兵庫県佐用町には、江戸時代初期に利神城(りかんじょう)の城下町であった平福の町並みが残っています。
かつては知る人ぞ知る歴史スポットであった平福地区ですが、今では歴史的景観形成地区ですね。
当時の姿が色濃く残り、まるでタイムスリップをした感覚を味わえる平福の町並みを散策しながら、当時に思いを馳せてみませんか。
本記事では、佐用川に面した平福の町並みについて紹介します。
平福の町並みとは
平福は因幡街道随一の宿場町、商業の町として繁栄しました。
本陣や脇本陣のほか幕末には181軒、79業種もの店が並ぶ繁盛ぶりだったそうです。
明治大正期では、生活物資や農産物が集まる町として賑わいをみせました。
今でも南北におよそ1.2kmに渡り、昔の商家が立ち並び、白漆喰の壁や千本格子戸、連子窓、虫籠窓などの特徴ある建屋が連なります。
【古い町並みの紹介】
宿場町平福のような古い町並みが日本各地では至るどころで残っています。私が旅先で訪れた歴史と伝統が色濃く残る古い町並みのスポットを下記記事で紹介します。
平福の玄関口「平福駅」
古い町並みが残る地域に違和感を感じさせない外観を持つ平福駅。
この平福駅から徒歩約1分程度で、平福の町並みへ辿り着きます。
こちらの写真を見て下さい。まさに平福の玄関口として立派な佇まいですね。
この駅が無人駅であるとは、誰しもが思わないでしょう。
平福駅では、周辺にある国の史跡に指定された利神城跡のことを大きな横断幕を掲げ、祝っていました。
私が訪れた日は、駅前に小さな鯉のぼりがたくさん空を泳いでおり、実にほのぼのとした雰囲気が印象に残っています。
駅前からホームを眺めた写真がこちら。平和な田舎の景色に「ほっとする」のは私だけでしょうか。
平福駅は、「近畿の駅100選」に選ばれています。
電車で平福地区へ訪れる場合は、智頭急行智頭線の駅の一つである平福駅を利用しましょう。
宿場平福の町並みを散策しよう
兵庫県佐用町の市街地から、国道373号線を北上すると平福地区へ辿り着きます。
JR佐用駅から平福の街並みまでの距離は、およそ6kmぐらいですね。
自転車でサイクリングしながら、平福地区へ訪れるのも楽しいですよ。
平坦路を駆け抜けると、かつての宿場町「平福」の入口が見えてきました。
平福は、1596年から1623年の間に現在にも残る町並みが形成され、その後、因幡街道随一の宿場町となった歴史があります。
街道に沿う町並みは、南北に約1.2km続き、山峡の懐に抱かれながら静閑なたたずまいを見せています。
ゆっくり歩きながら、江戸時代の面影を残す町並みを堪能しましょう。
こちらは、平福本陣跡です。
鳥取池田藩の本陣だったところですね。
残念ながら当時の建物は既に残っておらず、この門は新しく作った物だそうです。
こちらは旅館「河内屋」ですね。
河内屋と言えば、河内屋の主人である原田昇さんが、2020年11月に近畿運輸局の局長表彰を受けたことで話題になりました。
原田さんは、1986年に有志により発足した「平福文化と観光の会」で、30年近くに渡り会長を務めたそうです。
長年平福の景観維持活動などを務め、2009年に起きた水害の被害には、復旧作業にも尽力されました。
平福が兵庫県の「歴史的景観形成地区」に指定された後で、長年の功労が評価され、近畿運輸局長表彰受賞につながり今に至ります。
平福の街並みを歩いていると、まるで江戸時代へタイムスリップをした感覚に襲われますね。
このような古い街並みは、日本各地に点在されており、保存地区に指定されているところも数多くあります。
まさに後世に残して置きたい文化遺産ですね。
千本格子戸の美しい造形を眺めながら、散策を楽しみましょう。
こちらは瓜生原家の住宅です。兵庫県の「景観形成重要建造物等」に指定されています。
瓜生原家では、千本格子戸や煙出しの付いた大屋根、潜り戸、出棺口(葬式で出棺にだけ使う出口)など、町屋の特色を備えているそうです。
今では「お休み処 瓜生原」という喫茶・そばのお店になっていました。
ここでは、時々古民具の展示などのイベントも行われているそうです。
散策を続けていると、一際目立つ建物を発見。こちらは、たつ乃屋醤油本店です。
江戸時代初期の創業と言われています。
300年以上も続く、昔ながらの製法で作られる「三年醤油」は、地元で古くから愛され続けられており、様々なメディアでも取り上げられていますね。
一般的な醤油の倍となる3年の時間をかけて、気温や湿気から守りながら手間をかけて大事に熟成させてできた逸品です。
平福へ訪れたお土産として如何でしょうか。
古い町並みの外観に溶け合うように建てられていたのが、こちらの駐在所です。
良くある演出ですが、個人的にこのような演出は大歓迎ですね。(笑)
1930年代までは、佐用の中心であった平福ですが、姫新線が開通して佐用駅ができると町の中心がそちらへ移り、今は少し寂しい雰囲気です。
しかし、当時の面影が残る貴重な建屋の景観は、歴史好きの人には堪らないスポットですね。
心行くまで、平福の町並みを堪能しましょう。
【ふるさと探訪】
佐用町平福地区のように日本全国には数多くの魅力的な街がありますね。下記記事では、そんな魅力的な街を紹介します。
佐用川沿いから平福を楽しむ
町屋の裏側には佐用川が流れており、白壁の川屋敷や川座敷、土蔵群を川沿いで見られるのは平福ならではの景観です。
当時は、この佐用川を利用して高瀬舟で海産物などを運び込んでいました。
整備された石垣の上には、土蔵や川座敷が見て取れます。
元々佐用川を渡る涼風と利神山の眺めを楽しむために整備され、風流な文化を感じ取ることができますね。
この美しい川端風景を堪能しましょう。
これらの蔵屋敷群は、お盆と年末にはライトアップされ、幻想的な景色を見せてくれます。
さざ波が少なく静かな佐用川の川面に映る景色は、「川面に映る町屋群」と呼ばれていますね。
この景色を眺めながら、当時の人々の生活に思いを馳せてみませんか。
「道の駅ひらふく」の展望台
平福駅から約2分ほど歩いたところには「道の駅ひらふく」があります。
こちらは、道の駅へ向かう道中で目撃した大きな提灯です。
この提灯は平福宿のシンボルになっていますね。
こちらが「道の駅ひらふく」です。
残念ながら、私が訪れた日は定休日だったようで、完全にカーテンが閉められており、中へ入ることができませんでした。(泣)
これも旅人あるあるの一つですね。
後日、この「道の駅ひらふく」について調べてみると、農産物直売所やお土産処、お食事処があることが分かりました。
特に佐用町で有名な自然薯(じねんじょ)やもち大豆、ひまわりなどの農産物や加工品を販売しているそうです。
また、サイクルステーションが用意されています。
サイクルステーションは、サイクリストに取って気軽に休憩できる大変有難い場所ですね。
尚、この道の駅に隣接する高台には展望台がありますので、お見逃しなく。
こちらは展望台からの景色です。普通の景観と言ったところでしょうか。
「道の駅ひらふく」へ立ち寄り、買い物や食事をしたい場合は、定休日を確認して訪れましょう。
道の駅ひらふく
- 住所 兵庫県佐用郡佐用町平福988−1
- 電話番号 0790-83-2373
- 営業時間 8:30~18:00
- 定休日 水曜日
- 駐車場有り 普通車55台(内、身障者用2台)、大型5台
【道の駅の紹介】
旅の道中では様々な道の駅へ立ち寄りますので、下記記事で紹介します。
利神城跡について
「道の駅ひらふく」で出会った地元の人と会話をしていると、利神城(りかんじょう)跡について教えて頂けました。
こちらがこの道の駅から見えた利神城跡です。
この利神城跡では、11月ごろには霧がかかり、有名な竹田城址のような雲海が見られます。
残念ながら今現在は石垣の崩壊などがあり立ち入り禁止のようでした。
佐用山城ガイド協会が実施している「利神城ガイドツアー」への参加者ならば登山することが可能です。
詳しくは、利神城ガイドツアーの公式ホームページでご確認下さい。
利神城は南北朝時代に別所敦範によって利神山に山城が築かれました。
関ヶ原の戦いの後で、姫路藩家老池田出羽守由之が平福の領主となり、5年かけて利神城の築城と城下町の整備が行われたそうです。
尚、利神城跡は、朝霧の上に突き出した城跡が見えることから別名で「雲突城」と呼ばれています。
【史跡と遺跡】
利神城跡のような国の史跡や遺跡には、ロマンを感じますね。下記記事では、旅の道中に訪れた史跡・遺跡について紹介します。
平福の町並みの基本情報とアクセス
住所 | 兵庫県佐用郡佐用町平福444 |
電話番号 | 0790-82-0670(佐用町商工観光課) |
【アクセス】
- 福原駅から徒歩で約1分
- JR佐用駅からタクシーで約10分
- 佐用ICから車で約5分
平福の町並みの駐車場
「道の駅ひらふく」の無料駐車場を利用しましょう。(普通車55台(内、身障者用2台)、大型5台)
まとめ
兵庫県佐用町平福地区には、江戸時代初期に利神城の城下町として栄えた古い町並みが残っています。
平福の町並みが連なる周辺には、平福駅がありアクセスのし易さは抜群です。
佐用町へ訪れる機会があれば、是非平福へ立ち寄ってみませんか。
ノスタルジックを感じる古い景観を眺めながら、当時に思いを馳せてみましょう。