2006年8月に丹波市で見つかった丹波竜の化石。
丹波竜は、国内最大級の大型草食恐竜であり、発見された骨から推測すると、全長が十数メートルあることが分かっています。
世紀の大発見から、今後も継続されていく丹波竜の化石発掘調査により、新事実が発見されていくでしょう。
ちーたんの館では、丹波竜の全身骨格が展示されていたり、化石の発掘現場などを再現。
また、丹波竜以外の様々な恐竜について学べます。
見学が終えた頃には、あなたも一角の丹波竜博士になっているかも。
是非、恐竜の歴史を学び、驚きと発見を体験してみては如何でしょうか。
本記事では、恐竜マニアの方やそうでない方でも楽しめる「ちーたんの館」を紹介します。
丹波竜化石工房「ちーたんの館」とは
丹波竜化石工房「ちーたんの館」は、丹波竜の化石の展示などによる情報発信や体験学習ができる施設です。
ちーたんの館がある丹波市と丹波篠山市をまたがる篠山層群では、数多くの恐竜や哺乳類などの化石が見つかっています。
恐竜の化石が発見された一帯を「丹波地域恐竜化石フィールドミュージアム」という。
もちろん、ちーたんの館もそのフィールドミュージアムを構成する施設。
丹波竜を中心に、丹波市の自然や歴史、環境などが学べますよ。
ちーたんの館から東へ約7kmほど進むと、丹波竜の発掘現場へ到着します。
直ぐ近くには、丹波竜の里公園があり、園内には駐車場やトイレ、食事何処・休憩所(元気村かみくげ)がありますよ。
合わせて足を運んでみることをお勧めします。
家屋を突き抜けた丹波竜にビックリ!
ちーたんの館へ入る前に、建物の外観にビックリする方が多いのでは。そういう私も「なんじゃこりゃ!」と驚きました。(笑)
なんと、建物の中から丹波竜の首やしっぽが飛び出ている。まるで脱走兵(この場合は、脱走竜?)のようだ。
館内に入る前から、何やら面白い雰囲気がプンプンします。
また、柵に囲まれた恐竜も。
館内に入る前から子供たちは大喜びでしょう。
施設の入口までは、恐竜の足跡が続いており、それに従い歩いて行くと木造の恐竜の頭が目に留まりました。
リアルです。もう一度言うと凄くリアルです。
「へぇ~、良く出来ているな」と感心しながら館内へ。
すると、そこには丹波竜のマスコットキャラクター「ちーたん」がお出迎えしています。
ピンク色の派手なしましま模様ですが、実はこれ地層をイメージしているとか。
う~ん、こだわりが凄いですね。
【外観の面白い建築物・建造物の紹介】
「ちーたんの館」のように外観の面白い建築物は、見ていて楽しいですね。そのような建物では、意外に面白い体験をすることも。下記記事では、そんな建築物・建造物を紹介します。
貴重な丹波竜の全身骨格や化石レプリカに興奮
まずは目玉となる丹波竜の全身骨格(レプリカ)を紹介します。
全長15mほどある原寸大の巨大な丹波竜を仰ぎ見て、その迫力に驚くでしょう。
胴体部分を見てみると、大人6人が入っても、まだまだ余裕があるみたい。
人間もそうですが、肋骨の内側には生物が生きていく上で大切な臓器が入ります。
丹波竜は、巨大な消化器官を使って、植物を丸のみして分解していたそうです。
長い首の先には、小さな頭蓋骨が見て取れました。
大きな体躯と違って、何だか可愛く見えますね。
かつて地球上には、このような巨大生物が闊歩していたかと思うと、胸が熱くなることを止められません。(私だけでしょうか?)
丹波竜の正式名称は「タンバティタニス・アミキティアエ(Tambatitanis amicitiae)」と言います。
名前には、丹波地方の「Tamba」が含まれ、ギリシャ神話に由来する「Titanis」は女の巨人を意味しているという。
更にラテン語で「友情」を意味する「Amicitiae」の文字があるのは興味深い。
実は丹波竜の化石は、2人の発見者がいるので、そこから2人の友情を記念して名付けたそうですね。
なぜ「日本語+ギリシャ語+ラテン語」の組み合わせなのか不思議だ。
また、原寸大に比べたら規模は小さくなりますが、1/10スケールの全身骨格模型もありました。
骨格標本以外にも気になったのがこちら。
これは、丹波竜の産出した部位とクリーニングの進行状況を表したもの。
「丹波竜のウォールマウント」と言いますよ。
化石のクリーニング作業が完了すると、その部分からレプリカの作成を行い、展示しています。
これは中々面白い趣向ではないでしょうか。
見つかった骨から当時の丹波竜の生活や環境を推測するのは、歴史ロマンを感じるでしょう。
【博物館の紹介(その1)】
「ちーたんの館」のような博物館では、新たな発見や今まで知らなかったことを学べて興味が尽きないですね。下記記事では、そんな博物館を紹介します。
発掘現場の再現展示を見て感じる臨場感
館内には、丹波竜の化石が発見された発掘現場を再現しています。
実際に発掘で使われた道具も展示されているので臨場感を味あえますね。
丹波竜の化石は、2006年8月7日に足立洌(あだちきよし)さんと村上茂(むらかみしげる)さんの2人により発見されました。
彼らは、当初、生痕化石を探していたそうですが、赤茶色の地層の中に突き刺さった白っぽい石の棒のような化石を発見。
これを持ち帰り、図鑑やインターネットなどで調べてみると、どう考えても恐竜としか思えない。
そこで、三田市の「人と自然の博物館」へ持ち込んだという。
その結果、本物であると認定されました。
彼らが発見したのは、恐竜の肋骨の化石。
館内には、最初に発見された当時のままで、丹波竜の肋骨のレプリカが展示されています。
地学愛好家の2人でなければ、見つけた物が化石の可能性があるかなんて分からなったかも。
少なくとも私には分かりません。(笑)
恐竜の発見は、国内で5例目となる快挙です。
その後、本格的な発掘調査が開始され、最終的には第6次調査を経て、保存状態の良い歯や背骨、脳かんという頭の一部の化石などが見つかりました。
2014年には、新属新種「タンバティタニス・アミキティアエ」として記載され今に至ります。
発掘現場からは、丹波竜以外に少なくとも5種類の恐竜類の歯や卵殻化石が見つかったよ。
こちらは、丹波竜の歯の化石。レプリカではなく大変貴重な本物。
歯の形状から、櫛に通すようにして植物を摘み取ることが分かりました。
こちらは尾椎(レプリカ)。これが沢山連なることで、しっぽを形成している。
このような化石が沢山見つかる現場では、歴史ロマンを感じずにいられません。
先ほども少し触れましたが、周辺にある「丹波竜の里公園」から遊歩道を歩けば、丹波竜の発掘現場を見学できるので、訪れてみると良いでしょう。
様々な恐竜などの骨格標本をじっくり見てみよう
館内には、丹波竜以外にも沢山の恐竜などの骨格標本や化石があります。例えばこちらは、タルボサウルスの骨格標本です。
後期白亜紀(約7,400~7,000万年前)に生息していたという。モンゴル国を代表するアジア最大級の肉食恐竜だ。
その狂暴さから、アジアのティラノサウルスとも呼ばれているね。
こちらは、デイノニクスの骨格標本。デイノニクスとは、ラテン語で「恐ろしいかぎ爪」という意味。
その名の通り、後肢には4本の指があり、第2指には大きく鋭いかぎ爪が見て取れます。
また、大きな脳があるため、高い知能が備わっていたと考えられていますね。
その他にもアーケオケラトプスやガストニア、ズニケラトプスなど沢山の骨格標本がありました。
その中でも丹波市山南町上滝で発掘されたヒメウーリサス・ムラカミイに注目。
これは、新親属・新卵種として世界最小の恐竜卵です。
近年、鳥類に近縁な獣脚類や中生代鳥類の卵殻から色素が発見されている。
ヒメウーリサス・ムラカミイの卵も、斑点を持つ青緑色の卵だった可能性がある訳ですね。
もし、私がそんな色の卵を突然見かけたら、普段良く見る鶏の卵と違って違和感に頭を悩ませるかも。
けれど、卵からかえった小さな恐竜の赤ちゃんが生まれる瞬間は、見てみたいです。
また、同じく山南町上滝の地層からは、国内初となるカエルの化石が沢山見つかっている。
特に新属新種のヒョウゴパトラクス・ワダイやタンババトラクス・カワズが凄いという。
白亜紀前期におけるカエル類の全身骨格化石は、世界的にも例が少ない。
化石はいずれも全長3cmほどで、肋骨などの特徴から原始的なカエルであると考えられています。
遊びながら学べる体験コーナーへ参加しよう
ちーたんの館には、遊んで学べる様々な体験プログラムがあります。
イラストや仕掛けを施したハンズオン什器(じゅうき)で、丹波竜や色々な恐竜をゲーム感覚で学べるのは面白い。
こちらは、ティラノサウルスの頭骨を使ったパズル。
意外に難しい。(汗)
また、プラスチック系樹脂を使って、化石レプリカの制作体験ができます。
更に恐竜に関する本が沢山あるので、恐竜はもとより、化石や地層についても学んでみませんか。
今はコロナ化のため、遊べませんがVR体験ツアーもあるそうです。
360度、恐竜に囲まれる雰囲気を味わえるのは、かなり怖いかも。
けれど興味津々ですね。(笑)
遊べるようになったら、是非体験してみたいものです。
【博物館の紹介(その2)】
「ちーたんの館」のような体験プログラムがある博物館は、意外に多いです。下記記事では、そんな博物館を紹介します。
化石発掘の様子をリアルタイムで見学
恐竜化石のクリーニング作業を行なっている様子を、窓越しに見学できますよ。
石剖出技師(プレパレーター)が、エアチゼルと呼ばれる特殊な道具を使って作業をするそうです。
巧みな技術で作業をする姿を間近で見学できる機会は、おそらく本館だけかも。
尚、クリーニングルームは、関係者以外は立入禁止なので、間違っても入らないように気を付けましょう。
【博物館の紹介(その3)】
旅先で訪れた博物館を、下記記事で紹介します。
ちーたんグッズをお土産に如何でしょうか
ちーたんの館を立ち去る前に足を運んでおきたいのが、ちーたんグッズや恐竜グッズを売っている売店です。
手作りのぬいぐるみを始め、クリアファイルやペンなどの文房具、プリントクッキーなどのお菓子まで品揃えが豊富なのは嬉しいかも。
丹波市でしか手に入らない丹波竜のフィギュアは、恐竜コレクターにお勧めです。
癒しキャラクターのちーたんの木製置物もありますよ。
家族や友人・知人にお土産を買って帰れば、きっと喜ばれることでしょう。
「ちーたんの館」の基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県丹波市山南町谷川1110 |
電話番号 | 0795-77-1887(丹波市教育委員会 教育部恐竜課) |
営業時間 | 10:00~17:00(11/1~3/31までは16:00まで) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日) 年末年始(12/29~1/3) |
入館料 | 大人210円、小中学生100円 |
【アクセス】
- JR福知山線「谷川駅」からタクシーで約5分
- JR加古川線「久下村駅」から徒歩で約10分
- 舞鶴若狭自動車道「丹南篠山口IC」から車で約30分
「ちーたんの館」の駐車場
ちーたんの館には、無料駐車場があります。(普通車193台)
まとめ
ちーたんの館では、丹波竜の生態や発掘当時の様子まで様々なことを学べました。
所要時間は、早ければ40分ほどですが、1時間から1時間30分ほどかけて、ゆっくり見て回るのがお勧め。
リーズナブルな価格にも関わらず、恐竜や地球の歴史を感じ取れ、遊んで学べる施設は素晴らしい。
近くにある丹波竜の里公園にも足を運び、発掘現場の見学や、元気村かみくげで化石の発掘体験などを合わせると1日楽しめそうです。