
尾張藩家老・成瀬家の所領のもとで発展を遂げてきた国宝・犬山城。その麓には、今も江戸時代の面影が残る犬山城下町の町並みが広がっています。
まるでタイムトリップしたような感覚が味わえる風情ある本町通りには、観光スポットやグルメスポットが目白押し。
犬山城下町周遊券を活用すれば、犬山城と共にどんでん館や城とまちミュージアム、犬山からくりミュージアムをお得に観光できるのは、ありがたいですね。
また、犬山を代表する町家「旧磯部家住宅」や、ハートの絵馬でカップルや女性に人気が高い「三光稲荷神社」も見逃せません。
本記事では、犬山の歴史や文化に触れられる犬山城下町の魅力を紹介します。
目次
風情ある犬山城下町の町並み

犬山城の南側に広がる城下町は、「総構え」と呼ばれる城郭構造が特徴的です。
かつて中心部に町人の住宅があり、その周りに武家屋敷が置かれていました。さらに外周を木戸や堀、土塁等で取り囲んでおり、敵からの侵入に備えていたという。それが今の犬山市につながっています。
明治以降に堀が埋められ、ほとんどの武家屋敷も取り壊されましたが、江戸から昭和初期の建物が色濃く残り、当時の様子を充分に感じら取れます。
特に本町の交差点から犬山城へ向けて真っ直ぐに延びる本町通りには、古い町屋を改装したお店がいっぱい。郷土料理の豆腐田楽(でんがく)や五平餅、みそ串カツ、スイーツなど多彩なグルメを堪能できる。
また、食事処やカフェ、雑貨店以外にも個性的な博物館が建ち並び、犬山の歴史や文化を発信しています。ゆっくりと通りを歩きながら、気になったお店や博物館へ足を運んで下さいね。



「串物の町 犬山」というのが、キャッチフレーズなんだそうな。なので、ぜひ自慢の串グルメを楽しもう。

通りを歩いていると気付くのは、電信柱がないこと。古い町並みの景観に一役買っているのは、まちがいありません。かつての城下町の風情を取り戻そうとして、2009年に電線を地中化しました。
ロンドンやパリなど海外の所要都市では、無電柱化が標準的なんだそうな。日本もこの流れに追いつくため、無電柱化を推進する動きが全国的に広まっています。

町歩きを楽しんでいると、小さな2体のお地蔵さんを発見。それぞれを「おぼこ地蔵」と「いけず地蔵」といって、人間の内面の善と不善を表現しているという。
頭に巻いているハチマキがチャームポイントかな。QRコードを使ってスマホ決済ができるのは今時ですね。長生きや縁結びのご利益があるので、お詣りしてはいかがですか。

犬山城へ向けて歩いていると、遠くに見えていた犬山城が、段々と大きく見えてくるのがいい感じ。これにはテンションが上がります。
また、犬山城の大手門跡や犬山藩の学問所であった敬道館の跡地、武術訓練場の跡地なども見て取れるので、ぜひ探し当ててみよう。

敬道館跡の直ぐ近くには、「大手門いこいの広場」があります。その名前から分かるように、かつてこの辺りに犬山城の大手門があったのだろう。
今は芝生広場の中に屋根付きの東屋が建つので、休憩するのに持って来いの場所となっています。
【古い町並みの紹介】
旅先で訪れた古い町並みを、下記記事で紹介します。
「どんでん館」にある豪勢な犬山祭車山

犬山駅から県道183号線を西へ向けて約8分ほど歩き、本町通りの交差点を右折して犬山城へ向けて歩いていると、右手側に「どんでん館」が見えてきます。
どんでん館では、愛知県有形民俗文化財である車山(やま)13両の内、4両を見学できるので足を運んでみよう。
犬山で最も有名なお祭りは、毎年4月に開催される犬山祭であり、この祭りにて13両の車山がからくり人形を披露しながら町中を練り歩きます。
間近に見る山車の迫力には驚かされました。高さ8m、重さ3トン超える山車には、精巧な彫刻や漆、金箔、からくり人形などで飾られており、まさに富の象徴のように見えますね。


聞くところによると、山車1両に対して「作るのに数千万円は必要」「億単位の価値がある」と言われているみたい。今でもそうですから、当時の技術力や材料費などを考えると建造費は想像もつきません。
山車の構造は、上山(うわやま)・中山(なかやま)・下山(したやま)の三層構造であり、4つの車輪で動くようだ。また、車山の実物だけでなく映像にて、犬山祭の準備から終了までの流れを見ることができるので、視聴するのをおすすめします。

こちらのミニチュアにも注目。江戸時代の犬山祭を立体的に表現したもので「立版古(たてばんこ)」と呼ばれるもの。車山の模型や人形、家並みはすべて紙でできているぞ。
犬山祭の見どころは、何といっても「どんでん」と呼ばれる様でしょう。具体的には、車山を曳く手古(てこ)衆が、掛け声と共に車山の片側を持ち上げて180度方向転換すること。その力強さと迫力から観客からは大きな歓声が上がるほどですよ。
また、夜になると一両当たり365個を超える提灯を灯して、幻想的な夜車山を楽しめます。
- 住所 愛知県犬山市大字犬山字東古券62
- 電話番号 0568-65-1728
- 営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 定休日 年末(12/29~12/31)
- 料金 一般(高校生以上)100円(80円)
- ※30名以上で団体割引きあり、( )内の金額は割引き後の料金
犬山を代表する町家「旧磯部家住宅」

どんどん館から北へ向けて約60mほど歩くと右手側に「旧磯部家住宅」が見えてきます。
幕末から明治期にかけて建築された「柏屋孫兵衛」の屋号で呉服商を営んでいた商家なんだとか。2004~2005年に復元されました。
建物の構造は主屋・裏座敷・土蔵・奥土蔵・物置の5棟からなり、国の登録有形文化財に指定されています。そのような場所を、無料で見学できるのはありがたいですね。

間口はわずか三間(5.45~5.46m)ほどしかありませんが、一歩入ると帳場があり、その奥を眺めることができます。そのため、奥に向けて細長い間取りなのが分かるだろう。
実際、約53mも奥行きがあり、いいわゆる「うなぎの寝床」と呼ばれるもので、現代でも都市空間を有効活用する建築デザインとして注目を集めているそうですよ。
では当時もそのようなデザイン性を重視していたかというと、どうやらそうでもないみたい。江戸時代では税金が間口に応じて決められていたので、どちらかというと税金対策がメインだったのでしょう。

主屋には、竿縁天井や一間の床の間、違い棚などが見られます。特に立派な座敷飾りがあるのは、江戸時代では一般商人には許されないものでしたので、それがあるというだけで、磯部家の実力を伺い知れました。
いつの時代も経済力がある企業(商人)の存在は侮れませんね。



個人的に興味深いと思ったのが、赤い壁が続く渡り廊下です。
特徴的な赤褐色の奥深い色合いは、日本の伝統建築や工芸品に見られるものであり、見る角度や陽光によって赤紫色にも見えるのが面白いですね。
このベンガラ色を見ていると、以前旅で訪れたベンガラ色の町並みが魅力的な「吹屋ふるさと村(岡山県)」を思い出しました。
また、旧磯部家住宅の屋根は、かまぼこ状に丸みを帯びた形状になっていて、犬山市内の町家では唯一現存するものです。
- 住所 愛知県犬山市大字犬山字東古券72
- 電話番号 0568-65-3444
- 営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 定休日 年末(12/29~12/31)
- 料金 無料
「城とまちミュージアム」で城下町を再現したジオラマに注目

旧磯部家住宅からさらに北へ向けて歩いていると、遠くに見えていた犬山城がしだいに大きく見えてくるのが実感できます。約450mほど歩いたでしょうか、左手側には2つの博物館が並んでおり、その一つが犬山市文化史料館です。
この史料館の愛称が「城とまちミュージアム」であり、犬山城と城下町をつなぐ拠点施設として2012年にリニューアルオープンされました。
館内では、武家文化や町人文化が花ひらいた江戸時代を中心にして、犬山の歴史と文化を紹介しています。

特に注目したいのが江戸時代の城下町を再現したジオラマです。その精工さと規模の大きさは一見の価値があるのでお見逃しなく。


このジオラマは、1840年(天保11年)の旧暦8月28日に催した犬山祭当日を再現したものなんだそうな。犬山祭の主役ともいえる車山が、針綱神社へ向けて練り歩く姿がいい感じ。
また、城下町の様子から当時の人々の暮らしぶりが分かります。本町通りをじっくりと見ていると、今の本町通りと似ている部分が多いのには驚くだろう。
実際に歩いてきた本町通りの様子をジオラマで確認して、似たようなところを探しあてるのも面白いですね。

パネル資料で、犬山城や城下町についてくわしく紹介しているので、ジオラマと見比べながらぜひチェックしてみよう。
また、犬山城白帝文庫所有の旧犬山城主成瀬家由来の美術工芸品なども展示しています。
- 住所 愛知県犬山市大字犬山字北古券8番地
- 電話番号 0568-62-4802
- 営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 定休日 年末(12/29~12/31)
- 料金 300円(中学生以下は無料)
- ※犬山市文化史料館の入場券で隣接する犬山からくりミュージアムの見学が可能
からくり人形の実演を楽しめる「犬山からくりミュージアム」

城とまちミュージアムに隣接しているのは、多くのからくり人形を展示している「犬山からくりミュージアム」です。
そもそも犬山は、江戸時代から「からくり」文化が根付く町として知られています。犬山祭の山車に載せるからくり人形を始め、お盆の上にお茶を載せて客へ運ぶ茶運び人形、「松」と「竹」の漢字を書く人形など珍しい人形を見学できるのは楽しいですね。
また、展示だけでなく毎日からくり人形の実演解説を行っています。平日は2回(10:30、14:00)、土日祝日は5回(10:30、11:30、13:30、14:30、15:30)も行なっているので、時間をあわせて訪れてみよう。



生き生きと動くからくり人形の仕草には、思わず見とれてしまいました。間近で人形を動かすプロの手さばきも注目。さすがは職人芸です。
滑らかな動作の秘密の一つには、クジラの髭(ひげ)が使われていることだ。特にセミクジラの髭は、弾力に富んでいるだけでなく、ノミやカンナで細工しやすく、熱湯で形状を変えるなど加工がしやすいそうですよ。
現在、セミクジラはワシントン条約により指定されているので、髭の入手が困難みたい。
また、お盆の上にお茶を載せて運んでくれる人形も実演するので、お見逃しなく。

見学だけでなく、実際にからくり人形を自分で動かすこともできます。ということで、レッツチャレンジ。人形の紐を色々と動かして見ると、腕が上がったり、顔の向きが変化するのが面白い。
カラクリ人形に触れながら、自分だけの物語を作ってみてはいかがですか。
※住所・電話番号・営業時間・定休日は「城とまちミュージアム」と同じです。
カップルや女性人気が高い「三光稲荷神社」

三光稲荷神社は、犬山城主・成瀬家歴代の守護神として崇敬されてきました。近年、テレビや雑誌、SNSなどで話題の縁結びスポットとして知られています。
ピンクのハートの絵馬がたくさん並ぶ光景や、鮮やかな千本鳥居など思わずカメラを向けたくなるフォトスポットが満載。また、境内にある銭洗池でお金を洗うと何倍にもお金が帰ってくるという。
あの「倍返しだ!」の決めゼリフで話題となった半沢直樹も訪れたそうな。そのためか「倍返し神社」と言われる人気スポットですね。
三光稲荷神社については、下記関連記事でくわしく紹介します。
国宝・犬山城からの眺望で城主気分を味わおう

木曽川の南岸にある標高80mの小高い山には、犬山城がそびえ建ちます。
国内で最も古い歴史を誇る城であり、創建当時の姿を残す5つの天守(通称:天守閣)の一つは、お城ファンならば必見です。たとえお城ファンでなくても、本町通りを歩いていると、正面に見えてくる天守閣にはテンションが上がるだろう。
江戸時代には本丸、二之丸など多数の建物があったのですが、明治時代になり天守閣以外は取り壊されました。
天守閣には、上段の間や急勾配の階段など見どころも多い。特に最上階からの眺めは必見です。
犬山市街や市内を流れるゆく木曽川、雄大な濃尾平野を始め、天候が良ければ遠くに御嶽山や岐阜城、名古屋市街まで見渡せます。最上階の外側をぐるりと一周しながら、360度のパノラマ絶景を楽しみましょう。
犬山城については、下記関連記事でくわしく紹介します。
犬山城下町の基本情報とアクセス
| 住所 | 愛知県犬山市犬山 |
| 電話番号 | 0568-61-6000(犬山城前観光案内所) |
【アクセス】
- 名鉄・犬山駅から徒歩約15分
- 名神高速道路「小牧IC」から車で約25分
- 名古屋高速「小牧北IC」から車で約25分
犬山城下町の駐車場
犬山城下町の近くには、有料駐車場があります。
- 犬山城第一駐車場(約140台、大型車も駐車可)・・・犬山城に最も近い
- 犬山城第二駐車場(約123台)・・・犬山城の東側にある
- 犬山城第三駐車場(約150台)・・・犬山駅近くにある
その他にも犬山城下町駐車場や犬山城下町西駐車場などがあります。
まとめ

国宝・犬山城と共に長い歴史の中、発展を遂げてきた犬山城下町は、今も往時の面影が残ります。
その風情ある本町通りには、魅力的な観光スポットがいっぱい。豪壮な町家や犬山の歴史や文化に触れられるミュージアム、フォトジェニックな神社などへ足を運んでみよう。
犬山城へ登城する前に町歩きをするのも良し。登城後に向かうのも良し。食べ歩きやレトロなカフェ、着物レンタルなども楽しめるので、犬山城の登城前後に訪れるのが一番良し。
犬山城と共に犬山城下町をゆっくりと散策しながら、旅の思い出を作りましょう。

