牛が縁を運ぶ「田倉牛神社(たくらうしがみしゃ)」を知っていますか。
全国にたくさんある神社の中でも、ともて珍しい神社ですよ。陶器で作られた無数の牛像が奉納される珍しい風習が今も続いており、面白い参拝方法も魅力的。
神殿がなく神職もいない一風変わった神社ですが、霊験あらたかなパワースポットとして知られています。初見では、山のように積まれた迫力ある牛像にビックリするでしょう。けれど、一見の価値はありますね。
本記事では、田倉牛神社の珍しい風習が残る参拝方法を中心に、見どころを紹介します。
田倉牛神社に牛像が奉納されている理由とは
田倉牛神社は、岡山県備前市吉永町に位置し、鳥居はあるけど社殿がない珍しい神社です。
冒頭でも触れましたが、陶器(備前焼)の牛像を奉納しており、江戸時代からその風習が続いています。もともとは、岡山藩が農業振興策の一つとして、農家に牛を飼うことを推奨したため、各村に一カ所ずつ、神様をまつる祠(ほこら)を設けたことが要因といわれている。
当時は、農業器具などがまだ発達していなかった時代。牛の健康は農業の進捗に直結し、それは村人たちの暮らしに多大な影響を与えていました。
そのため、田倉牛神社は「農耕の神」として信仰を集めていき、備前焼の牛像または馬像が多く奉納されるようになったそうです。
その風習は現代までに残り、ユニークな参拝方法として注目を集めています。
【周辺の見所】
田倉牛神社の見どころを、下記記事で紹介します。
田倉牛神社のご祭神・ご利益・所要時間
田倉牛神社のご祭神は、「牛頭天王(ごずてんのう)」です。名前から分かるように、牛の頭を持った神様ですよ。
お釈迦様が生まれた祇園精舎の守護神として、全国の祇園社や天王社で祀られています。また、薬師如来を本地仏とし、神道における須佐之男命(すさのおのみこと)と同体であるとされている。
牛頭天王は、疫病や災いなどを司る神様と信じられていました。その神様を祀ることで、逆に疫病を鎮めるご利益があるといわれています。
そのことは、江戸時代から現代まで何も変わっていません。また、時代が経つにつれ、ご利益の範囲も広がり、現代では五穀豊穣や家内安全、結婚、就職、交通安全、商売繁盛など様々なご利益があります。
田倉牛神社の境内は、それほど広くないので、20~30分もあれば一通り見て回れます。
所々に小さな祠があり、多くの牛像が祀られていますので、参拝に足を運んでみましょう。
【神社参拝に役立つ話】
神社へ参拝する際に役立つ話を、下記記事で紹介します。
田倉牛神社の珍しい風習が残る参拝方法
田倉牛神社を参拝する際、他の神社と同じように参拝しても構いませんが、せっかく訪れたのですから正しい作法で参拝していきたいですね。
その参拝手順は以下の通り。
- 社務所で子牛像をいただく
- 神座に子牛像を奉納する
- すでに奉納されている子牛像を持ち帰る(自分が奉納した子牛像でなくても構わない)
- 願いが叶ったら御礼へ再度訪れる
- 持ち帰った子牛像と、新しい子牛像を合わせて奉納する
この手順を聞いて「子牛像が増えている!」と思った方は鋭い。
そうです、願いが叶えば倍返しをするシステムですよ。なので、神座には山盛りに子牛像が増えていくのも納得。ちなみに社務所前に参拝手順が記載された用紙がありました。
参拝手順が記載された用紙に、なぜか亀の置物が・・・・これはこれで良し。
それでは、それぞれの手順について説明します。
まず始めに社務所を訪れて、子牛像をいただきましょう。
社務所前の棚段に子牛像が並べられている。また、社務所内にも子牛像が並べられているので、ご縁を感じたものを選ぶように。
奉納料は、1,200円(お供え用の子牛像+お線香とロウソク)です。牛像はここで作られており、一体とて同じものはなく、どれを選べばよいのか悩ましいかも。
ちなみに私は、とある子牛像と目が合い、何か訴えかけているような強いご縁を感じた。
なので、私が購入した子牛像がこちら。うん、色といい形といい、実に可愛いじゃないですか。
子牛像を入手したら、神座へ向かいましょう。鳥居をくぐり抜けて階段を登ると、少し広い広場へ出ました。右手にさらに奥へ続く長い階段があるので登りましょう。
すると、少し開けた場所に出ますね。そして目の前には牛・牛・牛の像が山盛りとなっており、ビックリしますよ。これが神座です。
なので、檻の隙間から社務所でいただいた子牛像をそっと奉納して下さい。
その際、すでに奉納されている子牛像を1つ持ち帰ろう。自分で奉納したものでもよいし、他の人が奉納したものでもよい。
当然、私はご縁を感じた自分で奉納した子牛像を持ち帰りました。願いが叶ったらまた来ます。
【カメラに関する話】
カメラ撮影で旅の思い出を残しましょう。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
【見所①】神座に奉納され山積みとなった無数の牛像
参拝者が神座に奉納した子牛像は、実に30万体とか60万体以上もあるといわれており、牛像で築かれた山は見ごたえがありますね。
時代によって奉納された子牛像の形が違っているので、探して色々見て回るのも面白い。それに可愛らしい備前焼の牛たちが、黒々とした頑丈な鉄格子に囲まれているのは少しシュールかな。
そんな姿に私の頭の中では、ドナドナのメロディーが響き渡りました。いやいやいや、彼彼女たちは、立派にお勤めを果たしている。社務所でいただいたローソクとお線香に火をつけてお参りしましょう。
ピラミッドのようになっているので、いつ子牛像が崩れ落ちても不思議ではないですね。そのために周囲を檻で囲んでいるのだと思います。
檻からはみ出した場所にも整然と、子牛像が並んでいる。
頂上に見えるのは、馬じゃないですか。なるほど、馬も牛と同じように昔から私たちの生活を支えている動物ですね。なので、馬が祀られていても不思議ではありません。
写真では分かりずらいですが、馬の後ろには石でできた牛像が祀られていました。
それにしても、こんなインパクト抜群な光景が見られるのは、日本広しといえど、おそらく田倉牛神社だけでしょう。この圧巻の光景は、一見の価値があります。
【神社仏閣の紹介(その1)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
【見所②】境内で見られる様々な牛像
境内には祠がいくつもあり、神座以外にも牛像が祀られています。
その中でも目を引くのが、ひと際大きな牛神様。この牛神様の周りもたくさんの子牛像が奉納されていました。この牛神様の祠があるのは、神座へ向かう長い階段のそばです。長い階段を登るのがつらい方は、こちらで参拝するとよいですね。
立派な牛神様には、大きな桜の花びら模様が描かれており、実によく似合っている。
その他にも小さな祠が点在しており、様々な牛像が祀られているので、足を運び参拝しよう。備前焼のものだけでなく、石で作られた牛像もある。そんな境内の様子をダイジェストで紹介。
こちらの建物は牛神会館です。関係者以外立ち入り禁止なので、中へは入れません。
こちらは摂社の大仙社。ここでは石の牛像がありました。
何だか笑っているように見えませんか。歓迎されているのかな。
こちらは特製の絵馬。馬と牛が描かれている。旅の記念に願い事を記入してみてはいかがですか。
参道を歩いていて気づきますが、神職が不在にも関わらず手入れが行き届いています。
地元の人が丁寧に掃除やお手入れを行っているそうですよ。地元に根付いた風習とともに愛されていることが良くわかりますね。平日は人通りが少ないそうなので、心静かにお参りできます。
【神社仏閣の紹介(その2)】
旅先で訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
田倉牛神社を訪れた際の注意点
田倉牛神社には、たくさんの子牛像が奉納されています。そのため「こんなにあるのならば、1個ぐらい持ち帰っても、わからないのでは。」と考える人もいるでしょう。そんなことすれば、大変な目にあうかも知れません。
牛神様を祀る神域では、禁を犯すと神罰がくだるそうですよ。樹木の伐採はタブーですし、正しい参拝方法以外で、勝手に子牛像を持ち帰ると不幸に見舞われるかも。神様はいつでも天から私たちの行いを見ています。聞いたところによると、不敬なやり方で持ち去ろうとした者が事故にあったとか。
田倉牛神社に限らず神社は神域そのものなので、タブーを犯さないように気を付けましょう。
毎年1月5日は、牛神社大祭が開催される
田倉牛神社では、毎月5日が祭日でその中でも1月・5月・9月が大祭に当たります。
正月である1月の大祭は、初詣ということもあり、近隣から多くの参拝者が訪れる。屋台なども出て、とても賑わいますね。「1年の計は元旦にあり」という言葉がある通り、1月5日の大祭に訪れ、牛神様へお祈りを捧げてみてはいかがでしょうか。
田倉牛神社の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県備前市吉永町福満898-3 |
電話番号 | 0869-84-2513(備前市吉永町観光協会) |
【アクセス】
- JR吉永駅から徒歩約20分
- 山陽自動車道「備前IC」から車で約10分
田倉牛神社の駐車場
田倉牛神社には、無料駐車場がありますね。駐車場からは、道路を横断し踏切を渡って神社へ向かいます。
まとめ
田倉牛神社では、陶器の牛像を奉納する珍しい風習が残っています。
そのため、普通の神社とは少し変わり、その正しい参拝方法は記憶によく残る。旅の思い出にもなるので、備前市へ訪れる機会があれば足を運んでみて下さい。境内には、たくさんの牛像が見られるので、初見では絶対にビックリするはずです。
のどかな田舎の風景が広がる場所に鎮座している小さな神社ですが、きっと素朴な祈りが牛像を通して、縁を結んでくれるでしょう。