神秘的な場所といえば、海・湖・大池にある鳥居を思い浮かべる方も多いでしょう。そんな景色を堪能できるスポットとして、岡山県の龍泉寺(りゅうせんじ)があげられます。
広大な敷地内では、八大龍王のご神体を祀る龍王池があり、その畔には朱塗りの鳥居が建てられている。その神秘的な景色を眺めながら、周囲を散策するのは楽しいですね。
また、滝行ができる「龍王の滝」や福ねこ地蔵、可愛い干支の像、ユルギ岩、こい岩湿地など見どころが多いですよ。
本記事では、岡山のパワースポット「龍泉寺」について、龍王池の散策を中心に様々な見どころを紹介します。
龍泉寺とは
龍泉寺は、岡山県北区下足守に位置する日蓮宗最上教総本山の寺院です。
奈良時代に山岳修行をしていた報恩大師(ほうおんだいし)により、創建されたと伝わっています。最上位経王大菩薩・八大龍王・鬼子母神・三面大黒天が祀られており、古くから水神やお稲荷さんの民間信仰の場でありました。
現存する建物や石垣の多くは、江戸時代末期以降のものです。境内には、樹齢250年の松の木があり、その姿は龍が天に昇っているように見える。
そのため「龍神の松」と呼ばれています。なるほど、言い得て妙ですね。
また、四季を通じて里山の美しい自然を楽しめ、岡山県立自然公園に指定されています。
特に秋の紅葉が素晴らしく、春はコバノミツバツツジやトキソウ、初夏にはノハナショウブなどが咲き誇る。なので、敷地内を歩き森林浴やハイキングなどを楽しみましょう。
【周辺の見所】
龍泉寺周辺の見所を、下記記事で紹介します。
龍泉寺の境内案内図と所要時間、服装の注意点
龍泉寺の敷地は、境内案内図を見てわかるようにとても広く、大きく分けると以下のエリアに分かれます。
- 拝殿・本殿エリア
- 龍王池エリア
- 滝行エリア
おすすめのまわり方ですが、寺務所から拝殿・本殿エリアへ向かい、龍王池エリアを経由して、滝行エリアへ向かいましょう。
龍王池エリアから寺務所へ戻る道中には、モミジが楽しめる。私が訪れた時期は、まだ紅葉には早すぎたため、緑色のモミジでしたね。
また、駐車場の近くを通過するため、周辺にある「ユルギ岩」や「大綱腰掛け岩」をお見逃しなく。その後、滝行エリアへ向かおう。所要時間は、一通り見て回るだけでも1時間~1時間30分ほどはかかります。
自然豊かな環境のため、マムシやヤマカガシ、スズメバチ、マダニがいたりするので、服装に気を使おう。長袖・厚地の長ズボン、足首が隠れるシューズ、縁のある帽子などでしっかりガード。
足元を確かめながら歩いて下さい。草むらに入ったり、芝生に座るような行為はしない方が安全です。
朱塗りの鳥居が映える龍王池の周辺を散策
拝殿・本殿エリアから東へ向けて約2分ほど歩くと、真っ青な大きな池が見えてきました。その池が「龍王池」ですね。お寺にある池というのは、小さなものが多いですが、龍泉寺の池は全くスケールが違います。
その池の畔には、遠くからでもわかるのですが、朱塗りの鳥居が見て取れる。そして、今にも池の中から龍が出てきそうな雰囲気が漂っていました。
この池の周りを1周するのには、40分以上かかるという。私は1周しませんでしたが、鳥居が建っているところを中心に散策を楽しんだ次第です。
芝生の上に白い砂利道が敷かれており、歩くこと約5分。朱塗りの鳥居前へ到着。その道中では、サギソウ湿地へ向かえますよ。
龍王池には、1つの伝説があります。桃太郎のモデルとなった吉備津彦命(きびつひこのみこと)の軍奉行であった超能力者の楽々森舎人(ささもりとねり)が、芦守山の山頂の岩を割ると、そこから水が湧きだしました。そのおかげで、この地域の人々を潤したと伝わっています。
その後、湧き出た水は池を形成し、優鉢羅龍神(うはつらりゅうじん)が芦守山へ飛来することに。いつしか芦守山は龍王山、池は龍王池と呼ぶようになったそうです。
うん、こういうのを知るとテンションが上がりますね。
朱塗り鳥居をくぐり抜け、畔から龍王池の景色を眺める。透明度がとても高く、綺麗な水は見ているだけでも心が洗われる。小魚が元気よく泳いでいるのを見かけると和みますね。それに時折吹く風が、実に心地よいですよ。
冒頭でも触れましたが、龍王池は八大龍王のご神体を祀っています。つまり池自体がご神体です。八大龍王は龍神であり水の神様。雨を降らす力があるので、五穀豊穣や雨乞いなど水にまつわる影響が強いですね。
また畔のすぐ近くには、八大龍王を祀る巨大な自然石(大宝塔)があり、こちらも朱塗りの鳥居が建てられている神域。まさに自然のパワースポットであり、畔に佇むだけでもパワーがチャージされているのを感じてしまう。
いつまでも、ずっと眺めていたい景色が広がっています。
この朱色の鳥居がある場所から、東へ向けて歩けば、身代わり地蔵尊が安置されていました。
その周りには、多くのお地蔵さまが見て取れます。
こちらは六道地蔵。
六道地蔵と聞くと、6体のお地蔵様が並んでいるのを想像する人が多いでしょう。しかし、龍泉寺では数多くお地蔵様がズラッと並んでおり迫力満点。
それぞれ仕草は違っていますが、お顔は同じようにみえる。すべて見て回った訳ではないですが、これだけ多ければ、表情の異なるお地蔵様がいるかも知れませんね。
また、八大龍王の祠もあったので、もちろん参拝しました。
さらに東へ道は続いていますが、これ以上進むと最上稲荷へ辿り着きますので、引き返しましょう。
龍泉寺には、龍王池以外にも多くの見どころがありますので、もれなく見て回りたいですね。
八大龍王を祀る巨大な自然石
八大龍王の石碑(八大龍王大宝塔)の前へ立つと、威厳を感じます。表面に刻まれた文字のデザインがとにかくカッコいい。個人的には気に入りました。
八大龍王は、仏教の教えにある龍族の王であり、八柱の龍の総称です。私たちが想像する龍の姿ではなく、どちらかというと人間に近い龍だそうだ。
八大龍王大宝塔のある場所は、高台になっているので、ここから龍王池の眺めを楽しもう。
ゆら姫ちゃんの登場
龍王池へ向かう砂利道には、龍王池の説明板が設置されています。
その際、注目して欲しいのが説明板の左上に描かれた、ゆら姫ちゃん。彼女は、最初に龍王池へやってきたの優鉢羅(ウッパラカ)竜神がキャラクター化されたものですよ。
とても親しみやすさを感じる。私がゆら姫ちゃんを見かけたのは、この案内板だけでした。今後、ゆら姫ちゃんの活躍の場を期待しています。
【見所①】フォトスポット「龍王池の赤鳥居」
龍王池の畔に建つ朱塗りの鳥居(赤鳥居)前は、フォトスポットです。水辺ぎりぎりから鳥居へ向けてカメラを構えてみよう。低いアングルからカメラのシャッターを切ると、絵になる写真が撮れる。
それがこちらの写真。少し逆光だったのが残念でしたが、これはこれで良いかも。
反対側から赤鳥居を撮影し、鳥居の中から龍王池が広がる景色はさらに良い感じ。
空と池のコントラストに赤い鳥居が映える絶景スポットなので、記念に何枚も撮影しておきたいですね。
【神社仏閣巡りに役立つアイテム】
神社仏閣巡りに役立つアイテムを、下記記事で紹介します。
【見所②】滝行ができる「龍王の滝」
龍泉寺では、一般でも滝行を体験できます。龍王の滝は、自然の木々に囲まれており、幾か所から清い水が湧き出している。
そして、ひと際見を引くのが、弧線を描くうねった体が特徴的な精悍なお顔の龍王様。龍王様のお口から、清々しいエネルギーに満ちた水が流れ落ち、地面に当たると、激しい水しぶきをあげていました。
その落差は、なんと約6mもあるという。奥に見えるのは、小さなお稲荷さんと苔むした岩の数々。それがより神聖な雰囲気を醸し出していますね。
こんな場所で滝行を行えば、心から煩悩を取り払い、静寂にすることができるでしょう。さすれば、心と体のリフレッシュを図れるに違いありません。
最もご利益を得られるのは「大寒(1月)」の日だそうです。1年で1番寒い日にチャレンジする勇気は私にはない。(笑)
また、毎年7月の第4日曜に「お滝まつり」が開催されています。滝行に興味がある方は、ぜひ寺務所へ連絡して予約をいれてみよう。尚、滝行に使う行衣や草履の貸し出しもしています。
【神社仏閣巡りなど旅に役立つサービスの紹介】
神社仏閣巡りなど旅の移動や宿泊に役立つサービスを、下記記事で紹介します。
【見所③】可愛い干支の像と福ねこ地蔵
境内で散策していると、デフォルメされた干支の石像を見つけました。ニコニコ笑っている姿は、実に可愛らしいですね。
ほとんどの動物は、前足を胸の前にあげており、まるで「ハイタッチをお願い」といっているように見える。なので、嬉々として動物たちとハイタッチをして触れ回った次第です。(嬉)
それぞれの動物ならではのご利益があり、台座をみるとご利益が書かれている。たとえば、トラは邪気を払い家族を守る力を得られます。うん、これはよいですね。
ウシは、乳房に触れると健康で長生きする活力と気力が得られるという。なぬ、ハイタッチじゃないの。実は動物によっては、タッチする場所が違っているみたい。なので、台座に書かれた説明をしっかり読んでからタッチするように気を付けよう。
また、可愛らしい干支の像に負けないくらい、可愛いネコの像がありました。
それが福ねこ地蔵です。福ねこ地蔵の手のひらに触れると、ペットの健康祈願ができるとか。ペットを飼われている方は、お見逃しなく。
【神社仏閣の紹介】
岡山県内で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
【見所④】拝殿と本殿
龍泉寺の拝殿では、初めに目に留まるのが屋根瓦でしょう。色鮮やかな装飾が印象的ですね。
これは珍しい釉薬瓦(ゆうやくかわら)の鬼瓦と棟飾り瓦(むねかざりかわら)で、明石の瓦職人(西山上七と重蔵)の手によって作られたそうです。
カメラをズームして撮影した屋根瓦がこちら。
うん、躍動感あふれる龍の彫刻が見事で、今にも動き出しそう。それに荒波を駆け上っているのはコイでしょうか。コイは滝を駆け上ると、天まで昇って龍になるという話を聞いたことがありますね。
また、こちらの龍の彫刻も立派。実に見ごたえがあります。
拝殿の奥には、本殿がありました。最上位経王大菩薩、鬼子母神、三面大黒をお祭りしています。年に1回、2月初午日に回御開帳があるそうですよ。
また、駐車場近くの「音玉の坂」では、本殿へ向かって手を打つと、良いことがあるかも。もちろん私も手を叩いてお祈りを捧げた次第です。
【見所⑤】身代わり地蔵尊
昔から今までずっと、人々を見守ってこられた由緒ある身代わり地蔵です。
江戸時代に龍王山の山中では、追いはぎが多く足守の人たちを苦しめていました。そういう人々の身代わりに地蔵尊をたてたといいます。右側の柵に囲われている場所に安置されているのが、初代身代わり地蔵です。
現代では、追いはぎなんて聞くことがありませんが、似たような存在はまだ残っている。人の業の深さは、いかんともし難いのかも知れないですね。
【見所⑥】ユニークな岩の数々(ユルギ岩・鯉岩・太閤腰掛岩)
龍泉寺の敷地内には、ユニークな大きな岩がたくさんあるので、ぜひを足を運んでもらいたい。
その内の1つが「ユルギ岩」。説明板によると、三千貫(11.25t)もあり指1本で動くそうですよ。なので、レッツチャレンジ。指どころか両手を思いっきり押してもビクともしません。
どうやら私には、まったく妙なる法の力がないみたい(知っていました)。神通力がある人ならば、きっと動かせるのでしょうね。
こちらは「鯉岩」です。なるほど、名前を知って岩の表面を見てみると、確かにコイの顔に見えてくる。不思議なものだ。
ちなみに鯉岩の横にある細道は、羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が備中高松城を攻める時に利用したんだとか。歴史ロマンを感じます。
実は、境内には秀吉ゆかりの岩がある。それが「太閤腰掛岩」ですよ。
かつて秀吉はこの岩の上に座って、備中高松城の攻略に思いを馳せていたのかも知れませんね。というわけで、私も岩に座って、戦国の世に想いを馳せていました。
【見所⑦】こい岩湿地とサギソウ湿地
先ほど紹介した鯉岩のすぐ近くには、こい岩湿地があります。
青々と草が茂っており、その中には木道橋を架けているので、歩いてみよう。ただし、重量制限があるので、乗れるのは3人までですよ。
足元に注意しながら橋をわたり、誤って草むらの中へは入らないように。マムシやヤマカガシなどがいたりするので、服装には気を付けましょう。
また、拝殿から龍王池へ向かう道には、サギソウ湿地があります。
何にしても、今ではあまり見かけなくなった野草が自生している環境は貴重なもの。「龍泉寺の自然を守る会」の皆さんのご協力により、これらの湿地帯は復元されたそうです。
湿地帯なので、トンボが生息していますが、私が訪れた日は見れなかったのが少し残念だったかな。またの機会に訪れてみようと思います。
龍泉寺の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県岡山市北区下足守900 |
電話番号 | 086-295-0130(最上本山 御滝 龍泉寺) |
営業時間 | 9:00~17:00(寺務所営業時間) |
【アクセス】
- JR足守駅からタクシーで約10分
- 岡山自動車道「岡山総社IC」から車で約10分
龍泉寺の駐車場
龍泉寺には、無料駐車場があります。(普通車50台)
まとめ
龍泉寺の敷地内は、自然豊かな環境で散策するのが楽しいですね。広々とした龍王池は、八大龍王のご神体を祀る神聖な場所。その畔には朱塗りの鳥居が建てられており、実に絵になるフォトスポットです。
特に秋には紅葉した木々たちを楽しめ、1年を通りして様々な里山の景色を満喫できます。
また、県内では珍しい滝行を体験できるので、興味がある方は参加してみてはいかがですか。心と体のリフレッシュをはかるだけでなく、八大龍王のご加護が期待できますね。