3泊4日で計画していた高知徳島旅は、都合により4泊5日にグレードアップ。3日目は高知県室戸市から始まり、よいよ徳島県へ入ります。
前日の不安定な天気とは打って変わって、本日は快晴すぎる。それだけでテンションが上がるというものだ。(2日目の旅の様子は、こちらの記事で紹介。)
朝一番に太平洋を眺めて過ごし、ゆっくりと旅の準備を整えて、お宿で朝食を食べると室戸岬灯台へ向けて自転車を進めました。
本日は室戸岬を満喫した後で、室戸半島東海岸のシーサイドロードを疾走しながら室戸世界ジオパークセンターやむろと廃校水族館へ足を運ぶ予定です。
そして、バスから電車へ変形する近未来そのものの乗り物「DMV(デュアル・モード・ビークル)」を見に行くぞ。実に楽しみな1日になりそうですね。
本記事では、自転車に乗って室戸市から徳島県の海陽町まで歩んだ旅の様子をお届けします。
室戸スカイラインを駆け上り室戸岬灯台へ向かう
抜けるような青空の下、ゴツゴツした奇岩が無数に転がるジオパークの景色を眺めていると、何だかよい1日になりそうな予感がするのは、私だけでしょうか。
朝から太平洋を眺めてひと時を過ごす。こういう風に1日が始まるというのは、実にすがすがしい。高まる高揚感に身を任せていました。
それにしても風が強い。さすがは室戸岬といったところか。この辺り一帯は、国内でも強風地域として有名です。
自転車に乗って土佐東街道(国道55号)を進む。しばらくすると、室戸スカイライン(県道203号)の入口が見えてきたので、そちらへ分岐する。
すると、朝一から劇坂の洗礼を受けるのでした。まぁ、知ってはいましたけど・・・
走り始めて間もないのため、私の脚は満タンです。軽やかとまではいきませんが、苦も無く不可もなくリズミカルに坂道を上る。
勾配が10~13%もあるつづら折りのコースをひたすら上り続けていると、少し疲れてきましたが、眼下に飛び込んできた太平洋と室戸市街が織りなす絶景にテンションが爆上がり。
ペダルを回す脚が軽やかになるのを感じるぞ。そんな調子で坂道を上ると、思ったよりも早く室戸岬灯台の駐車場へ辿り着きました。
この駐車場は、最御崎寺(ほつみさきじ)の駐車場も兼ねています。最御崎寺といえば、四国八十八箇所第24番札所ですね。
朝早くからお遍路さんが訪れていました。私も室戸岬灯台へ足を運んだ後で参拝するぞ。
駐車場から歩くこと約5分。室戸岬灯台展望台へ到着すると、ついに灯台とご対面。
空と海の「青」に灯台の「白」が溶け込む姿は、実にフォトジェニックだ。思わずカメラ撮影に夢中になるのは仕方がないかな。(笑)
この景色ならば「恋人の聖地」に選ばれるのも納得です。しばらくの間、灯台が織りなす景色を楽しむと最御崎寺へ向かいました。
最御崎寺で空海の七不思議を見つける
最御崎寺の仁王門前では、お大師さんがお出迎えしてくれます。それに仁王門といえば、金剛力士像ですね。
天界に住む仏教の守護神のひとりとして、お寺を護る存在です。こちらの仁王門は驚くことなかれ、表裏に金剛力士像がある贅沢仕様ですよ。
表側は網目が小さくて見えにくいのですが、裏側はそんなことがなくてとても見やすい。それに4体の金剛力士像が守っていると思うと心強いですね。
まずは本堂へお参りしました。本堂の外観は、どことなく中国風の感じがします。それに彫刻が実に手が込んでいるではないですか。
中央に見えるのは仙人かな。仙人のおじいさんが秘術を収めた巻物を弟子に授けている様子に見えるでしょ。これは中国のとある民話なのでしょうかね。
こういう風に考えながら彫刻を見るのは面白い。その後、境内を見て回ると興味深いものを次々に発見した次第です。
実は、室戸には「空海の七不思議」といわれる伝説が伝わっており、その内の2つが最御崎寺にあります。
1つ目は、こちらの「鐘石」です。名前だけでどんな石なのか想像しやすいですね。
実際、この石を小石で叩くと鐘のような「キーン」と音がするぞ。
その音色は、冥土にいる家族や知人に届くといわれています。届けたい誰かがいるのであれば、思いを込めて鳴らしてみるのもいいかも知れませんね。
2つ目は、こちらの「くわずいも」です。名前からして意味深ですが、弘法大師にまつわるエビソードがあります。
ある日、修行中だった弘法大師が空腹に耐えかねて、川で芋を洗っていた老婆へ声をかけました。芋を譲ってもらおうとしたところ、老婆は「これは食べられない芋だ」と嘘をつき断ります。
すると、その日から不思議なことに本当に煮ても焼いても食べられなくなったそうな。う~む、やはりいつの時代でも、食べ物の恨みは恐ろしいということでしょうかね。
境内には、多宝塔や大師堂、島根県の一畑薬師を勧請したお堂など見どころが多い。その中でも個人的に一目でオーラを感じたのが鐘楼堂です。
この鐘楼堂は、土佐藩2代目藩主山内忠義が寄進したもので、1648年(慶安元年)に建てられました。築400年近く経っているとは、風格がにじみ出るのも当然といえるかも。
カメラのズーム機能を使って撮影。鐘突き棒や扁額辺りがいい感じに撮れてご満悦♪
このお堂は今はすでに使われておらず、本堂の奥には、新しい鐘楼堂ができています。
最御崎寺の境内を一通り見て回ると、駐車場へ戻りました。
【神社仏閣の紹介】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
室戸スカイライン山頂と室戸岬の風景に大興奮
再び室戸スカイラインを上り出し、山頂へ向けて進みます。お目当ては、山頂にある展望台。
麓から先ほどの駐車場までは上りオンリーでしたが、山頂まで約2.4kmはアップダウンが続いており、展望台の案内標識を見た時は思わず「やった~」と声を出して喜びましたね。(笑)
駐車場の奥には、「室戸岬山頂」と書かれた大きな立札があったので、ここで愛車と記念撮影をすると、展望台へ向けて歩いて行きました。
鬱蒼とした森の中、約70段ほどの階段を上ると、室戸スカイライン山頂展望台へ到着。
この展望台では、360度の室戸半島一帯を望むパノラマ絶景を楽しめます。開放感たっぷりの場所なので、本当に気持ちがいいですね♪
眼下を眺めていると、気になるものを発見したのでカメラのズーム機能を使って撮影。あれは、昨日見かけた三角関係を連想させた灯台たちではないですか。
1人の男(白い灯台)と2人の女(赤い灯台)のドラマが繰り広げているように思えたのですが、本日は良好な関係に見えるぞ。これも晴天のおかげかも。
しばらくの間、展望台で過ごすと来た道を引き返し、山を下った次第です。
ちなみに、復路は急な下り坂となるので、まるでジェットコースターのように楽しめる。一瞬と思えるほどあっという間に麓にある国道55号線へ合流しましたね。
約650mほど東へ進むと、中岡慎太郎の銅像を目撃。この辺りは特に風が強いです。
銅像の近くには駐車場があるのですが、普通に自転車を停めてしまうと100%の確率で風で吹き飛ばされるのは目に見えている。
時折強い突風が吹き荒れており、すると踏ん張らなければ立っていられないほどの強さですよ。そこで、周囲を見渡すと、風の向きを遮断する丁度いい位置に建物があったので、その近くに自転車を駐輪しました。
しばらく様子を見て、突然の強風でも飛ばされないのを確認すると、胸をなでおろした次第です。
では、遊歩道に向けてレッツゴー。
室戸岬といえば、高知県を代表する観光スポットの1つです。室戸ユネスコ世界ジオパークに認定されており、ダイナミックな奇岩地帯と共に亜熱帯性樹林や海岸植物が茂る景勝地として有名。
そんな場所を縦横無尽にねり歩く。そこには、これでもか、これでもかと思えるほどの大自然が造り上げた迫力ある景観が広がります。
実に散策が楽しすぎるぞ。やはり、昨日に判断で「晴れの日に室戸岬へ訪れる」という考えは間違っておらず、当初の計画から1日遅らせたのは正解でした。
樹木が生い茂る区間は、ちょうど防風林となるので、風の影響が少なくて歩きやすいですね。
室戸岬は、エボシ岩やビシャゴ岩、月見ヶ浜、アコウの木など見どころが多い。
また、弘法大師が苦行修行を積みながら、悟りを開いた場所なので、灌頂ヶ浜(かんじょうがはま)や行水の池などゆかりの場所が残っているぞ。
室戸岬とその周辺の絶景スポットについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
室戸世界ジオパークセンターの見学
室戸岬の見物を終えると、既に正午近くになっていました。う~む、楽しい時間というのはあっという間に過ぎ去りますね。
さて、再び自転車旅を再開。今いる室戸岬の先端から東側へ向けて国道55号線を北上すると、追い風の恩恵を受ける。特にケイデンスを意識しなくても、勝手にスピードがグ~ンと上がり、快調に進めて笑顔が止まりません。
国道55号線に併設された歩道では、本日も多くのお遍路さんを見かけました。この辺りのお遍路コースは、国道55号一択だからもっともな話であるかな。
お遍路さんで思い出しましたが、昨晩のお宿には、外国人のお遍路さんが宿泊しており、その方が使っていた音声入力の翻訳アプリの精度が高いこと。
そのおかげで、夕食時にお遍路さんと色々お話ができて、楽しいひと時を過ごせました。
それにしても便利な時代になったものです。そんなことを思い出しながら走っていると、室戸世界ジオパークセンターへ到着。
それでは、ジオパークについて学ぶぞ。
室戸世界ジオパークセンターでは、室戸の地質的な成り立ちを始め、風土に合わせた独得な文化や歴史などを紹介しており、ジオパークとしての室戸の魅力を学べます。
知っていますか。日本には数多くのジオパークがありますが、室戸を含め9つのユネスコ世界ジオパークがあるという。
こちらの地図の上に立って、3Dメガネ越しで地図を見てみよう。すると、南海トラフや四国山地のダイナミックな地形が足もとに広がり面白い。
何かと話題となる南海トラフですが、南海トラフの動きに起因する大規模地震のメカニズムについて説明しているよ。
また、室戸の人々の暮らしについても紹介しており、昨日訪れた「吉良川の町並み」も紹介していたので、その光景をリアルに思い出しましたね。
吉良川の町並みは、土佐漆喰や水切り瓦、いしぐろなど特徴的な町並みが魅力的。風雨に強く台風が多い地域ならではの家屋を守る工夫が見られます。(くわしくは、こちらの記事でどうぞ。)
室戸半島は、今でも隆起し続けている場所ですよ。その事実に驚く人も多いでしょう。こちらは、中川内小・中学校の地下を表したものです。
約1万年前は川でしたが隆起し続けた影響で、深さにより様々な異なる地層が現れるのは凄くないですかね。
このように色々と学べた中でも個人的に驚いたのは、リクガメがサボテンを食べる説明があったこと。ジオパーク関係ないのではなんて言わないでね。
実際に「室戸しおかぜサボテン」として商品化されているようだ。トゲ抜きが大変だろうなと思っていたらやはり案の定、大変という記述をみつけました。
一つ一つ手作業でトゲを抜いているそうなので、手間が物凄くかかっているのは想像に難くないですね。
【博物館の紹介】
室戸世界ジオパークセンターのような博物館へ訪れると、色々な新しい発見があり面白いですね。下記記事では、旅先で訪れた様々な博物館を紹介します。
丸山海岸を疾走し、むろと廃校水族館へ向かう
室戸世界ジオパークセンターの見学を終えると、自転車へ乗り込み国道55号線を北上。次の目的地は、むろと廃校水族館です。
室戸世界ジオパークセンターから約3.5kmしか離れていないので、ロードバイクであれば楽勝の距離ですよ。
その道中では、丸山海岸を通過しました。
海側へ目を向けると、たくさんのゴツゴツした岩が美しく並んでいるのが素晴らしい。規模は違えど松島を彷彿させる景勝地だろう。
そのため、自転車を停めては見物し、また走っては停まるの繰り返し。遅々として先へ進めません。(笑)
さすがはジオパークといったところか。そもそも海に近いシーサイドロードを走ると、絶景を目撃する機会が多いので、私はよく停車する方ですかね。それはきっと私だけではないはず。
追い風に乗って、見通しの良い一本道をひたすら前へ突き進む。道なりに進んでいると、むろと廃校水族館へ到着しました。
むろと廃校水族館は、名前から分かるように元学校をリノベーションして出来た水族館です。
元学校という特性を活かしており、教室や学校の備品、屋外プールなどを再利用しているため、どこか懐かしさを感じさせます。
たとえば陸上競技でお馴染みのハードルは、サイクルスタンドになっているではないですか。うん、納得感のある有効活用だと思うぞ。
それ以外にも跳び箱が水槽として使われていたのは面白かったですね。
館内へ入り受付を済ませると、廊下を歩きながら各教室を巡り、並べられた水槽の中で泳ぐ魚たちを鑑賞。
この水族館で飼育展示されている魚は、50種類1,000匹以上という。目玉となるのは、屋外にある全長25mのプールで泳ぐ魚たちでしょう。
イサキやホウボウ、ヒラスズキ、ブリなどが悠々自適に泳いおり、それにサメが一緒に泳いでいるんですよ。特徴的な背びれのため、一目でサメだと分かる。
また、違うプールにはたくさんのウミガメが泳いでいるのでお見逃しなく。室戸といえばウミガメの産卵地と有名なので、ウミガメは外せないですね。
むろと廃校水族館については、下記関連記事でくわしく紹介します。
鹿岡の夫婦岩はインパクト抜群な岩柱
むろと廃校水族館を後にして、既にお馴染みとなった国道55号線を北上します。
誰が考えても室戸半島のコース取りは、ほぼ国道55号線一択になりますが、それほど交通量が多くないので、自転車でも快適に走れるのが良いですね。
しばらくすると、遠くには海の中からそびえ立つ大きな岩が見えてくる。近付くにつれて、注連縄(しめなわ)をしているのが分かります。
旅を続けていると、時々このような岩柱を見かけたりしますね。折角なので立ち寄ることにしました。
入口前にはガードレールが設置されているので、車では中へ入れませんね。
自転車でも無理に中へ入らずに、ガードレール前で停めた方が無難ですよ。
なので、歩いて岩柱へ近づき観察すると、岩肌が浸食による蜂の巣のようになっており、大きさと相まってインパクトが抜群だ!
これは、一見の価値があります。案内の石板によると「鹿岡の夫婦岩」というそうだ。
まるで夫婦が連れ添っているように見えるので、そのような名前が付いたのでしょうね。さらに2つの岩柱の間には、ひと際小さな岩柱があり、まるで子供のようです。
この夫婦岩を調べてみると、秋分から春分までの間、この岩の間から昇るダルマ朝日を拝むと、良縁に恵まれるという言い伝えがあるみたい。
場所は室戸岬町と佐喜浜町の境となる鹿岡鼻なので、この辺りへ訪れる機会があるならば、ぜひ足を運んでみて下さいね。
国道55号線を北上し続けていると東洋町へ入りました。
この町は徳島県との県境にあるので、この町を通り抜けると高知県とお別れとなるのですが、その前に立ち寄りたい場所がある。それが甲浦駅(かんのうらえき)です。
この駅には、近未来的な乗り物が運行しており、昔から一度実物を見てみたいと思っていました。
DMVを見物してよいよ徳島県へ入る
甲浦駅では、「DMV(デュアル・モード・ビークル)」が運行されています。DMVというのは、バスと電車を兼ねた乗り物で、2021年12月25日から運行されました。
私はその存在自体について昔から知っていたのですが、運行している場所が遠くにあるため、中々訪れる機会を作れなかったですね。
今回の高知徳島旅を計画した時に、これはチャンスと思い計画に組み込んだ次第です。
バスで走る区間と電車で走る区間が分かれており、甲浦駅が丁度切り替えを行なう場所なのは調査済み。ということで、これが甲浦駅へ訪れた理由ですよ。
甲浦駅へDMVが到着する時刻には、しばらくかかるので駅舎内で休憩して過ごす。
約1時間ほど待つと、ついにDMVがやってきたぞ!!
DMVの存在を知らなければ、絶対に普通のバスと思うだろう。
DMVがホームへ到着して一時停車すると、車体から車輪が飛び出してくる。私の頭の中では「トランスフォーム!!」とこだまする。
そして運転手の確認が終わると、あっという間に次ぎの駅へ向けて出発しました。いや~、これは面白いものが見れましたね。今度来る時には乗車してみたいかな。
興奮冷めやらぬ中、甲浦駅を後にして、本日のお宿がある徳島県の海陽町宍喰へ向かいます。
距離にして約5kmほどなので、気分的には既に終了モード。しかし、最後まで油断せずに行くぞ。
県境となる海陽町の案内標識が見えてきた。いつも思うのですが、県をまたぐ瞬間というのはワクワクします。
水床トンネルを抜けて道なりに走り続けると、宍喰ビーチへ到着。
全国各地からサーファーが集まる海陽町には、たくさんのサーフスポットがありますが、この宍喰ビーチ一帯もその中の1つです。
綺麗な浜辺は、見ているだけでも気持ちがいいですね。
その後は、国道55号線沿いにある「道の駅 宍喰温泉」へあっという間に辿り着きました。
この道の駅前にある海岸を眺めて過ごし、本日の旅はこれにて終了です。
まとめ
本日は天候にも恵まれて、自転車旅をより満喫できた1日でした。
午前中は室戸岬や室戸岬灯台、周辺の展望台を見て回り大興奮。晴天の下でジオパークが織りなす風景を眺めて過ごすのは、まさに至福の時間です。
その後、室戸半島東海岸のシーサイドロードを疾走したのですが、追い風が吹いたりしたため、気持ちよく走り抜けました。これだけでも満足度が高いですよ。
さらに室戸世界ジオパークセンターやむろと廃校水族館、DMVなどを見て回りましたので、本当に濃い1日でしたね。
明日4日目は、風光明媚な太平洋を望むドライブコースとして知られる「南阿波サンライン」を突っ切るぞ。そして、徳島県の美波町へ向かう予定です。
さて、どんな発見や出会いがあるのか楽しみですね。