「奈良公園のイメージは?」と聞かれると、あなたはどう答えますか。
人によっては、「東大寺などの歴史的建築物が多い」「四季折々の自然」と答える方もいますが、やはり圧倒的に多いのは「野生の鹿」でしょう。それほど、多くの人々に知られている鹿たちは、奈良の地では神様の使いなのです。
奈良公園を闊歩する鹿は、約1,200頭以上もいて、とても人に慣れています。しかし、あくまで野生なので色々気を付けなければ、思わぬ怪我や事故にあうかも知れません。
本記事では、奈良公園の鹿との接し方について紹介します。さらに個人的に、奈良公園の鹿について疑問点を調査した結果をまとめました。
奈良公園へ訪れる際、参考にして頂ければ幸いです。
奈良公園と野生の鹿
奈良公園は、奈良県奈良市に位置し、総面積660ヘクタールの広大な広さを誇る都市公園です。日本を代表する観光スポットの1つとして、国内だけでなく海外にも広く知れわたり、年間約1,300万人の観光客が訪れる。
また、奈良の大仏で知られる東大寺を始め、春日大社や興福寺、国立博物館などの歴史的建築物を有します。美しい芝生と、樹齢1,000年の松木立などの豊かな園内は、散策するだけでも気持ちがいい。
そんな園内には、昔から大切にされている野生の鹿たちがいて、国の天然記念物に指定されている。園内を自由に闊歩し、生き生きと過ごす鹿の様子をじっくり愛でてみましょう。
鹿へのエサやりは禁止ですが、園内で販売される「鹿せんべい」は与えてもOKですよ。
鹿の鼻先へせんべいをそっと近づければ、モシャモシャと食べてくれる。そんな姿を見えていると癒されます。さらに「せんべいをちょうだい」とお辞儀をする鹿もいて、とても愛らしい。
野生動物なので、遠慮なんてせずグイグイ迫ってくる鹿もいるので、様子を見ながら鹿せんべいを、与えてみてはいかがですか。
園内には、奈良の鹿愛護会が運営する保護施設「鹿苑(ろくえん)」があります。
ここでは、保護された鹿を見学できる。また、出産前後の母鹿や小鹿、交通事故などで傷つき人里に馴染めなかった鹿たちがここで過ごしていますので、足を運んでみよう。
奈良公園の鹿との接し方
奈良公園内の鹿は、野生動物です。とても人に慣れてはいますが、接し方を間違えれば攻撃されることもあります。
そこで、野生の鹿との接し方を以下にまとめました。
- 野生の鹿なのでケガに注意、じらしたり、子供だけで近づかない
- 子育て中や発情期の鹿には近づかない
- 鹿せんべい以外のものを与えるのはNG
- 犬は鹿の天敵!犬の散歩に注意
- 鹿が手荷物を引っ張ることもあるので気を付けて
- ゴミを捨てるのは絶対ダメ、鹿が誤って食べてしまうかも
それぞれについて説明します。
【奈良公園へ旅行へ行こう】
遠方から奈良公園へ向かうなら、鉄道や飛行機、レンタカーなどを利用したい。下記記事では、旅行に役立つ便利なサービスを紹介します。
野生の鹿なのでケガに注意、じらしたり、子供だけで近づかない
生息する鹿はあくまで野生動物なので、ときには人間を攻撃してきます。
その攻撃方法には、突進される・角で突かれる・噛み付かれる・蹴られるなどがある。けれど、必要以上に怖がる必要はないですね。
鹿の習性を知り、むやみに怒らせないようにしよう。よくあるのが、鹿せんべいをあげようとして、怖がってなかなかあげられなかったり、面白がってなかなかあげなかったりしていれば、鹿は「さっさとくれ」と思ってイライラし始める。
この「鹿をじらす(イライラさせる)」行為は、絶対にやらないように。イライラがピークに達すると、突然攻撃されますよ。
また、不用意に鹿へ触れたり、近づきすぎると、攻撃されることもある。園内にいるのは、野生動物だということを忘れてはなりません。
特に子供だけで、鹿へ近づかないように。大人よりも体格が小さな子供に対して、強く出るケースは少なくないです。
【動物との触れ合い】
奈良公園の鹿は、眺めているだけでも癒されますね。旅を続けていると、動物と触れ合う機会も多い。下記記事では、動物と出会える観光スポットを紹介します。
子育て中や発情期の鹿には近づかない
さきほど鹿をじらすと、攻撃されるとお話しました。それ以前にオス鹿には、行動が粗暴になる時期があります。
それは、主に9月頃~11月頃にかけて発情期をむかえ、オス同士の縄張り争いが勃発するという。つまり、この発情期に鹿へ近づくと、鹿からしてみれば、縄張りの秩序を乱すと考え、観光客に攻撃することが比較的多いですね。
また、発情期のオスほどではないですが、年間を通じて子育て中のメス鹿へ干渉しすぎれば、やはり威嚇や攻撃をされてしまいます。
何度もいっていますが、奈良公園の鹿は野生です。鹿にも鹿の生活があるので、むやみやたらに近づかず、少し離れたところから愛でるのが安全ですよ。
ちなみに、鹿の出産時期は5~6月頃。妊娠した鹿は、園内にある鹿苑(ろくえん)で保護され、時期をみて園内へ戻されます。
【公園の紹介】
奈良公園のように珍しい公園は、実は日本各地に何件もある。下記記事では、旅先で訪れた珍しい公園を紹介します。
鹿せんべい以外のものを与えるのはNG
奈良公園の鹿の主食は、園内に生えている植物(シバ、葉っぱ、ドングリなど)です。野生動物なので、飼育されているわけではなく、自力で食べて生きています。
鹿せんべい以外の食べ物(パン、野菜、お菓子など)を与えると、病気になる可能性がゼロではありません。時には、観光客の持っているビニール袋や紙類を口にくわえて食べようとすることがある。
こんな物を食べてしまったら、適切に消化されないですよ。実際、鹿の胃から石灰化したビニール類がでてきたという話もあります。
鹿にとって安全に作られた「鹿せんべい」以外は、与えてないように気を付けましょう。尚、鹿せんべいの売上の一部は、鹿の保護費用に充てられています。
犬は鹿の天敵!犬の散歩に注意
鹿はもともと臆病な動物です。そのため、鹿にとって犬は天敵になる。
犬の叫び声やダッシュで近づく姿に驚いたりして、焦ってその場から逃げだしてしまった結果、人身事故や交通事故にあうことがあります。
犬には、鹿に危害を与えるつもりがなかったにせよ、こういう痛ましい事故はやりきれません。
また、身を守るために犬に襲いかかることもある。なので、園内で犬をつれて散歩するならば、必ずリードをつけて鹿へ近づけないように気を付けましょう。
鹿が手荷物を引っ張ることもあるので気を付けて
園内を散策中に、手に持っているビニール袋やパンフレットなどを食べてしまうことがあります。
園内には、そこら中に鹿がいますので、立ち止まっている内に後からそっと近づかれ、いつの間にか手に持っていたものを、取られてしまうかも知れません。
なので、園内を散策するときは、カバンなどにビニール袋などは、しまっておくようにして下さい。また、鹿へ近づくならば、カバンを角に引っかけてしまうかも知れないので、気をつけましょう。
ゴミを捨てるのは絶対ダメ、鹿が誤って食べてしまうかも
実は奈良公園には、ゴミ箱がありません。ゴミを出したら自分で持ち帰るのが原則です。
もし園内にゴミを勝手に捨ててしまえば、誤ってゴミを食べた鹿が死んでしまうかも知れません。だからこそ、絶対にゴミを捨てるなんてやめましょう。
それ以前に、公共の場でゴミ箱以外にゴミを捨てるのは、モラルを疑われます。
奈良公園の鹿に対する疑問点
奈良公園内を散策しながら、多くの鹿たちを眺めていれば、様々な疑問点が浮か上がってきた次第です。鹿に興味があればあるほど、気になる点がでてくるもの。
恐らく、これから奈良公園へ観光する方も同じような疑問を感じると思うので、私が感じた疑問点を、以下にまとめました。
- 鹿は鹿せんべいの売場を襲わないのか
- 鹿せんべいは人間も食べれるのか
- 鹿にマダニやノミがいるのか
- 奈良公園が鹿の糞だらけにならない理由とは
- 鹿にうっかり車をぶつけたらどうなるのか
それぞれについて調査した結果を説明します。
鹿は鹿せんべいの売場を襲わないのか
園内にある土産物屋では、鹿せんべいが売られています。店内ならともかく、露天売場であれば、普通に鹿が襲ってくるように思える。
そんな疑問を感じ、しばらく露天売場を観察していました。鹿が近づくことはあっても、襲うような仕草はありませんね。それが真実なのでしょうか。
調べた結果、鹿は普通に売場を襲うそうですよ。どうやら観光客がいる時は襲わないようだ。鹿は頭がよい動物なので、観光客から鹿せんべいをもらった方が楽だと気付いている。
朝方では、隙をみせて油断してると、襲われたりするそうですが、観光客が襲撃シーンを見かける機会は、ほとんどありません。
鹿せんべいは人間も食べれるのか
鹿せんべいを見ていると、人間が食べれるのか疑問に感じませんか。
実はこの鹿せんべい、無添加優良食品なんだそうだ。材料は、米糠と小麦粉のみで、着色料や香辛料・調味料はいっさい入っていないという。
ということは、人間でも食べれるけど、味がしないことが分かる。もともと人間が食べるのを前提に作っていない。それに賞味期限も書かれていないので、いつ作られたのか不明です。
なので、食べない方がよいですね。尚、工場で焼きたてのものならば、食べれるでしょう。
鹿にマダニやノミがいるのか
園内にいる鹿は、飼育されているわけではありません。
可愛い動物なので、ペットや触れ合いコーナーの動物の様に、触りたい気持ちは分かるのですが、そのような行為は止めた方がよい。
実は、奈良公園の鹿に、ノミやマダニがいるのは普通です。野生動物なのだから、当たり前ですね。鹿に近づきすぎたり、直接触れあえば、ノミやマダニが人間に寄生するリスクがある。
そういうことを理解した上で、少し離れた位置から眺めるだけにしましょう。
ちなみに、マダニに咬まれると、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症することもあり、重症化すれば死亡するリスクがあります。
奈良公園が鹿の糞だらけにならない理由とは
園内には、1,200頭以上の鹿が過ごしているのだから、鹿の糞だらけになっていても、おかしくないと思いませんか。
「奈良公園の職員が処理しているのだろう」と思うかもしれませんが、真相はそうではありません。
なんと、フンコロガシが処理をしているそうですよ。私はこの話を知った時、思わず「なに~!?」と驚きました。
どうやら以下の様な流れで、鹿の糞が処理されるといいます。
- 鹿が芝生を食べて糞をする
- フンコロガシが糞を食べて地中へ運ぶ
- 芝生の肥料となる
- 芝生が生い育つ
- 手順1に戻る
なるほど、素晴らしい自然のメカニズムですね。
鹿にうっかり車をぶつけたらどうなるのか
奈良公園の鹿は天然記念物ですが、野生動物なので、器物損壊罪や動物愛護法が適用されません。
刑法上では動物は「物」扱いなので、他人の動物を殺傷したら、器物損壊罪が成立します。また、愛護動物を虐待すると、動物愛護法に引っかかる。だけど、奈良公園の鹿は、どちらにも該当しないため、過失であれば処罰はされないのです。
つまり、うっかり車をぶつけて死亡させてしまっても、これだけでは処罰の対象になりません。けれど、故意であれば話は別だ。天然記念物の鹿であるため、文化財保護法違反が適用されます。
もし、うっかり車でぶつけてしまったら、早急に警察へ通報しよう。
奈良公園の基本情報とアクセス
住所 | 奈良県奈良市春日野町ほか |
電話番号 | 0742-22-0375(奈良公園事務所) |
鹿苑
- 入館時間 10:00~16:00(特別公開、行事等を除く)
- 定休日 月曜日、年末年始
- 問合せ TEL 0742-22-2388(奈良の鹿愛護会)
- 料金 無料(鹿のエサ代の協力金として100円程度を募集)
【アクセス】
- 近鉄奈良駅から徒歩約5分
- JR奈良駅から徒歩約20分
- JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス「東大寺大仏殿・春日大社前」で下車後、徒歩約5分で東大寺の南大門へ到着(奈良公園内)
奈良公園の駐車場
奈良公園周辺には、有料駐車場がたくさんあります。
その中でも「奈良登大路自動車駐車場」がおすすめ。平日2時間限定ですが、無料で駐車ができる。また、奈良公園まで、徒歩約5分と立地がよいのも魅力的ですね。
- 住所 奈良県奈良市登大路町80
- 利用可能な時間帯 6:00~22:00
- 収容台数 275台
- 料金 【平日】1,000円/日、【土日祝】1,000円/日
その他の有料駐車場には、「奈良大仏殿前自動車駐車場」「奈良高畑自動車駐車場」「若草山頂駐車場」などがあります。
まとめ
奈良公園は、日本を代表する観光スポットの1つです。
国内だけでなく海外にも広く知られており、年間約1,300万人の観光客が訪れます。そのため、平日・土日祝日に関係なく、いつも人が多いですね。
そんな園内には、可愛い野生の鹿が、約1,200頭以上も過ごしており、人と共存しているのは、世界的にみても珍しい。
奈良市へ訪れた際には、奈良公園へ足を運び、鹿を愛でて癒されてみてはいかがですか。