砂像で世界旅行を楽しめる美術館をご存じですか。
砂の美術館では、鳥取砂丘から採取した砂と水を使用して制作された数々の砂像を、毎年テーマを変えて公開しています。
展示室内へ一歩足を踏み入れば、異国の歴史や文化に包まれる圧倒的な空間に驚くでしょう。そして、細部まで丁寧で繊細に表現された砂像は、見るものに感動を与えてくれる。
本記事では、第14期展示「砂で世界旅行・エジプト編」の紹介を中心に、砂の美術館の魅力や楽しみ方を説明します。
鳥取砂丘・砂の美術館の魅力とは
砂の美術館は、砂を素材にした彫刻作品を展示している世界で唯一の美術館です。
目の前にある鳥取砂丘の砂と水を使い、世界各国から集結したトップクラスの彫刻家たちにより、造り上げたアートな砂像を公開しています。
2006年に期間限定の屋外展示場で砂像を公開したのが始まりですね。それから6年後の2012年に、世界初となる砂像を専門に屋内展示する「砂の美術館」が誕生しました。
砂像の原点は、私たちが子供の頃に遊んだ砂遊びですよ。子供のときに、砂でお城などを作った経験をした人は多いでしょう。
砂のお城は、ちょっとした原因で、崩れてしまい泣いてしまったのは、今となってはよい思い出ですね。砂像は、子供だけでなく、大人になっても気軽に楽しめます。
砂の美術館の基本コンセプトは「砂で世界旅行」です。なので、ここへ足を運べば世界の魅力が伝わってくる。
大小様々な砂像の中には、繊細で美しいだけでなく、切なさや危うさも感じられる。また、作品によっては、圧倒的な迫力に驚きを隠せません。
素材となる砂を水で固めているだけのシンプルなアート作品のため、制作中や完成後でも崩れてしまうリスクがつきまとう。それは、子供の頃に作っていた砂のお城と根本的なところは同じであり、大人になった今では、より儚さを感じられるでしょう。
だからこそ、儚く美しいアート作品は、私たちの心に感動を与えます。
【周辺の見所】
砂の美術館の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
第14期展示「砂で世界旅行・エジプト編」の紹介
砂の美術館では、毎年テーマを変えて砂像の制作が行われましたが、2020年からはコロナの影響もあり、2年続けて展示することになりました。
第14期展示となる「砂で世界旅行・エジプト編」は、2022年と2023年のテーマです。
2022年は、エジプト独立100周年を迎える年。また、ツタンカーメンが発掘されて100周年の節目の年になります。これらのことから、第14期展示のテーマに、エジプトが選ばれた理由に納得しました。
エジプトは、世界遺産のルクソール神殿やピラミッド、スフィンクスなど様々な遺跡が残り、古い歴史と文化がある国ですね。エジプトに相応しい全22作品の巨大な砂像の内、主な作品を紹介します。
まず始めに紹介するのは、アブ・シンベル大神殿。展示エリアの奥にありました。
紀元前1250年頃、ナイル西岸の岩山を削って造られた大神殿の砂像です。隣には、アブ・シンベル小神殿もあります。
4体の巨大な像は、すべてラムセス2世ですよ。彼の青年期から壮年期までを表現しています。ちなみに、手前にあるたくさんの小像は、王の家族たち。
上に目を向けると、ピラミッドとスフィンクスが見て取れる。エジプトと聞いて、真っ先に思い浮かべることが多いツートップの砂像に、エジプトの悠久の歴史を感じずに入られません。
こちらは、死者の書です。個人的には「遊戯王」を思い出す。(笑)
死後の世界が信じられていた古代エジプトでは、死後の冥福を祈って「死者の書」を読経し墓に納めていました。約190章の中でも有名なのは、死者の裁判ですね。
砂像のモデルには、死を司る神アヌビスによる審判で、真実の羽と死者の心臓を秤に乗せて、生前の罪を調べている描写が描かれています。
こちらは、ルクソール神殿です。
モデルは、エジプト南東部の都市ルクソールにある超有名な神殿。エジプト新王第18王朝の王・アメンホテプ3世が造ったことで知られる。
特に手前の2体の巨大な像が、抜群の存在感を示しています。
こちらは、エジプトに生きる多種多様な動物たち。動物は、古代エジプト人にとって自然の象徴であり、人知を超えた力を持つ神聖な存在でした。
ハヤブサは天空のホルスとされ、家庭と出産を司る女神タウエレトはカバの姿で描かれています。
作品の中に、動物が何種類いるのか数えてみるのも面白いですね。
どの作品も丁寧に細かく表現されており、クオリティーの高さに大興奮。そのため、時間を経つのを忘れるぐらい見ていられます。
そんな作品をダイジェストで紹介。
屋内展示場は2階、3階から作品を見学できる。特に3階からは、作品の全体像を見渡せます。館内は、作品保護の観点から外気温に近い温度になっていますので、服装に気を付けよう。
これらの作品が決まった期間だけしか見られないのは残念ですが、今後も新しいテーマの下、新たな砂像が公開されるので、期待に胸が膨らみますね。
【カメラに関する話】
会期終了後には砂像は壊されてしまうので、しっかりカメラで記録を残しておきたい。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
【楽しみ方①】アートな砂像で世界の歴史や文化を学ぶ
公開された砂像は、どれもが素晴らしく、そのクオリティの高さに目を見張ります。
各作品毎に説明がされているので、その土地の歴史や文化を知ることができる。そのことで、作品のストーリー性をより意識させますね。
立体的に制作された砂像を見学しながら、説明文を読むと、より理解が深まるというもの。さらに深く知りたい場合は、スマホで検索したり、図書館などで調べてみよう。
これらの砂像は、会期終了後に壊され、元へ戻るわけですが、砂像の制作に携わった人々にとっては、様々な思い出が詰まっていることは容易に想像できる。そのことを頭に入れて見学すれば、よりいっそう作品の魅力を理解できるでしょう。
【博物館の紹介(その1)】
旅先では、砂の博物館のような珍しい博物館へ訪ねたりしますので、下記記事で紹介します。
【楽しみ方②】野外展示品の見学
砂像があるのは、屋内展示場だけではありません。屋内展示場から砂丘展望広場へ続く道にも砂像が展示されています。
第14期はエジプトがテーマになっているので、屋外にミイラが展示されていました。
ミイラといえば、腐敗せず生前の姿に近い状態の死体のこと。古代エジプトでは、死者の魂は肉体から離れ、最期に審判を経て再び肉体に戻り、復活すると考えられていた。そのため、肉体を保存する必要があるのでミイラが作られたわけですね。
そんな理由を知ならければ、「ミイラ=モンスター」と思うかも。それにしても、展示されていたミイラは今にも動き出しそうで少し怖いかな。
その他にもツタンカーメンを始め、エジプトに生息するアラビアオオカミやルーセットオオコウモリなどを発見。
屋外に展示された作品は、数は少ないですが色々な場所で見つかりますので探し出してみよう。
【博物館の紹介(その2)】
旅先では、様々な博物館へ訪れる機会が多いので、下記記事で紹介します。
【楽しみ方③】砂丘展望広場から鳥取砂丘を眺める
砂丘展望広場には、ぜひ足を運んでもらいたい。
ここからは、眼下に広がる鳥取砂丘を一望できます。雄大な砂丘を見渡していると、人が歩いている姿が見えることもある。そんな姿にロマンを感じるのは、私だけでしょうか。
フォトスポットとしても素晴らしいので、鳥取砂丘をバックにして記念撮影することをおすすめします。
また、展望広場の一番高いところには「幸せの鐘」がありました。
砂丘に向かって、想いを込めて鳴らそう。何か良いことが起こるかも知れません。こういう鐘は、できれば大切な人と一緒に鳴らしたいですね。
【楽しみ方④】ミュージアムショップでお土産を買う
屋内展示室の3階には、ミュージアムショップがあります。
ここでは、会期中のテーマに合わせたお土産を販売していました。お菓子や雑貨など取り揃えていますので、ぜひ足を運んでみよう。
たとえば、こちらのクリアファイルは、砂の美術館オリジナルですよ。
アートの砂像がアップに描かれており、記念になります。価格も高くないので、たくさんの人たちへお土産を配るならば選択肢の1つかな。もちろん自分で使うのもアリですね。
うん、これはエジプトのパシュミナだ。
肌ざわりの良さや軽さ、保湿性の高さが特徴で、防寒用に活用できる。そのため、色々と使い道がありそうです。
エジプトらしいお土産の1つといえるのでないでしょうか。このような衣類は、贈られると嬉しいですね。
砂の美術館の基本情報とアクセス
住所 | 鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17 |
電話番号 | 0857-20-2231 |
営業時間 | 平日・日曜日 9:00~17:00(最終入場16:30) 土曜日 9:00~18:00(最終入場17:30) ※時間変更あり。 |
定休日 | 無休 |
入場料 | 一般 800円(600円) 小中高校生 400円(300円) ※20名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金 |
【アクセス】
- JR鳥取駅、鳥取空港からタクシーで約20分
- JR鳥取駅バスターミナルからバスで約20分「砂の美術館前」下車
- 鳥取自動車道「鳥取IC」から車で約15分
砂の美術館の駐車場
砂の美術館には、専用の無料駐車場があります。(普通車 218台)
まとめ
砂の美術館は、毎年テーマが指定され、それに合わせた素晴らしいアートな砂像が制作されます。そんな砂像を一同に楽しめるのは、ここだけですね。
ストーリー性を肌で感じながら、世界各国の歴史や文化を学べる貴重な機会です。世界各地で活躍を続けている彫刻家たちの精巧で迫力のある作品を、ぜひ間近で体感しよう。