
瀬戸内海には、しまなみ海道やとびしま海道、かきしま海道など「海道」の名が付くサイクリングコースが充実しています。
今回の旅は「瀬戸内の海道巡り」と題し、2泊3日で「しまなみ海道」と「ゆめしま海道」を巡ることにしました。
以前から何度も自転車旅で訪れており、毎回充実した時間を過ごしている。それだけ魅力的な場所ともいえますね。
初日は、尾道の古刹・浄土寺へ参拝した後で、裏山の浄土寺山を登山する予定です。浄土寺山には、浄土寺の奥の院と展望台があり、尾道を代表する絶景スポットの一つとして有名。
さらに因島へ渡り、知る人ぞ知る絶景スポット・白滝山を目指すぞ。
本記事では、しまなみ海道を旅しながら尾道・向島・因島・生口島を巡る自転車旅の様子をお届けします。
新尾道駅から旅立つ

新幹線に乗って岡山駅から新尾道駅へやってきました。
尾道へ向かう時は、いつもなら山陽本線で尾道駅へ向かうのですが、時短のために今回は新幹線を利用。何気に初めて新尾道駅へ下車した次第です。
それにしてもさすがは新幹線、速かったな~。岡山駅から約35分ほどで到着するとは。山陽本線では80分かかることを考えると、あっという間でした。
輪行袋に入れた自転車を担いでエレベータ前へ向かう。けれど、故障中でもなさそうなのにエレベータが稼働していない。ド・ウ・イ・ウ・コ・ト?
どうやらこのエレベータは、新幹線が出発した後で職員の指示により動かすタイプのようだ。このようなエレベータには、初めて遭遇しました。
ということは、改札をスルーしてそのまま外へ出るのではなかろうか。

職員に切符を手渡してエレベータに乗ると、案の定、改札をスルーして1階の駐車場へ到着。ある意味これは便利といえるかも。
いつも通りにテキパキと自転車を組み立てると、よいよ自転車旅のスタートです。

まず始めに尾道の古刹・浄土寺(じょうどじ)へ向かいます。
浄土寺といえば鳩と縁が深く、裏山の浄土寺山には奥の院が建ち、山頂からは尾道水道や尾道市街、しまなみ海道の島々を一望できる絶景スポットとして有名ですね。
本日は、この浄土寺山へ登山する予定ですよ。

石見銀山街道(県道363号)を南下して尾道駅方面へ向かう。それなりに交通量がありますが、通勤の時間帯だから仕方がない。
しばらくして、山陽本線の踏切を越えて長江口交差点へ到着。たしかこの近くには、千光寺山ロープウェイの山麓駅があったはずです。以前、このロープウェイに乗って絶景スポットの千光寺山公園へ向かったので良く覚えているぞ。
尾道へ来る機会は、それなりに多いので機会があればまた立ち寄りたいですね。

そうこうしている内に本通り商店街へ入りました。
本通り商店街は、尾道駅から東に約1kmほど続くアーケード街。ここでは、飲食店や雑貨店、衣服店などが軒を並べており、昔ながらのレトロな雰囲気がいい感じ。
朝が早いためか、人通りはまばらでしたね。自転車を徐行させながら、その雰囲気に浸ります。

本通り商店街を抜けて、国道2号線を挟んで向こう側の通路を進むと図書館を発見。周囲には浄土寺の案内板があったので、指し示す方向へ進む。
緩やかな上り坂となりますが、石畳の雰囲気が実にいい。自転車で走りやすいかは置いといて、散歩するのには持ってこいだろうな。

そんな石畳の道を進んでいると、右手側に尾道市街と尾道水道の景色が広がっているではないですか。うん、こういう景色は大好物なので、思わず自転車を停めて景色を楽しみました。
尾道水道の海面がキラキラ光って見えるので、とても綺麗ですよ。
そして、しばらくすると浄土寺へ到着しました。
浄土寺で鳩と戯れたり、登山を楽しむ

浄土寺へ到着すると、まずは本堂へ参拝。その後はいつも通りに境内の散策を勤しむ。
国宝の本堂や多宝塔、その他にも山門や阿弥陀堂など国の重要文化財など見応えがありますね。
また、名勝の庭園があるのですが、丁度私が訪れたタイミングが悪かったらしく修繕中でした。今度来た時の楽しみにとっておきます。

境内には、たくさんの鳩が集まっており、トテトテ歩く姿が可愛らしい。
親子でエサをあげている人がいたためか、いきなり鳩が私の腕に飛び乗ってきたのにはビックリしましたね。きっと、エサをねだりにきたのだろうな。
実は、浄土寺は江戸時代に伝書鳩を大いに活用していたそうな。大阪の相場情報をいち早く伝達することで儲けたようで、尾道を繁栄させる原動力となったというのだから凄いですね。


そのためか鳩に関連するものが境内のあちこちで見かけるぞ。たとえば、鳩の絵馬が奉納されていたり、本堂にはズラリと並んだ「導きの白鳩」に目を引きます。
一通り、境内を見終えると、よいよ浄土寺山へ向かうぞ~。
東門を出て左手側へ突き進む。しばらくすると、遊歩道(観音のこみち)の入口前へ到着。さて、気合を入れて登ろうか。

観音のこみちは、石段が崩れたりしていないので比較的安全に歩けます。一部足場が悪いところもあったかな。
それに道中には、33体の観音様が祀られていたり、天空の鳥居があったりするのでテンションが上がる、上がる。
また、大小様々な巨石を始め、不動明王や子宝観音の磨崖仏を見かけるので、尾道巨石文化を満喫できました。

30分少々歩いたでしょうか。ついに山頂へ到着。奥の院へ参拝をすますと、奥にある展望台へレッツゴー♪
らせん階段を上り展望台から眼下を見下ろすと、そこには斜めに横切る尾道水道と共に尾道市街が広がり、向島にある造船所、しまなみ海道に属する島々が美しかったです。
360度を見渡せる造りとなっているのですが、眺望が良かったのは西側方向だけなのが少しだけ残念かな。
それでもその西側方向の景色は、すこぶる良かったので気になりません。また、下から吹きあがる風が強すぎ。思わずかぶっていた帽子を脱いだほどです。
しばらくの間、尾道水道が織りなす風景美を堪能すると、下山して浄土寺へ戻りました。
浄土寺や浄土寺山の登山については、下記関連記事でくわしく紹介します。
渡し船で向島へ渡り、因島を目指す

お腹も減ったことだし、渡し船で向島へ渡る前に腹ごしらえといきましょう。
尾道へきたら、やはり「尾道ラーメン」を食べるのが私の信念(笑)
尾道駅周辺には、多くの尾道ラーメン店があるので、どれを選べばよいのか悩ましいですね。たまたま渡し船の乗り場付近で「朱中華そば店」を発見。お店の前には少し行列ができている。
とりあえず、近くにいた人にお店について聞いてみたところ、どうやら有名なお店みたい。普段なら行列に並ぶことはしないのですが、興味本位で並びました。

どうやらお店の回転率が良いみたいで、行列に並ぶこと数分で中へ入れたぞ。メニューは少ないみたいですが、私には関係なし。なぜなら尾道ラーメンしか頼まないからだ。
甘い醤油ベースのスープと背脂、小魚の薫りがするラーメンは、食欲のさそうこと。また、平打ち麺もいい感じで、実に美味しかったです。
後からお店について調べてみると、2019年6月に休業を宣言した超有名店「朱華園」の流れを汲むお店なんだとか。朱華園の休業は前から知っていたのですが、後継店があるとは知りませんでした。

さて、お腹も膨れたことですし、よいよ渡し船で向島へ向かいます。いつもは、尾道駅前桟橋から渡し船へ乗るのですが、本日は兼吉桟橋から乗船。
というのは、向島の南側から因島大橋へ向かう予定なのでこちらの方が便利と思ったからです。

兼吉桟橋の近くには、立入禁止の広場があります。この広場は、かつて日本で初めてファスナーを製造した日本開閉器工場があったそうな。
ここからファスナーが日本に広まったとを思うと、何だか感慨深い。現在では、「しまなみフェスティバル」などのイベントに利用されています。
チャック広場を後にして、水路沿いの道を南下。突き当りを左折すると、国道317号線へ入りました。そして、東方向へ進み二番潟交差点が見えてくると、真っ直ぐ進み向島循環線(県道377号)へバトンタッチ。

そのまま道なりに進むと、向島農協西交差点へ到着。
右手側に目を向けると、弥生寿し向東店がありましたが、それよりもこのお店の近くには、地面に突き刺さる黄色い車に衝撃を受けました。

いきなりこのような光景を目の当たりにすると、「何だこれ~~!!!」となってしまうのは仕方がないでしょう。
これは安全運転の啓蒙活動の一環なのだろうか。どういう意図で、このようなオブジェを設置したのか知りたいですね。

向島農協西交差点を右折して約1.5kmほど南下すると、今度はキングコングの登場だ。
なぜこんなところにキングコングがいるのかは不明ですが、いやはや楽しませてくれる。

その後、向島循環線を西へ向けて500mほど進むと、目立たない道の脇にポツンと置かれたモアイ像を発見。
またしても何でこんなところにいるの?と思いますが、面白いからOKです。
きっと、向島をサイクリングする人たちの安全を見守っているのでしょう。こういうのは、ポジティブに考えるの吉だといえます。

瀬戸内海を横目で眺めながら、急坂を越えたり、緩やかに坂道を突き進んでいると、次第に平坦路になっていく。
そうなると、重力から解放されるため、自然に自転車のスピードもアップ。潮風が気持ちよく、周囲の景観と相まって、ペダルを回す力も入るというものですね。

そして立花地区へ入ると、海へ向けて立つ鳥居に遭遇。瀬戸内海の島々を旅していると、このような鳥居に出会う機会がそれなりに多いかな。
しかし、そういう場所は私の経験上、決まって景観がよい場所ばかりなんですよ。また直ぐ近くには、狛犬や常夜灯も設置されており、雰囲気が実に良し。
このような風景に出会うと、愛車と一枚撮るのは、最早私にとってお約束です。
その後、約2kmほど道なりに進むと、目の前に因島大橋が見えてきました。
【自転車旅に役立つアイテムの紹介】
自転車旅に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
白滝フラワーラインを疾走、そして白滝山へ

因島大橋は、布刈瀬戸をまたいで向島と因島を結んでいます。
1983年に本州四国連絡橋の吊橋として、最初に完成した橋ですね。上下で2層の構造になっており、しまなみ海道間の島々に架かる橋の中でもこのような構造はここだけですよ。
全長は1,270mもあるので、歩くとそれなりに時間がかかりますが、自転車であればゆっくり走っても体感的にそれほど時間を感じません。

この大橋を渡り因島へ上陸を果たす。そのまま歩行者・自転車道を下り、右手側へ向くと白滝山の案内板を発見しました。

次なる目的地である白滝山へ向けて、白滝フラワーラインへ入ります。白滝フラワーラインは、因島中央部を尾根伝いに続く道であり、山頂近くまでは劇坂が続く。
この道を抜けると、重井地区にある因島フラワーセンター前へ出るだけなので、単純に生口島へ向かうのであれば、海岸線沿いの周回道路を利用した方が体力的にかなり楽。
しかし、白滝フラワーラインでしか体験できない景色があるのも事実なので、その当たりはお好みで選ぶと良いでしょう。

勾配は10%前後が続くので、初心者にはツライと思う。私はギアをインナーロー(ロー側は32tですよ)に切り替えて登っていたのですが、どうやらギアが不調のようで、不定期に歯飛びが発生する事態に。
そのため、ペダルを回している最中にガクッとしたりするので、ダンシングもままなりません。
仕方がないので、インナーローを諦めて1段上のギアで上りました。

そんな状態の私の後ろから、電動アシスト自転車に乗ったお二人が悠々と私を抜き去ります。
やはり坂道では、電動アシストの恩恵が素晴らしいですね。ロードバイクで劇坂を上っていると、時々電動アシストが羨ましくなるぞ。
けれど、登り終えた後の達成感は格別なので、どちらが良いかは賛否両論があると思います。

白滝フラワーラインの中程までくると、右手側に除虫菊畑を見つけました。
除虫菊といえば、蚊取り線香等の原料なので知っている人も多いだろうな。そもそも除虫菊は、因島のトレードマークだった花ですよ。
昔は産業として栽培してましたが、今は鑑賞用として島内数ヶ所で栽培されており、島民に愛されています。
どうやらこの畑は、自由に中へ入っても良いみたい。これは行くしかないでしょ。

残念ながら真っ白な花を咲かせるのは5月なので、当分まだ先です。けれど、この場所は、因島大橋が良く見えるビュースポットになっている。
園内には、木の椅子や机もあるので、景色を楽しみながら休憩できるのがいいですね。
除虫菊畑にして、約100mほどのぼると、白滝フラワーライン北展望台へ到着。せっかくなので、立ち寄りました。

ここまで来たら、白滝山の八合目にある駐車場(白滝フラワーライン駐車場)までは残り約1kmほどです。
さらに劇坂が続くので、疲れているのであれば先ほどの除虫菊畑かこちらの東屋で休憩していこう。
この先には、ラスボスといえる更なる劇坂があるぞ。

展望台からは、瀬戸内海に浮かぶ島々や田園と造船所が織りなす風景が広がっています。
うん、実に良い景色。これは立ち寄って正解でしたね。

白滝フラワーライン北展望台を後にしてしばらくすると、ちょっとした環状道路が見えてきました。円状の中心部に立つ大きな鉄柱が印象的。
この円柱の回りを車が回転通行して、進行方向の向きを変えられます。

さらに本日のラスボスともいえる勾配13%の劇坂の登場だ。
ここさえクリアすれば、本日の残りはほぼ平坦路となるので、ここで足を使いきっても大丈夫。ということで、インナーローを封印したまま、一気に駆け上りました。

ふ~う、疲れたぜ。駐車場に自転車を停めると、よいよ白滝山の山頂を目指して登山の開始です。
ちなみに、駐車場の奥には休憩できる東屋もあるぞ。
山頂までは約220mほどなので、歩いて10分ぐらいかかります。登山道は整備されているので歩きやすいですね。
それに表参道に続く石段は、手すりがずっと続くのがありがたいかな。転倒防止を期待できるし、何よりも段差を越える時に楽ができます。
山頂へ辿り着くと、五百羅漢像がお出迎え。五百羅漢と呼ばれてはいますが、実際は大小約700体の石仏がいるぞ。

この五百羅漢像も凄いですが、それ以上に白滝山山頂からの景観は見事なり。
石仏が見つめる方向には、瀬戸内海に浮かぶ大小さまざまな島々が織りなす景観が感動的です。また、視界を遮るものがなく、360度のパノラマ絶景を楽しみました。
白滝山については、下記関連記事でくわしく紹介します。
生口島で島ごと美術館を堪能

白滝フラワーラインを一気に下り、西浦三庄田熊線(県道366号)へ合流すると、道なりに南下する。
海岸線を走るので、潮風が気持ちいいですね。浄土寺山と白滝山の登頂を達成した余韻に浸っていると、目の前に生口橋が見えてきました。
この橋を渡れば、生口島です。生口島には、野外にアート作品が点在します。


本日はすでに目的を達成しているのですが、まだ日が落ちるまでには時間に余裕があるので、アート作品を見て回ることにしました。
瀬戸田の市街地へ入ると、瀬戸田町観光案内所周辺にはたくさんのアート作品を目撃した次第です。

その中でも印象的だったのが、こちらのサックスをモチーフにしたアート作品。
どうですか、凄いでしょ。ぜひ軽快なBGMを奏でて欲しい。

そして、夕暮れ時に海水浴場としても有名な「瀬戸田サンセットビーチ」へ到着。
ビーチによく似合うトロピカルな雰囲気の作品が、オレンジ色に染まる様が実にいい。
その後、お宿へ向けて移動し、本日の旅は終わりを告げました。
尚、島ごと美術館については、下記関連記事でくわしく紹介します。
まとめ

1日を通して、強い風が吹き荒れた日でした。そのため、必然的に自転車はゆっくりと進むことに。まぁ、たまにはこのような日があってもいいものです。
浄土寺では、思いもよらず鳩に触れあいました。さらに浄土寺山を登山して、山頂から眺めた尾道水道と尾道市街、しまなみ海道の島々が印象的でしたね。
また、因島では知る人ぞ知る絶景スポット・白滝山を登山して、箱庭的な瀬戸内海の多島美を満喫した次第です。
そして、生口島へ入ると、島内に点在している野外アート作品を見て回り、楽しい時間を過ごせました。
明日はしまなみ海道の後半戦。大三島・伯方島・大島を渡り今治市街へ向かいます。それに今回の旅では、久しぶりに伯方島をほぼ一周する予定ですよ。
さらに亀老山をヒルクライムするぞ。昨年(2024年)は残念ながら頂上にある売店へ辿り着いた時には、玉藻アイスが売り切れだったかな。ということで、リベンジを行ないます。
さて、どのような旅になるのか乞うご期待!
尚、2日目の自転車旅の様子は、下記関連記事で紹介します。