近江商人で栄えた町「近江八幡」は、水郷として知られており、白壁や土蔵、旧家が立ち並ぶ情景を思い浮かべる方も多いでしょう。
近江八幡には、豊臣家の野望とともに廃城となってしまった八幡山城があることをご存じですか。その城跡には、城主であった悲運の武将「豊臣秀次」の菩提寺があります。
今では、八幡山ロープウェーが整備されており、登山しなくても登城が簡単です。城跡を散策しながら、西の丸や北の丸などで、眼下に広がる琵琶湖や近江八幡の町並みを堪能しましょう。
本記事では、絶景スポットと恋人の聖地になっている、八幡山城跡の見どころを紹介します。
八幡山の山頂に位置する「八幡山城跡」とは
八幡山城跡は、滋賀県近江八幡市に位置し、標高283mの鶴翼山(通称:八幡山)の南半分に築城されていた山城です。
1585年に豊臣秀吉の甥である豊臣秀次が築城しました。山頂部には、本丸を設け、二の丸、西の丸などが配置された総石垣造りの一大要塞だったと言われています。
麓には、八幡山ロープウェーが整備されており、山頂駅まで約4分で移動できますね。
こちらが、八幡山城跡のマップです。
マップを見て分かるように、それほど広さはないため、一周約30~60分あれば見て回れます。
散策ルートは舗装されており、比較的歩きやすいのはGood。けれど、一部未舗装の道もあるので、運動靴やスニーカーなど歩きやすい靴と服装で訪れるのが無難ですね。
また、路上にある木々に覆われた石垣の遺構は見物ですよ。一番の見所は、何と言っても山頂からの景色。四季折々の琵琶湖、西の湖、旧城下町(近江八幡市街)などが見渡せる大パノラマは必見です。(くわしくは後述します。)
1595年に廃城となり、今は石垣を残すのみですが、本丸跡には、秀次の菩提寺である村雲御所瑞龍寺(むらくもごしょずいりゅうじ)が京都より移築されています。
2017年(平成29年)4月に「続日本100名城」に選定されました。
【周辺の見所】
八幡山城跡の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
八幡山ロープウェーへ乗って登城
JR近江八幡駅からバスで約13分ほどで、八幡山ロープウェー乗り場へ辿り着きます。
ロープウェイの運行は、15分間隔なので、待ち時間が短いのは嬉しい限りですね。八幡山の歴史をスピーカーでききながら、ロープウェイから眼下を見下ろすと、近江八幡市街が一望できますよ。
高度が上がるほど、近江八幡の町並みが、碁盤の目のように整備されていることが良く分かる。
かつて近江八幡の城下町には、楽市楽座が敷かれており、近江商人が発祥したのは歴史が知るところ。八幡山城跡の観光と合わせて、町並みを見て回るのをお勧めします。
八幡山ロープウェー乗り場の隣りには、日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)が鎮座しており、その本殿の傍からは、登山道(登り約40分ほど)が整備されていますよ。
ハイキングを楽しみたい方は、ロープウェイを使わず登山するのが面白いかも。観光目的ならば、俄然ロープウェイが便利です。
また、待合いスペースには、近江八幡名産の赤こんにゃくや近江牛肉味噌、大人気の肉巻きドック、うむべ御飴などが販売されていますね。
八幡山ロープウェー
- 住所 滋賀県近江八幡市宮内町257
- 電話番号 0748-32-0303
- 営業時間 9:00~15分間隔で運転(上り最終16:30、下り最終17:00)
- 往復料金 大人(中学生以上)890円、子供(6歳以上)450円
- 所要時間 約4分
【見所①】琵琶湖や近江八幡の町並みを見渡せる抜群の眺望
八幡山城跡は、本丸を囲むように散策路が整備されており、概ね緩やかな道が続きます。東西南北全ての方向に眺望のよい山城なので、歩いていて楽しいですね。
主な絶景ポイントは、「西の丸」「北の丸」「出丸」の3つですよ。特に西の丸からの眺めは最高!絶対にお見逃しなく。
山頂駅から約5分ほど歩けば、西の丸へ辿り着きます。ここからは、琵琶湖と比良山系の山々を見渡せる。かつて秀次も見たと思われる絶景は、息を飲むほど素晴らしい。青空の下、広大な琵琶湖がよく映えますよ。
そのような景色を眺めていると、自然にカメラのシャッターを押してばかりいました。(笑)
ちなみに私のカメラは高級コンテジで、ソニーのRX100M7を愛用。コンパクトサイズで画質良し、ズーム機能良しの優れもの、くわしくは、ここをクリックして開く記事でレビューしています。
北の丸は、城跡の北側に突き出た部分であり、主に八幡山城跡の東側が見通せる。眼下には、西の湖が広がり、その奥にあるのが安土桃山城。残念ながら安土桃山城も城跡なので、ほぼ目視できません。
山頂駅から北の丸へ向かう散策路には、一部未舗装で傾斜があるところもあるので、注意して歩きましょう。
西の丸の先には、出丸がありますよ。この出丸では、270度の景色を楽しめる。特に眼下には、近江八幡の城下町が広がっており、ロープウェイから眺めた景色が見られますね。
眼下の八幡山城の城下町は、築城3年前に落城した安土城から移住させて形成したという。その城下町では、近江商人の屋敷が連なり、当時の面影を残しています。
聞くところによると、夕日で赤く染まる夕暮れ時の町並みは、特に風情を感じるそうですよ。機会があれば是非見てみたいですね。
【城跡の紹介】
旅先で訪れた城跡を、下記記事で紹介します。
【見所②】城跡にある珍しい「恋人の聖地」
全国のプロポーズにふさわしいロマンチックな場所として、2014年に八幡山ロープウェーは「恋人の聖地」に認定されました。
そのため、八幡城跡には、山頂展望台前に恋人の聖地のモニュメントが設置されています。また、モニュメントの直ぐ近くには、LOVEオブジェもあり、撮影スポットになっている。
個人的な意見だけど、どうせなら、これらのモニュメントやオブジェは、広々として景色がすこぶる良い「西の丸」に設置した方が良いと思う。
また、展望台の2階には、ハート型のモニュメントやハート形の絵馬がかかってますよ。
尚、1人でこのハートマークの付いたベンチに座るのは勇気がいるかも。(笑)
展望台前以外にも、北の丸には、ハート型のモニュメントがありますね。
それにしても城跡が恋人の聖地になっているのは珍しい。私が以前訪れた、天空の城で有名な竹田城跡(兵庫県)も恋人の聖地になっている。
どちらも山城で絶景スポットなので、確かにロマンチックな場所にふさわしいかな。選ばれるのも納得です。
【恋人の聖地の紹介】
旅先で訪れた恋人の聖地を、下記記事で紹介します。
【見所③】豊臣秀次の菩提寺「村雲御所瑞龍寺」
本丸跡に向かって、ゆるやかな階段と少し急な坂道を歩いていると、目の前には立派な門が見えてきます。
堂々たる佇まいをみせる山門は、左右に石垣を控え、門をくぐり抜くと、本丸に向けて上り階段が続いている。この階段には「戦国の階段」という名前がついてますよ。
何気にカッコいいかも。また、曲がりのある造りが、防備を感じさせる。
階段を上りきれば、村雲御所瑞龍寺(むらくもごしょずいりゅうじ)という日蓮宗唯一の門跡寺院が見えてきます。
先ほども触れましたが、悲運の死を遂げた城主・豊臣秀次の菩提寺ですね。秀次の生母である「瑞龍院日秀尼」が、もともと京都の村雲に創建しましたが、1961年(昭和36年)に現在地へ移築されました。
屋根瓦や山門などには、高い格式を感じられる「菊花御紋」が許されていることから、天皇家と関わりがあるのは一目瞭然。
これは何も不思議な話ではなく、瑞龍寺は門跡なので、一般の僧侶とは違い、皇族・貴族が住職をつとめる寺院ですよ。なので、本堂内部には、天皇家ゆかりの品々も展示されています。
境内はそれほど広くはありませんが、眼下はよい眺めです。
また、本堂前には、カメ吉くんがいますよ。
是非エサ代をご供養して、延命成就のご利益を授かってみては如何でしょうか。
【神社仏閣の紹介】
旅先で訪れた様々な神社仏閣を、下記記事で紹介します。
八幡山城の城主・豊臣秀次は豊臣家の家督相続に翻弄された
秀次は悲運の武将であり、豊臣家の家督相続に翻弄された一生を過ごしました。
秀次は、1568年に農民である木下弥助と、秀吉の姉「とも」との間に生まれたそうです。彼は賤ヶ岳の戦いや小牧・長久手の戦いなどで活躍を重ね、八幡山城主にまで上り詰めます。
その後、秀吉の側室である淀殿が鶴松を産み、わずか3歳で亡くなると、後継者を失った秀吉は、秀次を養子に向かい入れ、関白に就任させました。
ここまで知ると、順風満帆な人生に思えますが、1593年、淀殿が豊臣秀頼を産むことで事態が一変します。
秀吉は、やはり実の子供を後継者にしたいと考え、次第に秀次の存在が疎ましくなることに。そして、秀次に謀反の罪を着せて、自害に追いこんだのです。最後は、高野山に蟄居ののちに切腹させられました。(享年28歳)
全くとんでもない話ですね。今の時代でも権力者の家督相続は、色々難しいのは、想像に難くないですが、なにも命まで取ることはなかったのではないでしょうか。
秀次の在城は、たった5年です。死後に八幡山城は破壊され、築城から10年足らずで廃城となり、今に至ります。
八幡山城跡の基本情報とアクセス
住所 | 滋賀県近江八幡市宮内町ほか |
電話番号 | 0748-33-6061(近江八幡駅北口観光案内所) |
【アクセス(八幡山ロープウェー)】
- JR近江八幡駅から近江バス長命寺行きに乗って、「八幡堀(大杉町)八幡山ロープウェー口」へ下車後、徒歩約5分
- 名神高速道路「竜王IC」から車で約30分
八幡山ロープウェーの駐車場
八幡山ロープウェーには、無料駐車場があります。(車 約15台)
八幡山ロープウェーの隣りには、日牟禮八幡宮があるので、そこの無料駐車場も利用できますね。けれど、催事時期やGW、紅葉シーズンにはとても混雑します。そのため、他の駐車場も検討しておくのがおすすめです。
まとめ
八幡山城跡には、石垣しか残されていませんが、山頂に築かれた山城からの眺めは抜群です。
青空の下、琵琶湖や比良山系の山々、西の湖、近江八幡の城下町が見渡せます。その城下町には、城の外堀である八幡堀が物資を運ぶ水郷の役割とともに、当時の面影を今に残していますね。
戦国の世に翻弄された悲運の城主「豊臣秀次」が築城した八幡山城跡と共に、風情ある近江八幡の町並みへ足を運び、歴史ロマンを感じてみては如何でしょうか。