
日本国内には「猫寺」や「犬寺」と呼ばれるお寺がたくさんありますが、「かえる寺」の愛称で知られるお寺は珍しいのではないだろうか。
そんなお寺が、福岡県小郡市の町中にある「如意輪寺(にょいりんじ)」です。
境内には、約10,000体のカエルの像や置物が至るどころに置かれており、カエルワールドを全開中。ユーモラスな表情や仕草に癒されて下さいね。そして、縁起の良い「カエルパワー」をチャージしよう。
また、カエルだけではなく、地元ではその歴史が一番古い古刹ですよ。仏様へ日々の感謝や願い事を伝えてみてはいかがですか。
本記事では、福岡の珍名所として国内だけでなく、海外からも観光客が押し寄せるほど魅力的な「如意輪寺」を紹介します。
目次
如意輪寺(かえる寺)とはどんなところ、所要時間は?

如意輪寺は、福岡県小郡市横隈に位置する真言宗御室派のお寺です。奈良時代前期に当たる西暦729年に行基(ぎょうき)により創立されました。
山号は清影山。横隈観音(よこぐまかんのん)とも呼ばれています。御本尊は如意輪観音(福岡県指定文化財)ですね。如意輪観音といえば、座っているお姿が一般的ですが、こちらの御本尊は日本で唯一の立像ですよ。
そもそも「如意」という言葉には、「物事が自分の思うままになる」という意味がある。そのため、私たちの様々なお願いを叶えてくださるありがたい観音様です。
境内には、「無事かえる」「元気がかえる」「お金がかえる」といった、色々な願いを込められたカエルの像や置物がいっぱい。交通安全や金運向上、長寿などのご利益を求めて多くの参拝者が訪れる。毎年6月6日には、カエル祭りが執り行われています。

こちらの案内図により、境内には本堂を始め、薬師堂や地蔵堂、癌切不動、多宝塔などたくさんのお堂や塔があるのが分かるだろう。
境内はそれほど広くないので、一通り見て回るだけであれば所要時間は30~60分ほど。無数にあるカエルの像や置物をじっくりと見て回るのであれば、1時間以上は見ておきたい。
如意輪寺は「かえる寺」の愛称で呼ばれ、九州八十八ヶ所百八霊場第三番札所や筑後西国霊場第八番札所、九州二十四地蔵尊霊場第十番札所、九州三十三観音霊場第五番札所に指定されています。
インパクト抜群なお出迎え(駐車場から山門まで)

如意輪寺は住宅街の一角にあり、最寄り駅の西鉄大牟田線「三沢駅」から約15分ほど歩くと、辿り着きます。
歩きの場合ですと、いきなり山門へ向かう人が多いと思いますが、ちょっと待って下さい。実は駐車場から山門へ続く通路には、面白い演出がある。見逃すのはもったいないので、歩きで訪れた人もまずは駐車場へ向かいましょう。
駐車場は、山門前の広場より北へ約50m離れた場所にあります。



駐車場から山門へ向かう細い通路の入口には、トーテムポール風のカエルの像と大きな5円玉があり、とても目を引きました。
どうやら「良いご縁がありますように」と歓迎してくれているようです。

そして通路には、ずらりと並ぶカエルたち。背の高いカエルは、カエル七福神ですね。背の低いカエルもいて、中には細い板を持っていたりする。
その板には文字が書かれているのですが、薄っすらしていて「共に〇〇楽しく」としか読めなかったかな。だけど、歓迎しているのは伝わりました。


通路を抜けると、山門前の広場に到着。そこでもたくさんのカエルの像と置物が並んでいます。
特に色とりどりの丸くて大きなカエルの置物には、黒ペンでびっしりと色々な言葉が添えられているではないですか。
インパクト抜群なお出迎えに、否が応でも期待値が膨れ上がるぞ。

山門前の両隣りには、阿形と吽形のカエルの仁王象を発見。睨みを効かせて悪しきものからお寺を護っているのですが、いかんせん可愛すぎる。これでは、ナメられませんかね?(笑)
さらに山門のすぐ近くには、釈迦如来像があって座禅を組んだカエルがいるのも面白い。それでは、山門をくぐり抜け、カエルワールドを堪能して下さいね。
かえる尽くしの境内にビックリ

冒頭でも触れた通り、境内には約10,000体のカエルの像や置物が配置されているので、とても写真映えするところばかりです。
参道の階段脇や中庭など色々な場所に隠れていたり、堂々とした姿で己の存在をアピールしていたりするので、探し出してみよう。どのカエルも表情や仕草がユーモラスで、カメラのシャッターをきる指が止まりません。

たとえば、こちらの等身大の「握手かえる」に注目。きょとんとした表情で、右手を差し出している。
友好の意思を示しているのは分かりますが、表情と一致していないのが面白いですね。え、握手をしたかですって?もちろん、笑顔で握手をしました。

おっ、カップルのカエルがいるぞ。人目もはばからず、仲良く手をとりあって向き合う姿は、実に微笑ましい。人によっては、嫉妬してしまうかも。
すぐ隣には「出会い楽しく」と書かれた立札があるのもいいですね。境内には、このような立札が、あちこちにありますが、ご住職自身が書いているそうですよ。この札が、より温かみを増してくれます。
握手がえるもそうでしたが、どこか人間っぽいシルエットのカエルたちには、妙にリアリティを感じてしまう。
それでは、ほんの一部ですが境内で出会ったカエルたちを紹介。





カエルだけでなく、ユーモラスなお地蔵様も多い。ピースサインをしていたり、両手を上げて体いっぱいに喜びを表現していたりする。
普段の慈愛に満ちた姿を知っているだけに、思わず笑ってしまいました。

また、ウサギやネコ、トトロ、くまモンの像もあるではないですか。そして、疫病封じの妖怪で有名なアマビエもいるとは。いやはやバラエティーに富んでおり、決してカエル一辺倒ではありません。
たくさんのカエルたちを見ていると、様々なメッセージを受け取るのではないだろうか。そのメッセージは、人によって色々だろう。
そもそもカエルは常に前へと飛び跳ねる生き物ですね。目的を達成するには、一時的に立ち止まることがあっても、いずれ必ず前を向いて歩かなければならない。訪れた人の気持ちが、前に向くような願いが込められている気がします。

個人的に印象深かったのが、こちらの「くぐりかえる」です。大きく開けた口の中をくぐると、悪いことを良いことに変えてくれるという。
穴の大きさからして、子供ならともかく大人がくぐるのは難しく見えますね。そういう時は「案ずるより産むが易し」かな。
意を決して「若がえる」「元気がかえる」「笑顔がかえる」など色々な思いを念じながらチャレンジすると、意外にもすんなりと通り抜けました。
個人の体格しだいでは、大人でも大丈夫なようなので、チャレンジしてみてはいかがですか。結構楽しいですよ。

楽しいといえば、こちらの緑色のカエルに注目しよう。
というのは、このカエルの前を通ると、センサーで感知して口からシャボン玉を飛ばすぞ。これは子供に喜ばれる演出ですね。


本堂の奥に続く裏山にも、たくさんのカエルたちがお待ちしています。それに加え、桜や新緑、紅葉など季節の移ろいもあわせて楽しもう。
裏山には、人間の一生を表現した「人生かえる」の壁画があるのでお見逃しなく。(壁画については、後で紹介します)
【神社仏閣の紹介(その1)】
旅先で訪れた動物と縁がある神社仏閣を、下記記事で紹介します。
「かえる部屋」にはカエルグッズがいっぱい

本堂の隣には、お守りを授かる授与所と「かえる部屋」と呼ばれる部屋があります。
かえる部屋の入口へ足を運ぶと、木彫りの大きなカエルこと「お宝かえる」に目を引くだろう。宝の入った大きな袋を抱えているカエルは、実に縁起が良さそうだ。樹齢120年の楠で作られたそうですね。
部屋の中へ入ると、思わず「カエル!!!!」と心の中で叫びたくなるほど、所狭しに並べられたカエルグッズに圧倒されます。



たくさんあるカエルグッズの中から、金色に輝くカエルの置物を発見。そのカエルには「拾財进宝」の文字が見て取れる。
どうやら中国語のようなので、Google先生に翻訳してもらうと「宝物を拾う」とのこと。そのことから、徳川埋蔵金を連想してしまう人がいても不思議ではないかも。(私がそうでした。)

視線を天井に向けると、花天井となっており、花曼荼羅が描かれている。まさかとは思い、じっくりと見ていると、やはりいました「カエル」が。うん、期待を裏切りませんね。
これらのカエルグッズですが、もともとは、住職が中国に旅行した時にカエルの置物をお土産にしたのがきっかけだったそうで、徐々に置物の数が増えいったそうです。もちろん奉納されたカエルもいます。
始めた当初は批判などがあったそうですが、近年ではメディアなどにも取り上げられて、認知度もアップ。珍名所として名が知られ、多くの観光客が訪れる人気スポットになりました。
恋愛成就やストレス解消などありがたいご利益の仏様が多し

如意輪寺は、小郡市で一番古い歴史と由緒のあるお寺です。
ここまで、カエルばかりをクローズアップしてきましたが、境内にはお地蔵様を始め、学問向上の「文殊菩薩」やガンの病祈願の「癌切不動明王」など様々な仏様がお出迎えしてくれます。
愛染明王のお堂では、ピンク色のハート形をした絵馬がたくさん奉納されていて目を引きますね。そもそも愛染明王は、良縁・恋愛成就・恋愛運・結婚運アップの仏様として有名。そのお力を授かりに訪れる人が多いのも分かるかな。

お堂の中には、愛染明王像が安置されているだけでなく、ピンク色のカエルが隠れているのが面白い。いかにもかえる寺らしいですね。
また、お願い事をする際には、お堂の前に敷かれたピンク色のハートマークのマットに立つのが良いだろうな。

こちらは、抱きつき観音です。その名の通り、観音様に抱きついてお祈りするという。
観音様に心から委ねることで、日頃の悩みやストレスの解消につながります。このような体験ができる観音様は珍しいですね。実際に人前で抱きつくのは、抵抗を覚える人が多そうですが・・・


煌びやかな龍神様を見かけると、思わず手を合わせてしまうかも。そして、龍神様の足元にある鉢に目を向けると、そこには苔むしたカエルがたくさんいるではないですか。実に趣きがあっていい感じです。
少し離れた場所には、龍神観音が祀られているぞ。また、龍神厄払玉(有料)を使って、災いや悪いことを厄玉に移して、的の水晶に目掛けて厄払いを行なえる場所もある。
なるほど、これはストレス発散に良さげかな。観音様に抱き着くのに少し抵抗を覚える人にもおすすめです。
境内には、たくさんの仏様がいらっしゃいますので、ピンときた仏様に出会ったならば、日頃の感謝の気持ちを込めてご祈願して下さいね。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
人間の一生を表現した「人生かえる」の壁画

裏山には、108匹のカエルのレリーフにて人間の一生を表現した壁画があります。
産まれたときから幼少期・少年期・青年期・成人期・老年期を経て、お亡くなりになるまでを描いた壁画は一見の価値あり。
七五三や成人式など人生の節目では、メッセージを刻んだ石板も飾られていて、読んでいく内に自然に心が温かくなりますね。



壁画を眺めながら、今の自分をゆっくりと見つめなおしてみよう。前へ走り続けるだけでなく、時には立ち止まり、自分の歩んできた歴史を振り返るのも大事なことです。
もし何かに行き詰っているのであれば、自分の原点に返って考えることで、何かしらのヒントが見つかるかも知れません。
涼しげな音色を楽しめる「風鈴祭り」

毎年、如意輪寺では風鈴祭りが開催されます。
期間中には、参道や境内に数千個の風鈴が飾られ、風鈴に取り付けたカラフルな短冊が、そよ風にユラユラ揺れる景色は幻想的ですね。とても写真映えするフォトスポットですよ。
また、風鈴の涼しげな音色は、夏の暑さを忘れさせてくれます。風鈴は、境内にある授与所で販売されており、持ち帰ることはNG。なので、願い事を書いて奉納するように。
風鈴祭りの開催時期については、小郡市観光協会(TEL 0942-72-4008)で確認して下さいね。ちなみに2025年は、4月下旬~8月下旬まで開催されました。
如意輪寺(かえる寺)の基本情報とアクセス
| 住所 | 福岡県小郡市横隈1728 |
| 電話番号 | 0942-75-5294(如意輪寺) 0942-72-4008(小郡市観光協会) |
【アクセス】
- 西鉄大牟田線「三沢駅」より徒歩約15分
- 大分自動車道「筑後小郡IC」から車で約8分
如意輪寺(かえる寺)の駐車場
如意輪寺には、無料駐車場があります。(普通車30台)
まとめ

如意輪寺は、カエル好きな人はもちろん、そうでない人も思わず笑顔がこぼれてしまうほど魅力的なお寺です。
聞くところによると、訪れた人たちに喜んでもらえるオープンなお寺をモットーにしているという。駐車場から山門前の広場、そして境内にいたるまで、カエルたちが繰り広げる異世界をぜひ味わって下さいね。
そして、カエルが持つといわれる幸運の力や縁起の力を授かろう。福岡県小郡市だけでなく、近くの福岡市や太宰府市などへ観光する際には、かえる寺こと如意輪寺へ足を運んでみてはいかがですか。

