
山陰の小京都・山口県萩市は、城下町として栄え、その古い町並みは今も残っています。
萩城下町を歩きながら観光するだけでも風情を感じますが、より風情を感じるならば遊覧船がおすすめです。
萩城跡(指月公園)のすぐそばには、水路に沿って運行している「萩八景遊覧船」があり、いつもと違う角度から町並みを楽しめる。
さらに、白い砂浜が印象的な菊ヶ浜や指月山の麓にある萩城の石垣など、陸地とは違う船上でしか見られない表情を魅せてくれるのは、遊覧船の特権ですね。
季節限定のコースもあり、約40分のクルージングを満喫しましょう。本記事では、水上散歩が楽しい萩八景遊覧船の魅力を紹介します。
目次
萩八景遊覧船の乗り場と乗船までの流れ

萩城下町を通過する萩城址線(県道295号)を進むと、指月川に架かる指月橋があり、この橋のたもとには「萩八景遊覧船」の乗り場があります。
周囲には、萩城跡(指月公園)へ向かうのに便利な指月第一駐車場があるので、ここを目印にすると分かりやすいですね。
この駐車場から萩城址線を東へ約90mほど歩くと、乗り場へ到着。乗り場には、萩八景遊覧船と書かれたのぼり旗が立っているので、直ぐに見つけられるだろう。
乗り場へついたら、まずは受付を済ませて下さいね。
運行スケジュールは特に決まっていなくて、随時出発します。(たとえ、お一人様でも運行するのでご心配なく)

GWなど大型連休のように観光客が多い時は、少し待たされるかも。受付場所の周辺には、椅子やテーブルが用意されているので、椅子に座りながらしばらく休憩しよう。

また、乗り場の中には長ベンチがあるので、そちらで休憩していてもOKですよ。
出航の準備が整ったらスタッフから案内があるので、指示に従い遊覧船へ乗り込みます。

遊覧船へ乗る前には、救命胴衣をしっかりと着ること。これは、いざという時の命綱になるし、そもそも着用しなければ乗船できません。
それでは、遊覧船の旅を楽しんで下さいね。
【周辺の見どころ】
萩八景遊覧船乗り場周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
萩八景遊覧船のコースと所要時間、季節限定のコースあり

萩市街地は、橋本川と松本川によって形成されたデルタ地帯となっており、すぐそばには日本海もあるため、まさに水に囲まれた「水の都」という表現がピタリと当てはまります。
そんな水都の遊覧コースは、指月橋を始点にして萩城跡の水路を通り、常盤島経由で橋本川本流に入って堀内伝建地区内・平安古伝建地区内の武家屋敷群を川から眺めて再び指月橋へ戻る航路ですね。
所要時間は、往復で約40分ほど。天気が良い日は日本海まで航路を延ばすので、お得感を味わえる。具体的には、萩城跡の潮入門跡周辺や美しい白砂青松の菊ヶ浜、沖合に点在する萩六島(大島・櫃島・肥島・羽島・尾島・相島)を、海から眺めるコースの追加となります。
なので、出来るだけ天気が良い日に訪れたいものだ。遊覧船の運行は、3月から11月限定で基本的に毎日運行しています。ただし、悪天候の場合は運休なので気を付けましょう。

また、季節限定の特別コースがあるので以下に紹介します。
コース名 | 期間 | 概要 |
---|---|---|
桜観賞コース | 3月下旬~4月上旬 | 桜の開花に合わせて運行。 橋本川土手に咲く美しい桜並木を堪能しよう。 |
日本海観賞コース | 7月中旬~8月下旬 | 箱メガネによる日本海の水中観察など夏らしい 体験ができる。 |
夕陽観賞コース | 7月~8月 | 完全予約制。日没40分前に運航します。 船上で見る日本海にゆっくりと沈む夕陽が素敵。 |
桜紅葉観賞コース | 10月下旬~11月上旬 | 河添や江向地区の川土手の桜や紅葉を楽しめる。 |
遊覧船から萩城下町の風情を楽しむ

遊覧船は、まずは南西に向けて萩城跡の水路(指月川)を通過して橋本川へ向かいます。
指月川には、川岸を保護するために積み上げられた石が連なっていたり、松並木があったりする。それに他の遊覧船とすれ違うことも。なので、遊覧船に向かって手を振って挨拶をしてみよう。
ここまでで、それなりの風情を感じる景色が見られますが、まだまだ序の口です。

しばらくすると指月川を抜けて、左手側に常磐大橋が見えてくる。
常磐大橋は、車道と歩道の2つの橋からなっており、堀内と玉江浦を結ぶ橋本川で最も下流に架かる橋ですね。

対岸に目を向けると、長門三十三観音霊場第三十三番札所「観音院」が見えました。古くより「玉江観音」と呼ばれ、海の護り観音としてあがめられているという。民家が集まる場所から一段高い場所に建ち、船の往来を見守っているのだろう。
遊覧船が常磐大橋の下をくぐり抜けてからが、よいよ本番だ。橋本川河畔には、城下町らしい石壁や屋敷が連なります。
船頭さんの説明に耳を傾けながら、萩の町並みと自然が織りなす景観を楽しんで下さいね。それでは、ダイジェストで船上からの景色を紹介します。




平安古の遊歩道に沿って、長い石壁が見えてくる。一体どこまでも続いているのだろうと思わせる白い石壁ですね。
晴天の下、白壁の「白」と松林の「緑」、そして橋本川の「藍」が織りなす景観がいい感じ。遊歩道をゆっくりと散歩するのも気持ちが良さそう。
また、桜シーズンに訪れると、橋本川上流に咲き誇る桜並木を楽しめるという。なので、桜の時期を狙って、訪れてみてはいかがですか。

遊覧船は、旧田中義一男爵別邸(平安古地区重要伝統的建造物群保存地区)がある場所を少し過ぎるとUターンして、来た航路を引き返します。
ちなみに、田中義一(たなか ぎいち)氏は、昭和天皇が即位した頃に総理大臣なんだとか。聞くところによると、萩の地元では、幕末の志士より有名なんだそうな。
この別邸は、江戸時代は毛利筑前の下屋敷であり、明治時代には夏みかんの栽培を広めた小幡高政の邸宅でした。今では夏みかんは、萩の特産品として有名ですね。隣には、夏みかんをはじめ様々な柑橘類を育てている、かんきつ公園があります。
陸に上がったら、今度は「白壁と夏みかん」という萩の情緒を感じて下さいね。
日本海へ出る前に船上でちょっとしたギミックを体験

先ほども触れましたが、天気が良ければ日本海へ向かいます。再び乗船場が見えてきてもスルーして、指月川を北上する追加コースです。料金は変わらないのでご安心して下さい。
指月川から海へ出る前に、前方には茶色い石造りの橋が見えてきます。パッと見た目では、遊覧船が橋の下をくぐり抜けるのは難しそう。すると、遊覧船の屋根が「ギ・ギ・ギ!」と音を立てて前倒しになるではないですか。
このギミックは知っているぞ。以前、島根県にある松江城にて、遊覧船に乗って堀川めぐりをした時に、同じような体験をした記憶がある。

橋下が低いことと、海の近くなので大潮の影響があるのだから、屋根をかなり低くしなければならないのは理解できるかな。この状態であれば、何事もなく橋下を通過できる。
その際、頭を低くして屋根にぶつからないように気を付けて下さいね。約30cmほど屋根が下がってくるので、ちょっとかがんだぐらいではNG。太ももと顔があたるぐらいまで、体を降りたたもう。

少し大袈裟かと思うかも知れませんが、これぐらいで丁度良し。遊覧船が橋下を通過する瞬間は、ワクワクしっぱなしでしたね。
橋を通過し終えると、再び「ギ・ギ・ギ!」と音が鳴り響き、屋根は元通りに。そして、眼前には日本海が広がっていきます。
海上から萩城跡や笠山、指月山、菊ヶ浜を眺めよう

指月川の河口に辿り着くと、右手側には石の防波堤が見えてきます。
前方に見えるのは笠山ですね。笠山は、かつて萩藩の石切り場があったところ。ここで切り出された安山岩と指月山から切り出された花崗岩が、萩城の石垣に使われたそうな。(石垣のほとんどは花崗岩が使われました。)

平らな台地にちょっこんと丘が盛り上がっている景観は、市女笠 (いちめがさ)の形に似ているかな。これが名前の由来なんだとか。
また、笠山は標高112mの火山ということで、世界で最小の火山といわれています。山頂には展望台があり、トレッキングコースとしてもおすすめですね。
日本海へ出ると、指月山や萩六島、そして美しい菊ヶ浜が見渡せる。指月山の麓には、海に面した石垣がいい感じ。





特に菊ヶ浜は、真っ青な海の先に浮かぶ白い砂浜と青々とした松林、そして白壁と石垣が織りなす景観は見事なり。拍手喝采を贈りたい。
浜辺を歩くのも楽しいですが、船上から眺める景色はまた違った魅力があるぞ。視点が違えば、見えてくる景色や印象が変わってきますね。
菊ヶ浜には、幕末に外国船の襲来に備えて女性たちが主となって築いた、「女台場(おなごだいば)」という土塁が残っているので、興味がある人は足を運んでみよう。
その後、遊覧船はしばらく日本海へとどまった後で、乗り場へ戻っていきました。萩八景遊覧船では、日頃の萩観光では見ることができない川や海からの景色を楽しめます。
【遊覧船の紹介】
旅先で訪れた遊覧船の魅力を、下記記事で紹介します。
萩八景遊覧船の基本情報とアクセス
住所 | 山口県萩市堀内122-1(指月橋そば・萩城跡入口付近) |
電話番号 | 0838-21-7708 |
営業時間 | 営業期間 3/1~11/30 受付時間 3月~10月 9:00~16:00 11月 9:00~15:30 ※定時出発ではなく随時運航 |
定休日 | 12月~2月は運休、それ以外は運行 ※悪天候の場合は運休 |
料金 | 中学生以上 1,500円(1,200円) 小学生以下 800円(600円) 幼児(3歳未満)無料 ※20名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金 ※10名以内で貸切りあり(15,000円) |
備考 | 9名以下の場合は予約不可、10名以上から予約可 ただし、貸切りの場合は10名以内で予約可能 |
【アクセス】
- JR東萩駅から徒歩約40分
- 萩循環まぁーるバス(西回りコース)に乗って、「萩城跡・指月公園入口・北門屋敷入口」バス停に下車後、徒歩約1分
- 小郡萩道路「絵堂IC」から車で約20分
萩八景遊覧船の駐車場
萩八景遊覧船の乗り場前には、無料駐車場があります。(普通車30台、大型車5台)
また、乗り場から西へ約90m離れたところには、萩城跡(指月公園)へ行くのに便利な無料の指月第一駐車場がありますね。(普通車51台、大型車2台)
まとめ

萩八景遊覧船は、美しい萩城下町の景観を水上から楽しめます。
城下町のシンボルともいえる白壁の風景を、歩きとは違う視点から眺めるのは新鮮ですね。また、天気が良ければ、日本海まで航路が延びて、海上から美しい菊ヶ浜を一望できるのも良し。
船頭さんによる案内に耳を傾けながら、水路沿いですれ違う地元の人たちに手を振ってみてはいかがですか。新しい発見や出会いが生まれるかもしれません。
遊覧船に揺られながら、約40分の水上散歩を楽しみましょう。