天気のことわざシリーズ第2段です。第1段では、自然現象を中心に関連することわざを紹介しました。
先人たちは、自然現象以外にも動物や昆虫の行動や生態から天気を予報しています。
たとえば「猫が顔を洗うと雨」ということわざは、誰もが知っているのではないでしょうか。くわしくは後で語りますので今は割愛しますが、全く根拠がない話ではありません。
天気予報のない時代では、先人たちの経験則に基づき天気のことわざがたくさん産まれ、現代まで伝えられています。
動物や昆虫の行動や生態をよくみれば、直近の天気が予想できる。特に旅先では、猫や鳥など多くの動物や昆虫を見かける機会が多いので、意外に重宝しますね。
本記事では、動物・昆虫が関係する天気のことわざを紹介します。
昔から伝わる天気予測「観天望気」とは
自然現象や動物・昆虫などの生物の行動から天気の変化を予測する知恵は、昔から各地域で暮らす人々の経験則に基づき共有され、ことわざなどによって伝承されています。
この知恵のことは「観天望気」と呼ばれていますね。
これは何も日本だけではなく、世界各国でも同じような伝承が残されており、現代でも十分通じるものも多くある。現代では、温度や湿度、動植物の生態研究などを通じて、科学的に実証された知識で説明できたりします。
旅の道中では、観天望気を知っていると意外に役立つ場面が多い。それは雲の動きを見たり、動物の行動などから直近の天候が予想できて、その後の行動の判断材料になるからです。
特に私のように自転車旅を愛するサイクリストやチャリダーであれば、天気の情報は士気やパフォーマンスに多大な影響を与えるので超重要ですよ。
【ことわざ1】猫が顔を洗うと雨
猫にとって顔を洗うとは、主に前足で顔を拭う動作のことを表します。これは、ヒゲや顔の毛並みを整えているのですよ。
実は猫のヒゲは、まるでレーダーのように周囲を感知しており、湿度や風向や風速の変化を読み取る優れもの。
一説によれば、雨の予兆で湿気が高くなると水分を含んでヒゲが重くなるため、それで気になり顔を洗うといいます。
けれど、猫を飼っている人にとっては、このなじみのある仕草はよく見かけるので、信憑性についてはいまいちではないでしょうか。
【猫スポット】
旅を続けていると、たくさんの猫に出会えるスポットに遭遇する機会が割と多い。そんな猫スポットを下記記事で紹介します。
【ことわざ2】猫がよく寝ると雨
猫が静かに眠っている時間が長い場合は、もうじき雨が降るのかも知れません。
猫の祖先にとって、主な食料は捕獲するネズミでした。しかし、雨が降る日に狩りに出かけても、獲物は外にいることは少ないため、体力温存をはかり次の好機に備えていた訳です。
このような猫の狩猟本能に基づく生態が関係しているといえます。
また、猫に限った話ではありませんが、気圧の変化を体が感じ取り、自律神経のバランスが乱れるいわゆる「低気圧不調」が関係している説もありますよ。
ちなみに猫の平均睡眠時間は、12~16時間といいますので、飼い猫でなければ睡眠時間がいつもより長いのか短いのか判別が難しいです。
旅へ出かける前に、飼い猫の睡眠がいつもより長いなと思うのならば、雨が降る可能性が高いため日を改めてみるのも良いですね。
【様々な動物と出会える場所】
動物と触れ合える場所の代表格は、動物園ですね。下記記事では、動物園を始め旅先で訪れた動物と出会える場所を紹介します。
【ことわざ3】猫が騒ぐと嵐になる
猫などの動物は、気圧や気温の変化に敏感です。いつもと違う環境では、普段は物静かな猫も騒々しくなることも。気持ちが不安定になっているため、必要以上に鳴くことがあります。
また、猫は人間と比べて約10倍も耳が良いといわれ、低気圧の塊である竜巻が近づいてくると、耳鳴りなどで体調不良になることも。
もし旅先でそのような猫をみかけた場合は、迷信といって切って捨てるのではなく、最悪の事態を想定して行動した方が後悔しないでしょう。
【ことわざ4】トンビが高く飛ぶと晴れ
トンビは日本中で1年中見かける鳥ですね。天気の良い日に上空で円を描くように舞う、トンビの姿を見かけることも少なくないでしょう。
上空を旋回しながら獲物を探しており、獲物を見つけると一気に降下して、さらうように捕獲します。そんなトンビは、上昇気流に乗って飛んでいる。この上昇気流ができるのは、高気圧圏内ですよ。これが「トンビが高く飛ぶと晴れ」といわれる所以です。
旅の道中で上空を舞うトンビを見かけたら、晴れが続くのが予想できて嬉しくなるのは、きっと私だけではないでしょう。
【鳥の鑑賞スポット】
旅の道中で訪ねた鳥の鑑賞スポットを、下記記事で紹介します。
【ことわざ5】ツバメが低く飛ぶと雨
ツバメは暖かい国で冬を過ごし、春になれば日本へ飛来してきます。
ツバメの主食は、ハエや蚊、ハチなど羽がある飛んでいる虫ですよ。これらの虫は、低気圧が近づき湿度が高くなると、羽が重くなり高く飛べません。
すると、自然に滞空する高度が下がるもの。ゆえに、ツバメもエサを求めて飛び位置が低くなるのです。
旅の道中で、ツバメが低空飛行しているのを見かけたら、低気圧が近づいている可能性が高いかも。雨が降る前に雨宿りの場所を見つけるなど、行動を起こしましょう。
【ことわざ6】スズメが朝早くからさえずる時は晴れ
スズメの鳴き声で朝起きた経験をした人は、結構多いのではないでしょうか。
スズメは、日が昇る前から活動する習性があり、太陽光が刺激となって活動し始めるので、雲のある日よりも晴れた日のほうが早い時間にさえずります。
また、夜の間に雨が降っていたとしても、朝に雨が止むならば、いち早くそれを察知して鳴くそうですよ。
ただし、雨の日でも鳴くことがあるので、このことわざを完全に鵜呑みにしない方が賢明かと。少なくとも朝早く鳴き始めるのは、間違いありません。
すずめが覚醒するのは、日の出前の15分前後が最も多いので、早朝に旅を始める場合は、スズメの鳴き声が聞こえてきたら直ぐに起床して旅の準備を整えましょう。
【ことわざ7】カエルがなくと雨が降る
カエルが鳴くのは、用途に応じて使い分けていることをご存じですか。
その中には、雨が近づいて湿度が高まることで起こる、レインコール(雨鳴き)があります。
愛知教育大学の調査によれば、アマガエルが鳴いた翌日に雨が降った確率は36%にのぼるという。また、鳴かなかった翌日に雨が降った確率は11%だそうです。
田舎を旅する場合は、田んぼなどでカエルの鳴き声を聞く機会が多いので、鳴き声から翌日の天気が分かるのは意外に便利ですよ。
【ことわざ8】セミが鳴きやむと雨
毎年夏になると、セミの鳴き声が騒がしくなりますね。雨が降る前には、その鳴き声がピタリと止むことが多い。
実はセミは本能的に雨が降るのが分かるそうです。私たちは、雨が降る前では「何となく湿度が高いな」と感じたりするものですが、セミは人よりも湿度の変化にとても敏感。
もし夏場にセミの鳴き声が急に聞こえなくなりだしたら、それはゲリラ豪雨や夕立の前兆かも。旅の道中で外出中であれば、急いで雨宿りできる場所に退避するとよいでしょう。
ちなみに、セミも場所によっては鈍感なこともあり、雨が降る前でも鳴いている時もあるので悪しからず。
【ことわざ9】トンボが低く飛ぶ時は雨
日本では、トンボは春から秋にかけてよく見かけます。
トンボのエサとなるハエや蚊、チョウなどの小さな虫は、雨が降りそうになると、羽が湿気を含んでしまい高く飛べなくなる。
それにつられて、トンボはいつもより低空飛行になりますよ。先ほど説明したツバメと同じ理由ですね。
ツバメと同じように旅の道中で、トンボが明らかに低空飛行を続けているのを見かけたら、低気圧が近づいているのかも知れないと考え、雨宿りの場所を見つけたり、旅を一時中断するなど何かしらのアクションをおこすのが無難です。
【ことわざ10】クモの巣に朝露がかかっていると晴れ
クモの活動が活発になるのは春先です。クモの巣には、あまりよいイメージを抱きませんが、もし早朝にクモの巣に朝露がかかっているのを見かけたら、その日は晴れるでしょう。
これは、放射冷却現象と関わりがあります。前日の夜が晴れていると、地面に溜まった熱にフタをする雲がないため、地面の熱は大気中に逃げていく。すると、地表付近の温度が下がって冷えてしまいます。
そして、大気中の水蒸気が冷やされ水にかわり、朝露として蜘蛛の巣につくわけです。これが「クモの巣に朝露がかかっていると晴れ」といわれる理由ですね。
クモの巣だけでなく、葉っぱなどに朝露がつく理由も同様なので、そのような状態を見かけたら、旅路には幸先が良いと思えます。
まとめ
私たちは、普段からテレビやインターネットを通じて最新の天気予報を入手できます。
天気予報の精度も年々向上しており、今や生活には欠かせないものですね。天気によってその日の行動が決定してしまうことも少なくありません。
観天望気は、天気予報がない時代に築き上げた先人たちの知恵の結晶です。それは、現代でも十分に通用するものが多いので、天気予報と組合せて活用してもらいたい。
特に旅の道中では、空や山などの移り変わりの変化や出会った動物・昆虫の行動から、その後の行動をおこす判断材料に活用できます。