江戸時代には、山陽から鳥取への入り口として栄えた智頭宿。
現在の鳥取県八頭郡智頭町には、その当時の美しい町並みが色濃く残っています。智頭宿を歩きながら、国指定重要文化財の石谷家住宅を始め、塩屋出店や西河克己映画記念館など素晴らしい歴史的建造物へ足を運ぼう。
本記事では、智頭町の観光スポットとして知られる「智頭宿」の見どころを紹介します。
智頭町とはどんなところ
智頭町は鳥取県の東南に位置し、1,000m級の中国山脈の山々が連なり、町の総面積の9割が山林で占めている自然豊かな町です。
そのため、春にはソメイヨシノやシャクナゲ、ドウダンツツジが咲き誇り、夏の新緑や秋の紅葉が素晴らしく、冬には雪景色が見られます。なので、1年を通して町を彩る美しい自然を楽しめる。
また、かつては上方へと向かう主要道であった「智頭往来」の宿場町として栄えました。
江戸時代には、参勤交代で江戸へと向かう鳥取藩の最初の宿として、藩主の宿泊や休憩の場になっていたそうです。
冒頭でも触れましたが、今でも当時の古い町並みや道標が残されており、散策を楽しめる。その際、通り沿いの民家には杉玉が飾られていますので、「杉のまち」ならではの風情を感じますね。
【周辺の見所】
智頭町周辺の見所を、下記記事で紹介します。
智頭宿歩きの所要時間と地図
智頭町の玄関口となるJR智頭駅から北に向かって約10分ほど歩くと「智頭宿」のお散歩スポットへ辿り着きます。また、観光用の智頭宿駐車場からでは、徒歩約4分ほどで到着しますね。
石谷家住宅や諏訪神社など見どころが多いので、所要時間は1時間30分から2時間ほどみておきましょう。
【旅に役立つサービスの紹介】
旅に役立つ便利なサービスを、下記記事で紹介します。
智頭町総合案内所「暮らし屋」で観光スポットの情報を入手
智頭宿の情報や詳細地図を手に入れるには、JR智頭駅の目の前にある「智頭町総合案内所 暮らし屋」へ訪れましょう。
暮らし屋は、特産品の展示販売コーナーも兼ね備えています。展示品には、杉の産地らしく木工品が多いですよ。
木材は目に優しく、見ているだけでもリラックスしますね。日用品として使えるものも多いので、お気に入りが見つかるかも。
また、町の観光と暮らしを案内する場所であり、住民・観光客・移住者の交流を図れますね。それに1階カウンターでは、カフェ営業を行っています。
その他には、着物の貸出しから着付けを行っており、着物姿で智頭宿をお散歩してみるのも楽しそう。やはり古い町並みには、着物姿が良く映えるというもの。
レンタサイクル(電動アシスト自転車)の貸し出しを行っているので、軽快なサイクリングで町の魅力を堪能してみてはいかがですか。
- 住所 鳥取県八頭郡智頭町智頭2067-1
- 電話番号 0858-76-1111(受付時間 9:00~18:00)
- 定休日 年末年始
智頭宿の散策で足を運びたい場所
智頭宿を散策するに当たり、足を運びたい場所を以下にまとめました。
- 旧塩屋出店
- 西河克己映画記念館
- 諏訪酒造
- 御本陣跡(藩主宿泊所)
- 智頭消防団本町分団屯所
- 石谷家住宅
- 諏訪神社
智頭宿の古い町並みをぜひ堪能しましょう。
【カメラに関する話】
智頭宿を散策しながら、旅の思い出に残る写真をたくさん撮ろう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
【見所①】智頭宿の古い町並み
智頭宿を散策していると、多くの登録有形文化財と歴史的建造物を見かけます。
まず始めに紹介するのは「旧塩屋出店」です。智頭駅から歩いて約10分程度の場所にありますね。旧塩屋出店は、石谷家の分家として戦前に建てられた建造物であり、2000年に国の登録有形文化財に指定されている歴史ある建物。
趣のあるこの建物では、お食事処「たけよし」が営業しており、和食中心の定食を提供しています。智頭宿の風情を感じながらゆっくりと食事がとれますね。
また、和風庭園も魅力的。小さな庭園の中には洋館が立てられており、無料で見学できます。
それがこちらの「西河克己映画記念館」です。
西河克己映画記念館は、1930年頃に建てられた2階建ての西洋館。もともとは4代目当主・石谷愛蔵の摘子の結核療養施設として建築されました。彼の死後、キリスト教の教会として使われていましたが、今では智頭町出身の西河克己監督の記念館として、映画関係の資料や映写機などが展示されています。
西河克己監督の作品には、「伊豆の踊子」や「一杯のかけそば」、「青い山脈」などがあり、名作ばかりなので映画ファンならば知っている人も多いのではないでしょうか。個人的には、社会現象にもなった「一杯のかけそば」に懐かしさを感じますね。
お酒が好きな方は、諏訪酒造へ足を運ばれてみよう。ここは、江戸末期の安政6年(1859年)から続く伝統ある造酒屋ですよ。
味と品質にとことんこだわったお酒の数々。爽やかな酸味をもつ「諏訪泉」や、豊かで風格のある味わいの「鵬(おおとり)」など人気の銘酒を生み出しています。
それでは、智頭宿の町並みをダイジェストで紹介。
先ほども触れましたが、江戸時代の参勤交代のおり、智頭宿は一番最初の宿泊地。殿様の宿泊地だったのが本陣です。中町公民館前の広場には、御本陣跡の碑が立てられていました。
建物自体は残されておらず、残念でなりませんが歴史を感じる場所ですね。
いま中町公民館がある場所も本陣だったのでしょう。かつて本陣以外にも御奉行所、役宅、御籠寄、供侍小屋、釜小屋、馬洗場、厩、大門、門番小屋などの多くの施設があったそうです。
尚、中町公民館の建屋はモダンな印象を受ける洋風の建物。少し離れたところには、洋風の下町公民館もある。下町公民館は大正時代の様式を残す旧役場ですよ。これらの両公民館は、国登録有形文化財に指定されています。
智頭宿では、洋風の建物を数件見かける。きっと明治・大正時代の文明開化の影響が残っているのでしょう。時代の移り変わりが見て取れて、面白いですね。
もう一つ洋館を紹介すると、智頭消防団本町分団屯所が珍しい。
建屋の前面に2階まではしごがかけられているのが特徴的です。昭和時代初期に建てられた消防屯所の建築物として非常に貴重ですよ。
建物前には、消防信号の説明がされていました。なるほど勉強になります。
この屯所は、国の登録有形文化財に登録されており、智頭町の防災に欠かせない施設として位置づけられています。
智頭宿には様々な歴史的建築物がありますが、その中でもひと際威容を放つのが「石谷家住宅」です。ここは必ず訪れたい。有料ですが一般公開されているので、ぜひ見学することをおすすめします。
【古い町並みの紹介】
智頭宿のような古い町並みの観光スポットを、下記記事で紹介します。
【見所②】石谷家住宅
石谷家住宅は、国の重要文化財に指定される近代和風建築です。
約3,000坪もある広大な敷地面積には、部屋数が40以上ある邸宅、7棟の蔵、そして美しい日本庭園があります。
邸宅全体が良好な状態で保たれており、国内の銘木、デザイン、施工技術とともに最高の水準を満たしている。江戸時代から昭和時代という長い歴史の重なりを表現した素晴らしい建築ですよ。
吹き抜けの「土間」やハートの意匠がある「江戸座敷」、国の名勝の石谷氏庭園など見どころも多いので、じっくり見学していきましょう。
くわしくは、下記関連記事で紹介します。
【見所③】諏訪神社
石谷家住宅から東に徒歩1分のところに諏訪神社の鳥居が立っています。
鳥居をくぐり抜けて、緩やかな坂道の参道を歩きましょう。
しばらくすると、忠魂碑などが建てられている広場に出ますが、まだ奥に階段が続いている。登っている途中に境内社を見かけました。
階段は、結構な急勾配なので足元に注意するように。
階段を登り終えると、拝殿が見えてきました。
諏訪神社は、創建は鎌倉時代の弘安元年(1278年)と古く、信州にある諏訪大社の分霊が祀られています。武家や鎮火の守護神、農業・狩猟の守護神、道中安全の祈願所として崇敬されてきました。
江戸時代には、鳥取藩主の池田家の祈願所だったことから、非常に由緒ある神社ですね。6年に一度、申年と寅年の4月の酉の日には、鳥取県指定無形民俗文化財に指定されている「柱祭り」が開催されます。
境内は、神聖な雰囲気が漂い、凛とした空気感に身が引き締まる。凛々しい狛犬もGoodです。
古くから紅葉の名所として知られており、楓が咲き誇る壮観な景色を楽しめます。
智頭宿の基本情報とアクセス
住所 | 鳥取県八頭郡智頭町智頭568、569 |
電話番号 | 0858-76-1111(智頭町総合案内所) |
【アクセス】
- JR・智頭急行 智頭駅から徒歩約10分
- 鳥取自動車道「智頭IC」から車で約5分
智頭町の観光に利用できる無料駐車場
智頭宿を観光する際には、無料の智頭宿駐車場がありますので、そちらを利用しましょう。(普通車30台、大型バスも駐車可)
まとめ
本記事では、智頭町の観光スポットの1つ「智頭宿」の見どころについて紹介しました。
智頭宿には多くの登録有形文化財と歴史的建造物がありますので見ごたえがありますね。特にひと際威容を誇る「石谷家住宅」はぜひ足を運んでみてください。国の重要文化財に指定されている大邸宅であり、見どころも多いです。
智頭町には、今回紹介した智頭宿以外にも伝統的建造物群保存地区である「板井原集落」や、恋愛成就のパワースポット「恋山形駅」、杉の精霊を祀る全国でも類をみない「杉神社」などがありますので、訪れてみてはいかがでしょうか。