空機ファンであれば目を輝かせるに違いありません。
「屋内展示場」には歴代の名機がいっぱい

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の一番の見どころは、屋内展示場でしょう。館内には20機以上の実機を開発の年代ごとに配置しています。
戦後、日本はGHQにより7年間も航空機の研究や開発、製造が禁止されていましたが、その後は航空機の開発を積極的に行なわれました。
そのような背景を知っていると、一堂に並ぶ航空機から、技術立国・日本の再起にかけた技術者やその関係者たちの思いを、ヒシヒシと感じました。
また、それぞれの航空機には、説明パネルを設置しているので、ほとんど知らない人でも楽しめますね。

たくさんある機体の中でも見逃せないのが、こちらの「飛鳥」です。2025年10月25日に日本航空協会から重要航空遺産に認定されました。
飛鳥は、小さな地方空港でも離着陸できる低騒音の技術を得るために開発された実験機でしたが、残念ながら実用化は見送られることに。
その理由は、すでに地方空港にも長い滑走路が整備されたことや、STOL旅客機の開発の必然性が薄れたためだったそうな。そして、何よりも開発には多額の費用がかかるからですね。
航空機に限った話ではありませんが、はやり量産化するには費用が一番大事なのは当然でしょう。

個人的な一押しがこちらの「F-4EJ改」です。どうですか、カッコイイでしょ。正式名称は「F-4EJ改ファントムII」といいます。
2021年に退役するまで、航空自衛隊の主力戦闘機として運用されていた日本の空の守り神ですよ。航空機に興味がない人も、愛称のファントムの名は、聞いたことがある人も多いと思います。
「改」の文字が付くことからお察しの通り、日本のニーズに合わせてレーダーや火器管制システムの近代化などが施された航空機。そのため、一部では「魔改造ファントム」とも呼ばれていました。
深いこだやりや探求心などにより、独自の進化を遂げる何とも日本人らしさを感じるではないですか。


航空機のパイロットは、今も昔も憧れの職業として高い人気を誇ります。やはり、カッコイイというイメージが強すぎるかな。それに需要が高くて高収入とくれば、支持されるのも頷けますね。
また、航空機だけでなく航空機用のエンジンや旅客機(ボーイング767)で使用されているファーストクラスの座席(シート)なども展示されているので、じっくりと見物していきましょう。
国内唯一の旧陸軍の戦闘機「飛燕」は必見

戦争中に日本の航空機技術は飛躍的に進歩する中、土井武夫氏や堀越二郎氏の手によって傑作戦闘機が誕生しました。
堀越氏が設計した旧海軍の「零銭」は超有名ですね。一方、土井氏が手掛けたのは旧陸軍の「飛燕」です。飛燕は、1941から1945年にかけて川崎航空機工業(現:川崎重工)により製造された戦闘機。高速性と優れた運動性を持ち、B-29爆撃機の迎撃などにより、その名に恥じない働きをしました。
飛燕は約3,000機ほど生産されましたが、館内に展示さているものが唯一現存する実機のため、大変貴重なものですよ。
戦後にアメリカ軍に接収されていましたが、奇跡的に日本に返還されると、各地で展示されることに。そして、満を持して2018年に故郷となる各務ヶ原市へ戻ってきた訳です。

薄暗い展示室内では、ライトに照らされた飛燕の機体が印象的。ジュラルミン製で無塗装のままですが、それがかえって歴戦の風格を感じさせます。
当時国内で液冷エンジンを搭載した戦闘機は、飛燕のみですね。液冷エンジンを搭載した戦闘機は、シャープでスマートな外観が特徴的。零銭などの空冷エンジン機に比べると、機首が細く絞り込まれています。
川崎重工が2016年に創立120周年記念事業にて、飛燕の再生プロジェクトを行ない、破損や欠損部分の修復などを実施。約1年にも及ぶ作業にて、オリジナルに忠実な姿へと復元しました。

パネル資料にて、復元部分とオリジナルの部分がはっきりと分かるのもGood。こういう細かな説明には好感が持てるかな。


また、飛燕が搭載していたハ140エンジンを始め、エンジンパーツ、車輪など貴重なパーツ類も展示されています。
飛燕の他にも周囲には、各務原市で量産された最初の航空機である「乙式一型偵察機」や「零戦(十二式艦上戦闘機)」の実物サイズの模型も展示されているので、お見逃しなく。
【旧陸海軍の航空機を紹介】
旅先で訪れた旧陸海軍の航空機を見物できる観光スポットを、下記記事で紹介します。
宇宙開発や宇宙探査の歴史を学べる充実した展示品

宇宙エリアでは、ロケットや人工衛星の歴史や役割、構造などを模型や資料を使い紹介しています。
さらに宇宙と生命の謎を探るのに必須な宇宙探査についてもくわしく紹介しているので、見学を終えた後は、ちょっとした宇宙博士になっているかも知れません。
特に人工衛星は、私たちの生活に与えている影響が大きい。たとえば、遠く離れた場所を電波で中継してつなげる「通信・放送衛星」、天気予報や災害情報に欠かせない「気象衛星」などは、普段意識していなくても、多くの人がその恩恵を享受しています。

円形のソファーに寝そべって、天井に映された地球と人工衛星の軌道が見られるのも面白いですね。



人工衛星はロケットの先端に搭載して打ち上げます。周りにある保護カバーを「フェアリング」と言って、打ち上げ時の空気抵抗による振動や300℃以上にもなる光熱から守ってくれている。
このカバーは、特殊なボルトで固定されていて、大気圏外へ到達するとボルト内の爆発により、カバーが分離される仕組みなんだとか。うん、勉強になります。

こちらは、数万キロメートルも隔てた人工衛星間で、レーザー光を使い光通信に世界で初めて成功した実験衛星ですよ。このような技術の進歩が、私たちの暮らしをより豊かにしているという事実には、感謝しかありません。

また、宇宙の仕組みや生命の根源を理解するためには、宇宙の探査は欠かせないでしょう。NASAの火星探査で活躍中の無人探査車「キュリオシティ」の模型も展示しています。
2012年8月に火星へ到着してから10年以上が経過していますが、移動しながら撮影した風景から、かつて湖や川があった証拠が見つかりました。このことから、生命が存在した可能性が考えられますね。
現在、火星移住は本当に計画されていますが、今の技術ではまだ夢物語といえるかな。しかし、数十年後には実現するかもと言われており、個人的には本当なのか疑わしい。
どう考えても、テラフォーミングのような環境改善が本当にできるとは、あと100年経ってもできないと思っています。その当たりは、どうなるのでしょうかね。
宇宙飛行士の気分を味わえる日本実験棟「きぼう」

宇宙エリアには、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の実物大模型があります。
実験棟の役割は、宇宙空間が人体に与える影響など宇宙環境を利用した様々な科学実験や技術実証を行なうことだそうですね。外観は、バスほどの大きさがある筒のような形をしているぞ。
中は地上とほぼ同じ気圧や温度が保たれていて、宇宙飛行士が長期滞在できるという。また、普段着で作業できるそうですよ。
確かに四六時中、宇宙服を着たままで暮らすのはストレスが溜まりそうなので、そうでなくては困るでしょう。


実際に中へ入ってみると、実験装置がたくさん並んでいて、これらの操作や機能を覚えるだけでも大変そう。それに、あの有名な「きぼう」と書かれた暖簾もあるので、お見逃しなく。
本物の実験棟では、宇宙と地上を双方向でつなぐ世界で唯一の宇宙放送局があります。毎年恒例の年越し配信イベントを、楽しみにしている人も多いでしょう。

おっ、これは宇宙食ではないですか。個人的に宇宙食にいうと、チューブ入りペーストのイメージがありましたが、研究や工夫を重ねて今ではフリーズドライやレトルトなど多様化しているそうです。
特にサバ醤油味付け缶詰や名古屋コーチン味噌煮など日本の味が楽しめるのには驚きました。くっ~、名古屋コーチン味噌煮は食べてみたい。味の再現度に興味津々です。(笑)
フライトシミュレータで航空機の操作を体験

館内には、大型旅客機や小型ジェット機の操縦を体験できるフライトシミュレータがあります。
目の前のモニタに映る景色を眺めながら、画面の指示に従い機体の離着陸やフライトを行なうので、パイロット気分を味わえるのが面白いですね。
ということで、レッツチャレンジ♪

画面に表示される連続した枠の中へ機体を誘導させながらフライトするのですが、これがまた難しい。
初見でパーフェクトを取れる人なんているのかしら。そういうレベルですよ。

また、体験後に別のモニタにて機体がどのように動いたのか後から確認できます。私の場合は、フライト中に機体が90度に傾いていたかな。操作中はそのような自覚はありませんでしたが、こうしてモニタで確認すると、下手なのが一目瞭然です。
また、大型旅客機や小型ジェット機シミュレータ以外にも本格志向の「VRヘリシミュレータ」があります。
尚、操縦体験は1回あたり約10分ほど。整理券がなくなり次第、受付は終了するので興味がある方は、お早めに足を運んで下さいね。
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の基本情報とアクセス
| 住所 | 岐阜県各務原市下切町5丁目1番地 |
| 電話番号 | 058-386-8500 |
| 営業時間 | 平 日 10:00~17:00 土日祝 10:00~18:00 |
| 休館日 | 第一火曜日 年末年始(12/28~1/2) |
| 入館料 | 大人 800円 60歳以上・高校生 500円 中学生以下 無料 |
【アクセス】
- 名鉄・各務原市役所駅からバスに乗って「航空宇宙博物館」で下車後すぐ
- 東海北陸自動車道「岐阜各務原IC」から車で約10分
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の駐車場
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館には、無料駐車場があります。(普通車550台)
まとめ

岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、屋外展示場だけでなく館内の展示スペースも広く結構歩きます。歩道は段差が少ないので、車いすやベビーカー、歩行が困難な人にも優しいと感じました。
航空機や宇宙に興味があるならば、ズラリと並ぶ名機の数々に目を輝かせるだろう。たとえ興味があまりない人でも、その迫力に引き込まれるのではないだろうか。
「なぜ航空機が飛ぶのか?」といった疑問も学べ、シュミレーターにて航空機の奥深さを体感できるのも良し。さらに日本実験棟「きぼう」の実物大模型で、宇宙飛行士の気分を味わえます。
北側には、航空自衛隊岐阜基地があるので、訓練中の自衛隊機を目撃できるかも。お隣の岐阜市には、岐阜県を代表する観光スポットの一つ岐阜城がありますので、あわせて観光してみてはいかがですか。

