日本一高い山といえば「富士山」ですが、反対に日本一低い山といえば、どの山かご存じですか。
実は、日本一低い山は1つだけでなく複数存在している。その理由は、何をもって日本一にするかという条件により異なるからだ。
大阪市港区にも、そんな日本一低い山の栄光に輝く「天保山(てんぽうざん)」があります。そして、その山がある場所が、天保山公園です。園内を散策しながら、標高4.53mの天保山へ挑戦しよう。
本記事では、天保山を中心に、天保山公園の見どころを紹介します。
天保山公園とは
天保山公園は、大阪府大阪市港区に位置し、日本一低い山として知られる「天保山」のある公園です。
園内は、緑の木々が豊であり、春になれば桜が咲き誇ります。また、この公園の周囲を高い防潮堤が取り囲んでおり、海辺の景色を散策しながら楽しめる。
天保山は、江戸時代の「天保の大川浚」という工事で出た砂を、大阪湾へとつながる安治川の河口付近に、土を積み上げて造られた物が始まり。つまり「人工の山」ですよ。この山より高い場所は、園内に多数あるのはご愛嬌ですね。
奥へ向かうと、大阪港第一次修築工事で尽力した、西村捨三(にしむら すてぞう)翁の銅像がありました。
彼は、維新の三傑の一人である大久保利通(おおくぼ としみち)と親交が深く、明治天皇の覚えもめでたかったそうです。
園内は、それほど広くはないため、20~30分もあれば一通り見て回れます。
園内には、小さなお子さんが遊べる遊具がある。遊具の数はあまり多くなく、ブランコやアスレチック付きのすべり台、砂場がありますね。
見るからに保育園から幼稚園児向けの遊具かな。私が訪れた時は、一組の親子が遊んでいました。親子のコミュニケーションを図れる場として、地元の人々に活用されているのでしょう。
天保山公園の周辺には、天保山大観覧車や海遊館、レゴランド・ディスカバリー・センター大阪、天保山マーケットプレース、天保山アニパなど数多くの観光スポットが目白押し。
徒歩圏内に密集しており、1日中遊べる場所ですね。
【周辺の見所】
天保山公園の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
日本一低い山「天保山」の登山へチャレンジ
天保山公園の入口は、西側と南側の2箇所ありますが、私が園内へ踏み入れたのは、南側からです。
入口からは、天保山は見えません。まずは、園内中央にある展望台を目指し階段を上がってみる。この時点で既に天保山の標高を越えている。
整備された道を北側へ向けて歩いて行くと、記念碑がそびえ立つ広場へつながっていました。
その記念碑の後ろ側で、山のキャラクターを発見。そうです、ここが天保山の山頂なのです。
公園の入口から登頂まで、かかった時間はわずか5分。思っていたのより、あっさり登頂に成功。もちろん達成感はありません。(笑)
山を上るので登山という表現は、決して間違っていないのですが、園内を歩いていたら、いつのまにか登頂していたため、登山の感覚が全くない。
ちなみに、山頂付近にある記念碑は、「明治天皇観艦之所碑」という。なんでも戊辰戦争中の1868年に、天保山沖で日本初の観艦式が行われました。何気に、この記念碑の方が目立っているかな。
山頂には、ここが山であることを示す三角点が確かにあります。1911年(明治44年)に設置済み。
実は、天保山は二等三角点がある山では、日本一低い山ですね。けれど、単純に標高だけみると、天保山より低い山がある。
それが宮城県仙台市にある「日和山(ひよりやま)」だ。この2つの山を比べた結果を、以下にまとめました。
- 天保山 標高:4.53m 二等三角点あり
- 日和山 標高:3.00m 二等三角点なし
これらの山は2つとも人口の山です。条件によって、様々な日本一低い山があって実に面白い。
たとえば、一等三角点があるという条件では、大阪府堺市にある蘇鉄山(6.97m)となり、自然の山で日本一低いのは、徳島県徳島市にある弁天山(6.1m)ですね。
【日本一低い山の紹介】
旅先で訪れた日本一低い山のある観光スポットを、下記記事で紹介します。
天保山の誕生と栄枯盛衰
先ほども触れましたが、江戸時代に洪水防止と大阪への大型船の入港をしやすくする目的で、大規模な浚渫(しゅんせつ)事業が行われました。それが「天保の大川浚」ですね。
1831年から1832年(天保2~3年)にかけて、安治川にたまった土砂をすくいだし、その土砂を積み上げてできたのが天保山です。名前は、当時の元号が由来ですよ。
一時は標高20mを越えていたそうで、頂上からの眺めは大変素晴らしく、六甲の山並みや淡路島などを望めました。
夜間航行の目印として高灯籠の設置や、桜なども植樹され、大阪の町人が集まる新名所として、もてはやされたといいます。歌川(安藤)広重が描いた版画には、天保山で舟遊びに興じる人々の姿がみられますね。そんな華やかな時代は、長くは続きませんでした。
時は流れ、1854年(嘉永7年)に天保山の運命が変わる一大事件が勃発します。それが、ロシアの艦隊の出現です。
この艦隊が開国を求めて大阪湾に現れると、大阪湾の防備のため、1864年(元治元年)に天保山は整地されてしまい、砲台(天保山台場)が築かれました。その際、天保山は大きく崩され、明治の終わりごろには、標高8mになっていたそうです。
現在の天保山は、レジャースポットに隣接する小さな公園として、市民の憩いの場になっています。
【旅を続けるのに便利なサービス紹介】
旅先で飛行機やレンタカーなどの移動手段が、手早くみつかるのはありがいですね。下記記事では、旅を続けるのに便利なサービスを紹介します。
日本一低い山の移り変わり
天保山は、1970年代には標高約7mになっており、その頃には日本一低い山として知られるようになりました。
1991年になると、日和山が、国土地理院により日本一低い山として認められて、その座を奪われてしまう。しかし、1997年に再び返り咲いたのです。一体、何があったのでしょうか。
実は、高度経済成長の最中、地下水のくみ上げなどにより、地盤沈下が発生。その影響で標高が4.53mとなる。こうして名実ともに日本一低い山の栄光は、天保山が手にします。
その後、2011年(平成23年)3月11日に起きた東日本大震災により、日和山は地盤沈下に見舞われる。2014年(平成26年)4月に国土地理院が日和山の調査を行なうと、標高が3mの山として認知された次第です。
こうして、日本一低い山の称号をめぐる戦いは、日和山に軍配が上がり、今に至ります。
登頂証明書の発行
天保山の登頂に成功すると、「登山証明書」をもらえます。
もらえる場所は、天保山のお膝元、天保山商店街ですよ。登頂証明書の発行は、天保山商店会が行っていますので、商店会の加盟店で買い物をすれば証明書をもらえるシステムです。なので、事前に加盟店を調べておこう。
残念ながら、私は入手できなかった。なぜか登山当日に証明書のことを失念しており、あとから思い出してガックリしましたね。(トホホ)
【見所①】展望台スペース
天保山公園の中央には、広々とした展望台があります。展望台の高さ自体は大したことはありませんが、園内の景色を楽しめる。
また、ベンチに座って休憩したり、ちょっとしたピクニックにもってこいですね。桜並木があるので、桜シーズンでは「海+桜+観覧車」の景色が楽しめます。
そんな天保山公園の景色をダイジェストで紹介。
天保山の登頂後に、園内をゆっくり散策してみてはいかがですか。
【珍しい公園の紹介】
旅先で訪れた珍しい公園を、下記記事で紹介します。
【見所②】穏やかな海の景色
天保山公園では、海辺の景色を眺めながら散策できます。
特に大阪市消防局水上消防署が隣接しているので、消防局の船がとまっていることもあり、船好きならばテンションが上がること間違いなし。ちなみに、私は爆上がりしました。(笑)
堤防を歩きながら、安治川を航行する船を眺めて過ごしましょう。対岸の此花区桜島には、大きなホテルが見て取れます。
此花区桜島といえば、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を思い浮かべる人も多いでしょうね。位置的には、見えているホテルの北側に当たります。
こちらは、天保山と此花区桜島3丁目を結ぶ「天保山渡船場」。料金は無料ですよ。
1905年(明治38年)に大阪市が港湾振興策の一環として開設しました。
夜になると、天保山大観覧車はライトアップされ、夜景も楽しめる。また、天保山商店会が主催で、「天保山手持ち花火大会」を2009年より毎年開催しています。
【カメラに関する話】
旅先で訪れた観光スポットでは、記念撮影をして思い出を残すことが多いですね。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
【見所③】天保山パブリックアート
天保山渡船場へ向かう道中約100mの道には、モザイク壁画が並んでいます。
この壁画は、2005年に港区制80周年を記念して、「海の生き物や船」をテーマに、区内の小学校から原画募集を行なったものです。
応募作品688点から選ばれた14点の原画を元にして、多くの市民が協力して完成させました。
ぜひ見学に足を運んでみよう。
天保山公園の基本情報とアクセス
住所 | 大阪府大阪市港区築港3丁目 |
電話番号 | 06-6576-9683(大阪市港区役所 総務課総合政策) |
【アクセス】
- 大阪メトロ「大阪港駅」から徒歩約5分
天保山公園の駐車場
天保山公園には、専用駐車場はありません。
しかし周辺には、多くの有料駐車場があります。海遊館近くにある天保山駐車場を始め、タイムズや三井のリパークの駐車場がたくさん点在していますので、駐車場所をそれほど心配する必要はありません。
まとめ
天保山公園は、小さな公園ですが、ゆったり過ごせる空間が広がっています。
園内にある天保山は、「二等三角点あり」という条件付きですが、日本一低い山ですよ。気が付いていたら、いつの間にか登頂できているので、登山したとは全く感じません。
展望スペースでくつろいだり、天保山パブリックアートを見学しながら海辺を散策し、思い思いの時間を過ごしましょう。