日本は海に囲まれた国のため、至るどころに港町が点在しています。島根半島の東端には、かつて西日本でも有数の繁華街として賑わった港町があったことをご存じですか。
それが「美保関」です。今は静かな港町として当時の面影を残しており、パワースポットとして名高い「美保神社」や、山陰地方で最も古く「世界の歴史的灯台100選」に選ばれた美保関灯台など見どころも多い。
本日は鳥取県米子市の米子駅からスタートし、絶景自転車道「弓ヶ浜サイクリングコース」を経て、島根県松江市美保関町へ向かいました。
本記事では、米子市から美保関町まで自転車で旅した様子をお届けします。
米子駅で巨大なモニュメントを観察
いつものように電車輪行でJR米子駅へやってきました。個人的には、鳥取県内の旅で起点となるのが米子駅と鳥取駅が多いです。
米子市は、旧伯耆国の中心都市であり、今は鳥取県No.2の都市といえる。そのため、アクセスも良好で起点にしやすいですね。何度も足を運んだことのある米子駅ですが、毎回駅前のモニュメントには驚かされます。
たとえば、だんだん広場にあるこちらのモニュメント。
何度みても銀河鉄道999にしか見えない。銀河鉄道999を知っている人が100人いたら、ほぼ100人近くの人がそう答えると思う。
少し調べてみましたが、米子市は鉄道発祥の地ということで、その関連モニュメントらしい。周りに説明板がないので詳細は不明です。なので、説明板を設置して欲しいですね。
その他にも「米ッ子合掌像(こめっこがっしょうぞう」や「白鳥」のモニュメントがあります。
米ッ子合掌像は、米子の「米」という字を視覚的に具現化した物だとか。両手をあわせて合掌の形にして、米子を訪れる人に歓迎の意を示しているのでしょう。
白鳥モニュメントの頭の上には、小人が乗っている。これを見ると「ニルスのふしぎな旅」を思い出す。ひょっとして、その作品をモチーフにしたのでしょうかね。
これらの巨大モニュメントは、1つでもインパクト抜群ですが、3つの作品が駅前に集まっているのが凄いし、面白いですね。しばらくモニュメントを観察した後で、米子駅を後にしました。
まず始めに目指すのは、北側にある皆生(かいけ)温泉の地。ここから海岸線に整備された弓ヶ浜サイクリングコースが始まります。
【自転車旅に役立つ話】
自転車で旅を始める前に確認しておきたい内容は色々ありますね。下記記事では、自転車旅に役立つ話を紹介します。
絶景自転車道「弓ヶ浜サイクリングコース」を進む
弓ヶ浜サイクリングコースの起点は、日野川河口になりますが、私はそこまで起点終点にこだわりがないので、日本トライアスロン発祥記念碑が建てられている場所から走り始めました。
この記念碑は、皆生温泉エリアの海岸線にあるので、すぐに見つけやすいですね。
ちなみに、この像から東へ約220mほど進めば日野川の河口があります。記念碑があることから、この地が日本で初めてトライアスロンが行われた場所だということが分かる。この碑には、当時参加した選手53名の名前が刻んでいる。
右手を天に向けて上げた女性の像は、いつまでも安全に競技が発展するよう見守っているのでしょう。2023年時点で、すでに41回目を迎えた全日本トライアスロン皆生大会。これからも熱いドラマを期待したいですね。
直ぐ近くには、龍神様のお社がありましたのでご挨拶。それでは、早速ゴールの「境夢みなとターミナル」へ向けて出発です。
ここで弓ヶ浜サイクリングコースについて簡単に説明。このコースは、鳥取県米子市の日野川河口から境港市にある「境夢みなとターミナル」まで続く全長約16kmのコースです。弓ヶ浜半島や大山の美しい景観を楽しめる絶景コースであり、2020年3月22日に全線開通しました。
コースの一部は、国道431号線と並走する形で走りますが、全体的にほとんど信号がなく、常に自分のぺースでサイクリングを楽しめます。
皆生温泉エリアを抜けて、一時的に国道431号線と並走する道へ合流しましたが、ここで少し寄り道。道路を挟んでも向こう側には、陸上自衛隊米子駐屯地がありました。
周囲を金網で覆われていますが、金網越しで戦車やヘリコプター、輸送機などが見て取れる。
うん、普段お目にかかれない乗り物にテンションが上がる。個人的には、救急車などの特殊車両を見てもテンションが上がってしまう。そういう男性は多いと思いますね。
さて、再び弓ヶ浜サイクリングコースに戻りますよ。コース上には、防風林として松が植樹されていますが、日本海から1年中、風を受けているので、斜めに成長しています。
つまり、それだけ風が強いということだ。私が訪れた日は、ほとんど風の影響がなくて、快適そのものでした。
横目で日本海の景色を楽しみながら、鼻歌交じりでペダルを回していると、ゴールに近づくにつれ、ゴール付近にある「夢みなとタワー」が大きく見えてくる。これは良い目印です。
境港マリーナが見えてきたら、ゴールまであと少し。
ラストスパートはかけませんよ。本日の本当のゴールは美保関です。まだ先はありますので。
夢みなと公園へ到着。奥には夢みなとタワーが見えますね。実は、夢みなとタワーは日本一低いタワーとして有名な展望スポット。全長43mしかなく、タワーとしては確かに低めですが、天気が良ければ大山や日本海を一望できるといいます。なので、私が立ち寄らない訳がないでしょう。
しかし、ここで残念なお知らせが・・・なんと休館日という事実の判明に思わず「うそ!」と声が出ましたね。
う~む、旅を続けていればよくあるのが、定休日との遭遇。これは事前に調べていない方が悪いので、仕方がありません。
少し気落ちましたが、ゴールの境夢みなとターミナルへ到着。
ここで、たまたま停泊していた巡視船「おき」を発見。その白亜の船の造形に、思わずガッツポーズ。気落ちしていたテンションが回復しました。(笑)
こういう時、単純なのは良いことだと、つくづく思いましたね。
尚、弓ヶ浜サイクリングコースについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
島根半島へ向かう道中にて
境夢みなとターミナルを後にして、島根半島へ向けて北上している最中に見つけたのが、巨大な鬼太郎の像です。
境港市は「ゲゲゲの鬼太郎」の生みの親・水木しげる氏の出身地ということで、境港市街にある水木しげるロードが有名ですね。
明日、そこへ行く予定ですが、その前にこれほどの巨大な鬼太郎の像を見つけるとは思っていませんでした。この鬼太郎像がある場所は「大漁市場なかうら」です。
大漁市場なかうらは、大型海産物店であり、境港で水揚げされた名物の松葉ガニや、獲れたての海の幸や加工品などを販売しています。
予想外の発見にテンションが急上昇。当然のようにカメラのシャッターを切っていました。
後から調べて分かったのですが、この鬼太郎の像は日本一の大きさだという。鬼太郎の頭の上には、目玉の親父の姿を見つけ、日本一大きな息子が誇らしげなのか胸を張っていますね。
等身大のねずみ男を発見。右手を伸ばし握手を求めている。首にかけたボードには、握手する際の注意事項がかかれているので、よく読んでおこう。
どうやら、たくさん握手していたら右手を傷めたようで現在治療中のこと。なので、優しく握手をしてあげて下さいね。
路面に目を向けると、一反木綿(いったんもめん)を見つけました。近づき過ぎると見逃すかも知れないかも。
鬼太郎の仲間の妖怪たちが看板に描かれていますが、猫娘の変化が著しいと思う。
鬼太郎のアニメは、2023年時点で6期も放映されていますが、期が進むごとに猫娘の変化がもの凄いですね。6期になると、かなりの美少女。最早、昔の面影はありません。
時間的にも昼時なので、弓ヶ浜さんへお邪魔して昼食をおいしく頂きました。
昼食を食べ終えると、旅を再開。島根半島へ渡るため、境水道大橋へ向かいます。
この橋は上って下りますが、上りは距離は短いながら勾配が7.3%もあるので、坂道が苦手な人は歩きたいと思うでしょう。しかし、ここで問題が1つある。
実は境水道大橋の歩道の幅が狭すぎるのです。人ひとりが何とか通れる幅しかないため、自転車で歩道を走るのはかなり難しい。橋を渡り終えるまで、道幅は変わらないので、自転車は車道を走った方が安全ですよ。
橋の上からは、境港市が一望できる絶景スポット。なので、お見逃しなく。
その時、眼下に見つけたのが海へ続く線路です。
思わず「なにっ!」と声を上げてしまいました。海へ続く線路といえば、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に登場し、一躍有名になりましたので、知っている人も多いでしょう。
先月、岡山県の児島半島をサイクリングしている最中(その時の話は、こちらの記事で紹介)にも見つけたのですが、このような不思議な光景は驚きますね。
橋を渡ると、島根半島へ上陸。ここから境美保関線(県道2号)を東へ向けて、道なりに走れば美保関へ辿り着きます。
【カメラに関する話】
旅の道中では、カメラで撮影したい機会が多いですね。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
海に浮かぶ「男女岩」は恋愛のパワースポット
しばらくすると、海の中に注連縄(しめなわ)でつながっている岩を発見。男女岩(めおといわ)ですね。
旅を続けていると、「めおと岩」や「めおと杉」と呼ばれているものに出会う機会が多い。夫婦岩(めおといわ)といえば、伊勢の二見興玉神社が有名ですが、こちらの男女岩も負けてはいません。
男根に似ているものがあるのが男岩。女岩には海蝕洞の洞門があり見ごたえがある。この男岩と女岩の間から、中国地方最高峰の大山を眺めると、子宝に恵まれるといわれている縁結びのパワースポットですよ。
美保関にある美保神社で良縁祈願を行ない、佛谷寺(ぶっかくじ)を訪ね、美保関灯台にある遥拝所から沖の御前島に向けて手を合わせた後で、最後に男女岩から大山を眺めるというのが地元おすすめの「縁結びコース」です。
男女岩を後して海岸線を進んでいると、えびす様と三穂津姫命(みほつひめのみこと)様が美保関へ訪れたことを歓迎してくれる。
この2柱は、美保神社のご祭神ですよ。美保神社へ訪ねて正式に挨拶していこう。この案内板から約2kmほど進み、美保関町の市街地へ到着しました。
【自転車旅の紹介】
本記事のような自転車旅の様子を、下記記事で紹介します。
美保関の観光
今の美保関は、かつての賑わいが嘘のような静かな港町です。今でもその当時の面影を残す町並みが残っており、町並み散策を楽しめます。
青石が敷き詰められた「青石畳通り」では、元船宿や老舗の醤油蔵などが並んでいる。その中でも代表的な建物といえば美保関本館でしょう。
青石畳通りは、美保神社から佛谷寺までの約250mほどの長さがあり、その通りの景観は、異国の雰囲気を醸し出していました。
美保関で有名な場所の1つが美保神社です。全国に約3,000社もある「えびす神社」の総本社として知られている、由緒正しい神社ですね。
8世紀頃には、すでに存在していたのではないかと言われるくらい古い歴史を持ちます。
先ほども触れましたが、お祀りされている神様は、三穂津姫命(みほつひめのみこと)と事代主神(ことしろぬしのかみ)の2柱。有名な出雲大社でお祀りしている大国主神の妻子にあたる。事代主神は、えびす様のこと。こちらの名前の方がより有名ですね。
拝殿は、梁がむき出しで天井がない特徴的な造りになっているため、実に見ごたえがありました。
美保関市街から更に東へ向かうと、美保関灯台が見えてくる。美保関灯台は、海抜73mの岩上にそびえ立ち、国の重要文化財に指定されています。
また、山陰地方で最も古い灯台ですよ。その周囲には、遊歩道や展望台が整備されており、天気がよければ、隠岐の島や中国地方最高峰の大山を一望できます。
展望台から日本海の景色を堪能したり、自然豊かな遊歩道を散策しながら自然が作り上げた景色を満喫していました。
散策を楽しんだ後は、灯台の隣で営業しているレストラン「灯台ビュッフェ」へ立ち寄り、ティータイムにしゃれこみます。
日本海の景色を窓越しに眺めながら、本日1日を振りかえっていた次第です。その後、美保関市街へ戻り夜が更けていきました。
尚、美保関については、下記関連記事でくわしく紹介します。
まとめ
本日の自転車旅では、美しい自然や歴史ある町並みを楽しみ、満足度の高い1日を過ごしました。
絶景自転車道「弓ヶ浜サイクリングコース」は、サイクリングだけでなく、ジョギングやウォーキングにもおすすめ。コースの所々に駐車場があるので、車で訪れて途中からサイクリングを始めてみるのもよいですね。
美保関はアクセスが良いわけではありませんが、魅力ある観光スポットが多いです。なので、1泊してじっくり見て回ろう。緩やかに時間が流れる港町を、ゆっくり散策しながら過ごしていると、身も心もリフレッシュを図れます。