
岡山県井原市には「嫁いらず観音院(よめいらずかんのんいん)」という、インパクト抜群な名前のお寺があります。
名前からして、嫁不要と勘違いする人がいても不思議ではありませんが、全然意味が違っており、参拝すれば嫁の手を煩わさずに健康に生涯を過ごせるというものですよ。
初めて訪れた参拝者は、一つの石から切り出された国内最大級の高さを誇る「聖観音菩薩」に度肝を抜かれるだろう。また、プチ登山にて西国三十三観音霊場のミニ巡礼を楽しめるのも魅力的。
さらに万病に効くといわれる「観音霊水」もお見逃しなく。その他には、身につける肌着や下着に対して、仏様のご加護を得られるのは、ありがたいですね。
本記事では、西国三十三観音霊場巡りによるプチ登山を中心に「嫁いらず観音院」の見どころを紹介します。
嫁いらず観音院とは

嫁いらず観音院は、岡山県井原市大江町に位置する真言宗単立の寺院です。
正式名称は「樋の尻山嫁いらず観音院(ひのしりやまよめいらずかんのんいん)」という。奈良時代の高層・行基によって、737年(天平9年)に創立しました。行基が自作した十一面観音をご本尊として安置しています。
毎月第3日曜には月例祭が開かれ多くの参拝者が訪れる。さらに青空市「観音マルシェ」が開催されるのは嬉しいですね。観音マルシェでは、採れたての野菜や果物を始め、軽食やスイーツなどを楽しめます。


また、春と秋の彼岸の仲日(春分の日・秋分の日)では、大祭が開かれるという。大祭では中四国地方だけでなく、全国から集まった多くの参拝者で賑わうそうですよ。
現在では、瀬戸内海や山上や山あいに点在し、変化に富んだ霊場として知られる瀬戸内三十三観音霊場の第21番札所になっています。
国内で最大級の高さを誇る「聖観音菩薩」

嫁いらず観音院の入口からは、正面左手側にとても大きな観音像と、右手側に本堂が見えます。
この観音像は、ご本尊・十一面観音像の元の姿とされる「聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)」ですよ。
1999年(平成11年)1月に開山1260周年と井原鉄道井原線開業を記念して造られました。本体は高さ7.7m、重さ38tもあり、これは国内最大級の石仏となります。
これだけでも凄いのですが、土台を含めると高さ約12m、重さ88tとなり、よりスケールアップ。だいたいマンション4階ほどの高さぐらいなので、これほどの観音様は他に類を見ないのではないだろうか。

また、見上げてみると、優しいお顔がいい感じ。包み込んでくれているような温かな安心感を感じます。
そもそも聖観世音菩薩は、人々の苦しみを救う慈悲深い仏様として超有名。一般的には観音様と呼ばれており、親しまれている存在だ。
地蔵菩薩と並んで古くから絶大な信仰を集めているぞ。なので、様々なお寺で一度は見たことがある人は多いと思います。

ご真言は「おん あろりきゃ そわか」ですよ。心の中でご真言を唱えながら参拝しよう。ご真言を唱えると、災いを取り除いてくれるそうな。それに単純に集中しやすいのがいいですね。
ちなみにご真言の一部の「あろりきゃ」という言葉には、泥の中でも美しい蓮の花が咲くように、人々の心を清浄にするという意味があります。


おっ、これは観音様が描かれた絵馬ではないですか。よく神社やお寺で見かける五角形の絵馬以外にも、ハート型の絵馬がある。いかにも恋愛成就に期待できそう。
そういえば「観・世・音」とそれぞれの漢字に区切れば、「世の音を観る」と読めますね。つまり、私たちの声や願い事を良く見抜いているのだと思うので、絵馬へ心からの願い事を記し、奉納してみてはいかがですか。
西国三十三観音霊場巡りでプチ登山

嫁いらず観音院では、わずか15~20分程度で西国三十三観音霊場のミニ巡礼を楽しめます。
そもそも西国三十三観音霊場とは、奈良・京都・兵庫・和歌山・岐阜など2府5県に点在する33件のお寺を巡る旅ですね。そして、日本最古の観音巡礼として有名ですよ。
ここでは、樋の尻山(ひのしりやま)の麓から頂上まで登り、グルリと一周すれば二十九の霊場を巡ったことになる。道中には奥の院があり、頂上は休憩所になっています。
残り4つの霊場は、樋の尻山を囲む4つの山に各1つずつあるので、時間があれば立ち寄って下さいね。

まずは本堂でお詣りを済ませたら、隣の通路を奥へ向けて歩くと「奥の院」と書かれた案内板を目撃。そこから先には、坂道が続いています。
足腰に自信がない方は、坂道の手前に杖が用意されているのでお借りしよう。
それでは、頂上へ向けてレッツゴー♪
急坂が続く道を歩く

巡礼の道は、よく整備されているので歩きやすいです。
けれど急坂が続くため、運動不足の人には少し辛いかも。運動不足になると、体力や筋力が低下するだけでなく、時にはメンタルにも影響を及ぼしてしまうので、気を付けたいですね。
トレッキングコースとしても好評ということで、これは実にいい運動になります。

足場が悪いところはありませんが、動きやすい服装が無難ですよ。道中には急な階段が続くので、女性はハイヒールは履かないほうがいいです。
なるほど、この急坂を難なく歩けるようになれば、年配者が嫁の手を煩わさずに、健康に過ごせるようになるというのも納得感があるかな。
四季折々の丘陵の風景を愛でながら観音詣を楽しもう。ちょっとしたプチ登山が、結果的に健康長寿の手助けになります。
たくさんの観音様が祀られている

丘陵を歩いていると、霊場ごとの可愛らしい石仏(観音像)が見て取れます。こちらは、西国第八番の長谷寺にある「十一面観世音菩薩」の石仏ですね。
長谷寺といえば、奈良県に位置しており、巨大な伽羅と十一面観世音菩薩を安置する山寺だ。日本で最も大きな木造の仏様として知られている。また、四季折々の花が咲くことから「花の御寺」とも呼ばれているぞ。
そのような背景を知っていると、参拝するのにも力が入るというものです。


一つ一つじっくりとお参りしたり、簡潔にご挨拶するだけでもよい。日頃の感謝の気持ちを込めて、お参りするのが大事。
そんな行為を繰り返していく内に、晴れやかな気持ちになるだろうな。それが観音詣の良いところですね。
観音像が安置されたこの丘陵は、江戸末期から明治にかけて開かれたいうのだから、これまで多くの先人が西国三十三観音霊場巡りを楽しんだに違いありません。
こういう機会というのは、いつまでも後世へ残していきたいですね。
巨石と奥の院

しばらく坂道を上っていくと、目の前に巨石が現れます。
巨石の表面には、梵字に囲まれた弘法大師空海が彫られているではないですか。立派なものですね。ちなみに、本堂の近くに立つ大きな観音様のすぐ隣にも弘法大師の像があります。
ここで参拝を終えた後で、巨石をスルーしてそのまま坂道を上らないように。というのは、この巨石の裏手に「奥の院」があるからです。

大きな岩肌が露出しており、岩にはさまれた奥を見てみると、小さな祠を発見。内部には、観音様が祀られているので、近づいて拝顔してみよう。
この場所が「樋の尻山」ということもあり、巨石の割れ目が女陰(女性器)を連想させるかも。そう思うのは、きっと私だけでないと思います。
男女の生殖器を神聖視するというのはよくある話。それに、神社仏閣巡りを行なっていれば、必ずどこかで目にするものだ。
せっかく奥の院へやってきたのだから、本堂と同じように、しっかりと参拝していきましょう。
山頂には「さすり観音」がいる

奥の院を後にすると、山頂まではそれほど時間がかかりません。
山頂へ到着すると、目に入るのが「さすり観音」と呼ばれる石仏と、その奥にある休憩所です。
実は、こちらのさすり観音には、健康のご利益があるという。ご利益の授かり方は、腕や足など具合が悪いところがあれば、さすり観音の同じ部位を撫でるだけというシンプルなもの。せっかくなので、ぜひ試して下さいね。


山頂は空が開けているので、気持ちがよい。ベンチに座りながら日向ぼっこするのも良いですね。
私が訪れたタイミングは、ちょうど曇り空から天気が回復するタイミングだったので、陽光に照らされた周囲がより明るくなっていくのが印象的でした。
屋根付きの休憩所には、テーブルや椅子が設置されています。登山に疲れたのならば、こちらでゆっくりと休憩しよう。自販機は設置されていないので、事前に飲料を用意して下さいね。(当たり前ですが、ゴミは持ち帰ること。)
私が訪れた日は、木々の枝が伸びすぎていて、眼下の景色がよく見えませんでした。(シクシク)
六角堂休憩所から聖観音菩薩の後姿を望む

山頂から1~2分ほど坂道を下っていくと、六角堂休憩所が見えてきます。
休憩所の中へ入ると、小さな石仏が見守っていました。先ほど頂上で休憩したばかりなので、そのまま素通りしようとしたところ、面白いことに気が付いた次第です。

なんと眼下には、高さ約12mの聖観音菩薩(観音様)の後姿を望めるではないですか。
麓からでは見られないアングルなので、そういう意味では、貴重な場所だろうな。ということで、思わず一枚撮ってしまいました。

このまま坂道を下っていくと、巨大な観音様の近くへ降りていきます。
これにて登山終了。お疲れさまでした。
万病に効くといわれる「観音霊水」

本堂から少し離れた場所には、霊水が湧き出す場所があります。
この霊水は、奈良時代から山王山の地下深くより枯れることなく湧き出しているそうな。六地蔵尊の元から清らかに出る清水ということで、「観音霊水」と名付けられました。
近隣に住む多くの人たちに利用されているみたい。当たり前ですが、湧水をそのまま飲むのは危なすぎるので、一度沸騰させて飲みましょう。


間違っても霊水を洗い物に使用したり、農耕用の大量摂取ために持ち帰らないように。常識の範囲内で霊水を汲み、譲り合ってご利用して下さいね。
それに、この観音霊水ですが、万病に効くといわれています。
【神社仏閣の紹介(その1)】
岡山県内の神社仏閣を、下記記事で紹介します。
肌着に仏様のご加護を得よう

嫁いらず観音院では、健康長寿・生涯幸福・極楽往生の祈願をするために、全国から参拝者が足を運びます。
その際、肌着や下着、安産腹帯を持参して、お加持の申し込みをしてみよう。その後、お加持を受けた肌着を身につければ、無病息災や安産祈願のご利益を期待できるという。
また、本堂にて僧侶へ直接願い事を話されて、お加持を受けられます。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
嫁いらず観音院の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県井原市大江町1036 |
電話番号 | 0866-67-2202 |
【アクセス】
- 井原鉄道・井原駅からバスに乗って「嫁入らず観音」のバス停で下車後すぐ(バスの乗車時間は約10分)
- 山陽自動車道「笠岡IC」から車で約20分
嫁いらず観音院の駐車場

嫁いらず観音院には、無料駐車場があります。(普通車200台、大型車20台)
まとめ

年を取ってくると、嫁さんや子供の世話にならず、楽にあの世へ旅たちと思ってしまう人は、それなりに多いと思います。それに、できるだけ長く生きて、いつも健康に過ごしたいですね。
井原市へ訪れる機会があれば、嫁いらず観音院を訪れて、健康長寿や生涯幸福を祈願してみよう。
また、感謝の気持ちを大事にしながら、西国三十三観音霊場のミニ巡礼を行なって下さいね。プチ登山となりますが、結構いい運動になります。
普段運動をしていない人は、これが健康への第一歩となり、その後の運動の継続へとつながれば幸いです。