醍醐桜を知っていますか。
かつて後醍醐天皇が隠岐へ島流しになった際、その道中で賞賛した奇跡の一本桜です。
岡山県下一の大桜であり、中国地方を代表する巨桜であるため、毎年多くの観光客がその圧巻な姿を鑑賞に訪れています。
桜の見頃な時期にのどかな里山へ訪れて、醍醐桜を眺めて見ませんか。きっと堂々と佇むその姿には、畏敬を禁じ得ないでしょう。
本記事では、醍醐桜の由来や歴史を始め、その魅力についてお伝えします。
醍醐桜とは
醍醐桜は岡山県真庭市に位置し、樹齢1,000年を越すといわれる岡山県下一の巨桜です。
高さ約20m、根本周囲約9m、樹高18mもあり、ヒガンザクラの一種の「アズマヒガン」という種類に分類されています。
また、東西南北に根張りが20mに及ぶ日本国内でも屈指の古桜ですね。
周囲には同じような巨木がないため、その存在感は見る物を圧倒させます。
まるで「我こそは土地の守護神なり」と言わんとするその姿は神々しさすら感じますね。
醍醐桜は日本名木百選に選ばれており、岡山県の天然記念物に指定されています。
- 醍醐桜の見頃は、例年4月上旬から中旬
- 開花期間中はライトアップされ夜桜も楽しめる(日没から21:00)
- 毎年3月下旬から4月上旬に「醍醐桜まつり」のイベントを開催
- 例年、岡山県内外から年間2万~3万人の観光客が訪れる
開花状況については、岡山県真庭市の公式ホームぺージにある「醍醐桜情報」や観光テレフォンサービス(電話番号:0867-52-1503)で確認できます。
【春の花畑の景色を紹介】
醍醐桜のように春は綺麗な花が咲き始める季節ですね。下記記事では、旅の道中で目撃した綺麗な春の花畑を紹介します。
醍醐桜の由来と歴史
醍醐桜の名前の由来は、「後醍醐天皇」の言葉にあるとされています。
後醍醐天皇と言えば、南北朝時代を舞台にした軍記物語である「太平記」に登場する実在した人物として有名です。
1332年(元弘2年)に隠岐へ島流しにされる際、訪れた真庭の地で当時樹齢約300年だったこの桜を見て賞賛されたと言われており、名前の由来となりました。
そして、鎌倉時代から現代に至るまで、多くの人々がその美しさを伝え続けている次第です。
また、長きにわたり、人々の営みを見続けてきた醍醐桜を地元の人たちは大事に扱い今に至ります。
醍醐桜の日常的な管理は、保存会の人たちを中心に行い、周辺の清掃なども手掛けています。
また、真庭市などと連携して、トイレや駐車場の設置運営を行ない、開花期間中にはライトアップにも取り組んでいますね。
まさにこの土地に暮らす人々の象徴と呼べる醍醐桜を鑑賞するために、毎年多くの観光客が訪れては、この桜の美しさに魅されていきます。
醍醐桜へ向かう道中の注意点
醍醐桜へ向かう道中は、開花期間中に一方通行となる道路があるため、車で訪れる場合は注意して下さいね。
一方通行になっていることから分かるように、道幅は余り広くないため、細心の注意が必要です。特に醍醐桜の見頃には、多くの観光客が訪れます。
そのため、警備員が配置されておりますので、交通状況など確認すると良いでしょう。
尚、私と同じ多くのサイクリストも勾配の大きい坂道をロードバイクなどで駆け上がっています。(私が訪れた日は、数人のサイクリストを目撃しました。)
車で訪れる場合は、前方をしっかり確認し、スピードの出し過ぎには注意しましょう。
尚、シーズン中の土・日曜日は渋滞に巻き込まれる可能性が高いです。
徒歩で醍醐桜へ向かう方法
渋滞を避けるために、麓にあるカタクリ群生地周辺の駐車場へ車を停車した後で、大勢坂と呼ばれる山道を徒歩で上がりましょう。一部急な勾配がある山道ですが約2kmほどで醍醐桜へ辿り着きます。
後醍醐天皇が賞賛した醍醐桜
真庭市の西に流れる関川に沿って整備された道路を走り、醍醐桜が咲く里山を目指します。
途中から道幅が狭まり、急坂を上り切って見上げてみると、遠目にも分かるほど大きな桜の木が見えてきました。
早速、頂上まで上り醍醐桜の下へ向かってみると、2つの大きな巨桜が見て取れます。
その光景がこちらの写真です。写っている2つの桜の木は、どちらも醍醐桜ですね。
尚、右側に映っているのが2代目の醍醐桜になります。
そして、こちらが初代の醍醐桜です。写真から伝わりづらいかも知れませんが、実物の圧倒的な存在感は、見る物を惹きつけてやまない魅力に溢れていますね。
山間の風景に溶け込んだ見事な姿に魅せられ、早朝から愛でる観光客がいるほどの人気ぶりです。
この醍醐桜が有名になったのは、1990年頃に特集されたテレビの影響と言われています。
ライトアップされた美しい夜桜の姿が人気を博し、翌朝の午前4時には観光客の車で周囲に渋滞が起きていました。
やはりマスメディアの力は凄いですね。
尚、その年には年間8万人に上る観光客が醍醐桜を見に訪れたそうです。
また、2003年にテレビで放送されたNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」のロケ地になっており、武蔵が少年時代に宮本村の桜の下で別れた母親を待ち続けるシーンが撮影されました。
更に世界的に活躍する米国人ピアニストのコンサート会場にもなり、国際親善を図れています。
桜は我々日本人が愛してやまない花ですね。
どうしてこんなに愛でるのか桜の語源を考えてみると良くわかります。
「サクラ」の「サ」の文字は、稲の苗をあらわす早苗の「さ」より、稲作の神様を表します。
また、「クラ」の文字は神様が鎮座する場所である神座(かみくら)の「クラ」から来ているのでしょう。
つまり、春の時期に里へやってくる稲の神が憑依する座(くら)が桜なのです。
昔の人は、桜の開花を合図に田植えを開始していました。
桜が満開になり、人々は桜にお供え物をして「どうぞ今年も豊作でありますように」と祈ります。
こうして、桜の木の下で人々は飲んで食べて神様へ感謝した宴こそが花見であり、現代にまで脈々と受け継がれている次第です。
醍醐桜の周りは柵が立てられ、その周りにはロープが張られおり、中へ入ることはできません。
しかし、一箇所だけ幹の直ぐ近くまで立ち寄れるようになっています。
こちらの写真を見て下さい。長い年月を生きてきた力強く迫力ある幹の姿に圧倒されますね。
間近で見る醍醐桜もビューティフルです。
尚、幹へ近づくとお社がありますので、ご挨拶を忘れずに。
また、遊歩道沿いには、黄色いミツマタなど春の花が綺麗に咲いていますね。
醍醐桜だけでなく、周辺の草木や花の景色を楽しみましょう。
尚、周辺は起伏に富んだ地形をしているため、醍醐桜のベストビュースポットを探してみるのも楽しいです。
心ゆくまで奇跡の一本桜を愛でながら、春の景色を堪能しましょう。
【巨木の紹介】
醍醐桜のような巨木は、昔から神聖な物として扱われることがありますね。下記記事では、そんな巨木を紹介します。
2代目醍醐桜を鑑賞しよう
初代醍醐桜のお隣には、2代目醍醐桜が見て取れます。
1975年(昭和50年)に、集落内にて育成した木を植樹しました。
その佇ずまいは、初代醍醐桜と比べて見ても見劣りはしません。
その立派な枝張りは「お見事」の一言です。
しかし、やはり初代と比べてみて明らかな貫禄負けは否ません。(笑)
数百年経てば、きっと初代にも負けず劣らずな貫禄が身について、圧倒的な存在感を放つ存在になるでしょう。
【悠久の年月経て誕生する物】
醍醐桜のように数百、数千年経つことで圧倒的な存在感を放つまで成長できるほど自然は魅力に溢れていますね。そこで、下記記事では悠久の年月を経て誕生した自然の神秘を紹介します。
醍醐桜の種が宇宙へ飛び立つ
「宇宙桜」をご存じですか。宇宙桜は宇宙に桜が咲いている訳でもなく、地球外の植物でもありません。
有人宇宙システム株式会社が行った「花伝説・宙へ!」プロジェクトから生まれた桜が「宇宙桜」です。宇宙の文化利用というテーマのもと、日本各地の桜の種子が集められ、その中には醍醐桜の種約200粒も含まれていました。
集まれらた桜の種子は、スペースシャトルに乗って宇宙へ旅立ち、国際宇宙ステーションの日本の実験棟「きぼう」で8ヶ月半保管されたそうです。
そして、地球へ帰還後に各地へ戻った桜の種子のごく一部が発芽して「宇宙桜」が誕生した次第です。
岡山へ戻ってきた167粒の内、発芽したのはたったの10粒しかなく、発芽率にすると僅か6%と生存確率はかなり低い物でした。
それでも醍醐桜の周辺や岡山市の生涯学習センターの中庭などで元気に開花し、一般観賞も可能となっています。
醍醐桜へ向かう道中に立ち寄りたいスポット
旧別所小学校の「真庭のシシ」
醍醐桜へ向かう道中の中には、旧別所小学校前を通過します。
この学校前に設置しているこちらのモニュメントを是非見てみましょう。
このモニュメントは「真庭のシシ」と呼ばれています。
真庭市内から出されたゴミをリサイクルして作られたアート作品であり、2018年11月に制作されました。
モチーフは見ての通り、里山の生き物であるイノシシですね。
このシシは、岡山県玉野市の宇野港に展示している「宇野のチヌ」と同じ製作者の「淀川テクニック」さんです。
真庭のシシは展示場所がコロコロ変わっていきますので、現在の設置場所については真庭市役所で確認してみましょう。
2019年には、宇野のチヌが展示している宇野港へやってまいりました。
真庭のシシ
- 住所 岡山県真庭市別所9-1
- 電話番号 0867-42-1113(真庭市役所 環境課)
カタクリの花群生地
カタクリの花群生地は、先ほど紹介した旧別所小学校から東へ約450mほど歩いたところにあります。
カタクリの花は、早春の山里を彩る花の一つです。
「春の妖精」や「春の女王」とも呼ばれ、春を呼ぶ花の代表格ですね。
こちらは現地にあったカタクリの説明板です。この辺りでは、毎年4月上旬から中旬頃に咲くことが記載されていました。
カタクリの花は、種から花が咲くまで7~8年程度かかるため、地元住民で構成される保存会の人たちによって大切に管理されていますね。
春の日差しを浴びて、山の斜面一面に可憐で優雅な紫色の花が咲き誇ります。
注意点として、日が当たらない時には花は閉じており、日が当たるとまた開花しますので、鑑賞の時間帯に気を付けましょう。
カタクリの花言葉は「初恋の花」です。
うつむき加減に咲くその花の姿は、はにかんでいるように見えるのは私だけでしょうか。
カタクリの花群生地
- 住所 岡山県真庭市佐引
- 電話番号 0867-52-1111(真庭市落合振興局 地域振興課)
- 必要に応じて地域振興課へ開花状況を確認しましょう。
醍醐桜の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県真庭市別所2277 |
電話番号 | 0867-52-1111(真庭市落合振興局 地域振興課) |
車で訪れる場合は、カーナビの目的地設定を「旧別所小学校」にすると良いでしょう。(住所:岡山県真庭市別所9-1)
【アクセス】
- JR月田駅からタクシーで約20分
- JR美作落合駅からタクシー約30分
- 落合ICから車で約40分
- 北房ICから車で約30分
醍醐桜の駐車場
醍醐桜周辺には、3箇所の駐車場がありますが、桜が満開時期は有料です。
それぞれの駐車場では「第1駐車場35台、第2駐車場70台、第3駐車場30台」が駐車できます。
まとめ
何十、何百の桜の木が連なる桜並木の名所も大変美しく見応えがありますが、奇跡の一本桜の景色も決して負けてはいません。
醍醐桜は、樹齢1,000年を越すといわれる一本桜であり、その圧倒的な光景は神々しささえ感じます。
かつて後醍醐天皇が賞賛した醍醐桜に魅せられに訪れてみませんか。
【サイクリストの管理人からの一言】
醍醐桜のような神秘的な景色やまだ見ぬ絶景を求め、自転車旅を続けていくと自己成長していきますね。下記記事では、一人旅のメリットや自己成長についてお話します。