
日本全国には、歴史や文化を感じさせる趣のある町並みが点在しています。岡山県内にもそのような町並みが色々ありますが、特に有名なのは倉敷市の美観地区ですね。
突如、風情ある町並みを見たくなったので、久しぶりに倉敷美観地区へ訪れることにしました。
丁度、藤シーズンの真っ只中ということもあり、美観地区に隣接する阿智神社にも足を運ぶぞ。実は、この神社には、樹齢300年以上といわれる日本一のアケボノフジこと「阿智の藤」があります。さて、どのような表情を見せてくれるか楽しみですね。
また、せっかく美観地区へ訪れるのだから、以前から興味があった「桃太郎のからくり博物館」にも足を運ばないともったいない。さぁ、カラクリよ、その謎についていざ尋常に勝負!
ということで、本記事では倉敷美観地区へ向かう日常サイクリングの様子をお届けします。
目次
庭瀬駅からスタート

陽光が降り注ぐ中、空を見上げると青空が広がっていました。自転車趣味を楽しんでいる人にとっては、まさにサイクリング日和といえるだろう。このような日は、体がウズウズして仕方がありません。
私は今、岡山市にあるJR庭瀬駅に来ています。その理由は、この駅を起点にして、倉敷美観地区へ向けてサイクリングを行なうためですね。
美観地区へ足を運ぶ前に、酒津公園へ少し寄り道していきたい。この公園には、大正時代の高梁川河川改修に伴い、建築された農業用水の取配水施設があるぞ。その見事な景観には、一見の価値があります。
以前から何回も見物に訪れてはいますが、時々見に行きたくなるほど魅力的ですよ。それでは、酒津公園へ向けてレッツゴー。


まずは駅前の妹尾吉備線(県道151号)を北上すると、庭瀬交差点へ辿り着くので左折すれば、県道162号線(旧国道2号)へ入る。そして、しばらく間道なりに進むと、倉敷市へ入ります。
旧国道2号線なので、それなりに交通量は多い。それでも現在の国道2号線と比べると全然ましかな。なぜなら国道2号の岡山市から倉敷市の区間は、中国地方最大の交通量があり、屈指の渋滞区間となっている。なので、自転車では走りたくありません。

庭瀬駅から西へ約5kmほど進むと、左手側に全国で第7位の病床数を誇る川崎医科大学付属病院が見えてきました。そして、右手側にある広場には、ドクターヘリを発見。
個人的には、一度ヘリコプターへ乗ってみたい。空から見下ろす景色を、鳥のようにじっくりと眺めたいですね。空を自由に飛び回りたいと思のは、誰もが一度は抱く夢ではないかと思います。
空への憧れに思いを馳せながら自転車のペダルを回していると、酒津公園へ辿り着きました。
酒津公園の水辺エリアを散策

酒津公園は、「水と桜」をテーマにした総合公園です。倉敷市内有数の花見スポットとして知られており、桜シーズンにはたくさんの花見客でにぎわいます。
四季折々の季節を通じて市民に親しまれている憩いの場。園内には、軟式野球場があり、夏になるとプールが開放されますね。
また、高梁川から水を引いた貯水池と用水路があり、本日のお目当てがこれですよ。ということで、早速見物としゃれ込みましょう。



こちらの「高梁川東西用水取配水施設」は、1924年(大正13年)に完成。花崗岩を飾りにあしらった端麗な構造が見事なり。酒津取水樋門・北配水樋門・南配水樋門の3つの樋門(ひもん)から構成されています。
特に南配水樋門では、総計15個のゲートが並び、その景観は見応え抜群だ。実際、現在も現役として活用されている国内最大級の樋門ですね。2003年には土木遺産に認定され、2016年に国の重要文化財に指定されました。
このような美しい建築物を見ると、写真を撮りたくてしょうがなくなる。配水池と用水路が織りなすコントラストがいい感じ。それに加え、「静」と「動」との接点になっているので、一種の趣きを感じます。


しばらく撮影会を楽しんだ後は、配水樋門の向こう側へ行ってみる。そこには、高梁川東西用水組合事務所の建物があります。建物の大正レトロな外観は、周囲の景色の中に溶け込んでいて、全く違和感を感じないかな。
いずれは改築することもあると思いますが、今のままの外観を保って欲しいですね。


配水池周辺に整備された遊歩道を歩きながら、広々とした池の景色を楽しみます。
とある研究によれば、水面を眺めていると血圧や心拍数が低下するので、リラックス効果が得られるという。水が持つ力というのは、人の心を落ち着かせるのに適しているかな。なので、個人的には自転車で川や湖、海へ見に行く機会が多いですね。
しばらくの間、園内を散策すると、酒津公園をあとにして、よいよ倉敷美観地区へ向けて自転車を走らせました。
【公園の紹介】
旅先で訪れた魅力的な公園を、下記記事で紹介します。
倉敷美観地区へ向かい阿智神社へ参拝

酒津公園から倉敷美観地までの距離は約3kmほどなので、ロードバイクであれば、あっという間に辿り着くほどの短い距離ですね。
急ぐ必要は全然ないので、ゆっくりと進みます。酒津公園から南下しながら進路を東寄りへ進む。小川沿いの狭い路地を突き進んでいると、老松歩道橋が見えてきた。
その後、酒津大島老松線(倉敷市道3012号)を道なりに東へ進むと白壁通りに入ります。そのまま道なりに進めば、美観地区の南側の出入り口へ辿り着きますが今回はパス。
あえて倉敷中央通りにある美観地区入口交差点前へ向かうことに。というのは、美観地区の北側にある阿智神社へ参拝したかったからですね。


標高約40mの鶴形山山頂には、歴史と由緒ある阿智神社が鎮座しています。冒頭でも触れた通り、阿知の藤が楽しみ。
阿知の藤以外にも長寿のご利益が期待できる参道や、磐座や磐境が並ぶ古代庭園など見どころが多いのも嬉しいですね。

阿智神社の東参道へ辿り着くと、180段の石段を上る。この参道は「米寿坂・還暦坂・厄除坂」で構成されていて、パワースポットなんだとか。これは見逃せないでしょう。

石段の途中で脇道にそれると、奥に大きな金網小屋があるではないですか。以前にも阿智神社へ参拝にきたことはありますが、小屋の存在は記憶にありません。どうやら見逃していたみたい。
ということで、気になったので近づいてみると・・・

2羽の烏骨鶏(ウコッケイ)を発見。烏骨鶏は、ニワトリの一種であり、東アジアが原産なんだそうな。日本では古くから飼われているので、知っている人も多いだろうな。
私が訪れた時は、ジッとしておとなしい印象を受けましたが、きっと早朝には「コケコッコー」と元気に鳴いているのでしょう。


石段を上り終えると、拝殿とご対面。毎年12月の第2日曜日には、「注連縄(しめなわ)奉張祭」が執り行なわれて、拝殿などの注連縄が張り替えられるという。
長さ7m、直径は最も深いところで30cmもある立派なものだ。近づいて下から見上げると、迫力を感じるぞ。

参拝を終えると、お目当ての「阿知の藤」を見物にレッツゴー。本殿北側には、見事な藤棚があり、淡紅色の花びらかそよ風に揺れていました。これは、実に風流だ。あまりの素晴らしさに目を奪われましたね。
この藤は、アケボノフジという藤の中でも珍しい品種だそうで、その中では日本一の大きさを誇ります。樹齢は300年~500年なんだそうな。美しく咲き誇る藤に夢中になると、いつの間にかカメラを取り出し撮影会に。
いやはや美しい藤には、人を感動させる力がありますね。(藤だけでなく、花全般にいえるかも)その後、境内を一通り見て回ると、美観地区へ向かいました。
阿智神社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
風情ある美観地区を歩き、桃太郎のからくり博物館を見学

倉敷美観地区は、江戸時代から残る白壁の蔵屋敷と洋風建築が調和した美しい景観が魅力的ですね。特に倉敷川沿いには、そのような景観に風情ある柳並木が加わり、より一層情緒ある景観を楽しめます。
また、大原美術館や倉敷アイビースクエアといった文化施設を始め、町家を改装したカフェや倉敷デニムなどの倉敷ブランドのお店が軒を並べており、1日中散策していても楽しめるエリアですよ。
年間300万人以上の観光客が訪れるため、いつきても賑わっているかな。本日も多くの観光客が訪れており、皆さん楽しそうに過ごしていたのが印象的でした。




メインの通りから路地へ入り、倉敷アイビースクエア側の一本裏通りを歩いていると、とある建物の前で大きな桃太郎の人形を発見。
そうです、ここが「桃太郎のからくり博物館」ですね。この博物館では、視覚の錯覚を利用したトリックアートや、鬼ヶ島を再現したお化け屋敷など体験型のアトラクションを楽しめる。ということで、早速中へ入りました。

こちらは、「鬼につまみ」というカラクリ。花の飾りの中心に小さな可愛らしい鬼が入っているので、指でつまんでみると・・・ぜんぜんつかめない。何度、挑戦しても結果は同じだ。
見るからにそこにきちんと存在しているのだけど、触れないとはこれいかに。そのような不思議な体験にビックリするぞ。写真では伝わりにくいと思うので、実際に体験しないと分からないと思います。

こちらの「鬼たいじ丸木橋」のカラクリは、丸木橋をAの場所へつなぐか、Bの場所へつなぐかで鬼の数が変わってくるだまし絵だ。こういうのは「どうしてそうなるの?」と思う人も少なくないだろうな。
なので、自分で謎が解けた時は自慢したくなるかも。えっ、私が解けたかですって。それは秘密です。(笑)
このようなカラクリ仕掛けが館内には、15個もありました。一つ一つにチャレンジして、楽しい時間を過ごすと、笑みを浮かべたまま館内を立ち去った次第です。
桃太郎のからくり博物館については、下記関連記事でくわしく紹介します。
庭瀬駅へ向かう道中にて

さて、倉敷美観地区を後にして庭瀬駅へ戻りましょう。真っ直ぐ帰路についても良かったのですが、少しだけ寄り道していきます。
というのは、以前Googleマップで美観地区を見ていた時に、少し離れたところにある「川子岩(ごうごいわ)」のことを知り、気にかけていたのを思い出したからです。
調べてみると、美観地区から距離は約5kmほど。庭瀬駅へ向かうには、少しばかり遠回りになるけど時間も大丈夫。こうなると、もう行くしかないでしょ。

倉敷玉野線(県道22号)を南下して、途中から旧天城街道へ入ります。その後、岡山学院大学の裏手にある道を進み六間川へ向かう頃には、のどかな景色が広がっていました。
住宅が立ち並んでいる中、近くには六間川へ流れる水路が引いてあり、小さな水門が見て取れます。そちらへ向かって歩いていくと、奥にある六間川には、少しばかり大きな岩がそびえ立っているではないですか。

その岩が川子岩ですね。この岩には、河童が多く棲みついていたという伝承があるみたい。六間川でこのような巨岩があるのは、ここだけなんだそうな。
どこにでもありそうな雰囲気の巨石ですが、そのような言われを知ると、とてもミステリアスな岩だと思うから不思議ですね。
川岸から川子岩を横から見ると、細長いのが良く分かる。河童たちは、岩の上に座りながら談笑していたのかも知れません。

ちなみにこの川子岩は、ゴーゴー岩とも呼ばれています。「ゴーゴ」とは河童のこと。
岡山県津山市では、河童を方言で「こんご」といいますね。夏になると、津山納涼ごんごまつりが開催されるし、市内循環バスには「ごんごバス」という名称があるほど河童に縁がある地方ですよ。
ゴーゴー岩のように、何かしら言われがあるものというのは、興味深く感じるので、つい足を運んでしまう。これからも色々と発掘していきたいです。

その後、生活道路を通過して藤戸早島線(県道165号)へ合流し、道なりに北上すると早島町へ入りました。
ここまでくれば、ゴールの庭瀬駅までもう10kmもないだろう。ということで、少し早いですがペースを落としてクールダウンに移行。ゆっくりとペダルを回しながら、鼻歌交じりに進みます。


道中でレンゲ畑を見かけるとつい見物したくなりませんか。一面に広がるピンク色の可愛い花を見ているだけで、心が安らぎますね。
その誘惑には抵抗できないぞ。なので、自転車をとめてしばらくの間、レンゲを見て過ごしていたのは言うまでもありません。
その後、庭瀬駅へ到着すると、帰路へついた次第です。
まとめ

本日は1日を通して良い天気だったため、サイクリング日和となりました。
酒津公園では、荘重な外観が特徴的な高梁川東西用水取配水施設を眺めたり、池の畔を散策しながらのんびりと過ごせましたね。
そして、倉敷美観地区へ辿り着くと、白壁の蔵屋敷やなまこ壁、柳並木など趣ある景観を堪能。久しぶりに訪れましたが、いつ来ても素晴らしい景観に拍手喝采を贈りたい。
また、阿智神社では見事に咲き誇る「阿智の藤」の魅力に触れたり、桃太郎のからくり博物館では、面白いカラクリ仕掛けに笑顔が終始止まりませんでした。
また美観地区へ来たくなったら足を運び、情緒ある町並みをゆっくりと歩いて過ごしたいと思います。


