
私の趣味の一つには、神社仏閣巡りがあり、自転車と共に旅をしながら良く参拝へ訪れます。
とある日の午後、面白そうな神社仏閣がないか調べていると、福岡県に「かえる寺」があるというのを知りました。
猫寺や犬寺、うさぎ寺などは聞く機会は多いのだけど、かえる寺とは珍しい。くわしく調べると、とてもユニークなお寺だと分かりました。それに太宰府市には、学問の神様・菅原道真公を祀る超有名な太宰府天満宮がありますね。
こうなると、いつの間にか「いつ行くのか」「旅のコースはどうするのか」「他に面白そうな所はないのか」など色々と考えてしまうのも仕方がないでしょう。
最終的には、福岡県久留米市まで輪行して、そこから自転車で北上後、博多を経由して東へ進み関門海峡を渡り本州へ向かうことに決定。こうして、2泊3日の福岡横断の旅が始まった次第です。
本記事では、久留米市から福岡市博多区まで1日目の自転車旅の様子をお届けします。
目次
久留米駅から旅立つ

はるばるやってきました福岡県久留米市。
岡山駅にて新幹線に乗り込み、約480kmの距離を約2時間10分かけてJR久留米駅へ辿り着きました。さすがに2時間以上も鉄道に乗り続けると、かなり遠くへ来たのだという実感がわきますね。
それに、新幹線ではずっと座りぱなしだったので、体がウズウズしているぞ。ということで、いつも通りに駅の改札口を出ると、輪行袋からロードバイクを取り出して、テキパキと旅の準備を整えます。
最初の目的地は、かえる寺こと如意輪寺(にょいりんじ)ですよ。久留米駅から距離は約15kmほどなので、ウォーミングアップにも丁度良いでしょう。

駅前からブリヂストン久留米工場の真横を走るブリヂストン通りを疾走。美しいけやき並木がいい感じ。
空を見上げると、薄っすらと白い雲が空一面にかかっているため、テンションが上がらいかなと思っていましたが、これから向かう如意輪寺のことを考えるとワクワクしますね。それだけ期待値が高い証拠ですよ。

ブリヂストン通りから医大通り(県道17号)へ入ると、そのまま北上します。すると、前方に築後川が見えてきました。
築後川といえば、暴れ川として古くから洪水が頻繁に発生したことで有名。別名が「筑紫次郎」といって、日本三大暴れ川の一つなんだそうな。
そういえば、以前に徳島県で吉野川沿いを走ったり、千葉県で利根川沿いを走ったことがあるので、これで日本三大暴れ川を全て目にしたことになりました。

築後川に架かる小森野橋を渡ろうとし時に、ふと振り返ってみると、久留米大学の校舎を目撃。格調高い外観が良いですね。

小森野橋を渡った先には、筑後川の支流である宝満川が流れており、その川沿いの道を東へ向けて自転車をゆっくりと走らせます。
そして、県道88号へ合流すると北上し、しばらくの間は天神大牟田線の線路と並走しました。

すると、どこからか「カン、カン、カン!!」と踏切が閉まる音が響いてくる。
通過してくる電車を一目みようと自転車を停車すると、しばらくして、アイスグリーンにボンレッドの帯を配したデザインの電車が颯爽と通過するではないですか。急いで準備を整えて、愛車と撮影していた次第です。
私は撮り鉄ではありませんが、電車自体を見るのは好きな方なので、往々にしてこういうことがあるかな。一部のマナーの悪い人により、撮り鉄に悪いイメージを持たれるのは残念でなりません。

いつの間にか久留米市を離れ、小郡市の横隈地区の住宅地へ入っており、そこで如意輪寺の案内板を見つけたので、案内板の指し示す方向へ向かいました。
よいよ「かえる寺」とのご対面です。どのような出会いがあるのか楽しみ。
かえる寺として親しまれる如意輪寺が面白い

如意輪寺は奈良時代前期に創立された古刹であり、その歴史は地元で一番古いといいます。御本尊は如意輪観音ですね。座っているお姿が一般的ですが、こちらの御本尊は日本で唯一の立像なんだとか。
それだけでも珍しいのですが、愛称で「かえる寺」と呼ばれるだけあって、境内には約10,000体のカエルの像や置物が配置されているというのだから凄いですね。今では国内外から多くの観光客が訪れる福岡の珍スポットとして名を馳せています。

折しも風鈴祭りが開催されていて、これにはビックリ。事前に調べた時は、例年夏に開催されるということだったので、春にあるとは嬉しい誤算です。
後から分かったのですが、今年(2025年)は4月下旬から開催されたということ。年々気温が高くなる日が早まっているので、早期に開催したのかも知れません。

本堂へ向かう道すがら、大小様々なカエルの像やお地蔵様たちがお出迎え。カエル七福神もいました。本堂にてお参りを済ますと、よいよ本格的に境内を一通り見て回り、カエルワールドを楽しむぞ。




「無事かえる」「元気がかえる」「お金がかえる」といった、色々な願いを込められたカエルたち。
ユーモラスな表情や仕草に癒されながら、カエルパワーをチャージしました。日本では、カエルは昔から縁起が良いとして、様々なアイテムに起用されています。
金運や幸運、仕事運、豊作、子宝運、交通安全、健康、若さなどの様々なご利益があり、縁起物のスペシャルリストと呼べるだろうな。ちなみに海外でも人気が高く、ヨーロッパでは「幸運」、中国では「財運」、エジプトでは「豊穣」のご利益があるという。
そう考えると、国は違っていてもカエルに対する思いには、共通するものがあるのでしょう。
かえる寺こと如意輪寺については、下記関連記事でくわしく紹介します。
太宰府天満宮へ行こう

如意輪寺を後にして、次に向かうのは太宰府天満宮です。
如意輪寺の西側を通過する県道88号線へ再び合流すると、そのまま道なりに北上。周囲には、住宅や飲食店、ドラッグストア、ガソリンスタンドなどが建ち並びます。
そのような場所を自転車で駆け抜けて、津古三差路交差点へ到着すると左折し、原田停車場津古線(県道603号)を突き進むと、筑紫野へ入りました。その後、JR原田駅の近くにある交差点を右折して、長崎街道を北へ向けて道なりに進みます。
少しお腹がすいてきたので、サイコンで時刻を確認すると12時頃。うん、何とも正確な腹時計だ。(笑)
ということで、どこかで昼食を食べようかと考えていたら、前方に「博多ラーメン膳」という飲食店を発見。

店前の看板には、「おいしいラーメン 320円」と書かれていたのでビックリ。今時この金額でラーメンを提供できるとは、凄くないですかね。
早速お店へ入ると、おいしいラーメンを注文。トッピングには、キクラゲやもやしなどを追加できますが、ベースが安いので気にせずに色々と注文できるかな。(私はしませんでしたが)
せっかくなので、麺は大盛とご飯をプラスして注文しました。

うん、これは美味しい。コシとしなやかさを両立させた滑らかな麺と、深いコクと豚骨の旨味のあるスープが実に良い。
もし私がこの辺りに住んでいたら、よく食べに訪れただろうと思います。本当にコスパ最高のラーメンですね。
美味しい食事でお腹を満たすと、上機嫌になる人が多いだろう。寡聞に漏れず私もその一人であり、そうなると自転車のペダルを回す足も軽やかになりました。



再び長崎街道を北上して、筑紫交差点で右折する。そのまま道なりに進むと宝満川が見えてきます。
宝満川に架かる橋を渡り、久留米筑紫野線(県道53号)へ入る。周囲を見渡せば、一面には畑が広がり、遠くには山々が連なるのどかな風景がいい感じ。

その後、宝満川に沿いながら常松地区から阿志岐地区へ向かい、途中で宝満川と別れると吉木地区へ入りました。
このようにして、筑紫野太宰府線(県道76号)へ合流を果たすと、進路を西側へ変更して、そのまま道なりに突き進むと、大宰府市街へ到着。

太宰府駅前へ向かうと、辺り一面には人があふれています。駅前には、太宰府天満宮の表参道があり、そこには食事処やカフェ、土産屋、雑貨屋など多くの店舗が軒を並べている。
さすがは年間850万人以上の参拝者や観光客が訪れる太宰府天満宮のお膝元だけあって、平日でも尋常じゃない人混みですね。
とても自転車では通れないので、太宰府駅の無料駐輪場に自転車を停めて、歩いて太宰府天満宮へ向かうことにしました。
【自転車旅に役立つアイテムの紹介】
自転車旅で役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
太宰府天満宮の賑わい

神社仏閣に興味がある人ならば、太宰府天満宮を知らない人はいないと思います。たとえそうでなくても、超有名な神社なので、一度はその名を聞いた人は多いだろう。
ご存じの通り、学問の神様・菅原道真公を祀り、学業成就や受験合格、厄除けなどのご利益がある全国約12,000社の天満宮総本宮ですね。
賑やかな表参道を約5分ほど歩くと、太宰府天満宮へ到着。三の鳥居の奥には、「撫で牛」とも呼ばれる伏せた「御神牛(ごしんぎゅう)」があり、その前には行列ができているではないですか。

パッとみた感じだと、30~40人ほど並んでいるぞ。まぁ、全国にある天満宮で同じみの「撫で牛」なので、目新しさは感じませんでしたが、総本宮ということもあり、とても轟々しく感じてしまいます。
また、観光客の撮影スポットとしても人気が高いですね。私も行列に並び、御神牛を撫でたのは言うまでもありません。
境内には、大きな樟がたくさん並んでおり、豊かな自然を感じられる。心字池(しんじいけ)に架かる太鼓橋を渡り、御本殿へ向かいました。
今は丁度御本殿は、大改修が行われている最中なので、話題の「仮殿」へ参拝。

仮殿の屋根には、桜や梅、シャクナゲなど60種類の植物が植えられていて、ここまで自然と一体化した社殿というのも珍しいです。
仮殿は、御本殿の改修工事が終わればその役割を終えるので、今しか参拝できない特別感がありますね。(御本殿の改修工事は、2026年に完了予定)



また、境内には「天神の杜」と呼ばれる場所があり、散策しているととても気持ちが良い。木漏れ日の中、鳥のさえずりに耳を傾けていると、天満宮の近くであることを忘れそうです。
さらに37社の境内社(摂社・末社)があり、天神の杜にも高良社や櫛田社、宰相和泉社などがある。特に御本殿の裏手から約500mほど離れた場所には、天開稲荷社があり、知る人ぞ知る強力な開運のパワースポットですよ。

おっ、これは相輪橖(そうりんとう)ではないですか。日本では、仏教の塔の新たな形式を示す象徴的な存在で、全国にわずか8基しかない貴重なもの。九州ではこの1基のみが現存しています。
これは、太宰府天満宮の神仏混交時代の名残りともいえますね。これを見て、以前徳島県で訪れた太龍寺にも同じものがあったのを思い出しました。(太龍寺については、こちらの記事で紹介)


こちらは「筆塚」と「包丁塚」です。
その名の通りに、筆塚には使い古した筆記具を供え、包丁塚には古い包丁を納めるという。大切に使われてきた道具への感謝を忘れないのは大事ですね。

境内には、楼門や太鼓橋などの華やかな建築物や、天然記念物の大樟や夫婦樟、不思議な逸話が残る御神木「飛梅(とびうめ)」など見どころがいっぱい。それらをじっくりと見て回っていると、時間が過ぎるのが早すぎます。
こうして、太宰府天満宮を十分に満喫しました。太宰府天満宮と天開稲荷社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
博多へ向かう道中にて

太宰府天満宮の参拝を終えると、福岡市博多区へ向けて自転車を走らせます。政庁通りを西へ進んでいると、大宰府跡を見つけたので、少し寄り道することに。そこには、だだっ広い野原がありました。
今でこそ史跡公園として整備されているのですが、奈良・平安時代には九州の政治・外交の中心となった役所があったそうです。地理的に見ても日本の西を守る防衛拠点だったみたい。
それに朝廷のような機能をもつ役所だったそうで、長官などの役職には、都から貴族が赴任したそうですよ。海外からも使者や商人などが訪れたといいます。


当時の建物の礎石が残っているので、往時の規模や壮大さを偲ぶことができました。
私は立ち寄らなかったのですが、公園の入り口近くには大宰府展示館があるので、興味がある人は足を運んでみると良いと思います。

大宰府跡から博多の玄関口となるJR博多駅までは約13kmほど。今の調子ですと、予定通りに明るい内に到着しそうです。
博多といえば、歴史的な文化と最新の都市開発が融合した活気あふれる町をイメージする人が多いだろう。さらに博多港の影響により、東アジアの玄関口といったイメージもありますね。
本日最後に訪れるのは、博多の中心地に鎮座する「櫛田神社(くしだじんじゃ)」です。地元では、「お櫛田さん」の愛称で親しまれている博多の総鎮守ですよ。
福岡の定番観光地としても知られており、特に毎年7月に行われる「博多祇園山笠」のお祭りが有名ですね。時間には余裕があるので、鼻歌交じりにマイペースで主に県道112号線を突き進み博多へ向かいます。

その後はどこにも立ち寄ることなく、1時間もしない内に福岡市博多区へ入りました。周囲を見渡せば、高層ビルが多い都市の風景に。
特に博多駅は九州最大のターミナル駅として、新幹線や電車、地下鉄、高速バスなどあらゆる交通手段が集まる場所ですね。そういう場所なので、周囲は交通量が多いし、人通りも多い。なので、より注意をしながら、ゆっくりと自転車を走らせて櫛田神社へ向かいます。

櫛田神社では、博多人形師たちの匠の技で作られた迫力満点な「飾り山笠」を見物できるので、ありがたいですね。
通常、飾り山笠は7月1日から7月10日の期間限定で、博多の決まった場所でしか見物できない代物なのですが、櫛田神社では6月を除いていつでも見物できます。

間近で見物すると、緻密に造られた豪華な装飾にビックリ。また、歴代力士が奉納した「力石」や不老長寿の水「霊泉鶴」、樹齢1000年を超える御神木「櫛田の銀杏」など見どころが多く、楽しく参拝できました。
櫛田神社の参拝を終えると、本日のお宿へ向かった次第です。こうして、本日の旅を終わりを告げました。
櫛田神社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
まとめ

本日は、久留米駅から旅立った時は、空に薄っすらと白い雲がかかりすぎて、晴れているけど今一つの天気でしたが、次第に天気は回復し、青空が広がる旅日和の1日になりました。
1日を振り返ると、かえる寺こと如意輪寺は、予想以上に面白かったですね。駐車場や境内の至るどころに、表情や仕草が豊かなカエルの像や置物がいっぱい。それに加え、丁度風鈴祭りが開催していたので、風鈴の涼やかな音色に耳を傾けながら散策できたのは良かったです。
また、太宰府天満宮は豊かな自然と華やかな太鼓橋や楼門、社殿などが織りなす景観が見事なり。それに、福岡市博多区で訪れた櫛田神社では、迫力ある飾り山笠はインパクトが抜群でした。
さて、自転車旅の2日目は大濠公園でくつろいだ後で、「光の道」で有名な宮地嶽神社(みやじだけじんじゃ)へ向かう予定です。そしてその後には、遠賀宗像自転車道を駆け抜けて北九州市へ入るぞ。
どのような旅になるのか、乞うご期待。


