鉄道ファンはもとより、鉄道にくわしくなくても十分に楽しめる博物館「津山まなびの鉄道館」へ足を運んでみませんか。
岡山県のJR津山駅から徒歩約10分とアクセスも抜群によく、子供から大人まで楽しめる。
特に国内では10個程ほどしか現存しておらず、世界的にも数が少なく珍しい扇形機関書庫と転車台は見ものですね。その規模は実に国内第2位を誇り、レトロな13台の車両が展示されていますので、じっくり見学しよう。
また、鉄道の構造や技術、岡山の鉄道の歴史を学べたり、鉄道関係のグッズも盛りだくさん。まさに鉄道の聖地と呼んでもよいのではないでしょうかね。
本記事では、見どころが多く見応え抜群の「津山まなびの鉄道館」の魅力を紹介します。
津山まなびの鉄道館とは
津山まなびの鉄道館は、岡山県津山市に位置し、扇形機関車庫(旧津山扇形機関車庫)や転車台、収蔵車両などを展示する博物館です。
JR津山駅の南西部分に隣接しており、津山駅構内でもあるこの場所では、フェンス越しに現役の列車も見物できる。その他にも以下のコーナーがあり、子供から大人まで幅広い層に楽しめるスポットですね。
- あゆみルーム:岡山県の鉄道の歴史を学べる
- しくみルーム:鉄道の構造や技術などを理解できる
- まなびルーム:本館についてDVDで紹介したり、鉄道グッズなどを販売
- まちなみルーム:津山市の町並みをジオラマで再現
旧津山扇形機関車庫と転車台は、経済産業省の「近代化産業遺産」に登録済み。さらに社団法人土木学会が選定した「日本の近代土木遺産-現存する重要な土木構造物2000選」に選ばれ、岡山県教育委員会から「岡山の近代化遺産」に指定されています。
館内を隅々まで見て回り、鉄道の面白さをぜひ体感してみてくださいね。
【周辺の見どころ(その1)】
津山まなびの鉄道館周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
津山まなびの鉄道館の受付・施設案内図・所要時間・休憩場所
正門から敷地内へ入り、そのまま真っ直ぐ歩くと受付があります。まずは、ここで入館料を支払おう。すると、レトロな硬券をゲットできる。
この硬券が入館券ですね。40代以上の方であれば、懐かしいのではないでしょうか。
硬券と合わせて手に入れておきたいのが、本館のパンフレット。A3用紙1枚に、本館の施設や案内図が描かれており、実に分かりやすい。
また、1日に6回のみ定時に開催されるジオラマショーの整理券も入手したい。この整理券は、受付に隣接している「まなびルーム」で配布していますので、中に入ってスタッフに声をかけて下さいね。
ジオラマショーの整理券は先着10名の定員制なので、開催時刻に注意を払うように。ジオラマショーが開催される5分前には「まちなみルーム」へ足を運んで下さいね。(ジオラマショーについては、後で紹介します。)
こちらは、施設案内図です。一通り全ての施設を見て回ると所要時間は、30~60分ほどかかる。特に収蔵車両を1台づつじっくりと見学していれば、半日以上はかかるかも。鉄道ファンにとっては、至福の時間といえるでしょう。
見学に疲れたら屋外にある「いこいの広場」で休憩しよう。
ここでは、飲食も可能です。それに目の前の津山駅内では、現役の車両が出入りするのを見られるので面白いですよ。また、まなびルーム前にもベンチがあるので、こちらでも休憩できます。
【旅の移動手段】
旅へ出かけ際には、移動手段が大事になりますね。下記記事では、旅の移動手段に関する話を紹介します。
大迫力!間近で見る転車台と国内で2番目に大きい扇形機関車庫
受付後、敷地内を見渡せば、目に飛び込んでくるのが迫力満点の大きな転車台。そして、その奥に見える扇形機関車庫(旧津山扇形機関車庫)ですね。
先ほども触れましたが、これらの転車台と扇形機関車庫は、2009年に経済産業省の「近代産業遺産」に登録され、高い評価を受けています。
転車台とは、車両の向きを変える機械です。全長は18.28mもあり、赤いディーゼル機関車が載せられていました。その様子は実に様になっているので、様々な角度で見て歩こう。
車両には「DD13638」のナンバーが見て取れた。調べてみると、どうやら1967年(昭和42年)製の車両で、かつて国鉄時代に姫路区で活躍していたということ。実際に乗られた方ならば、色々な思い出があるものだと思います。
この転車台は、1930年に電動牽引機とともに設置されました。
転車台の手前には、蒸気機関車C57形68号の動輪が展示されています。直径が1m75cmで重量が3,480kgもある国内最大の動輪をご覧あれ。日本人の成人男性の平均身長が約171cmなので、それより大きな車輪の存在にはビックリ!
また、多くの旅客列車用蒸気機関車に搭載されたこのタイプの動輪は、最高速度時には1秒間に5回転し、時速100kmで走行していたそうですよ。
転車台を中心に、放射状に延びる線路の先には、曲線を描く「旧津山扇形機関車庫」があります。
列車が一同に並ぶ姿は、実に素晴らしい。特に男性ならばメカ好きな人が多いと思うので、思わず「お~う!」と感嘆するでしょうね。もちろん私は大興奮でした。(笑)
かつて津山駅を発着していた機関車の待機場所として使用されていましたが、今となっては、映画のワンシーンを思わせる光景ですね。
日本国内で2番目の大きさを誇り、延床面積2,527平方メートルもある。ちなみに1番目は、京都鉄道博物館の「梅小路蒸気機関車庫」です。
この旧津山扇形機関車庫は、転車台が設置された6年後の1936年に建設されました。当時の金額では、11万600円で建設されということなので、現在の金額に換算すれば数億円はかかるのは間違いありません。規模から考えてみても、億単位の費用がかかっているのに納得感がある。
機関車の収容線数は17本。建物の構造は、鉄筋コンクリートのフラットスラブ方式。温度変化や地震による振動などから、この巨大な構造物を崩壊から守る様々な工夫を施しています。
背面に目を向けると、広いガラス窓で覆われており、これは蒸気機関車の煤煙によって暗くなりがちの書庫内に、自然光を取り入れるための工夫なんだとか。さらに天井には、当時は貫通していたと思われる煙り抜けの穴なども確認できるので、色々と考えて設計している事実に感心しました。
この圧巻のスケールを誇る、転車台と旧津山扇形機関車庫の周りを歩いて体感できるのは、とても貴重そのもの。心行くまで見学に時間を費やしましょう。
【カメラに関する話】
津山まなびの鉄道館は、思わずカメラを向けて撮影をしたくなる場所ばかりですね。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
旧津山扇形機関車庫に眠る貴重な車両たち
旧津山扇形機関車庫には、レトロな13台の車両が展示されています。鉄道ファンであれば、たまらない懐かしい名車だろう。
個人的には「やくも」の名称を掲げた「キハ181形気動車」に縁を感じる。というのも、島根県や鳥取県の米子市方面へ旅するときに「特急やくも」をよく理由しているからだ。「やくも」の先輩を見て、感慨深いものを感じましたね。
このキハ181形気動車は、急列車用の気動車として158両製造された実績を持ちます。急勾配線区向けに500PSの大馬力機関を装備し、気動車特急の勢力拡大とサービスアップに貢献しました。
2024年春から投入された新型の「特急やくも」は、これまでの国鉄色とは異なり、デザインや車体を一新。車体性能を向上し、やくもの進化はとどまらない。
その他にも、日本全国の線区で急行列車として活躍した「キハ58形気動車」と「キハ28形気動車」を始め、入換や小運転用に量産された初のディーゼル機関車の「DD13形ディーゼル機関車」などがありますので、じっくり見学しよう。
以下に13台の車両の名称を上げます。全て知っている人がいれば、鉄道博士になる素質は十分あるかも知れないぞ。
キハ33形気動車 | キハ181形気動車 | DE50形ディーゼル機関車 |
キハ52形気動車 | DD13形ディーゼル機関 | DF50形ディーゼル機関車 |
キハ58形気動車 | DD15形除雪用ディーゼル機関車 | 10t貨車移動機 |
キハ28形気動車 | DD16形除雪用ディーゼル機関車 | |
D51形蒸気機関車 | DD51形ディーゼル機関車 |
これらの他にも、この機関車庫の裏側へ移動してみると、車庫に展示されていない車両を偶然発見しました。う~む、何という名前だろうか、わたし気になります。
展示されている車両のうち、ぜひしっかり見学して欲しい「DE50形ディーゼル機関車」と「D51形蒸気機関車」について紹介しますね。
【博物館の紹介】
津山まなびの鉄道館のように魅力ある博物館は、日本全国に数多く点在しているので訪れるのが楽しいですね。そこで、旅先で訪れたそのような博物館を下記記事で紹介します。
国内で1両しか製造されなかった「DE50形ディーゼル機関車」
津山まなびの鉄道館へ訪れたら、必ず見ておきたい車両が「DE50形ディーゼル機関車」です。
なぜならこの車両は、国内で1台のみしか製造されておらず、ここでしか見ることができない貴重な車両ですよ。1970年に製造し、日本最大の2,000馬力の機関を搭載しているのが特徴としてあげられる。
もともとは、当時の非電化幹線の次世代主力機として開発されたのですが、投入予定線区の急速な電化などに伴い、量産化されませんでした。これも時代の流れなのでしょうね。
黒光りする重量感が魅力的な「DE50形ディーゼル機関車(デゴイチ)」
D51形蒸気機関車は、「デゴイチ」の愛称で多くの人に親しまれている名車です。SLの王者といっても差し支えないでしょう。
黒光りする重量感たっぷりのボディは、王者の風格を漂わせており、子供から大人まで大人気。1936年から1945年の間に1,115両も製造されるほど、かつては国内で良く見られた機関車でした。
初めて製造されてから約90年以上経過した今でも一部の地域では、現役で運行されており、昔から根強いファンが多いです。本館に展示されているものは、2番目に造られたとても古い機関車ですね。
デゴイチが入庫された場所の近くには、1970年(昭和45年)に廃車となったD51形蒸気機関車755号機の汽笛が「旅立ちの汽笛」として展示されていますので、お見逃しなく。
津山の町並みを再現したジオラマショーを見逃すな
「まちなみルーム」では、津山の町並みを再現したジオラマが展示されています。
そんなジオラマを見て「あっ、ここ知っている!」と思わず声を上げてしまうほど精緻に作られている。津山市のシンボル「津山城」を始め、旧津山扇形機関車庫を含む津山駅周辺や衆楽園など津山市民にとってお馴染みの場所が勢ぞろい。
実はここでは、10:00~15:00まで1時間毎に開催されるジオラマショーを楽しめる。わずか5分間と短い時間なのですが、朝から夜まで津山の町をNゲージが駆け抜ける様子をナレーションとともに体感できるのです。
夕方になると、部屋の照明はオレンジ色に照らされ、夜になればブルーライトに切り替わる。さらに列車の車内には、灯りがともるなど芸が細かい。
特に驚いたのは、旧津山扇形機関車庫から列車が出発し、転車台で向きをかえて、津山市を駆け抜けるその姿。そして夜になると、この機関車庫へ戻ってくる。いや~、実に面白いものが見れました。(喜)
ジオラマショーは、先着10名の定員制なので、入場前には必ず「まなびルーム」で整理券を入手しましょう。
- ジオラマショーの開催時刻
- ①10:00 ②11:00 ③12:00 ④13:00 ⑤14:00 ⑥15:00
- ショーの開催中は撮影禁止です。ショーの開催前後であれば撮影OKですね。
「しくみルーム」で鉄道の構造や技術を知る
しくみルームでは、安全で快適な鉄道が一体どのようにして正確な運行が行われているのか、技術や工夫などを紹介しています。
また、実際に操作できる体験コーナーがあったり、鉄道クイズが出題されていたりするので、楽しみながら学習ができますね。
たとえば、こちらの模型では、レバーを左右に切り替えることで、車両の進行方向を変更する仕組みを間近で確認できる。私が訪れた時には、小さな子供たちが楽しそうに遊んでいました。
その他には、レトロな駅名プレートや可愛らしいヘッドマークなども展示されているので、見ているだけでも楽しいですよ。
私がこの「しくみルーム」で学んだ内容を一つ紹介。
なぜ列車は走るたびにガタンゴトンと音がするのを知っていますか。列車とはそういうものだと思っている人も多いと思いますが、きちんとした理由があります。
それは、レールは鉄でできており、継ぎ目には「遊間(ゆうかん)」という隙間が作られているのが原因です。そのため、列車が通過する時にガタンゴトンと音がします。なるほど!勉強になりました。
そもそも鉄は暑い時に伸びて、寒い時に縮む性質があるので、隙間がなければ歪がでてしまう。もし遊間がなければ、ひずみの影響で脱線してしまう危険性があるので、よく考えられた仕組みですね。
「あゆみルーム」で岡山の鉄道の歴史を学ぶ
あゆみルームでは、岡山の鉄道の歴史を中心にして、日本の鉄道のはじまりから今にいたるまでの出来事を紹介しています。
私たちの暮らしと密接に関係している鉄道の歴史は、たいへん興味深いですよ。年表に沿って時系列に紹介しているので、各時代の出来事に思いを馳せながらパネル資料を読んでみると、さらに面白く感じました。
もちろん旧津山扇形機関車庫と転車台の説明もあります。パネル資料によれば、蒸気機関車全盛期において、山陰と山陽をつなぐ要所である津山駅に設置することで、日本の旅客や貨物輸送を支え続けたということ。
つまり、瀬戸内海と日本海の南北と、大阪と広島をむすぶ東西の要所として、津山市が理想的な位置にあったのでしょうね。その結果が今の発展なのかな。
現代でも岡山県第三の都市として、数多くの魅力が津山市にはあります。
鉄道関係のお土産を求め「まなびルーム」へ足を運ぼう
まなびルームでは、本館の概要を紹介するDVDを視聴したり、オリエンテーションを行なったり、テーマを変えて取集品の特別展示などをしています。
また、室内には、津山名物のホルモンうどんなど食べ物や、鉄道関係のお土産物がたくさんある売店もあるので、ぜひ立ち寄っていこう。
津山まなびの鉄道館オリジナルグッズである「扇形絵馬」などここでしか手に入らないものもあります。
おっ、奥の方には「電車でGO!!」が遊べる筐体があるじゃないですか。興味がある方は、遊んでみてはいかがですか。
【周辺の見どころ(その2)】
津山まなびの鉄道館周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
津山まなびの鉄道館の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県津山市大谷 |
電話番号 | 0868-35-3343 |
営業時間 | 9:00~16:00(最終受付は閉館時刻の30分前まで) ※季節などにより閉館時刻を繰り下げる場合あり |
休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) 年末(12/29~12/31) |
入館料 | 大人 310円(240円) 小・中学生 100円(80円) 幼児(小学生未満)・障害者 無料 ※30名様以上で団体割引あり、( )内の金額は割引き後の料金 |
【アクセス】
- JR津山駅から徒歩約10分
- JR津山駅路線バス1番乗り場から当館行きの「ごんごバス小循環線」が運行中
- 中国自動車道「津山IC」から国道53号を経由して車で約12分
津山まなびの鉄道館の駐車場・駐輪場
津山まなびの鉄道館には、無料駐車場があります。(普通車 約35台)
尚、敷地内に入り、受付場所の手前には駐輪場もあります。
まとめ
津山まなびの鉄道館は、鉄道ファンはもちろんのこと、そうでなくても満足度の高い博物館です。
この鉄道館では、懐かしい列車や旧津山扇形機関車庫、転車台を間近で見学できたり、鉄道の構造や技術、岡山の鉄道の歴史を学べます。現代でも高い人気を誇る「デゴイチ」を始め、国内で1台しか製造されなかった「DE50形ディーゼル機関車」など貴重な列車は見逃せません。
津山駅に隣接しているので、現役の列車も撮影できますが、周囲の方々に迷惑をかけないよう配慮を忘れないようにしましょう。