電動アシストの恩恵を受けられる電動アシスト自転車は、ママチャリと比べて坂道を楽に走れるため、高い人気を誇ります。
また、似たような自転車にはE-Bikeがあり、こちらも電動アシストの恩恵を受けられる。
これらの自転車は、アシストの基準が同じであるため、その違いが良く分からない人も少なくないだろう。いざ購入しようと考えた時に、どちらを購入すればよいのか悩みます。
実は、両者は性能が全く違っているため選択を間違えてしまうと、期待はずれになることも。なので、それぞれの特徴を把握して、一体何が違うのが知っておきたい。
本記事では、E-Bikeと電動アシスト自転車の特徴を交えながら、両者の違いについて説明します。
E-Bikeと電動アシスト自転車は本質的に同じ乗り物
E-Bikeと電動アシスト自転車は、電動アシストを使って走行のサポートをしている点では全く同じです。
電動アシスト自転車は、1993年に国内で販売されたのが最初ですね。それから25年の歳月を経て、E-Bikeが国内で販売されました。
そもそもE-Bikeは、欧米で誕生した自転車なので、日本で発展してきた電動アシスト自転車とは概念そのものに違いがある。
だからといって、自転車という乗り物としての概念は全く同じであり、国内で一般に市販されているこれらの自転車は、道路交通法に準拠しています。
坂道を楽に走れるようにする電動アシストの基準(くわしくは後で説明します)は同じなので、本質的には大きな違いがありません。
こう聞くと「それでは、いったい何が違うの?」とますます分からなくなってきそうですが、用途が異なっており、向き不向きがハッキリしています。
電動アシスト自転車は、ママチャリとして知られるシティサイクルの延長戦上にあるものと考えると分かりやすい。つまり、通勤通学や買い物など日常的に使う実用車といえる。
一方、E-Bikeは自転車というスポーツまたはレジャーを通して、生活を豊かにするものですよ。
具体的にいうと、クロスバイクやロードバイクなどスポーツ向けの自転車に電動アシストを搭載した自転車のこと。
どうですか、これで両者の違いがずいぶん分かりやすくなったでしょう。
まとめると、シティサイクルに電動アシストを搭載すれば、それが電動アシスト自転車です。そして、スポーツ自転車に電動アシストを搭載したものがE-Bikeですね。
E-Bikeの特徴
E-Bikeは「Electric Bicycle」の略で、スポーツに特化した電動アシスト自転車です。
スポーツ仕様のため、悪路や高速走行、長距離走行が電動アシスト自転車と比べてしやすく、週末のサイクリングやツーリングに向いている自転車といえます。
特に坂道では、電動アシスト力のおかげで無類の力を発揮し、峠や山道をスイスイ駆け上れるのはありがたい。それに数十Kgの荷物を載せた状態でも軽く坂道を上れます。
ちなみに、私は30kgほどの荷物を載せて自転車旅へ出かけましたが、劇坂が辛くないのに感動しました。
また、カラーやデザインにこだわったものも多く、スタイリッシュなデザインのものが多いですね。
スポーツ向けの自転車なので、基本的に前カゴやチャイルドシートは取り付けられなくて、通勤通学や買い物には不向きだ。それに泥除けがついていないモデルが多く、雨の日など日常的に乗るには向いていません。
しかし、モデルによってはカゴや泥除けの後付けが可能であるため、それほど心配する必要はないでしょう。
E-Bikeは高価なモデルが多い。安くても10万円前後するし、高いものになると100万円以上するので盗難対策は必須ですよ。なので、基本的に室内保管をおすすめします。
電動アシスト自転車の特徴
電動アシスト自転車は、扱い方がママチャリと同じなので日常生活に使用しやすい自転車です。
自転車に乗る際のバランスがとりやすく、低速走行時の安定性も抜群。コーナーも曲がりやすいので、ママチャリを運転できるのであれば、誰でも初見で簡単に運転できます。
また、ペダルを踏み込む力をアシストしてくれるため、坂道の多い道を走ったり、重い荷物を載せて運転する際に楽に走れるのはE-Bikeと同じだ。利便性に優れているため、すこぶる使い勝手が良いです。
フレームが重くてしっかりとしていますが、だからといって、運転に影響が出るほど重くはないので安心して下さいね。けれど、E-Bikeのようにスポーツ向けではないため、高速走行には向いていません。
価格は普通のママチャリと比べると高価です。新品であればだいたい10万円前後が相場となる。子ども乗せ電動自転車であれば12~15万円が相場だ。それでもE-Bikeと比べると全然安いですね。
E-Bikeと電動アシスト自転車ではドライブユニットの性能が違う
E-Bikeと電動アシスト自転車の大きな違いは、採用しているドライブユニットの性能です。乗り比べてみると、その性能の違いが実感できますね。
E-Bikeの多くが一軸型のドライブユニットを採用。高いケイデンスに対応しており、車種にもよりますが、ケイデンスが80以上でもアシストを得られるのが利点だ。
べダルを踏む力の強弱をセンサーで細かく感知することで、モーターの出力を調整してくれる。
そのため、漕ぎ出しも軽く、軽いギアを回し続けて高速移動ができるので、疲れにくく長時間の走行に向いています。
一方、電動アシスト自転車では、二軸型のドライブユニットを採用。重い荷物や小さな子供を運ぶことを前提にしているため、漕ぎ出しと低速域ではパワフルにアシストしてくれます。
ケイデンスが40~50程度以上になるとアシストが得られなくなりますが、用途を考えれば十分でしょう。
さらに直進時やコーナリング時の安定性もGood。E-Bikeのような加速やスピードを重視するものではなく、短距離を楽に安定して走るのに向いています。
E-Bikeと電動アシスト自転車では、全くタイプの違うドライブユニットが採用されているため、おのずと走り方が違ってくるのは当然といえる。
それぞれ得意とする速度領域が違うし、使われるコンポーネントも違っている。電動アシスト力を使うという本質的に部分は同じなのですが、その実体は別物ととらえた方がよいでしょう。
E-Bikeと電動アシスト自転車では楽しみ方が違う
先ほど触れましたが、E-Bikeと電動アシスト自転車では用途が全く違います。
サイクリングを楽しみたいのであれば、E-Bikeがおすすめ。特に実力差のある男女や家族で一緒にサイクリングを楽しむのにE-Bikeが適している。
具体的にいえば、普段からロードバイクに乗るサイクリストの男性が、女性を誘う際に実力が離れすぎていると、上り坂ではモロに影響がでてしまう。
そのなると、女性が男性に追い付くのは難しいし、何よりも坂道を上るのがツライ。E-Bikeであれば、そのような問題を解決できてお互いに楽しめる訳だ。
また、E-Bikeのモデルによっては、100km以上の長距離サイクリングを楽しめます。
電動アシスト自転車の楽しみ方といえば、普段の買い物と街乗りだろう。そもそもママチャリと同じ用途なので、短距離の移動手段として利用されることが多い。
そのため、短距離であれば十分にサイクリングを楽しめます。
特に電動アシストのおかげで坂道もへっちゃらなのが、普通のママチャリと大いに違うところ。サイクリングするならば、バッテリーの容量には気を付けたい。
電動アシスト自転車のバッテリー容量は、一般的に6~20Ah(アンペアアワー)程度です。1Ahあたりの走行距離の目安は3~6km程度なので、5~10km程度の短距離サイクリングであれば、十分すぎるでしょう。
まとめると以下のようになります。
車種 | 走行距離 | 楽しみ方 |
---|---|---|
電動アシスト自転車 | 10km以下 | 買い物、街乗り、近距離サイクリング |
E-Bike | 10km以上 | サイクリング全般 |
電動アシスト力によっては公道を走れない
国内の電動アシスト付き自転車は、道路交通法の定める基準(アシスト規制)に適合していなければ公道を走れません。
そのため、国内向けに販売されているE-Bikeと電動アシスト自転車は、以下のアシスト比率を順守しています。
- 人がペダルを踏む力とモーターによる補助力のアシスト比率は、時速10km未満であれば、「人の力:電動の補助力 = 1:2」となる。
- 時速10kmから時速24km未満の速度であれば、速度が上がるほどアシスト比率が徐々に減少する。
- 時速24km以上になると、電動の補助力が0になる。つまり、ここから先は人の力が100%になるということ。
これはあくまで日本の基準なので、海外であればその国ごとに基準があります。たとえば、アメリカでは州ごとによって上限速度の規制が異なりますが、概ね時速32kmの州が多いです。
外国産のE-Bikeを購入する際には、日本の法律に順守しているのか注意が必要ですね。
まとめ
E-Bikeと電動アシスト自転車の特徴やドライブユニットの性能の違いについて説明しました。
電動アシスト自転車は、ママチャリの延長戦上にあるものであり、E-Bikeはスポーツタイプの自転車に電動アシストが搭載されたものだと分かって頂けたと思います。
なので、電動アシスト付きの自転車を選ぶ際には、両者の用途から判断すれば失敗はしません。
また、用途だけでなく好みのデザインや予算も選ぶ際には大事な要素です。ぜひ自分のお気に入りの1台を見つけて下さいね。