
「一願成就」の神様として信仰を集めている兵庫県高砂市の鹿嶋神社(かしまじんじゃ)。
心を込めてお詣りをすれば、必ずその願いは叶うという。地元では、昔から「かしまさん」と呼ばれており、身近な神様として東播磨地域で絶大な人気を誇ります。
初めて参拝へ訪れると、そびえ立つチタン製の大鳥居にビックリするだろう。その他にも神社だけどお香焚きの珍しい風習が残っていたり、「ご神殿廻り」と呼ばれる願掛が面白い。
境内には、縁結びなどのパワースポットなどもあり充実しているぞ。ひときわ目を引く巨大絵馬の前で記念撮影をして、名物「かしわ餅」を頂こう。
本記事では、魅力的な鹿嶋神社の見どころを紹介します。
鹿嶋神社のご祭神とご利益

鹿嶋神社は、聖武天皇の勅願により播磨国に国分寺が創建されたタイミングで、その鎮護の神を奉祀されたのが始まりです。
1578年(天正6年)に羽柴秀吉(のちの太閤・豊臣秀吉)が神吉城を攻め込むと、この地方は大きな戦火に見舞われました。幸いなことに、神殿は無事だったそうですね。
その後、江戸時代の寛文年間(1661年~1673年)では、神社の復活が計画されました。そして、当時の姫路藩主・松平直矩(まつだいら なおのり)公により現在のご祭神で復活を遂げて今に至ります。
ご祭神は以下の通りです。
- 武甕槌命(たけみかつちのみこと)
- 経津主命(ふつぬしのみこと)
武甕槌命は雷神であり、武勇と剣の神様ですよ。戦いの神様として有名ですね。一方、経津主命は日本神話に登場する神様。刀剣の神として知られています。
ご利益には、冒頭で触れた通り「一願成就」が有名。さらに合格祈願と病気平癒のご利益で知られているぞ。その他にも「武運長久・勝利祈願・厄除け・安産祈願・縁結び」など様々なご利益があります。

参道の両脇には苔むした古い燈籠が立ち並び、凛とした空気感を醸し出している。
そんな参道を歩くと、自然に身が引き締まる思いがするだろうな。(私がそうでした。)

そして、桜シーズンには、境内に桜が咲き誇る花見スポットとして親しまれています。また、夏の緑や秋の紅葉など季節ごとに、様々な表情を変えていくのも魅力的ですね。
特に夏になると、参道には色とりどりの風車が飾られるので、吹き抜ける風によりクルクル回る光景が人気を博しています。
【周辺の見どころ】
鹿嶋神社周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
チタン製の大鳥居が凄い、神門や石鳥居も必見!

初めて鹿嶋神社へ訪れると、度肝を抜くのが大鳥居だろう。鹿嶋神社の象徴的な存在であり、高さ26m、幅35mもあるぞ。その大きさは、日本最大級ですよ。
それだけでも立派ですが、鉄骨構造の上にチタンパネルを全面に張り付けた鳥居なんて珍しすぎる。ただ珍しいだけでなく、耐久年数が1500年というのだから性能もピカ一です。
金属光沢が力強く、ずっと眺めていると古きよき伝統を残しつつも、未来への歩みを感じます。

大鳥居に近づき真下から見上げてみよう。その独特の輝きが印象的。チタンは「軽い・強い・錆びにくい」といった特徴を持つ金属として有名。
自転車やゴルフクラブ、航空機、医療器具など幅広い分野で使わているので、チタン素材を使った物を所有している人は多いだろうな。
歴代の姫路藩主から崇敬された鹿嶋神社のファーストコンタクトな場所として、相応しいと思いました。

さて、この大鳥居から1分も歩かない場所にあるのが、鹿嶋神社の神門です。鹿嶋神社の中で一番きらびやかな門ですよ。
金色に「一願成就」と書かれたこの朱塗りの鳥居の先には、本殿へ続く参道が整備されています。
参道には、名物の「かしわ餅」を売っているお店が並んでいるので立ち寄ろう。ほかほか暖かくて美味しいので、お一つ買ってみてはいかがですか。

また、参道には「武運長久」と「國威宣揚」と刻まれた石鳥居がそびえ立つ。
この2つ言葉は、戦場で幸運が長く続くことを祈り、国家の威光を示すという意味なので、戦前にできた鳥居だろうな。出征した家族(兵士)の無事な帰還を願って、参拝に訪れた人も多かったのでしょうね。
鹿嶋神社は、東播磨地域で初詣客の多さがピカ一なんだとか。今も多くの地元民に篤く信仰されています。
「ご神殿廻り」と呼ばれる願掛にチャレンジ

鹿嶋神社では、ユニークな「ご神殿廻り」という願掛の習慣が伝わっています。その言葉通りに、社殿のまわりを巡ってお祈りを続けるというもの。
作法自体は簡単明瞭ですが、数え年の年齢と同じ回数を回らなくてはならないため、年齢が高くなるにつれ、今何周まわったのか分からなくなるかも。そんなあなたに朗報です。拝殿内に用意されている竹の棒を活用すれば、速やかに問題を解決できます。

願い事を記した竹の棒(有料)を年齢の数だけ手に持ち、一周まわるたびに1本ずつ奉納箱に納めれば、回数の数え間違いがありません。
それに全て奉納し終えると、願い事が成就するといわれていますね。


ご神殿廻りの際には、よりご利益アップを図るため「擦り願い石」と「摩り(なずり)ダルマ様」をひど撫でするのも効果的。
擦り願い石の側面には、「一願成就・病気平癒・開運厄除・家内安全・商売繁盛・受験合格」の文字が刻まているので、祈願したい文字の上を優しく撫でて下さいね。
また、摩りダルマ様を撫でると、「開運招福・家内安全・商売繁盛・合格祈願」など様々なご利益を期待できる。
一周まわるのには数十秒もあればできますが、神様の御前なのでできればセカセカしない方が良いかも。ゆっくり歩くならば、2~5分ほどを目安にするといいと思います。

鹿嶋神社では、春分の日頃から5月下旬頃まで鯉のぼりを授与しています。ご神殿廻りをしていると、奉納された鯉のぼりが見られるぞ。掲揚期間は6月中旬までなんだそうな。
子供たちの健やかな成長を祈願する人にとっては、最高のシチュエーションといえますね。
必ずしもご神殿廻りをする必要はありませんが、合格祈願や家内安全など切なる願いを叶えたいのであれば、ぜひご神殿廻りにチャレンジしましょう。
【神社仏閣の紹介(その1)】
珍しい参拝方法のある神社仏閣を、下記記事で紹介します。
神社でお香焚きが残る珍しい風習

神社やお寺の中には、とてもユニークな風習が残っていたります。「郷に入っては郷に従え」という諺(ことわざ)があるように、その土地の風俗や習慣に従うのは大事なことですね。
鹿嶋神社にも独特な風習が残っているぞ。拝殿の手前にある香炉舎と灯明舎を見かけると、「なぜ神社にあるのか?」と疑問に感じる人も多いだろうな。
実は、武将が出陣に臨む際に武運長久を祈念して、甲(かぶと)に香を焚きしめて勇ましく出陣したという故事からきているものなんだとか。

ということで、拝殿で参拝を終えたらローソクとお線香を買いましょう。そして、灯明舎に火をつけて、ローソクを立てること。その際、既に並んでいるローソクから火をもらうと、手っ取り早いです。
次にその火でお線香に火を付けたら、すぐ横にある香炉舎でお線香を奉納すれば、ミッションコンプリート。
これで、よりお願いが叶うかも。お寺ではそれほど珍しくない作法ですが、神社で行うと新鮮な驚きを感じます。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
神宮遙拝所と招福の玉

茨城県鹿嶋市には、全国に約600社もある鹿嶋神社の総本社・鹿島神宮が鎮座しています。紀元前660年に創建されたとても古い神社であり、由緒と歴史の長さでは、伊勢神宮や香取神宮と肩を並べますね。
こちらの神宮遥拝所を通して、鹿島神宮へ参拝できます。拝殿から少し離れた場所に建てられているので、お見逃しなく。

この神宮遥拝所の隣には、丸い形が特徴的な「招福の玉」があります。
ひと撫ですると、人と人のご縁を結んだり、人と仕事のご縁も結んでくれるそうな。また、幸運や幸福を呼び込むご利益もあるみたい。
「祓(はら)へたまへ、清めたまへ、守りたまへ、幸(さきば)へたまへ」と三度唱えてお祈りして下さいね。

余談ですが、拝殿から神宮遥拝所へ向かう下り坂には休憩所があり、人間のようにチョコンとベンチに座る白いシカの像があるぞ。その仕草が可愛い!!
個人的には、このような演出が大好きですね。ちなみに、シカは鹿嶋神社の神使ですよ。
境内にはフォトスポットが多し

神社には写真映りのよい場所が多いですが、その中でも大きな絵馬の前は、記念撮影にピッタリです。
境内にある大きな絵馬には、その年の干支が楽しんでいる様子が描かれている。それに暖かみを感じさせる色彩がいい感じ。絵馬のイラストは、原えりさんが手がけたそうで、過去にはその原画展が加古川市内で開催されました。
また、干支とは関係なく、境内には大きな絵馬があちこちに設置されています。


カメラを片手に大きな絵馬の前で、思い思いのポーズを決めて撮影して下さいね。

ちなみに、こちらは過去の絵馬のデザインです。どれもが可愛い~~。
また、大きな絵馬以外にもフォトスポットは色々あります。

たとえば、こちらの巨大な猪目(いのめ)に注目。ハート型に窓が開けられており、フォトフレームのような感覚で撮影できるぞ。
カップルの撮影におすすめ。そもそも猪目には、魔除けや福を招く意味があるということで、神社仏閣で見かける機会がそれなりに多いです。

おっ、白く輝く立派が狛犬いるではないですか。大理石でできているなんて珍しい。
この狛犬は、台湾の奥地で切り出された白大理石の原石を基にして、彫刻家の林聡恵氏が精魂こめて作りました。
高さは約2.5m、重さは約4トンもあり、東洋では類のないものなんだそうです。狛犬の横に立って、ポーズを決めて撮影しましょう。
皇室に伝わる「碁盤の儀」

鹿嶋神社では、七五三の時期になると車祓殿に「碁盤の儀」用の碁盤と「歳太鼓(としだいこ)」が設置されます。
碁盤の儀は、皇室に伝わる古い儀式なんだとか。碁盤を世界に見立て、碁盤の上にしっかりと立ち、地面に向かって飛び降りると、碁盤の目のように「筋目正しく育つ」「独り立ちする」「勝負運の強い子供に育つ」といわれている。
飛び降りる際には「えいっ!!」と元気よく掛け声をかけてみよう。神様は、微笑みながら優しく見守ってくれると思います。
碁盤の儀は、皇室や一部の神社でしか行われないため珍しい儀式なので、機会があればぜひ参加してみてはいかがですか。

こちらは「歳太鼓」です。子供が自分の年の数だけ、太鼓を叩いて厄を追い払う儀式ですね。
太鼓を叩いて、自らの力で災いを跳ねのければ、スクスクと健康に育つと思います。
境内には鷹ノ巣山の登山口がある

鹿嶋神社の境内からは、鷹ノ巣山へ続く登山ルートがあります。
片道で約1時間ほどかかるそうなので、しっかりと準備を整えてハイキングを楽しもう。聞くところによると、頂上からは海まで見渡せる360度のパノラマビューが広がっているとのこと。
高砂市観光交流ビューローの公式サイトでは、播磨アルプス登山コース(高御位山登山マップ)にて、鹿嶋神社からのルートが紹介されているので、登山するならば確認しておきたい。
私は残念ながら時間の都合で登山できませんでしたが、またの機会の楽しみにとっておきます。
名物「かしわ餅」をご賞味あれ

参道には、かしわ餅を提供するお店が軒を連ねています。
昔から鹿嶋神社の周辺では、良質のもち米が採れるので、それを使ってかしわ餅を作って奉納していました。
「つぶあん」「こしあん」「よもぎ」「焼きもち」などバリエーションも豊富ですよ。それに、一個からでも買えるのはありがたい。
参道を歩きながら、ほかほかのかしわ餅の食べ歩きを楽しもう。
鹿嶋神社の基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県高砂市阿弥陀町地徳279番地 |
電話番号 | 079-447-4676 |
【アクセス】
- JR曽根駅から徒歩約30分
- 加古川バイパス「高砂北ランプ」から車で約7分
鹿嶋神社の駐車場
鹿嶋神社には、無料駐車場があります。(普通車 約400台)
大型バスも駐車できますが、事前連絡が必要です。
まとめ

鹿嶋神社は、奈良時代に播磨国の国分寺が創建された際、その鎮守社として創建された由緒ある神社です。「一願成就」の神様として信仰を集めており、古くから大切に守り続けてきました。
チタン製の大鳥居や「ご神殿廻り」と呼ばれる願掛、お香焚きの珍しい風習など見どころが多いので、ゆっくりと境内を見て回りましょう。
一羽一羽心を込めて折り上げた千羽鶴や奉納された絵馬を見ていると、人々の願う思いの深さを感じ取れます。
魅力的な鹿嶋神社にて、ぜひ一願成就を体感して、あなたの願いを叶えて下さいね。