
広島県三原市の陸の玄関口・三原駅を降りて南へ歩くと、陽光に照らされた瀬戸内海と共に干拓地の工場と海に浮かぶ島々が見てきます。
そして、その奥に見える小高い山が「筆影山(ふでかげやま)」です。また、筆影山に連なるように「竜王山(りゅうおうざん)」がそびえ立ちます。
両方とも瀬戸内海国立公園に指定済みであり、山頂に建つ展望台は、瀬戸内海随一の多島美を望む人気の絶景スポットですよ。車や自転車などでヒルクライムをしながら、山頂に至るまでの過程も楽しんで下さいね。
本記事では、筆影山と竜王山のヒルクライムコースと見どころを紹介します。
目次
筆影山・竜王山とはどんなところ

標高311mの筆影山は、海に山の影が映り、それが「筆」のように見えることからその名がつきました。約2,000本のソメイヨシノが咲き誇る名所なので、桜シーズンには花見を楽しむ多くの人々で賑わいます。
この山の西側では、標高445mの竜王山が連なり、筆影山と共に山頂からは絵画のように美しい多島美を望めますね。また、晴れた日には遠くにサイクリングの聖地・しまなみ海道に架かる、いくつかの美しい橋を見られるので探してみよう。
11月から1月頃の冷え込んだ早朝には、海霧が見られることも。海面から湯気のように立ち上る霧の中で、島々を行き交う船を包み込む光景は幻想的です。
【周辺の見どころ】
筆影山・竜王山周辺の見どころを、下記記事で紹介します。
筆影山・竜王山のヒルクライムコース
こちらのGoogleマップでは、筆影山・竜王山のヒルクライムコースを表しています。走行距離は、三原市和田地区の麓から幸崎町の久和喜地区まで約11km(三原駅から約14km)ですね。
どちらの山から向かっても良いですが、三原駅を起点にすると、まずは筆影山へ向かうのが距離的に近いのでおすすめです。
また、三原駅から南へ約5kmほど離れた場所にある、須波駅を起点にしても筆影山と竜王山へ向かえます。上記のコースとは変わりますが、麓から筆影山山頂までの距離はほぼ同じぐらいですよ。
本記事では、三原駅を起点にして、筆影山から竜王山へ向かうコースを紹介します。

まずは三原駅を南下して、沼田川に架かる沼田大橋を渡り、和田地区の住宅街へ入ろう。少し入り組んでいますが、道中には筆影山・竜王山の案内板があるので、意外とすんなりと筆影山の入口へ辿り着くと思います。
麓には黄幡稲荷神社が鎮座しているので、この神社を目印にすると分かりやすいですね。
ちなみに、私が訪れた日は、晴れてはいたのですが、方角により薄い雲に覆われていました。なので、この神社で「山頂に着くころには、青空が広がってくれ」とお願いした次第です。
その結果、筆影山山頂に着いた時にはその願いは叶いませんでしたが、竜王山山頂に着く頃になると、少し雲がありましたが、大空が広がるようになっていました。

竜王山から向かうのであれば、海沿いの県道185号線を通過していると、「竜王みはらしライン」という案内標識が見えてくるので、案内に従い内陸側へ向かおう。
約100mほど進むと、竜王山山頂へ向かうコース(竜王みはらしライン)の入口が見えてきます。
激坂が続く挑戦の道である

黄幡稲荷神社から筆影山山頂までは、平均勾配が約11%もある九十九折れの激坂コースです。スタートからいきなり10%越えから始まり、しばらくすると7%前後に落ち着きますが、頂上へ近づくにつれ再び10%を越えますね。
私は自転車(ロードバイク)で挑戦。麓から山頂の駐車場までの距離は約3.5kmほど。サイクリストにとっては、とても走りごたえのあるコースですよ。

ちなみに、竜王山から向かうとすると、麓から竜王みはらしラインを通ることになりますが、道幅が広いので比較的車でも走りやすいです。

過去には、「竜王山ヒルクライムレース」が春に開催されていました。(近年は開催されていません。)
山頂の駐車場まで距離は約4.5km、平均勾配は約9%、最大勾配は12%もある激坂コースなので、どちらから向かってもキツイことには変わらないですね。上級者向けのヒルクライムコースとなっています。
筆影山の見どころを紹介
筆影山の最大の見どころは、山頂にある展望台です。山頂付近に無料駐車場があります。トイレはありますが、自動販売機はないので、飲料は必ず持参しよう。
中腹にも展望スペースあり。ただし、周囲に駐車場はないので、車で訪れるのであればスルーするしかないと思います。また、寺山弘法大師の像があるので、ぜひ立ち寄ってみて下さいね。
見どころまとめると、以下の通りです。
- 筆影山展望台(展望広場あり)
- 中腹にある展望スペース
- 寺山弘法大師
それぞれを紹介します。
山頂の筆影山展望台と展望広場

駐車場から遊歩道を5分ほど歩くと、展望台が見えてきます。展望台までは、結構な急勾配を歩きますが、遊歩道はきれいに整備されているので、歩きやすいですね。
展望台からは、穏やかな瀬戸内海に浮かぶ向島・因島・小佐木島・佐木島・生口島など大小様々な島々が見渡せます。また、遠くに四国連山が並び、西日本最高峰・石鎚山(標高1,982m)も目撃できるのでお見逃しなく。



瀬戸内海周辺は、日本の造船業の約半分を占めているという。世界でもトップクラスの造船技術を持つ巨大な造船所が集まっているとのこと。
それに加え、古くから海上交通の要衝として栄えた歴史がある場所だ。歴史好きであれば、村上水軍の名を知っている人は多いと思います。
個人的には、しまなみ海道をよくサイクリングするので、結構馴染み深い島(向島や因島、生口島)が多い。そのためか、因島大橋が見えた時は、よりテンションが上がりました。
さらに、島々を行き交う船をボーと眺めていると、ゆったりと時間が流れる感覚に浸れます。

劇坂のヒルクライムだったので、疲労回復のため、しばらくの間は展望台のベンチに座り続けていたかな。(笑)
やはりいい景色を見続けると、疲れがスーと取れていきますね。また、眼前の景色について案内板があるので、各島や山の名前を確認していくのも面白いです。特に馴染み深い場所を目撃すると、私と同じようにテンションが上がると思います。

展望台から約100mほど斜面を下った先には、展望広場があります。展望台よりも視界が開けているので、個人的にはこちらの方が気に入りました。
見渡せる景色は、展望台とそれほど大差はありません。せっかく筆影山へ訪れたのだから両方とも足を運び、ぜひコンプリートして下さいね。
ちなみに、筆影山の頂上付近は約2,000本の桜が咲き誇る、三原市の代表的なお花見スポットです。なので、桜シーズンに訪れるのがベストですが、大変混雑すると思います。
【しまなみ海道の観光スポットを紹介】
しまなみ海道には様々な見どころが目白押し。旅先で訪れた観光スポットを、下記記事で紹介します。
中腹にある展望スペース

筆影山の中腹辺りまでくると、しだいに視界を遮るものが少なくなり、眼下には三原市の町並みが広がってきます。
道路沿いには、外側に向かってせり出す場所があるので、少し寄り道していこう。景色をじっくり見るのに丁度良い場所です。
残念ながら周囲には、駐車場がないので車を止めるには無理がある。けれど、自転車であれば十分な広さでしょう。あまり端に寄り過ぎると危ないので、足元に注意しながら眼下の景色を楽しんで下さいね。

沼田川が削った豊かな平野には、緑豊かな山々をバックにして、高層ビルが立ち並ぶ都市部の風景が広がっています。
自然の中、巨大建築物と共に昔ながらの生活空間が隣り合う対照的な景観がいい感じ。ダイナミックな立体感を感じ取れます。また、沼田川を流れる水が、瀬戸内海へ注ぎ込む河口付近の景観も魅力的ですよ。
山頂とは、また違った景色を楽しみましょう。

ちなみに、直ぐ近くには三原霊苑・筆影苑があり、そこの入口付近からも同じような風景を楽しめます。
用事もないのに霊苑へ入るのは、いかがなものかと思いますが、入口は車が1台ほど入れるスペースがあったので、個人的に緊急避難用に使えるのではないかと思いました。
寺山エリアにあるミニ霊場

黄幡稲荷神社から約700mほど坂道を上ると、「寺山弘法大師参道入口」と書かれた案内板が見えてきます。そもそも筆影山は、弘法大師(空海)が入山修行した信仰の山ですね。
そのような山なので、四国八十八ヶ所のミニ霊場があります。ぜひ足を運び歴史散策を楽しもう。


本来ならば、何十日もかかる長い巡礼の旅なのですが、ミニ霊場であれば、場所にもよりますが、数時間もあれば十分にお参りが可能ですね。全て参拝すると、本物の霊場をすべて巡ったのと同じご利益があるとのこと。
昔は交通網が発達していなくて、遠くから四国へお遍路に行くのが難しい時代でした。なので、このようなミニ霊場を作った人たちの気持ちが分かるというものです。
この場所には、88体の観音様が全てそろっている訳ではありませんが、お参りしていると心がスッと軽くなり、穏やかになりました。
竜王山の見どころを紹介
竜王山の最大の見どころは、筆影山と同じく山頂にある展望台です。山頂周辺にある駐車場では、トイレと自動販売機があります。
筆影山から竜王山へ向かう道中は、勾配が10%前後の激坂区間が続くので、私のように自転車で向かう方は、この自動販売機の存在が、とても頼もしく感じるだろう。
また、麓から竜王山山頂までは「竜王みはらしライン」が整備されていて、多くの展望場が点在しています。見どころまとめると、以下の通りです。
- 竜王山展望台(竜王山いこいの森)
- 竜王みはらしラインの展望場(複数あり)
それぞれを紹介します。
竜王山いこいの森に建つ竜王山展望台

駐車場から山頂へ向けて5分ほど歩くと、広場へ辿り着きます。山頂付近は、「竜王山いこいの森」として整備されており、春になるとたくさんの桜が咲き誇り、多くの花見客が訪れる名所です。
広場へ足を踏み入れると、まず目に留まるのは、三原デジタルテレビ放送所の電波塔だろう。大きいため、存在感が抜群ですよ。その奥には、ひっそりと展望台が佇んでいます。



展望台からは、筆影山展望台と同じように美しい瀬戸内海の多島美を楽しめます。筆影山の南西に位置していることもあり、伯方島・大島・大崎上島なども見渡せるぞ。
多島美をより見渡せるという意味では、竜王山展望台の方が軍配が上がるだろうな。
また、良く晴れた日には、しまなみ海道の10本の橋の内、7本までもが一望できるとのこと。私が訪れ時は、筆影山の山頂の時と違って、比較的青空が見えており、より瀬戸内海随一の多島美の景観を満喫できました。
朝早く訪れると、瀬戸内海の島々と朝焼けが織りなす絶景を楽しめるそうですよ。特に冬場は空気が澄んでいるので、日の出とともに水面や空がオレンジ色に染まる様は幻想的なんだとか。そういう話を聞くと「ぜひ見てみたい!」と興味津々です。

こちらの展望台にも眼前の景色について案内板があるので、実際に目にした島や山などの名前を確認できます。
竜王山展望台と筆影山展望台のどちらの景観が全体的に良いかというと、気象条件が同じであれば判断が難しいかな。よりPRされているのは、竜王山展望台なので、片方にしか行く時間が取れないのであれば、竜王山展望台のみで良いと思います。
竜王みはらしラインの展望場

竜王みはらしラインには、麓から山頂までに第2から第5までの計4つの展望場があります。展望場は道路沿いの外側へ向かってせり出していて、案内板があるので見つけるのは結構簡単です。
昔はルートの入口近くに第1展望場がありましたが、崩落や工事の影響により現在では案内板が撤去されていて、無いことになっていました。
山頂と比べると標高が低くなるので、多島美を見渡せる範囲が狭くなりますが、利点も少なくありません。たとえば、海や島との距離が近いため、島の自然や島民の生活模様がより分かりやすいですね。


第2展望場と第3展望場は同じような景観です。両方の距離は約400mほどしか離れてなくて、見る方角もほぼ同じ。細かな違いはありますが、同じような感想を抱くだろうな。


第4展望場には、第2と第3と違って展望スペースが広く東屋があります。「須波/佐々木島展望場」の名前が示すように、眼前には佐々木島が良く見えるスポットですよ。
また、この場所からは因島大橋の美しい姿を見物できるので、ぜひ立ち寄ろう。
佐々木島は、三原港からフェリーで約17分で行ける島。島内には信号機がひとつもなく、車の交通量も少ないので、より安全にサイクリングを楽しめるという。個人的にそれも楽しみですが、ミニチュア版の「島内八十八ヶ所霊場」があるので、興味がありますね。

第4展望場から約100mほど上ると第5展望場があり、こちらからも第4展望場と同じように、佐々木島や因島大橋が良く見えます。
竜王みはらしラインの展望場は、基本的に眺める方角が同じなので、似たような景色になりがちですね。しかし、高度差による違いを見つけるのが面白く、海の風景を眺めるのが好きな人にとっては、結構楽しめると思います。
筆影山・竜王山の基本情報とアクセス
| 住所 | 広島県三原市須波町・沖浦町 |
| 電話番号 | 0848-67-6014(三原市観光課) |
【アクセス】
- 三原市街地から車で約20~30分
- JR三原駅からバスに乗って(約7分)、和田口で下車後、徒歩約60分(筆影山山頂)
- JR須波駅から徒歩約60分(筆影山山頂)
- JR須波駅から徒歩約90分(竜王山山頂)
※山頂付近までドライブウェイを整備済み。駐車場から歩いて展望台へ行けます。
筆影山・竜王山の駐車場(山頂付近)
- 筆影山の無料駐車場(普通車15台)
- 竜王山の無料駐車場(普通車20台、大型車5台)
まとめ

筆影山と竜王山は、瀬戸内海随一の多島美を望む人気の絶景スポットです。一気に山頂を目指しても良いですが、どうせなら山頂に至るまでの過程も楽しみたい。道中にも見晴らしの良い場所があります。
小回りの利く自転車であれば、簡単に立ち止まれるので何かと便利。ただし、急勾配の坂道を上ることになるので、電動アシスト自転車がおすすめです。サイクリストであれば、ロードバイクやクロスバイクに乗って、ぜひ腕(脚)試しにチャレンジしてみてはいかがですか。
特に竜王山は、竜王みはらしラインが整備されていて、道幅が広くて走りやすいです。時間の都合上、片方しか行くことができないのであれば、竜王山だけでも行くことをおすすめします。



