
自転車にとって、最も影響があるのは「風」です。風速しだいでは最高の味方になるし、反対に最大の敵にもなり得ます。
そのため、サイクリングへ出かける際に、風速を気にしている人は多いのはないだろうか。現代では、ニュースやインターネットの天気予報などを確認すると、簡単に風速を調べられる。
しかし、風速の数値だけが分かったとしても、実際にどのような影響があるのかサイクリングの経験が少ないと、その影響度はイメージしづらい。なので、本当に自転車で出かけてよいのか悩ましいですね。
本記事では、風速別に自転車の影響度や強風の対処方法を紹介します。
目次
風速しだいでは自転車に乗らない方が良い

風の動きというのは、日々変わっています。そもそも風の流れというのは、地球規模の話ですね。
そのため、その当たりの話は割愛しますが、自転車歴が長くなると、その日の風向きや風速によりコースを変える工夫が、自然にこなせる人も少なくありません。
風向きや風速しだいでは、快適さが全然違ってくるので考慮しないのはナンセンスですよ。
たとえば、「追い風」ならば風の力を借りてみるみる内にスピードが上がるものだ。風速により、ペダルを漕ぐ力がとても軽くなるので、実力以上の力を出せますね。まさしく最高の味方です。
一方、「向かい風」ではペダルを漕ぐ力がより必要となる。それに加え、風速が強くなると全然前に進めない機会が多いぞ。これは最大の敵と認定しても良いだろうな。
また、「横風」が吹くとバランスを崩しやすくなる。特に強風では転倒リスクが増える一方ですね。

結論から言えば、風速10m未満ならば基本的に自転車に乗っていても大丈夫です。風速しだいでは、向かい風はキツイですが、乗れないことはないだろう。
もちろん個人差がありますので、人によっては風速6m以上ならば諦めた方が良いかも知れないですね。
天気予報などで風速の数値を確認できてもピンと来ない人も多いと思うので、どの程度の風になるのか時速に換算すると体感的に分かりやすい。たとえば、風速6mでは以下の通りに換算されます。
6m/s × 60(秒)×60(分)= 21600(m/s)⇒ 時速21.6km
この数値は、車が時速約22kmで走っている最中に、窓から顔を出した時に感じる風の強さです。この程度ならば、さほど強いように感じないと思います。また、風速が9mならば、時速32.4kmとなるぞ。ここまでくると、かなり風の強さを感じるだろう。
ただしあくまで風速は、平均速度を表しているものなので、風速6mならば4~8mの風が10分間吹いていた時の数値となる。現実では、平均風速の2倍ほどの瞬間最大風速もあり得るのも珍しくないですね。
つまり、風速6m以上からは、自転車で走るのに困難な機会が増えると覚えておきましょう。
風速が自転車に与える影響

自転車は、日常の買い物や通勤通学、街乗り、サイクリングなど様々なシーンで活用されています。
風速が小さいほどリラックスして安全に走行できますが、風速が大きくなるに従い、走行が困難になる。そこで、風速が自転車に与える影響度を以下にまとました。
- 風速1~3m ほとんど影響なし
- 風速4~5m 向かい風がやや気になるレベル
- 風速6~7m 向かい風でスピードが落ちる
- 風速8~9m 前に進みにくいし横風に注意
- 風速10m以上 走行は危険なレベル
これらのことから、先ほども触れましたが自転車の走行は風速10m未満にすべきです。
風速が10~15mとなれば、木全体が揺れ始めるレベルで、歩行者は風に向かって歩きにくく傘が差せない状態となる。なので、自転車を押して歩く機会が増えます。
風速が15~20mともなれば、歩行者は風に向かって歩けなくなり、転倒する人も少なくありません。町中であれば、周囲の電線がうなりを上げているだろう。そんな状態で自転車へ乗るなんて、危なすぎます。
風速20m以上ともなれば、細い木の幹が折れるし、歩行者はもう立っていられないですよ。そんな状態では、自転車は吹き飛ばされるのが目に見えています。そもそも屋外行動そのものが危険すぎるかな。
ちなみに、最大風速が17mの熱帯低気圧は「台風」ですね。それでは、風速1~9までの影響度について、くわしく紹介します。
風速1~3m ほとんど影響なし

風速が1~3m程度ならば、そよ風レベルなので、ほとんどの人が快適にサイクリングを楽しめます。
たとえ向かい風でもペダルを漕ぐのに多少重みを感じたりする程度(個人差あり)。なので、それほど気になることはないでしょう。
だからといって、冬場にサイクリングするのならば気を付けて欲しい。というのは、一般的に風速1mで体感温度が1度下がるといわれているからだ。
つまり、風速3mともなると体感温度が3度下がることになるので、結構ツライですよ。しっかりと防寒対策を行なって下さいね。
風速4~5m 向かい風がやや気になるレベル

このレベルになると、走れないことはないけれど、向かい風が気になる人が多いですね。ロードバイクのようにしっかっりと前傾姿勢が取れないのであれば、前に進みにくく感じるかも。
反対に追い風であれば、少ない力でペダルを漕げるため、かなり楽しい状態になります。
風速5mともなれば、やや強い風なので体感としては、髪の毛が乱れたり、軽い衣類がはためく程度ですね。家にいる時でも風の音が聞こえたりするので、「サイクリング中に風の影響が出るだろうな」と予想を立てれます。
風速6~7m 向かい風でスピードが落ちる

風の影響がしっかりと体感できるレベルです。周囲を見渡すと、木全体が動いたり、砂埃が立ったり、ビニール袋や落ち葉が宙を舞っているのが普通ですね。それに布製の少し重い鯉のぼりが、泳ぎ始める風速ですよ。
そのような状態でサイクリングへ出かけると、走りに影響が出ない訳がありません。強風に立ち向かうのが好きという人以外は、「風強すぎ!!」と思うだろうな。
特にペダルの重さが顕著になり、スピードが落ちるのが当たり前。人によっては、辛すぎて自転車に乗るのが嫌になり、心折られるレベルです。
それに瞬間最大風速が10mを越えたりするので、自転車に乗っていられない機会もあり得ます。
風速8~9m 前に進みにくいし横風に注意

風速8mは、冬から春へと季節が替わるタイミングで吹く南風「春一番」をイメージすると分かりやすいです。
時速に換算すると約29mとなるので、かなり強い風を感じます。特に向かい風の状態で自転車を走らせると、ペダルが重たすぎて前に進むのにより労力を割かなければならなくなる。
風速9mともなれば、よりペダルが重く前に進みにくくなるので、楽しくありません。たとえ追い風でも、人によってはスピードを出し過ぎて怖く感じるかも。
これらのレベルになると、自転車での走行はできるけど、快適さとはほど遠い。なので、特に用事がないのであれば、自転車に乗らないというのはアリです。
強風時の対処方法

これまで風速別に自転車の影響度について紹介しました。風速が大きくなるほど、影響度が拡大するので、対処しなければ苦労して走行する羽目になるのは目に見えています。
そこで、風が強い日に安全に自転車を運転するための効果的な対処方法を、以下にまとめました。
- 風速の大きくなる場所は避ける
- 風の抵抗が少ない服装を着る
- 前傾姿勢をとる
- 軽いギアにしてペダルを漕ぐ
これらの内、2~4はこちらの記事で紹介するので割愛し、本記事では、1についてくわしく説明します。まずは、風速が大きくなる場所を挙げると、以下の通りです。
- 海岸線沿いの道路
- 開けた土手や草原の道路
- 山間部の道路
- サイクリングロード
これらの環境によくある共通点は、風をさえぎるものがなかったり、狭い場所へ風が吹き込んだりすることですね。なので、強風時には風をさえぎるものがあるコースへ変更するのがおすすめ。たとえば、林間コースや住宅街がいいかな。
個人的には、海岸線沿いを走行中に向かい風が強すぎてスピードが全然出せない時は、コースを変更して1~2本内陸側の住宅街を通過したりしています。

ただし、ビル風には注意すること。高層建築物(ビルなど)の周辺では、上部から地表に向かって吹き降ろす風の影響により、風速が強くなったりする。
また、ビルとビルの間の狭い空間を、風が通り抜ける際に風速が増加することも。なので、安易に高層建築物の近くに隠れるというのは考えものです。
それに風が弱まったタイミングでスピードを上げて距離を稼ぎ、風が強まると低速走行で体を休めるという方法もありますが、結局のところ、その日の風向きや風速に合わせて柔軟に対応しましょう。
まとめ

本記事では、風速別に自転車の影響度や強風の対処方法を紹介しました。最後にもう一度、風速別の影響度を以下にまとめます。
- 風速1~3m ほとんど影響なし
- 風速4~5m 向かい風がやや気になるレベル
- 風速6~7m 向かい風でスピードが落ちる
- 風速8~9m 前に進みにくいし横風に注意
- 風速10m以上 走行は危険なレベル
風速10m未満であれば、自転車で走行しても大丈夫ですが、人によっては風速6m以上は諦めた方が良いかも知れません。体力や脚力は、人それぞれなので、自分自身の実力をかえりみて無理な走行を続けるのは、安全性を損なうばかりです。
経験を積めば、体力や脚力は鍛えられるので、全く悲観する必要はないですね。無理な走行を避けるためには、「風速が〇〇m以上ならば、サイクリングしない」と決めておくのが良いと思います。


