島根県大田市の観光地として、世界遺産の石見銀山(いわみぎんざん)で有名ですね。
今回の旅では、その大田市から東へ進み、縁結びのパワースポットとして全国にその名を知られている出雲大社へ向かいます。
旅の前半は主に「しおさいロード」を走り、後半には「くにびき海岸道路」を走るコース。
これらのコースを走りながら、その道中で出会った掛戸松島や立神岩、キララビーチ、稲佐の浜など沢山の見所を堪能しました。
本記事では、大田市から出雲市まで日本海沿いをサイクリングした旅の様子をお届けします。
しおさいロード・くにびき海岸道路とは
しおさいロードとは、島根県を通過する山陰地方の大動脈「国道9号」のとある区間を表す別称です。
その区間は、西は大田市温泉津町の西端から東は出雲市にある神西湖の辺りまであり、全長約53kmもあります。
特に田儀漁港周辺からキララビーチまでの区間は、日本海の絶景を眺めながらサイクリングやドライブを楽しめるおすすめスポット。
まさにしおさいロードの名に恥じない道路ですね。
くにびき海岸道路は、道の駅「キララ多岐」から出雲市大社町の国道431号線を結ぶ、約12kmの道路です。
出雲平野の西端を南北に走るコースであり、正式名称は「簸川(ひかわ)西農免農道」。
農道と名前が付いていますが、南区間はシーサイドロードとなっており、沢山の風車が織りなす景色が素晴らしい。
また、北区間では、出雲国風土記の冒頭を飾る「国引き神話」の舞台「薗(その)の長浜」沿いを走ります。
【絶景ロードの紹介】
しおさいロードのように、海の絶景を堪能できる道路をサイクリングしていると、自然にテンションが上がりますね。そんな絶景ロードを下記記事で紹介します。
島根県を巡る旅、日本海沿岸をサイクリング
旅のスタートは大田市駅から
今回の旅のスタートは、JR大田市駅から始めます。
前日既に大田市入りしてはいましたが、前日はサイクリングしながら、石見銀山など大田市観光に時間をあてていました。
JR大田市駅からはしばらくの間、線路沿いの道を走り、日本海を目指した次第です。
本日の旅の目的地は、縁結びのパワースポットとして全国に知られている出雲大社。
その道中にどんな発見や出会いがあるのか楽しみですね。
それでは、島根県の自転車旅を開始しましょう。
【石見銀山の観光】
石見銀山とその周辺の観光スポットを下記記事で紹介します。
石東の名勝「掛戸松島」を見よう
県道285号を北上していると、沿岸に「久手町観光名所 掛戸」の案内板を発見。
何だか気になりますね。案内板が指示する方向へ進んでみると、そこには日本海にそびえ立つ一本の石塔がありました。
この石塔は「掛戸松島」と呼ばれ、大田市指定名勝になっています。
1931年(昭和6年)に日本画家の竹田霞村(たけだかそん)が描いて以来、世間に広まったそう。
そのため、「石東の名所」と呼ばれたりしているという。
石塔の頂上に見える一本松がチャームポイントですね。
高さ約20mもある石塔が、日本海の波間にそびえ立つ姿は、まさに名勝と呼ぶに相応しい景観です。
聞くところによると、夏の夕景では、夕日と一緒に石塔を見られるそうで、日によっては石塔と夕日が重なる日もあるとか。
機会があれば是非見てみたい。
また、案内板には、今は海水の浸食によって人工の跡はほとんど分からなくなり、海中に奇岩怪岩が散乱していると書かれていました。
つまり、もともと自然に出来た物ではなかったという事でしょう。
後日調べてみると、大田市にはかつて波根湖と言う湖がありましたが、今は干拓され全面的に陸化しています。
波根湖があった当時は、増水期になるとたびたび水が氾濫していたそうで、鎌倉時代に要害山の切り割り工事を行い、湖水を日本海へ疎水していたそうです。
この石塔は、その当時の切り通し工事の記念碑に当たる物なのでしょう。
まだら模様の地層「立神岩」に驚く
掛戸松島を後にして、東へ進んでいると、石州瓦の住宅が建ち並んでいました。
この石州瓦の景観を見ると、山陰地方を旅しているんだと強く思いますね。
町中を通り、波根東漁港の方へ行ってみましょう。
ひなびた感じのする漁港の雰囲気に安らぎを覚え、少し休憩することにした次第です。
堤防の上に登ってみると、そこには驚くべき景観にビックリ!
迫力満点のまだら模様の岩が見て取れました。
この岩の名前は、立神岩(たてがみいわ)。
日本遺産に選ばれており、日本列島が形成されつつあった1,500~2,000万年前に形成せれたと推定されています。
高さ約80mの切り立つ海食崖の壁面には、白のしま模様の地層が複数に重なっており、そのインパクトは見る物の目を釘付けにしますね。
白い地層は、火山灰と軽石が堆積した凝灰岩であり、黒い地層は、火山礫からなる礫岩層です。
このことから、近くで火山の噴火が繰り返された歴史があったのでしょう。
堤防の上に座り、その圧倒的な景観をしばらくの間ずっと眺めていました。
【自然に作られた巨大なもの】
立神岩のような自然に作られた巨大なものを見てしまうと、崇敬せずにいられないかも知れません。旅先で出会った思わず崇敬してしまうものを紹介します。
手引ヶ浦台場公園の砲台
立神岩が見られた波根東漁港を後にし、国道9号へ合流。よいよ、しおさいロードを走ります。
田儀漁港当たりから日本海の絶景を横目に眺めながら、走っていると癒されますね。道中には、海際に東屋が建っていたりして絶好の休憩ポイントを目撃しました。
先ほど波根東漁港で休憩したばかりなので、スルーしましたが、しおさいロードは名前の通り、素晴らしい眺めが期待できますね。
しばらく走っていると、手引ヶ浦台場公園へ到着。
この公園には、大砲が設置されていました。
海に向けられた大砲は、復元された物ですが、幕末の歴史遺産で貴重なもの。
幕末の頃、松江藩は外国船に備えて海辺の用地に「唐船番」という兵団を置いて監視していたそうです。
1800年(寛政12年)に出雲国と石見国の国境に位置する田儀浦(今の田儀港)に唐船番が設けられたという。
その際、田儀川河口の2ヶ所に砲台(台場)を築き、大砲を3門配備しました。
時代背景を考えると、大砲が配備されるのは仕方がないでしょう。
大砲だけでなく、この公園からは、日本海の眺望が大変素晴らしい。
公園内には、東屋と海岸へ通じる遊歩道が整備されていますので、散策するのも楽しそう。
尚、東屋内にも大砲が設置されていました。
出雲神話の舞台となった美しい浜を眺めながら、思い思いの時間を過ごしてみましょう。
【公園の紹介】
公園は誰しもがゆったり過ごせる公共の庭園です。旅の道中では、良く公園へ訪れるので下記記事で紹介します。
キララビーチと道の駅
しおさいロード(国道9号)は、それなりに車の交通量が多いので注意が必要です。
東へ向けてひたすら国道9号を走っていると、道の駅の案内板を発見。
立ち寄らない理由がありません。(笑)
道の駅「キララ多伎」は、国道9号沿いにあり、比較的大きな道の駅。
建屋の外観はゴージャスで、一目で只物では無いと思えるもの。
私が訪れた日は、多くの人が訪れており、大変賑わっていました。
この道の駅では、食事処やパン屋、休憩室はもとより、ショッピングや温泉もありますね。
建屋の裏側には、ベンチが並んでおり、目の前の日本海を堪能できます。
また、コバルトブルーに輝くキララビーチが広がっており、夏は海水浴もできるという。
海は、家族連れにも楽しんで頂けるよう遠浅であり、土日にはライフセーバーがいます。
「日本の夕陽百選」に選ばれている日本海の絶景スポットであり、道の駅を拠点にして、一日中楽しめますよ。
建屋の前には、島根県の観光キャラクター「しまねっこ」の別荘もありました。
また、「KIRARA」文字のオブジェがあり、サイクリストならば愛車(自転車)と共に記念撮影したくなるのは仕方がありません。(笑)
更にこちらの丸いオブジェは、優しい心の持ち主が見れば、三角帽子の小人トントゥが見えるという。
トントゥは、北欧で信じられている自然に宿る精霊。
もし見つけることが出来たならば、きっと良い事があるかも知れません。
風車の織りなす景色と園の長浜
道の駅「キララ多伎」からは国道9号ではなく、海岸沿いの「くにびき海岸道路」を走りました。
少し走ると、目の前には風車の群れが見えてきたのです。
鳥取県の大山町で海岸線沿いを走った時にも沢山の風車を見かけましたが、こちらの方は単位面積当たりの風車の数が多すぎ。
「風車の町として観光名所にしても良いのでは」と思ってしまう程です。
また、太陽光パネルも設置されており、この辺りはクリーンエネルギーの活用に積極的なのでしょうか。
そんな風車が織りなす景色と日本海を眺めながら、出雲大社へ向けて自転車のペダルを回し続けていました。
出雲市を流れる神戸川河口から差海川河口までの約8kmには、島根県下で最大の砂浜砂丘が発達しています。
「出雲国風土記」の国引きの神話の舞台として知られており、国引き時に使用した網が海岸になった伝説が伝わっているという。
本当にスケールの大きな話ですね。
国引きの網に見立てられた砂浜こそが、「園(その)の長浜」であり、夕日の絶景エリアとして多くの人に親しまれています。
園の長浜へ向かってみると、浜辺にはゴミが散見されており、少し残念。
海や川に捨てられたゴミが流れて、最終的に海岸へ辿り着く。
海岸のゴミ問題は、どこも同じなので対処が大変そう。
人間の身勝手で美しい自然が損なうのは、とても悲しいですね。
園の長浜を後にして神戸川を渡るため、くにびき海岸大橋を渡っていると、不思議なモニュメントを発見。
この橋の中央部にあったモニュメントは、国引き神話の網をイメージしたものだそうです。
しかし、私には大きな角にしか見えなかったですね。(笑)
橋のシンボルとしては、存在感がありますので、これはこれで有りなのではないでしょうか。
神様が集まる「稲佐の浜」の弁天島
出雲大社の西側には、神無月(旧暦の10月)に八百万の神様が集まるパワースポットとして有名な「稲佐の浜(いなさのはま)」があります。
園の長浜の次に向かうのは、この稲佐の浜ですね。
この浜も有名な夕日スポット。
また、「日が沈む聖地出雲」の構成文化財の一つとして、日本遺産に選ばれているという。
更に日本のなぎさ100選にも選ばれており、神様だけでなく、多くの人々が訪れる景勝地。
この浜へ足を運ぶと、まず最初に目に付くのは、砂の上に浮かぶ巨大な岩でしょう。
この岩は「弁天島」であり、かつては、海に浮かんでいました。
潮流の変化や川の環境の変化により、島の周りに砂が埋まってしまい、今では陸続きになったそうです。
弁天島には、沖御前神社(おきのごぜんじんじゃ)が鎮座していますので、パワーを授かりに参拝してみませんか。
尚、稲佐の浜について下記関連記事で詳しく紹介します。
旅のゴール、出雲大社へお詣り
稲佐の浜から東へ約1.5km離れた所に出雲大社の正門がありました。
出雲大社と言えば縁結びのパワースポットとして、日本全国にその名を轟かせているので、知らない人は少ないでしょう。
この出雲大社が今回の旅のゴール。
出雲大社へ参拝して、日頃の感謝を伝えパワーを授かりましょう。
また、境内にいるウサギの像を探すのも楽しいですよ。
2022年8月時点では、ウサギの像は61羽あるという。
表情や仕草が可愛らしいウサギの像を見ていると、癒されました。
尚、出雲大社については、下記関連記事で詳しく紹介します。
まとめ
今回の旅は、島根県大田市の大田市駅からスタートして、しおさいロード・くにびき海岸道路を走りながら出雲市の出雲大社を目指しました。
その道中では、以下の絶景・観光スポットへ立ち寄り、貴重な体験をした次第です。
- 掛戸松島
- 立神岩
- 手引ヶ浦台場公園
- 道の駅「キララ多伎」
- 園の長浜
- 稲佐の浜
- 出雲大社
その他にも風車が織りなす景色や日本海の絶景を堪能し、満足のいく旅でした。
もしあなたが島根県を旅する機会がありましたら、本記事を参考にして頂けたら幸いです。