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旅の体験談

吉良川の町並みは見どころ多し、土佐漆喰や石垣が織りなす風情ある景観を歩く

吉良川町の風景

国の重要伝統的建造物群保存地区(略:重伝建)に選定された古い町並みというのは、とても旅情を感じるものですね。

高知県で初めて重伝建に選ばれた室戸市の吉良川町(きらがわちょう)では、明治時代に建てられた町並みが今も残り、往時の人々の暮らしを伝えています。

この地域独特の土佐漆喰や水切り瓦の建物や「いしぐろ」と呼ばれる石垣は、一見の価値あり。また、日本三大奇祭で知られる「御田八幡宮」が鎮座しているぞ。

室戸半島へ足を運ぶならば、静かに佇む吉良川の町並みへ立ち寄り、ゆっくりと散策してみませんか。

本記事では、どこか懐かしいと感じる「吉良川の町並み」の見どころを紹介します。

本記事は、以下に該当する人向けです。

  • 高知県の室戸半島へ訪れる予定がある
  • 古い町並みに興味津々
  • 吉良川の町並みの見どころを知りたい

吉良川の町並みとは

吉良川の町並み
吉良川の町並み

吉良川の町並みがある室戸半島は、昔から台風の常襲地として有名であり、強い暴風雨に対して備える必要がありました。

そこで、明治期から昭和期には、土佐漆喰や水切り瓦、軒の低い民家などの町並みを造り上げて今に至ります。

町並みを形成するに当たり、それなりの経済力が必要とするのですが、吉良川町にはそれをなし得るための目玉商品がありました。その目玉商品とは、ずばり「備長炭」ですね。

明治時代には、近郊で産出するウバメガシから備長炭が生産されるようになると、その後技術の発達とともに、吉良川炭は日本を代表する良質な備長炭に成長。

そして京阪神を中心に海路で出荷されていくと、その交易により明治から昭和初期にかけて繁栄しました。

1997年(平成9年)10月31日には、国の重伝建に選ばれており、全国にある重伝建の中でも伝統的な家屋を多く見られます。

吉良川の町並み散策の所要時間

吉良川の町並みマップ
吉良川の町並みマップ

吉良川の町並みは、国道55号線から北側に1本奥にある道がメインストリートです。ノスタルジーを感じる建物が軒を並べているので見応えたっぷり。

メインストリートだけ歩くならば、ゆっくり町並みを見物したとしても30分もあれば十分ですね。

この場所以外にも見どころは点在していますので、駐車場から町中を歩くことを考えるならば、所要時間は1時間から1時間30分ほどみておきましょう。

吉良川町はシーサイドロードに面する

国道55号線から太平洋を望む
国道55号線から太平洋を望む

高知市街から室戸方面へ向かうには、土佐東街道(国道55号)を通ることになります。

高知市街から吉良川町までは、車で約100分ほどかかりますが、気持ちの良いシーサイドロードが続くので、ドライブやサイクリングに持って来いですね。

Googleマップで室戸半島を見るとよく分かるのですが、他のルートがないため、この辺りの歩道には多くのお遍路さんを見かける機会が多い。私も道中に多くのお遍路さんを見かけました。

土佐漆喰と水切り瓦など特徴的な町並みが魅力的

レンガと土佐漆喰、水切り瓦が特徴的な家屋
レンガと土佐漆喰、水切り瓦が特徴的な家屋

海岸に近い下町地区を歩いていると、特徴的な真っ白な家屋に珍しい形をした瓦を目にするのでびっくりするだろう。この真っ白な壁面の正体は、土佐漆喰ですね。

吉良川町の民家の中には、土佐漆喰が多く使用されている家屋があり、火災や雨に強く丈夫なんだそうな。

また、漆喰の塗り方にもこだわりがあって、通常の漆喰の三倍も厚く塗った後で一週間乾かして再度塗るんだとか。この作業を3~4回も繰り返し仕上げるそうですよ。

塗った当初はクリーム色ですが、一年間ほど日に当たることで最終的に輝くような艶のある真っ白な状態となる訳です。手間暇をかけて作業している様子を想像すると、大変な作業だなとしみじみと思いました。

水切り瓦がある家屋
水切り瓦がある家屋

また、壁面に3~5段で水平に突出している特徴的な「水切り瓦」も珍しい。

室戸地方では、多くの台風が周辺を通過する暴風地域なので、流れる雨水を瓦に伝わせて、庇(ひさし)から直接地面へ落ちるように考えています。

海水を含んだ雨水というのは、土佐漆喰にとって大きなダメージを与える存在ですが、この水切り瓦のおかげで、外壁は100年もの耐久力を発揮するほど頑丈なものなるというのだから凄いですね。

そんな町並みをダイジェストで紹介。

吉良川の町並み
路地裏
虫籠窓
プチ石畳み
屋根瓦

静かに佇むレトロな町並みは、趣があって実に良い。

熊懐家住宅(旧吉良川郵便局)
熊懐家住宅(旧吉良川郵便局)

おっ、擬洋風の建物もあるではないですか。これは熊懐家住宅(旧吉良川郵便局)ですね。

家の前にある赤いレトロな郵便ポストとの組み合わせが、良く似合っている。

案内板によると、1926年(大正15年)に建築されて1965年(昭和40年)頃まで郵便局として使われていました。

「〒」のマークんのある屋根瓦

屋根の方へ見上げると、そこには郵便マーク(〒)を発見。うん、これは面白い。

武井家住宅
武井家住宅

こちらは、1911年(明治44年)に建てられた武井家住宅。つし二階・二階が混在しており、壁面が煉瓦造りなのが特徴的だ。

ちなみに「つし」とは、町家の屋根裏部屋のこと。タンスなどの家具を収めたりと、物入れに使われます。

御田八幡宮へ続く道
土佐漆喰と水切り瓦のある家屋に囲まれた通りの奥には鳥居が見える

御田八幡宮へ続く道もいい感じ。道沿いには、町の情報収集の拠点に便利な「まちなみ館」があるので足を運んでみよう。

吉良川の町並みには、つしやレンガ、ぶっちょう、虫籠窓など家屋ごとに違いがあります。そのため、じっくりと散策しながらその違いを確かめるのは面白いですね。

「いしぐろ」の独特な美しい景観は必見

「いしぐろ」が多く見られる路地裏
「いしぐろ」が多く見られる路地裏

山側にある上町地区では、特徴的な石垣が家の周囲を囲んでおり、目を引きますね。この石垣は「いしぐろ」と呼ばれており、風雨を防ぐという大事なお役目を担っています。

いしぐろに使用する石は、近隣の浜石や河原石を用いており、玉石のまま使用したり半分に割って空積み・練積み(ねりづみ)という積み方をしているという。

積み上げる際には、「ハンダ」と呼ばれる赤土と漆喰を練り合わせた接着剤を使っているそうですよ。

いしぐろの外観は積み方によって変化するため、家ごとにまちまち。それが、かえって面白い外観を醸し出しているのだろう。

見栄えが際立つ「いしぐろ」

こちらの「いしぐろ」なんて、玉石が横一列に数段も並んでおり可愛らしい♪

そのため、まじまじと見物してしまいました。

いしぐろ

実はこの石垣の高さは、無造作に積んでいるのではなく計算されているぞ。

高すぎると光が入らず、低ければ暴風により被害を受けてしまう。その絶妙の高さを見極めた先人の知恵と経験に拍手喝采を贈りたい。

吉良川小学校前
吉良川小学校前

石垣の路地裏を歩いていると、いつしか吉良川小学校前に辿り着く。

体育館の入口が、三連アーチと付け柱のある外観がお洒落かな。明らかに近代建築のデザインといえますね。それにしても、どうしてここだけこうなったのだろうか、私気になります。

先ほど紹介した下町地区は京風の商家を彷彿させますが、上町地区は石垣があるため、南方の島々で見かける民家を思い浮かべました。1つに町に全く異なる景観が混在するのは面白いですね。

日本三大奇祭で知られる「御田八幡宮」へ参拝

御田八幡宮(拝殿)
御田八幡宮(拝殿)

御田(おんだ)八幡宮は、吉良川八幡宮とも呼ばれ、創建は不明ですが鎌倉幕府を開いた源頼朝が始めたと伝わっています。

1,000年に近い歴史を持つ神社として、古くから人々の信仰の中心となってきました。

御祭神は以下の通り。

  • 誉田天皇(ほむたのすめらみこと)
  • 神功皇后(じんぐうこうごう)
  • 比羊神(ひめのかみ)

この神社が有名なのは、西暦奇数年の5月3日に行われる神事「御田祭(おんたまつり)」の存在でしょう。このお祭りは、国指定重要無形民俗文化財ですね。

御田祭の説明
御田祭の説明

拝殿を舞台にして田楽、猿楽の芸能が奉納される鎌倉時代から続くお祭りですよ。天下泰平を祝い民心の安定と五穀の豊穣を祈願します。

特に演目の中でも「酒絞り」は有名。赤ん坊が産まれたとして神の子(木製の人形)を、子宝に恵まれない女性たちが奪い合うという。

今より神様たちの存在がより身近に感じていた時代では、競争率がすさまじかったのではないでしょうか。

この演目の影響で、子授けの祭としても知られており、所説はありますが日本三大奇祭の一つに数えられています。

御田さんのクスノキ
御田さんのクスノキ

境内にある大きな楠は、存在感抜群です。

なので、樹齢500年と推定される「御田さんのクスノキ」を見上げてみよう。どうですか、何かしらのパワーが降りかかるような感じがするのは私だけではないはず。

狛犬

朱色の前掛けをした狛犬もGood。ということで、写真をパチリと1枚撮りました。

境内はそれほど広くはないので、約20~30分もあれば一通り見て回れます。拝殿で参拝した後は、境内でゆっくりと過ごして下さいね。

「まちなみ館」は町並み散策の拠点に活用しよう

まちなみ館
まちなみ館

吉良川町を散策する際、拠点として活用したいのが「まちなみ館」です。

まちなみ館では、吉良川の町並みについて様々な情報の収集や休憩ができます。また、ガイドのお申し込みも可能ですね(要予約)。

隣には、軽食を食べられる「べっぴんさんの家」があるのもありがたい。

そもそもまちなみ館自体が、古民家を改修した趣のある外観ですよ。

残念ながら私が訪れた時は、すでに閉店でした。本当は閉店前に訪れる予定だったのですが、当日の天気は不安定だったこともあり、自転車で雨宿りしながら吉良川町へ訪れたため、間に合いませんでした。

なので、時間に気を付けて訪れて下さいね。

  • 住所 高知県室戸市吉良川町甲2200-1
  • 電話番号 0887-25-3670
  • 営業時間 9:00~16:00
  • 休館日 年末年始

吉良川の町並みの基本情報とアクセス

住所高知県室戸市吉良川町甲
電話番号0887-25-3670(吉良川まちなみ館)

【アクセス】

  • 土佐くろしお鉄道(ごめん・なはり線)奈半利駅からタクシーで約20分
  • 高知東部交通バスに乗って「吉良川学校通」で下車後、徒歩約10分
  • 高知市街から車で約100分(国道55号線に沿って室戸市吉良川へ向かう)

吉良川の町並みの駐車場

無料駐車場が2つあります。(普通車 30台)

第1駐車場と第2駐車場は離れており、町並みを散策するならば、第1駐車場が位置的に便利ですね。

まとめ

吉良川の町並みの案内

吉良川の町並みは観光地ですが、静かなので落ち着いて散策できます。

かつて室戸は、台風の常襲地として暴風雨に見舞われることが多かったため、職人達が知恵を絞って強い風雨に耐えられる町を築いた生い立ちを知ると、町並みを見る目も変わるものですね。

特に土佐漆喰や水切り瓦の建物、「いしぐろ」と呼ばれる石垣は見逃せません。

海岸に近い下町地区と山側の上町地区の両方を歩きながら、商家と農民家の2つの顔を合わせ持つ、独特の町並みをゆっくりと散策して楽しみましょう。

吉良川の町並みへ訪れた自転車旅の様子を紹介



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この記事を書いた人

年齢:40代。
職業:旅人兼ブロガー。

私にとって自転車旅が一番の楽しみであり、知らない土地、景色、一期一会の出会いなど様々な体験をしました。当ブログでは、自転車旅などを通じて体験した事や訪れた絶景・観光スポットについて紹介します。また、自転車全般に役立つ情報を発信しています。

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