岡山県倉敷市の児島地区にそびえ立つ由加山(ゆがさん)には、2,000年以上の歴史を誇る由緒正しい「由加神社本宮(ゆがじんじゃほんぐう)」が鎮座しています。
厄除けの総本山として知られるパワースポットであり、岡山県下有数の参拝者数を誇る神社ですね。
四国を代表する神社の一つに金毘羅宮がありますが、この神社と合わせて参拝する「両参り」という風習が残っている。なので、機会があればぜひチャレンジしてみてはいかがですか。
本記事では、由加神社本宮の魅力ある見どころを紹介します。
由加神社本宮とは
由加神社本宮は、瀬戸内海を見下ろす由加山の山頂付近に鎮座しています。
お隣には日本三大権現の一つに数えられている「由加山 蓮台寺」があるので、合わせて足を運んでみよう。
本宮は太古の磐座(いわくら)信仰を起源としており、その後は朝廷の祈願所として繁栄。江戸時代になると、岡山藩主・池田氏の加護を受けました。
庶民の間では、讃岐国(香川県)の金刀比羅宮へ赴く際、瀬戸内海を船で渡る前に由加山に旅の安全を祈願する「両参り」が流行。
それは風習として現代まで残っているのは素晴らしいですね。
明治時代になると神仏分離令により、由加神社と蓮台寺に分離されました。西日本を中心に全国に末社52社があり、全国各地から年間約100万人の参拝者が訪れています。
2017年(平成29年)には、日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~和と洋が織りなす繊維のまち~」の構成文化財に選ばれました。
由加神社本宮のご祭神・ご利益・所要時間
由加神社のご祭神は以下の通りです。
- 手置帆負命(たおきほおいのみこと)
- 彦狭知命(ひこさしりのみこと)
- 神直日命(かむなおひのみこと)
- 本地仏(神の姿をした仏・菩薩)として阿弥陀如来(あみだにょらい)と薬師如来(やくしにょらい)を祀る
手置帆負命と彦狭知命は、建築や技能を司る「匠(たくみ)」の神様として、由加神社本宮の主祭神になります。 それに加えて、災難除けの神様である神直日命を配祀しているのです。
これは「両参り」の風習が出来た時、旅の安全を祈願するために神様を迎え入れたみたい。
それ以降、由加神社本宮は災難除けから発展して厄除け祈願の参拝者が訪れるようになったそうな。そして「厄除けの総本山」と呼ばれ今に至ります。
ご利益には、「厄除け・災難除け・交通安全・建築土木安全・家内安全・技芸上達・金運上昇・商売繁盛・縁結び・恋愛成就・子授け・子孫繁栄・合格祈願」など盛りだくさんですよ。
境内を一通り見て回るには、約1時間から1時間20分ほどかかる。さらに蓮台寺と合わせて見て回ると、2~3時間はかかるので時間に余裕を持って訪れましょう。
表参道の厄除け石段を歩き拝殿へ
由加山の第1駐車場から少し歩くと、表参道があります。
鳥居の前にある石段の前には、「厄除け石段」と書かれた石柱がドーンとあり、興味を惹かれますね。
実は表参道から19段・25段・33段・42段・61段と厄除けの石段が続いている。この段数は厄年と同じになっているのに気づく人は多いだろうな。
階段を上っていると中央にお賽銭を入れる小さな箱が置いているではないですか。
厄除祈願するならば、この箱にお賽銭を入れて歩くようですね。
参道途中にも明神鳥居や立派な石灯籠があるのでゆっくり見て歩きたい。
また、お正月になるとテレビでよく耳にする雅楽「越天楽」のBGMが遠くから聞こえており、耳心地がよいですね。
しばらくすると、「三十三厄除け石段」が見えてきました。
この階段を上ると大きな蓮台寺の案内板があり、蓮台寺へ向かう道が続いています。
鳥居の先には「六十一厄除け石段」がある。よいよラスボスの登場だ!
一歩一歩かみしめながら階段を上り切ると、右手側には備前焼で出来た大鳥居をみてビックリ。これは珍しいかな。(この大鳥居については後で紹介)
鳥居の先には、荘厳さを感じる拝殿が見えます。
建築様式は、代表的な権現造りですね。江戸時代前期に建てられたもので、由加山で最古の建築物ですよ。岡山県の重要文化財に指定されています。
拝殿の柱や天井などには、豪華な木彫りの彫刻が施されているので見るのが楽しい。
また、拝殿の左右には、それぞれ内部へ入れるようになっているので、ぜひ足を運んでみよう。
【神社の参拝に役立つ話(その1)】
神社へお詣りに行く時に、役立つ話を下記記事で紹介します。
縁結びの回廊を通り良縁を紡ぐ
拝殿の左右には、床下に設けられた薄暗い回廊があります。参拝順路の案内があるので案内に従って下さい。
その際、男性は左側から入り、女性は右側から入ると効率がよい。実際、どちらの入口から入っても通路自体はつながっています。
それぞれの入口の先には、縁結び獅子がいるぞ。
左側の入口から入ると最初に出会うのが「女獅子」となる。右側では「男獅子」です。
男性は女獅子へ女性は男獅子へお詣りして良縁を授かろう。
また、男獅子の隣には、瑜伽大権現の神使である白狐75体の像があり、その狐の見た目にビックリ。これだけ一つのところに集まると、インパクト抜群ですね。
境内には稲荷大明神が祀られていますが、お稲荷さんだけでなく瑜伽大権現の神使も白狐みたい。
雌雄一対の獅子に両脇をかためられるようにして、真中に小さな社殿があります。
そこに祀られているのが、縁結びの神様・素盞嗚尊(すさのおのみこと)ですね。
ユニークな儀式「厄玉の儀」へチャレンジしよう
厄玉の儀とは、由加神社本宮ならではのユニークな儀式です。
祈祷・お祓いを受けられた方は「厄玉」が一体ついてきます。
まずは、拝殿前にある厄橋を渡ろう。
橋の上には赤い「厄」の文字が無数に描かれている。厄をよけながら、渡って下さいね。
ちなみに踏んでも良いみたい。これは、厄を踏むということだろうな。
私は避ける方をチャレンジ。試してみたところ、つま先立ちならば、意外とすんなり厄文字を避けながら渡れました。
それにしてもこの厄橋の発想は面白いですね。
そして、拝殿の左手前にある「厄玉の儀 納め所」へ向かいます。厄玉の穴に向かって息を吹きかけ、厄や災いを玉に封じ込める。
そして、納め所に書かれた大きな「厄」の文字にめがけて、厄玉を力いっぱいぶん投げて下さい。
厄玉が軽快な音とともに粉々に破壊される。なるほど、こうして厄を強制的に滅ぼすとは面白い。
この儀式、ストレス解消にもなると思います。
【参拝方法がユニークな神社仏閣を紹介】
旅先で訪れた参拝方法が珍しい神社を、下記記事で紹介します。
巨大な磐座を仰ぎ見よ
拝殿に向かって左側の奥には、思わず息を飲むほどの壮大な巨石群があります。これは磐座(いわくら)と呼ばれる由加山のご神体です。
磐座は神霊が寄りつく岩のこと。古代の巨石信仰の痕跡を示したものなんだとか。そのため、古代人に信仰された聖地であったそうですよ。
そもそも巨石のある場所というのは、その後神社やお寺が建つことが多い。由加山もそうですね。
そうすると、太古から変わらずここにあるこの磐座は、まさに由加山の核心といえるのではないだろうか。
磐座の右手側には、赤い社殿の稲荷宮が建てられているぞ。
稲荷宮は、倉稲魂命(うかのみたまのみこと)が祀られており、商売繁盛・事業繁栄にご利益があるという。
また、この磐座の前には菅原道真公の石像があり、天満宮の賽銭箱がある。
磐座と菅原道真公の像が同じ場所にあるというのは、意味深に感じるのは私だけではないと思う。
菅原道真公といえば学問の神様として有名ですね。彼の死後、この地に光明が差し込み瑞雲が現れたそうな。
その様子を見ていた地元の人たちは、道真公の魂魄が戻ってきたと信じており、天神様を祀ったそうです。
小さな鳥居をくぐって合格祈願
先ほど紹介した菅原道真公が祀られている天満宮に関係する話を紹介。
天満宮へ向かう道は「合格ロード」と呼ばれており、縁起が良いですね。合格ロードを歩くと磐座前に辿り着く。
正面に見える菅原道真公の石像の右手側には、拝殿の回廊へつながる石段があり、石段の先には小さな朱塗りの鳥居があります。これは「合格石段」と呼ばれている縁起ものだ。
狭き門にたとえられるこの小さな鳥居をくぐり抜ければ、難関突破も夢じゃないかも。受験や就職、資格などあらゆる試験に合格したいのであれば、挑戦するしかないでしょ。
見た感じだと、子供ならば簡単にくぐり抜けそうだけど、大人はどうだろうか。
ということで、チャレンジしてみると、意外にあっさり通り抜けたので拍子抜けです。見て目と違って、結構広かったかな。
しかし、大柄な体格な方は難しいと思うので、無理しないで下さいね。
【神社の参拝に役立つ話(その2)】
神社へお詣りに行く時に、役立つ話を下記記事で紹介します。
これは珍しい備前焼の大鳥居
境内入口前には、備前焼でつくられた珍しい大きな鳥居があります。
岡山は備前焼きの本場なので、県内の神社には備前焼きの狛犬を見かける機会は多いのですが、鳥居となると極めて珍しいですよ。
この鳥居は、1894年(明治27年)に奉納されました。柱間は約3.2m、高さ約4.7mもある日本一の備前焼きの鳥居なんだとか。
よく見てみると扁額も備前焼きのようだ。全体的に赤茶色の備前焼の部材を組み上げているのがいい感じ。柱と貫の交差部や島木と笠木の一部などには、一体焼成部材を用いるそうですよ。
高度な技術で造り上げたこの鳥居は、象徴的な存在といえるだろう。
鳥居の両脇には、備前焼でつくられた獅子がいるぞ。1829年(文政12年)に備前天城・池田氏により奉納されたそうな。
個人的に神社で備前焼を見るたびに、参道や門など全部が備前焼でできた天津神社を思い出しますね。
タコ神様が御座す
拝殿前には、一度見ると忘れはしないタコ神様がいます。
児島の下津井地区はタコの漁地として有名。海上での安全や豊漁祈願、地元の漁業関係者が捕獲した魚介類の供養を目的に奉納されました。
なるほど、だからタコなんですね。海の神をタコになぞられて祀っているので失礼のないように。
ちなみに祀られているのは、海の神様である大綿津見神(おおわたつみのかみ)ですよ。
それにしても見れば見るほどひょうきんなお顔で、夢に出てきそうかな。(褒めているぞ)
タコの神様が祀られているところなんて、あまり聞かないので大変珍しいと思います。
毎年7月の第3日曜日には「海上安全祈願祭」が開催されており、さらに魚供養も執り行われている。興味がある方は、日時を合わせて足を運んでみてはいかがですか。
【動物に関係のある神社仏閣を紹介】
旅先で訪れた動物と関係の深い神社を、下記記事で紹介します。
子供が授かるという不思議な御神木
境内には、江戸時代に岡山藩主・池田氏が世継ぎに恵まれなかったため、願掛けをした楠があります。
実際に子供を授かったと伝わっており、それから「子授けの御神木」として祀られるようになりました。
この御神木に祈願する際にはお作法があるぞ。正面から向かって3回右に回る(時計回り)と男の子が授かるという。3回左へ回れば、女の子が授かるそうだ。
そして回った後は、楠をしっかりなでて子授けをお願いして下さいね。
これだけでも十分不思議ですが、御神木をまわるのは妊娠・出産する本人以外でも良いみたい。なので、旦那さんと一緒にお願いしてみてはいかがですか。
銭洗弁財天にお願い、お金を洗って金運上昇
銭洗弁財天は日本各地に点在しており、最も有名なのは鎌倉の宇賀福神社ですね。
由加神社本宮にも銭洗弁財天があり、御霊水で硬貨や紙幣を洗い清めることで、金運上昇のご利益があります。
御霊水は、本殿地下200mのところより湧出したものなんだそうな。そう聞くと、実際に見た御霊水が、いかにけがれがなく清らかなことが分かるというものだ。
御霊水は財宝運の弁天様と相まじわっているので効果が期待できる。ということで、私もチャレンジするに決まっているじゃないですか。(笑)
硬貨や紙幣を御霊水で浸したあとは、ハンカチなどで拭き取って乾かすこと。
乾いたお金は財布の中に入れて、お守り代わりにするよりも使った方が良いみたい。使ってこそ運気がアップするですよ。
これって、いずれ自分にも返ってくるということなんだろうな。
お土産に名物の「あんころ餅」をどうぞ
400年前から販売されて来たといわれる「あんころ餅」は、由加山の名物です。
昔は徒歩で参拝していたため、疲れた体には甘いものがいいという理由で、あんころ餅が食べられるようになりました。
かつて参道の門前町には、あんころ餅のお店がたくさんあったそうですが、私が参道で見かけたのは2店舗(太助茶屋、とらやあんころ店)しかなかったですね。
境内の売店でも購入できるので、お土産に1ついかがでしょうか。
由加神社本宮の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県倉敷市児島由加山2852 |
電話番号 | 086-477-3001 |
【アクセス】
- JR木見駅・JR上の町駅からタクシーで約10分
- JR児島駅からタクシーで約20分
- 瀬戸中央自動車道「児島IC」から車で約20分
由加神社本宮の駐車場
由加神社本宮には、無料の第1駐車場と第2駐車場があります。(普通車300台、大型車10台)
まとめ
古くから崇敬されて来た由加神社本宮には、多くの見どころが満載しています。
表参道の厄除け石段や縁結びの回廊、巨大な磐座、厄玉の儀、備前焼の大鳥居、タコ神様など境内を見て回るのが楽しいですね。
また、多くの芸能人も参拝する神社として知られているので、偶然出会えるかも知れません。由加神社本宮に参拝して、その魅力をぜひ満喫して下さい。
明治初頭の神仏分離により、その神域は仏教面をつかさどる蓮台寺が隣接していますので、合わせて足を運んでみよう。蓮台寺では、大迫力の不動明王像が安置されているのでお見逃しなく。