
「春うらら~」と声を出して称えたくなるほど、穏やかな心が弾むような陽気の日は、お花見へ出かけるたくなります。
私のようなサイクリストであれば、お花見ライドはマストですよ。ということで、どこへ行こうか考えていると、岡山県の北部にある三休公園(みやすみこうえん)を思いつきました。
三休公園は、美咲町にある県内最大級の桜の名所として知られていて、桜シーズン中には県内外から多くの花見客が訪れます。せっかくなので、道中の桜並木や神社仏閣も楽しむぞ。ということで、久しぶりに誕生寺や時切稲荷神社へ赴くことに。
本記事では、岡山県久米郡を構成する久米南町と美咲町を巡りながら、お花見ライドを行なった自転車旅の様子をお届けします。
目次
時切稲荷神社と誕生寺へ参拝

岡山駅からJR津山線の電車に乗って、やってきたのは久米南町にある誕生寺駅です。
誕生寺駅へ久しぶりに訪れましたが、電車で下車したのは何気に初めて。前回訪れたのは、たしか雨宿りに立ち寄ったときだったのを良く覚えています。そもそも久米南町へは、自転車で自走して訪れる機会が多いので、電車でくるのは何だか新鮮ですね。
もし岡山駅から自走するのであれば、上り区間の長い道を約40kmほど走る必要がある。本日は、時切稲荷神社(とききりいなりじんじゃ)と誕生寺をゆっくりと参拝して、三休公園で過ごす予定のため、時短の意味を込めて電車輪行を行ないました。

普段あまり利用しない津山線ということもあり、車窓の景色が新鮮に映り、とても旅情を感じたぞ。車窓からは、満開の桜並木やのどかな田舎の風景を楽しめました。
乗車時間は約1時間ほどでしたが、感覚的には20~30分ほどに感じるほど短かったかな。さて、それでは最初の目的地の時切稲荷神社へ向けてレッツゴー♪


駅から約1kmほど進むと、前方に赤いのぼり旗が並んだ小高い山が見えてきました。この山の中に、時切稲荷神社が鎮座しています。


駐車スペースに自転車を停めると山登りを開始。といっても、参道入口から社殿までは約50mほどと凄く短いので、登山したという感覚はないですね。
なので、あっという間に時切稲荷神社へ辿り着きました。時切稲荷神社は、京都市の伏見稲荷大社から分霊されており、全国で唯一の時を切って思いを託す神社です。
面白いのは、「〇年○月○日までに△△△△を見つけて下さい」と期限を決めてお詣りすると、不思議なことにその期日までに失くしたものが見つかるという。
ということで、拝殿に熱心にお詣り。何をお願いしたかですって?それは「秘密」ですよ。願い事を人に話すのはよくないと言うし。
そういえば、なぜ人に話をダメなんだろう。神様に対する誠意の問題ですかね。

山の中にあるということもあり、こじんまりとした境内は静寂に包まれています。その雰囲気が実に良し。まるで異世界に入ったような感じかな。(異世界に行ったことはないけど、何となくそう思う)
普段は無人で訪れる人も少ないみたい。ただし、年に3回だけ貴重なお守りを頂ける日は、県内外から多くの参拝者が訪れ行列ができるそうですよ。
近年、密かに有名になってきていますが、まだまだ穴場のパワースポットだと思います。

時切稲荷神社を後にして、誕生寺へ向かいました。時切稲荷神社から約350mほどしか離れていなくて、自転車ですと直ぐに辿り着きます。
誕生寺は、浄土宗の開祖・法然上人(ほうねんしょうにん)の生誕地に建てられたお寺です。浄土宗といえば、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏を唱えることで、極楽浄土を願うことで知られているので、私たち日本人には馴染み深いでしょう。
広い境内には、美しく繊細な寺社彫刻を楽しめる「御影堂」を始め、襖絵が見事な「方丈」や奥の院・六角堂浄土院、観音堂など見どころがいっぱい。また、七不思議もあるので、探し当てるのも面白いですね。
個人的には、七不思議の一つ「逆木のイチョウ」がお気に入り。ひと際存在感を放つ大きなイチョウの木で、紅葉シーズンには、青空の下で鮮やかな黄色に染まる美しい姿が実に写真映えします。

いまは春なので、枝だけしかなく少し寂しげかも。しかし、その枝ぶりは美しく力強く感じるぞ。なので、これはこれでアリですね。
さて、美咲町へ入る頃には、丁度お昼時になるかな。本格的なお花見ライドを始める前に腹ごしらえをしなければ。
美咲町といえば、やはりTKG(Tamago Kake Gohan)でしょう。日本のソウルフードですよ。ということで、美咲町中央運動公園にある食堂「かめっち」へ向かいました。
時切稲荷神社と誕生寺については、下記関連記事でくわしく紹介します。
ユニークな駅舎・亀甲駅とたまごかけご飯

誕生寺を後にして、国道53号線へ合流しました。国道53号線は、岡山市の中心部から鳥取県鳥取市まで約140kmをつなぐ、重要な幹線道路ですね。
岡山県内の久米南町や美咲町、津山市などを通過するので、この国道だけで岡山市から道に迷うことなく移動できるため、重宝している人も多いと思います。
そんな国道を道なりに北上し美咲町へ入ると、美咲町中央運動公園へ向かう前に少し寄り道していくことに。それはどこかというと、ずばり「亀甲駅」です。


なぜ訪れるかというと、この駅の駅舎をみてもらうと分かると思います。どうですか、まんま亀でしょ。
カメの甲羅を模した八角形の駅舎には、頭が付き出しており、そこには時計が目として組み込まれている。いつ見ても面白い駅舎ですね。
特に用事はないのですが、近くを通るとつい立ち寄りたくなります。私以外にもそういう人は、多いのではないだろうか。
当時の町長が大の亀好きで、自らデザインを提案したと聞いたことがあるかな。

頭部の時計台に注目。私は見たことはありませんが、決まった時刻に音楽に合わせて亀が顔を出すそうな。それに、夜には文字盤が光るらしい。亀甲駅は、観光スポットの一つに数えられているのも分かりますね。

亀甲駅から約200mほど離れ場所には、駅の由来ともなった「亀甲岩」があります。
案内板によると、行き倒れた旅の巡礼者を憐れみ、里の人たちがこの地に埋葬すると、青い月の夜に巨大な岩が弘法大師の像を乗せてせり上がったそうな。なるほど、なるほど。
約10mほどの細長い巨石は、亀の形に似ていることから、その名が付いたのも納得です。


亀甲駅を後にして、美咲町中央運動公園へ向かいます。1kmも離れていないので、直ぐに到着。園内には、多くの桜の木が満開でしたね。

急坂を上っていると幸福広場が見えてきました。ここに、たまごかけごはん専門店の「かめっち」があります。
明治時代に活躍した町出身のジャーナリスト、岸田吟香(ぎんこう)さんの好物だったそうで、2008年にオープンしました。


早速、入口前の販売機で「幸福定食(たまごかけごはん)」の食券を購入。それだけでなく、加えて「鳥のから揚げ」も追加しましたね。
たまごかけごはんは、お代わり自由なのが嬉しい。使用している卵は、地元の養鶏場「美咲ファーム」で産まれたものなんだとか。農場で産まれた卵は、そのまま隣接する工場に運ばれて、すばやくパッキングされて配送する仕組みですよ。なので、鮮度が抜群です。
では、早速食べてみると、一杯目はあっという間にぺろりと完食。ニ杯目からは、自分でご飯を茶碗によそうので結構大盛に。再び卵をかけて良くかき混ぜて食べると、お腹がいっぱいになりました。(笑)
熱々のご飯と卵が織りなす極上の食感には、拍手喝采を贈りたい。この組み合わせを考えた人は、まさに「天才」です。ちなみに、日本人で初めてたまごかけご飯を食べたのは、岸田吟香さんなんだとか。彼の働きにより、日本に広がったのだからその功績は素晴らしいですね。
お腹が膨れたので、しばらく園内で桜を眺めながら休憩すると、よいよ本格的なお花見ライドへ赴きました。
お花見を楽しみながら三休公園へ

再び国道53号線へ戻り北上すると、美咲町役場前を通過します。すると、ここにも亀のオブジェを発見。先ほどの亀甲駅といい、町中には亀に関するものが多いみたいです。
亀は長寿や金運、幸福の象徴なので縁起が良いですね。こういうのを立て続けに見かけると、いずれ機会を作っては探し回るのも面白そう。一度、本格的に計画しようかと思っています。

しばらくして、打穴中交差点から久米中央線(県道159号)へ入り、道なりに進むと津山市へ入りました。津山市は、岡山県で岡山市と倉敷市に次ぐ第3の規模を誇る中核都市。なので、中心部は結構都会です。
けれど、郊外へ出ると豊かな自然が広がる便利な田舎といった感じかな。それは岡山市や倉敷市にも言えますね。
また、津山市のシンボルの津山城(鶴山公園)は、県内でも指折りの桜の名所ですよ。毎年ではありませんが、私は桜並木が美しいサイクリングロード「片鉄ロマン街道」を通過して、津山城へ良く行っています。



久米中央線を離れて、倭文川沿いを西へ進むと、至るどころで桜が咲き乱れていたのでテンションが急上昇。気になる桜の木を見かけると、自転車を停めては愛でたりしていたので、遅々として先へ進めません。(笑)
そんな感じのお花見ライドを続けていると、「雲海たまご」の案内板を見つけました。


全国的にみれば、たまごの自動販売機は珍しいと思いますが、岡山県内ではいくつか見かけます。先ほどTKGを食べたので、たまごに反応してしまったのかも。
それしても、養鶏場が新鮮な卵を24時間提供するサービスというのは、実にありがたいですね。自動販売機は基本的に飲料が大多数ですが、旅を続けていると珍しい物を売っている自販機を見つけて驚くことが多いです。
たとえば、ダシ醤油やカバン、お守りなどを見かけたかな。反対にレトロな自販機もあり、ラーメンやうどんを提供していることも。ちなみに、岡山県には昭和レトロな自販機が現役で稼働しているところが複数あります。興味がある方は、調べてみて下さいね。

国道429号線へ合流すると、そのまま西へ向けて道なりに進み、休乢トンネルの中へ入りました。
このトンネルは、津山市と美咲町の境となっているぞ。このトンネルの名前を初見で読める人は、少ないだろうな。(私もそうでした。)
この漢字は「休乢(やすみだわ)」と読みます。地名や食材などには、このような難読漢字が多いですね。


西川地区へ入ると、国道429号線から離れて県道374号線を進むと三休公園の入口が見えてきました。
三休公園は、標高約300mの三休山山頂に広がる公園です。園内には桜の木が約5,000本もあり、桜シーズンになると、山全体が桜色のグラデーションに包まれるので、見ているだけでテンションが上がりっぱなしになりますね。


つづら折りが続く激坂を上ると、民話館へ到着。ここを拠点にして、桜が織りなす景観を楽しみました。
桜が見頃になる3月下旬から4月中旬には、毎年、三休公園さくらまつりが開催されており、大道芸や吹奏楽、太鼓ショーなどのイベントが開催されます。また、キッチンカーや屋台の出店があるのも良いですね。
平日に訪れましたが、花見客の多いこと。敷地は広いので窮屈な感じは全くしませんでしたが、土日になればどうなることやら。さすがは、岡山県内でも最大級のお花見スポットといったところかな。
おやすみ広場では、桃太郎や金太郎など御伽噺でお馴染みのキャラクターの像がいっぱい。特に花さかじいさんのキャラクターは総出演しているのが印象的ですよ。
三休公園については、下記関連記事でくわしく紹介します。
旭川沿いを疾走して福渡駅へ向かう

三休公園を後して、旭川沿いに整備された落合建部線(県道30号)を道なりに進み、岡山市北区の建部町へ向かいます。
このまま自走で帰っても良かったのですが、自宅に着く頃には夜になると思ったので、最寄り駅の福渡駅から輪行することに決定。こういう時に、輪行袋があると便利なことにつくづく実感できますね。
ということで、福渡駅へ向けてレッツゴー♪



しばらくすると、目の前に岸田吟香さんの記念碑がある場所を発見。それにしても、本日は岸田さんとご縁があるようです。

高台に上ると、岸田吟香さんの銅像と記念碑がありました。先ほども触れましたが、たまごかけごはん(TKG)に対する彼の功績は大なり。
彼がごはんに卵をかけて食べたエピソードが雑誌にのらなけば、その美味しさに私たち日本人が気づくのは、かなり遅かったでしょう。
それにしても、たまごかけごはんは手軽に食べられて、タンパク質やビタミン類などの栄養の摂取が簡単にできるのが素晴らしい。もし私が海外で生まれていれば、高確率で出会うことはなかったでしょう。
海外では、衛生面や食文化の違いから生卵を食べる習慣がないので、たまごかけごはんを食べるたびに、日本人で本当に良かったと思えるのは、私だけではないと思います。

また高台になっているので、ここから旭川湖を眺められるのですが、周囲に木々が覆っていて、隙間からしか見えませんでした。(残念)

その後、旭川ダムへ立ち寄りながら、ゆるゆると自転車を走らせ福渡駅へ到着。帰路へついた次第です。
こうして本日の旅は終わりを告げました。
まとめ

本日は1日中晴れていて、お花見ライドを行なうのに最適な日でしたね。
浄土宗の開祖・法然上人(ほうねんしょうにん)の生誕地に建てられた誕生寺と、失くしたものが見つかるという時切稲荷神社へ久しぶりに参拝できたのも良かったです。
そして、ピンク色に包まれた三休山では、ヒルクライムと三休公園内の散策を満喫。桜やツツジに包まれた景観を眺めながら、ゆっくりと過ごせました。実に満足感がある1日でしたね。
さて、来年はどこへ行こうかしら。そういうことを考える時間も楽しい。時間はまだたっぷりとあるので、色々と検討したいと思います。

