
日本全国には「鹿島」と呼ばれる島が、約33島もあるのを知っていますか。
愛媛県松山市北条地区の沖合に浮かぶ伊予灘の島もその内の一つ。北条鹿島(ほうじょうかしま)または、単に鹿島と呼ばれる人気の景勝地です。
鹿のオブジェが特徴的な渡し船に乗って、この島へ上陸しよう。可愛い鹿に出会える恋人の聖地です。島内には豊かな自然がいっぱい。透明度の高い海水浴場を散策したり、山頂展望台から北条の町並みと伊予灘の織りなす景観を楽しんで下さいね。
本記事では、渡し船に乗ってわずか約3分で行ける「北条鹿島」の魅力を紹介します。
目次
北条鹿島とはどんなところ

北条鹿島は、緑の木々が覆う周囲1.5kmの自然豊かな島です。
島内では、海水浴やハイキング、キャンプ、釣りなど様々なレジャーを楽しめます。また、名前が示す通りたくさんの鹿が生息中。ぜひ鹿園に足を運び、多くの鹿たちと触れ合って下さいね。
松山市北条地区(旧 北条市)の西側海上400mに浮かび、地元や四国では人気の景勝地として有名。別名で「伊予の江の島」と呼ばれるほどですよ。
かつては瀬戸内で活躍した河野氏の海上拠点の1つでした。島内には、河野水軍ゆかりの鹿島神社が残ります。
島内を散策するだけでなく、鹿島を一周する遊覧船へ乗ってみよう。海上から眺める夫婦岩(玉理島・寒戸島)や水晶ケ浜などの景観は格別ですね。
1956年5月に国立公園に選ばれて、2014年には恋人の聖地サテライトに認定されました。
北条鹿島の行き方(アクセス方法)

北条鹿島へ向かうには、鹿島港から出港する渡し船(定期便)を利用します。JR伊予北条駅から鹿島港までは歩いて約10分、そして渡し船に乗って約3分ほどで北条鹿島へ上陸できるのでアクセスは良いですね。
待合所前には結構広い有料駐車場がありますが、土日祝日はBBQや釣りを行なう人たちの車で駐車場が埋まる可能性があるので、利用する際には気を付けよう。
また、島内でキャンプするのであれば、待合所でリヤカーを無料で借りられるのがありがたいです。

待合所の中へ入ると、まずはこちらの販売券で渡し船の乗船券を購入して下さい。中学生以上で230円、小学生以下は120円、高齢者120円となっています。
尚、車で来られた方は駐車料金を含めた乗船券を購入すること。普通車や大型バス、日帰り、宿泊ありにより、料金が細かく分かれているので注意しよう。
領収書が必要な方は、職員へ声をかけると書いてもらえます。そうそうワンちゃんの券(20円)も別途あるのには、良い意味で驚きました。

こちらは渡し船の時刻表です。中途半端な時間に思えますが、これは3分前に北条鹿島を出航するからですね。
たとえば、北条鹿島から7時に出航して北条港に到着すると、7時3分に北条鹿島へ向けて直ぐに折り返すということ。北条鹿島から出港する最終便は、4月~11月は20時、12月~3月は19時ですよ。(最新の時刻表は松山市の公式ホームページからご確認できます。)
また、クルージングへ参加する場合は、別途「周遊船券」も購入しよう。北条鹿島を14時15分に出航する便しか運行していないので、気を付けて下さいね。(周遊時間は約30分)

さて、渡し船が到着するまで待合室でのんびり過ごすのも良いですが、渡し船が島へ行き交う様子を眺めたり、港から島の様子を確認するのもおすすめ。双眼鏡やカメラのズーム機能をつかえば、島内の様子がよく分かります。

こちらの写真を見て下さい。浮き桟橋の建築物がまるで鉄の額縁のように見えて、北条鹿島の景観を1枚の絵画にしたてているではないですか。こういうのを見つけるのもカメラ趣味の楽しみ方の一つですね。

渡し船自体にもご注目。船のてっぺんには鹿のモニュメントが飾られているのが面白い。「バンビ」という名前なんですって。こういう演出は個人的に大好きなので、思わずパチリと1枚撮ってしまいました。
船内では、渡航中に松山出身のタレント・友近さんのアナウンスが流れます。耳を傾けながら、わずか3分の船旅を楽しんで下さいね。
【アクセス(渡船待合所まで)】
- JR伊予北条駅から徒歩約10分
- 伊予鉄バスに乗り、北条鹿島前のバス停で下車後、徒歩約5分
- 松山自動車道「松山IC」から車で約50分
島内を散策して、透明度の高い海辺の景観を満喫しよう

北条鹿島へ上陸すると、直ぐ近くに観光案内所や休憩所、売店、かしまーる(博物館)、鹿園などを見かけます。
昔は島を1周ぐるっと歩いて周れたそうですが、1987年6月頃に発生した大雨などの影響で、土砂崩れや落石が多発。崩落や安全上の理由により、今も一部区間が通行止めのままですね。
そのため歩ける範囲はごく一部ですが、道中には魅力的なスポットがいっぱい。山登りをしなければ、ゆっくり歩いても30~40分もあれば一通り見て回れます。
ちなみに山頂にある展望台まで歩くと、片道で20~30分ほど。周遊船へ乗るのであれば、時間配分に気を付けよう。

こちらは北条鹿島の地図です。見て分かるように、歩ける範囲内には商店や宿泊施設(太田屋)、海水浴場、キャンプ場などが集中しているのが分かるだろう。
港から北側へ向かえば太田屋や赤灯台波止(防波堤)のある方へ向かい、南側(正確には南西)へ向かえば海水浴場へ辿り着けます。ということで、まずは北側へ向かいました。


道中で驚いたのはこちらの景観です。海の上に迫り出した太田屋旅館と周囲の景観が凄くないですか。エメラルドグリーンの海上と空の青さが溶け合い、そのような場所に浮かぶ旅館という非日常の美しさに見とれてしまいました。
昼間でもそうなのだから、夕陽が沈むマジックアワーの時間帯では、さぞかし美しいのだろうな。また、夜の月明かりの下、水面に映る幻想的な景観にも期待が持てますね。
こちらの太田屋は4月から11月上旬に営業されていて、北条地区伝統の鯛飯や鮮魚料理などを味わえるとのこと。宿泊しなくても、お食事だけでも利用できます。



太田屋からさらに奥へ歩くと、赤色の灯台が建つ防波堤を発見。対岸の美しい山々が織りなす素晴らしい景観を楽しめます。
この場所は、釣りスポットのようで、私が訪れた日は釣りを楽しんでいる多くの人を見かけましたね。その後、来た道を引き返し、今度は反対側へ向かいました。

休憩所前に建つレトロな郵便ポストの姿に、なんだか哀愁を感じます。この郵便ポストは、利用できないそうなので、間違って手紙を出さないで。
また、近くには「男はつらいよ」の寅さん役で知られる渥美清(あつみ きよし)さんの石碑を発見。石碑には「お遍路が 一列に行く 虹の中」と刻まれています。
そういえば、北条鹿島は53番札所円明寺と54番札所延命寺の間にある。なので、遍路道は松山市と今治市を結ぶ海岸線を通過することになるので、遍路旅の道中で立ち寄るのも良いのではないだろうか。
渥美さんは、親友である松山市(旧 北条市)出身の脚本家・早坂曉(はやさか あきら)さんに連れられてきた北条鹿島を、たいそう気に入ったみたい。その後、たびたびお忍びで訪れたそうです。

休憩所の隣には、商店があるので何かと便利かな。昔は島内にもたくさんのお店があったそうですよ。渡部商店は昭和30年代から続き、今も営業(4月末頃~11月上旬)をしています。
鹿にエサやりをしたい人は、ここでエサを購入して下さいね。

キャンプ場へ訪れると、GW中ということもあり、凄い人だかりでした。パッと見たところ30~40ほどのテントが設営されていたかな。島の規模からして、ほとんど満席のようです。
家族や友人たちとワイワイ楽しんでいる様子を見て取れましたね。

キャンプ場のすぐ近くには、シャワールームがあり、夏の期間だけ無料の冷水シャワーを利用できます。
また、レストハウスでは、キャンプ用品や釣り道具のレンタルが可能ですよ。それに、カレーや牛丼、鹿島バーガー、シカサイダー、生ビールなどを提供しているのは嬉しいです。


こちらは鹿島海水浴場。先ほどもそうだったのですが、やはり透明度の高い海辺の景観には、テンションが上がりっぱなしです。
波消しブロックの桟橋に囲まれているため、少し狭さがありますが、それほど気にならない人が多いだろうな。
砂浜で佇みながら運ばれてくる潮風の匂いを味わおう。そして、穏やかな美しい海の景観を楽しんで下さいね。


海水浴場の奥を歩いていくと、通行止めの案内を発見。右手側へ向くと、まだ先へ少し歩けるようです。
実際に道の先に人だかりができているのを見かけました。奥まで歩かなければ大丈夫のような気がしますが、崩落の危険性があるので、歩かない方が無難だと思います。

この場所からは、沖合に浮かぶ夫婦岩(玉理島・寒戸島)が見えるのでお見逃しなく。周遊船はこの岩の近くを通るので、2つの岩を結ぶ注連縄(しめなわ)を間近で見物できます。
青空の下、最高級のロケーションで過ごす島時間は魅力的。鳥のさえずりやボーと聞こえてくる船のエンジン音。そして、規則的なリズムをうつ優しい波の音をBGMにして、開放感を満喫しましょう。
【島旅の紹介】
北条鹿島以外にも魅力的な島は多いです。旅先で訪れた島を、下記記事で紹介します。
「鹿園」では保護された鹿がいっぱい

北条鹿島では、古くから野生の鹿が生息されていたそうです。鎌倉時代に九州から持ち帰ったそうで、本州のものよりやや小型のキュウシュウジカの系統に分類されています。
北条鹿島の鹿は、奈良公園のように園内を自由に歩いている訳ではなく、フェンスに囲まれた鹿園で保護済み。エサが無くなって飢えて死ぬのを防いだり、落石・転落で命を落とすのを守っています。
以前は島内を歩いていると、野生の鹿を見かけたそうですが、今では基本的に鹿園にいるのが全てなんだそうですよ。
島内には鹿園が2つあり、1つは渡し船の発着場から少し北側へ歩くと、左手側に見えてきます。もう一つは、キャンプ場の近くにある登山口の隣にあるので、ぜひ2つとも足を運んで下さいね。

キュウシュウジカは、警戒心が強く人には近づかないと聞いていましたが、観光客がフェンス越しにエサをあげようとすると、たくさんの鹿が集まってきました。
なるほど~、それなりに慣れているのだろうな。本来は臆病な性格なので、大きな音を立てたり、急な動きをするのは避けること。驚かせてはいけないですね。

鹿園の隣には、可愛らしい造形のバンビ(鹿のモニュメント)を発見。遠くからでは、本物ソックリに見えます。

ちなみに鹿島神社の近くでは、鹿の石像を見つけました。どうですが、リアルな造形でしょ。狛犬ならぬ狛鹿といったところか。鹿は古くから「神の使い」として、大事に扱われている存在ですね。


もう一つの鹿園がこちら。こちらの鹿園には、ハート型の鍵をかけられるフェンスがあります。さすが恋人の聖地。ここ以外の場所に取り付けたり、鍵が古くなったら取り外す可能性があるそうですよ。
実は、ハート型のお尻をしている鹿もいるみたい。興味がある方は見つけてみよう。何だか良いことが起こりそうな予感がしませんか。
一面のパノラマビューを楽しめる「展望台」

標高約114mもある北条鹿島の山頂には、展望台が建てられています。
標高から考えて、それほど登山がきつくないと思いがちでしょ。ところがどっこい、麓から20~30分ほど歩くので、普段から運動不足の人には結構堪えるだろうな。
山頂へ向かう遊歩道は、整備されているので歩きやすいです。登山初心者が試練?を乗り越えてあり付けるのは、山頂に建つ展望台からの景色。

そこからは、北条の町並みや伊予灘の風景、それに連なる山々が見渡せます。また、方角によっては夫婦岩を見下ろせるのでお見逃しなく。
展望台には、恋人の聖地のモニュメント「幸せの鐘」があるぞ。ぜひ鐘を鳴らしてみよう。夫婦岩を見ながらカップルで鐘を鳴らすと、恋が成就すると言われています。
登山の様子や展望台について、くわしくは近日中に公開します。
周遊船によるクルージングで夫婦岩などの名所を見物

時間に都合がつくようであれば、周遊船に乗って北条鹿島の外周を一周するクルージングをおすすめします。1日に1便しか運行(北条鹿島を14時15分に出航)しないので、時間にはお気を付けて。
このクルージングでは、波によって浸食した奇岩の「石門」や、白い砂浜の「水晶ヶ浜」を見ることができる。現在は崩落の危険性から島の裏側へ歩いていけないので、一般客はこの周遊船だけでしか裏側の状態を見物できません。

西側に浮かぶ夫婦岩こと玉理島と寒戸島にも近づき、しばらくの間停船してくれるので、じっくりと見物しよう。その景観から「伊予の二見」と呼ばれています。
普段は、約30mほど離れたこの岩の間に、長さ約45m・直径30cmの大注連縄(しめなわ)が張られているのですが、私が訪れた日はありませんでした。
毎年5月4日に注連縄を張り直しますが、作業当日に強風が吹いたため、延期になったそうです。少しばかり想像していたのとは違っていましたが、これはこれでレアなのでアリですね。
クルージングの見どころについて、くわしくは近日中に公開します。
由緒ある古社「鹿島神社」へお詣り

島内には、神功皇后(じんぐうこうごう)が、朝鮮出陣の際に立ち寄り、戦勝と道中の安全を祈願した「鹿島神社」が鎮座しています。
それにあやかって、旅路の安全を祈願しよう。(私がそうでした。)拝殿の正面に掛けられた、大きな注連縄が印象的ですね。全体的に見て、古くからこの地を見守ってきた威厳のようなものを感じます。
ご祭神は、以下の通りです。
- 武甕槌命(たけみかづちのみこと)
- 経津主神(ふつぬしのかみ)
- 事代主神(ことしろぬしのかみ)
ご利益は「戦勝祈願・航海安全・地震除け・災難除け」が期待できるとのこと。
北条鹿島は、平安時代末期から戦国時代末期までの400年間を河野氏の一族が納めていて、河野水軍の出陣に際には、神前に戦勝を祈願したそうですよ。

こちらは、拝殿で見かけた龍の彫刻。神社により、細かな造形や装飾、立体感が違うので、いつもじっくりと鑑賞してしまう。
こちらの龍には、人間(仙人?)が乗っているぞ。いったい誰なのかしら、気になります。

こちらは、島内にある鹿島神社の石造りの二の鳥居。海に向かって佇む姿がいい感じ。思わずカメラのシャッターを切ってしまいました。
このような海向かってそびえ建つ鳥居は、青い海と空によく映えるので被写体にピッタリですね。また、より神秘性が増していると思いませんか。ちなみに一の鳥居は、対岸の四国本土側にあります。


こちらがその一の鳥居です。鹿島渡船待合所前の駐車場入口近くにあり、白くて大きな鳥居はとても目を引きますね。一般的な朱塗りの鳥居とはまた違った魅力があり、物珍しさと共に清潔感をより感じました。
鳥居越しからは、海に浮かぶ北条鹿島が良くみえます。この鳥居通しの位置関係から、海そのものが参道の役割を果たしてきたのが一目瞭然です。

鹿島信仰の御神体とも云えるのが、こちらの「要石」。昔、茨城県の鹿島神宮へお詣りに行った時に同じような物を見かけました。この要石は、鹿島神宮より勧請したときに一緒に移したそうですよ。
この辺りでは、昔から地底に大鯰がいるという。普段は静まりかえっているのだけど、目覚めてひとたび暴れ出すと、大地震を起こしていたそうな。この要石により、鹿島の神様が大鯰の頭を押さえていると言われています。
そのようないわれがあるので、無暗やたらに触らないで。近くからそっと眺めるだけに留めておきましょう。
北条鹿島の基本情報
| 住所 | 愛媛県松山市北条辻鹿島 |
| 電話番号 | 089-992-1375(鹿島公園渡船待合所) 089-948-6556(松山市役所 観光・国際交流課) |
| 営業時間 (渡し船の利用時間) | 【4月から11月】7:00~20:00の間、20~30分毎に運航 【12月から3月】7:00~19:00の間、30分毎に運航 |
| 定休日 | 無休(荒天時は欠航) |
| 渡し船の料金(往復) | 大人(中学生以上)230円 小児(小学生以下)120円 高齢者120円 ※15名以上で団体割引きあり(通常3割引き、障害者は5割引き) |
北条鹿島の駐車場
渡し船の待合所前には、有料駐車場があります。(普通車56台、障害者用1台)
大型車を駐車する際には、この待合所へご相談して下さい。
まとめ

北条鹿島は、伊予灘に浮かぶ周囲1.5kmの小さな島ですが、島内には様々な魅力があふれています。
白い砂砂をのんびりと散策したり、山頂から景色を眺めたり、海水浴や釣り、キャンプ、クルージングなどのレジャーを楽しんで下さいね。豊かな自然の中を歩きながら、非日常を味わい尽くそう。
全国的にはそれほど知られてはいませんが、地元や四国では「伊予の江の島」と呼ばれるほど人気の景勝地です。松山市へ訪れた際には、足を運んでみてはいかがですか。


