兵庫県丹波市の石生(いそう)地区には、本州で一番低い中央分水界があることをご存じですか。
その境界線上のすぐ近くにあるのが、「水分れ公園(みわかれこうえん)」です。園内では、迫力ある人工の滝や分水界を象徴するかのような水分れの池があり、子供から大人まで水遊びを楽しめます。
また、園内にある「氷上回廊水分れフィールドミュージアム」では、砂場で地形を作りあげる体験ができる。ゲーム性があるので、大人でもハマル人が出るだろう。
さらに室町時代に再建された由緒正しい「いそ部神社」があるのも見逃せません。
本記事では、本州一低い中央分水界の最東端に位置する「水分れ公園」の見どころを紹介します。
水分れ公園とは
水分れ公園は、兵庫県丹波市氷上町石生に位置する公園です。
標高わずか約95mしかないところにある中央分水界の最東端にあります。分水界とは、2つ以上の川の流れが反対方向に分かれる境界のこと。
大抵は山の稜線などにあることが多いのですが、こちらのように標高100m足らずの平地にあるのは大変珍しい。このような分水界を「谷中分水界」といいます。
園内には多くの樹木が繁り、人工の滝・水分れの池・幸運の泉など水と親しみながら自然と接するスポットが多い。また、子供広場や屋外ステージ、四季の花園などがあります。
園内の奥へ向かえば、野鳥の声や姿を楽しみながら散策できるコースを整備済み。ゆっくり歩きながら森林浴を楽しみましょう。
水分れ公園は「関西自然に親しむ風景100選」「丹波市観光100選」に選ばれています。
【周辺の見どころ】
水分れ公園周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
中央分水界とはいったい何?
中央分水界とは、簡単にいえば降った雨を主に日本海側と太平洋側に分ける境界線を表します。
分水嶺となっている山脈は、脊梁山脈といいますが、中央分水界はこの脊梁山脈に位置することが多い。
国内では、北海道の宗谷岬から鹿児島県の佐多岬まで約6,000kmわたり縦断しており、奥羽山脈・越後山脈・飛騨山脈などがある。
通常、脊梁山脈を挟んだ両地域では、気候や植物分布が異なるのが特徴だ。
日本一低い分水界は北海道千歳市にあり、標高20m以下です。特に新千歳空港周辺が、石狩川(日本海)と美々川(太平洋)の分水界となっています。一方、最も高い分水界は乗鞍岳の3,026mですね。
水分れ公園へ向かう道中で中央分水界を体感
石生地区にある分水界を歩く際に立ち寄りたいのが、水分れ交差点です。国道175号線と国道176号線が交わる十字路交差点ですが、見た目は普通の交差点なので、特にこれといった特徴はありません。
そのため、そのままスルーして水分れ公園へ向かってしまいますが、ちょっと待って下さい。
実は南側の国道176号線が通る水分れ橋のすぐ近くには、「日本一低い中央分水界」と表記された立札が立てられています。
そこで、「ん、本州一なのでは?」とツッコミを入れないように。何か条件があるのかも知れないですね。(調べてみたけど、条件がわかりませんでした。)
この立札以外にも、こちらの「水分れモニュメント」を発見。
分水界のことを知っていれば、水分れをモチーフにしていることは想像できるのですが、その外観に思わず「なんだ、この鼻は」と思いました。(ごめんなさい)
分水界の最低地点は、標高95.45mの石生交差点。そこから徐々に高度を上げ、水分れ公園辺りまでの約1,250mまで続いています。
実際、高谷川に沿うように整備された道路の真ん中が、中央分水界となっているので歩きやすいですね。
つまり、この道路から日本海と瀬戸内海に雨水が分かれて流れるということ。
黒井川、竹田川、土師川、由良川を経て、約70km先の日本海に流れ、高谷川本流となる加古川を経て約70km先の瀬戸内海に流れることに、大自然のドラマを感じずにいられません。
そんなことを考えながら歩くのは、私だけでしょうかね。
迫力ある人工の滝と分水界のモニュメントが凄い
水分れ公園内へ入ると、まず驚くのは人工的に造られた幅46.5m、高さ4.5mの滝でしょう。滝の存在は遠くからでもわかり、近付くにつれて、耳に心地よい水音が聞こえてきます。
園内には水路が張り巡らされており、周囲の樹木に覆われた景観と合わせて、調和のとれた雰囲気がとても良いですね。
私が訪れた日は、数組のご家族が子供と一緒に楽しそうに遊んでいるのを見かけました。中にはテントを張って、デイキャンプを楽しんでおられる方もいるではないですか。く~、うらやましくなんかないぞ。
滝へ近づくと、凄い水しぶきだ。体いっぱいにマイナスイオンを感じます。滝つぼ周辺は浅瀬になっているので、これならば小さなお子さんも安心して遊べると思う。
こちらは地形的な特徴である「分水界」を一目で分かるようにして造られた水路。周囲には「瀬戸内海へ70km」「日本海へ70km」と書かれた標識が立てられているため、分水界のアピールもバッチリ。
分水界を象徴する水分れの池ですね。
それでは、園内の様子をダイジェストで紹介します。
うん、陽光が降り注ぐ中、散策するのが気持ちが良い。
園内には茶屋があるので、ゆっくりしていこう。
おっ、これは「幸運の泉」というそうだ。ネーミングに惹かれます。周辺はすがすがしい空気が流れており、これも泉効果かな。
全体を通して、マイナスイオンを感じるスポットが多く、ゆっくり散策するのに打ってつけ。リフレッシュ効果を感じやすく癒されます。
【公園の紹介】
旅先で訪れた特徴ある様々な公園を、下記記事で紹介します。
氷上回廊水分れフィールドミュージアムで地形作成を体験
園内には、自然環境や歴史、文化など野外フィールドを活かす博物館があります。それが「氷上回廊水分れフィールドミュージアム」ですね。
ここでは、世界と日本の水分れについて学べたり、実際に体験できる展示品が素晴らしい。また、丹波地方の豊かな動植物をはく製などを通して学べます。
それに標本を間近で観察できるだけでなく、触れられる標本も用意しているのは珍しいのではないだろうか。
さらにセミナーやイベントを活用して展示物を作成すれば、誰もが展示品の発信者になれる仕組みは面白いと思います。
特に個人的に楽しく遊びながら学べたのが、こちらの地形のしくみを肌で感じ取れる体験ボックスです。
簡単にいえば砂場遊びなのですが、意外に難しくゲーム性があるため、子供だけでなく大人もハマル人が出るだろう。
制限時間内に、砂をならしたり積み上げたりしながら、山から平地へ向けて川が流れる地形を作っていく。ということで、レッツ・チャレンジ!
鼻歌交じりではありますが、真剣に砂をかき集めながら山と平地の高低差を作りました。そして時間が来たら、センサーが作り上げた地形をサーチしてチェック。
「計測中です。砂場に手を入れないでね。」というメッセージが画面に流れてから数秒が経つと・・・
その結果がこちら。赤や青色に表示されているところが多いぞ。赤くなっているところは高すぎており、反対に青いところは低すぎるみたい。
そうしてズレている地形を修正した結果、最終的な得点は44点を獲得。これ低いのだろうな~。
スタッフにお話しをうかがうと、100点取るのはかなり厳しく、50点取れれば十分に凄いみたい。なので、私の地形再現力はそんなに悪くないようだ。
うん、これは熱中してしまう人が出ても不思議ではない面白さがありますね。
水分れフィールドミュージアムへ足を運んだ際には、ぜひ50点以上を目指してチャレンジしてみよう。
- 住所 兵庫県丹波市氷上町石生1155
- 電話番号 0795-82-5912
- 営業時間 10:00~17:00(最終入館16:30)
- 休館日 月曜日(月曜が祝日の場合は翌平日が休館)
- 入館料
- 大人 210円(100円)
- 小・中学生 100円(50円)
- ※20名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金
【博物館の紹介】
旅先で訪れた様々な博物館を、下記記事で紹介します。
いそ部神社へ参拝しよう
氷上回廊水分れフィールドミュージアムの隣には、厳かな空気感の中に「いそ部神社」が鎮座しています。
詳細は不明ですが、710年(和銅3年)に創建されたと伝わる古い歴史を誇る神社ですね。現在の社殿は、室町時代の永禄年間(1558年~1570年)に再建され、そのあと何度も修繕されました。
願い歴史を歩んだその外観には、かえる股や肘木鼻の操形、手狭の紋様などは古く、風格を感じるでしょう。
御祭神は、以下の通りです。
- 奇日方命(くしひかたのみこと)
- 譽田別命(ほんだわけのみこと)
- 神功皇后(じんぐうこうごう)
- 比賣大神(ひめおおかみ)
但馬国八木藩主・別所吉治(べっしょ よしはる)は、元亀・天昇の頃に「軍神」として当社を崇敬していたと伝わっています。
いそ部神社の鳥居前には、注連縄(しめなわ)している巨大な檜は見ものだ。一目でご神木と分かるだろう。
樹高25mで幹回りが3.95mもあり、二股に分岐した「夫婦檜」は実に壮観ですね。その堂々たる佇まいに思わず「うぉ~!」と声が出ました。
また、御禊橋(みそぎばし)のそばには、清水が湧き出ており、「石清水(いわしみず)」と呼ばれています。
この辺りは、昔から長期に雨が降らずに田畑などが乾いていたそうですが、この石清水は枯れることなく、今も湧き出ている恵みの水ですよ。
この石清水ですが、生水なので飲用は控えた方がよいみたい。
尚、こちらの場所もありましたが、これも石清水なのでしょうかね。
おっ、仙人が住む不老不死の霊山の名を持つ「蓬莱山」を発見。
蓬莱山といえば、カメとツルの両雄が並び立ちます。
どうやらカメを撫でると繁栄と健康長寿のご利益があるそうです。あっ、もしかしてカメが吐き出しているのは、石清水?なのかも知れないですね。
【神社参拝に関する話】
神社参拝に役立つ様々な話を、下記記事で紹介します。
水分れ公園の基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県丹波市氷上町石生1155 |
電話番号 | 0795-88-5115(丹波市観光課) |
【アクセス】
- JR石生駅から徒歩約10分
- 舞鶴若狭自動車道「春日IC」から車で約5分
水分れ公園の駐車場
水分れ公園には、無料駐車場があります。(普通車 50台)
まとめ
水分れ公園のある丹波市石生地区では、本州で一番低い中央分水界を見ることができます。分水界は山の稜線を通過するのが普通ですが、この地では低地の平野を通過する珍しい場所ですね。
中央分水界の最東端には、水分れ公園があり、迫力ある人工の滝・幸運の泉・水分れの池などマイナスイオンを感じるスポットが多い。また、奥へ歩けば、野鳥の声を聞きながら自然のままの森林浴コースを楽しめます。
分水界に興味がある人はもちろんのこと、そうでない人でも丹波市へ訪れた際には、自然豊かな水分れ公園でリフレッシュを図ってみてはいかがですか。