島根半島の東端に位置する「美保関(みほのせき)」。
かつては、海上交通の要所として栄え、西日本でも有数の繁華街でした。今でもその当時の面影を残す町並みを歩くと、ノスタルジーを感じずに入られません。
青石が敷き詰められた「青石畳通り」の散策はマストであり、レトロな建物や独特な雰囲気が漂っています。また、美保関本館や美保関灯台、美保神社、佛谷寺(ぶっこくじ)などの見どころも多い。特に美保神社は、全国に約3,000社もある「えびす神社」の総本社として有名ですよ。
本記事では、青石畳通りの散策と代表的な建築物である美保関本館の見学を中心に、様々な魅力ある美保関の見どころを紹介します。
美保関はどんなところ
美保関は、島根県松江市にあり、島根半島の東端に位置する日本海に面した港町です。
朝鮮半島等との環日本海交易の拠点として栄え、江戸時代から大正時代にかけては、北前船の中継基地として重要な役割を果たしました。
その後、鳥取県の境港が美保関にとって代わり発展していくと、美保関の経済的地位は衰退していった歴史があります。
今の美保関は、かつての賑わいが嘘のような静かな港町です。けれど、当時の面影を残す町並みを歩くと、元船宿や老舗の醤油蔵などが並んでおり、宿場町であったことがうかがい知れる。
また、日本海に面した美保湾には、数多くの網漁船が並んでおり、波止には一本釣りを楽しむ人たちを見かけることも。アジやサゴシなどが釣れるそうですよ。
特産品は「イカ焼き」が有名。店の軒先では、とれたてのイカを天日干しする景色が見られます。お土産にも食べ歩きにもおすすめの一品ですね。
【周辺の見所】
美保関の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
美保関の散策コースのおすすめを紹介
美保関の町歩きは、松江観光協会美保関町支部の裏側にある弁天波止場が始めよう。
この波止場からは、風光明媚な日本の海の原風景が見られる。すぐ近くには、常夜灯と朱塗りの橋があり、波の音や鳥の声、潮の香が心地よいですね。
ちなみに、弁天波止場の隣には、観光用の無料駐車場があります。
こちらの美保関観光案内図で「弁天さん」と表記されている位置が弁天波止場ですよ。
ここから海沿いに北側へ向けて少し歩けば、左側に大きな鳥居が見えてくる。それが美保神社の一の鳥居です。
その鳥居から東へ歩くと青石畳通りへ入り、佛谷寺(仏谷寺)まで青石が敷き詰められた道が続きます。
この案内図を見ると、一番右端にある美保関灯台まで近いように思えますが、実際は観光協会から徒歩で約30分ほどはかかるので、観光協会でレンタサイクルを借りた方がよい。
効率よく散策するならば、以下のコースがおすすめです。
- 観光協会・駐車場(スタート)
- 美保神社へ参拝
- 青石畳通りを歩き町並み散策
- 佛谷寺へ参拝
- 海沿いの道を歩いて観光協会・駐車場へ戻る
- レンタサイクルまたは車で美保関灯台へ移動
- 美保関灯台から日本海の絶景を堪能
- 観光協会・駐車場(ゴール)
これらの観光スポットは、半日もあれば見て回れますが、静かに佇む港町で一夜をゆっくり過ごされてみてはいかがですか。
【旅に役立つサービスの紹介】
旅の道中では移動手段や宿泊施設の確保が大切ですね。下記記事では、旅先で役立つサービスを紹介します。
青石畳通りを歩き、ノスタルジーを感じる美保関の町並みを堪能
美保関の美しい町並みを楽しめるのが、青石畳通りです。
青石畳通りは、美保神社から北東に向けて佛谷寺までの約250mほどの長さがあり、その通りにはノスタルジーを感じる歴史ある建物が軒を連ねています。それが石畳の景観と見事にマッチしているため、異国の雰囲気を醸し出していました。
この通りの名前となった敷き詰められた青石は、船の積み荷を運ぶために、当時この辺りで産出していた森山石を使い整備されたという。
そんな石畳の上をのんびり歩いていると、おもわずカメラのシャッターを押したくなるものだ。かつて高浜虚子や与謝野鉄幹、晶子などの文人墨客たちも足を運んでおり、歌碑・句碑も発見できる。
また、各家屋にはそれぞれの屋号が説明されている。ほとんどの建物は、明治に入ってから建てられたようで、旅籠や問屋が混在しており、独特な町並を形成しています。
そこで、美保関の町並みをダイジェストで紹介。
曲がり角で小さな社を発見。こちらは恵美須社ですよ。美保神社の境外末社ですね。参拝していこう。
こちらは永世不諼(えいせいふけん)の碑と神輿がありました。後から永世不諼の碑について調べてみたのですが、よく分からない。一体何の碑なのかしら。
こちらは定秀家住宅(北国屋)ですね。松江市登録歴史的建造物に選ばれています。
現存の建物は明治前期の建築だそうで、有力な廻船問屋でした。海運で栄えた美保関の歴史を語る上で貴重な建物ですよ。
町並み散策は、晴れの日に行うのが一番楽しめると考えているのは、私だけではないでしょう。実はこの青石畳通りでは、雨が降ると、石畳がうっすら青く光り神秘的な空間へ変貌を遂げるそうですよ。これは見てみたいかも。
ちなみに、私は美保関で1泊しましたが、夜か朝方に雨が降ったみたいで私の願いが叶いました。どうですか、こんな景観が見られるのならば、雨の日の散策も悪くないかな。
青石畳通りを抜けて、海側へ出てみると多くの漁船が見て取れる。
見るからにイカ釣り用の漁船だろう。船上で集魚灯を照らし、光に集まってくるイカを自動的に釣り上げる算段だ。
うん、遠くに見える常夜灯もいい感じ。それに綺麗な夕日を楽しめそうだ。
美保関は「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選ばれており、そんな町並みをゆっくり歩きながら、歴史ロマンに浸りましょう。
【古い町並みの紹介】
旅先で訪れた古い町並みが楽しめる観光スポットを、下記記事で紹介します。
美保関の町並みを代表する建築物「美保関本館」を見学しよう
美保関を代表する建築物の1つが「美保関本館」です。1905年に建てられた木造建築であり、全体的に純和風の数寄屋造り。多くの文人墨客が逗留しました。
老舗割烹旅館である「美保館」が所有する国登録有形文化財ですよ。美保関本館は、今は美保館に宿泊されたお客様の朝食や宴会、披露宴などで利用されています。宿泊者以外でも入館料を支払えば、見学できるのでご安心して下さい。
私は朝食の時間帯にお邪魔して見学させてもらいました。
美保関本館の入口は、青石畳通りに面しているので、「なかさや」と呼ばれる当時の生活道路を通過するのが近道です。
なかさやを通過していると、なかさやを挟む建物同士が、2階部分でつながっていることを実感できますね。
本館の中へ入ると、吹き抜けになっているので、心地よい光が差し込んでくる。
もともと中庭だった場所にガラス天井をかけて改装をしたそうですが、「とても良い仕事をしているな」と感じた次第です。
吹き抜けの2階に目を向ければ、純和風の茶室や回廊が見て取れる。館内の部屋を自由に見学して撮影したも大丈夫ですが、建物の外観に似ず和洋折衷な部屋ですね。
こちらは、かつての番頭部屋かな?宿屋を兼ねた廻船問屋の名残でしょうかね。
茶室やBarスペースもあり、これは面白い。週末Barやコンサートなどイベントが行われるそうです。
2階へ上がると、テーブルの上には朝食が並べられていた。海を一望しながら美味しい朝食を頂ける。
窓のそばへ立ち寄り、水面に反射する朝日と眼下の陸路を見てみよう。
実は、この辺りは昭和になるまで陸路がなかったそうだ。そのため、船で往来していたそうですよ。そんなことを知ると、今の景色が感慨深いものに思えてきます。
2階の廊下は、ちょっとしたギャラリーとなっていた。船の往来で賑やかであった美保関の当時を知ることができる。
また、細部の意匠も見ごたえがありますね。1階広間では、組子の「麻の葉文様」の欄間が美しい。2階の大広間では、長押(なげし)は節のない1枚の木材が使われています。江戸時代には権威の象徴や贅沢品ともいわれる長押を使っているとは、すごくないですか。
【カメラに関する話】
歴史ある美保関本館へ足を運び、旅の思い出にカメラ撮影を楽しみましょう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
【見所①】山陰最古の灯台「美保関灯台」
美保関灯台は、1891年(明治31年)に造られた山陰地方で最も古い灯台であり、国の重要文化財に指定されています。
全国でもめずらしい石造りの灯台で、周囲の石壁は青石畳通りと同じ石が使われている。海抜73mの岩上にそびえ立つ白亜の灯台は、青い空と海によく映えるフォトスポットですよ。
眼下に広がる日本海の景色は素晴らしく、天気がよい日であれば、約80km離れた隠岐の島や、中国地方最高峰の大山を一望できます。
また、自然豊かな遊歩道が整備されており、灯台の隣にはレストラン「灯台ビュッフェ」が営業してますね。日本海の絶景を眺めながら、海の幸を中心とした食事を満喫してみてはいかがですか。
美保関灯台は「世界の歴史的灯台100選」にも選ばれるほどの、大変貴重な灯台の1つですね。この灯台については、下記関連記事でくわしく紹介します。
【見所②】スピリチュアルスポット「美保神社」
美保神社は、冒頭でも触れましたが、全国に約3,000社もある「えびす神社」の総本社です。
733年(天平5年)に編纂された「出雲国風土記」に社名があることから、8世紀頃には、すでに存在していたといわれています。お祀りされている神様は、三穂津姫命(みほつひめのみこと)と事代主神(ことしろぬしのかみ)の2柱。有名な出雲大社でお祀りしている大国主神の妻子ですよ。
そのため、出雲大社とともに両参りすれば、ご利益UPが期待できます。
出雲大社から美保神社までは、約70kmほど離れており、車でも1時間以上かかる。1日で慌てて参拝する必要はないので、出雲大社の周辺を観光した後、翌日に美保神社へ訪れてみてはいかがですか。
また、境内には青色石畳や御霊石、御神竹など見どころもあり、ゆっくり見て回りましょう。尚、美保神社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
【見所③】山陰最古の木像仏が眠る「佛谷寺」
佛谷寺(ぶっこくじ)は、後醍醐天皇と後鳥羽上皇が隠岐の島へ島流しにあった際、風待ちのための行在所にしたお寺として知られています。
もともとは、真言宗三明院という古刹でしたが、中世後期に一度退転したものを、天正年間(1573年~1592年)に浄土宗に改宗し、佛谷寺として再興しました。
こちらは本堂です。入母屋造の本堂には、阿弥陀如来像が祭られています。
また、境内にある大日堂では、山陰最古の木像仏を一般公開(有料)している。薬師如来坐像を真中に、聖観音立像3体と、菩薩形立像1体の計5体が並んでおり、どれもが国の重要文化財ですよ。出雲様式と呼ばれる独特の造形を楽しめます。
美保関の基本情報とアクセス
住所 | 島根県松江市美保関町美保関 |
電話番号 | 0852-73-9001(松江観光協会 美保関町支部) |
【アクセス】
- JR松江駅から一畑バスで美保関ターミナルへ行き、隣接する万原停留所で美保関コミュニティバスに乗り換えて「美保神社入口」で下車後、徒歩約1分(バスの乗車時間は約80分)
- 米子鬼太郎空港から期間限定の「えびすライナー」で約40分(運行日は美保神社の公式サイトで確認要)
- 米子自動車道「米子IC」から車で約55分
美保関の駐車場
美保関へ車で来られた方は、美保関観光無料駐車場を利用しましょう。(普通車約45台)
まとめ
海に囲まれた美保関は、かつて海上交通の要所として栄えた、風待ちの港でした。決してアクセスの良い場所ではありませんが、美保関には魅力ある見どころが色々あります。
古い歴史と由緒正しい美保神社、佛谷寺などの神社仏閣や、国の登録有形文化財に指定されている美保関本館は見逃せません。
また、最東端まで足をのばせば、山陰地方で最も古い美保関灯台がそびえ立ち、日本海の絶景を楽しめます。青石が敷き詰められた青石畳通りを歩きながら、レトロな港町を堪能しましょう。