
「瀬戸内の海道巡り」の最終日となる3日目は、ゆめしま海道を駆け巡ります。ちなみに前日は、生口島から今治市街へ向けてしまなみ海道を走りました。(前日の旅の様子はこちらの記事で紹介)
ゆめしま海道といえば、しなまみ海道の南側に位置しており、弓削島・佐島・生名島・岩城島の4つの島を結ぶサイクリングロードのこと。海が近く美しい島々が広がる景色は、しまなみ海道同様に風光明媚ですね。
路上には、サイクリストにとって大事な道しるべとなるブルーラインが描かれていますが、佐島にはここだけしか見られないとても珍しいブルーラインのUターン場があるぞ。
ということで、足を運ぶことにしました。以前に佐島へ来たときは時間がなかったので立ち寄れなかったので、数年越しのリベンジになるかな。また、気持ちのよい松原海岸の風景を楽しんだり、弓削神社へ参拝する予定です。
それでは、ゆめしま海道を自転車で旅をする様子をお届けします。
今治港から船旅を楽しむ

本日の旅のスタートは、今治港近くにある「KATAHARA WOOD BASE」から始まります。
サイクリストも自転車と一緒に入ることができるスペースであり、その名の通りウッドベンチやテーブルがズラリと並んでいる。
ウッドデッキからの眺めというのは印象的なので、旅の思い出の一頁に刻まれるだろう。
さて、これから船に乗って岩城島へ向かう訳ですが、乗船券売場のある「いまばり海の駅」周辺が何やら騒がしい。

近付いてみると、せとうちみなとマルシェが開催されていました。グルメや雑貨のブースの準備をしている人を見かけ、これから盛大にイベントが始まるみたい。
調べてみると、まぐろの解体ショーやダンスパフォーマンスがあるようなので、参加してみたかったですね。
しかし、これから岩城島へ行くためそのような思いを振り切り、海の駅の中へ入りました。

スタッフに案内されながら高速艇の乗車券をゲット。

それだけでなく、かみじまサイクルフリーの用紙と自転車の乗船番号もゲット。
この用紙に必要事項を記入すれば、なんとしまなみ海道と上島町を結ぶ5航路をサイクリングする際には、自転車運賃が無料になる優れものですよ。
なので、ゆめしま海道へ向かうならば絶対に手に入れておきたい。

さて、今治港へ向かいしばらく待つと、海上から高速艇がやってきました。
見て下さい、この面構えを。見るからに速そうだ。私以外にも自転車を乗船する人が多かったですね。当たり前ですが、高速艇なので自転車の台数制限があります。

だからこそ、先ほどスタッフから手渡された自転車の乗船番号が重要になってくる。人が乗れても、自転車が乗らなければ意味がありません。
パッと見た感じだと、20~30台ほどは乗りそうです。

それでは、出航時刻にもなりましたので、岩城島へ向けて出発進行。
ありがとうよ、今治市。船の上から小さくなる今治港を眺めながら、船旅を楽しみます。

その道中に見かけたとある島に建てられた電子パネルの表記には、思わず「おっ、あれは何だ!?」と驚きましたね。
表記される文字が「H」「2」「↓」と切り替わりながら点灯しているぞ。あれはいったい何だったのだろうか、今もって謎です。

そうこうしている内に、船は伯方島の木浦港へ到着。木浦港では、伯方造船の船舶をたくさん見物できました。

そういえば、昨日訪れた「伯方ふるさと歴史公園」から木浦港の景色を眺めたのを思い出し、ふと顔を上げてみると天守を模した資料館が見えるではないですか。
昨日のことですが、何だか感慨深いですね。

その後、船は木浦港を離れると、岩城港へ到着。今治港から約53分かけた船旅もこれにて終了です。
何だか名残惜しい気がしますが、気持ちを切り替えましょう。さて、よいよ「ゆめしま海道」の自転車旅が始まります。
岩城橋を渡り生名島へ

岩城島へ上陸を果たし、周囲を見渡すと「上島町岩城総合支所」の外壁に目を奪われました。
そこには、ゆめしま海道を紹介するパネルが設置されており、「ゆめとあなたをつなぐ YMESHIMA」と書かれたキャッチコピーが秀逸かな。

以前、ゆめしま海道を旅した時は、岩城郷土館へ立ち寄ったり、島の中央にそびえ立つ積善山へヒルクライムをしましたね。
積善山は劇坂が続きましたが、頂上からの景色が素晴らしかったな~。桜の名所としても知られているので、機会があればそのタイミングで、またヒルクライムをしたいものです。
それでは、生名島へ渡るために岩城橋へ向けてレッツゴー♪

岩城環状線(県道174号)を東へ向けて道なりに進む。道中には、果樹園を見かける機会が多い。
岩城島では、島の農業産出額の約80%が果物なんだとか。レモンや柑橘の栽培が盛んであり、特に「青いレモン」としてブランド化されているぞ。
そもそも瀬戸内は温暖な気候なので、柑橘類の栽培に適していますね。途中から岩城環状線を離れ、南東側の海岸線を進みました。

車が通行しなかったり、人影を全く感じさせない海岸線というのは、時には寂しく感じるだろう。しかしテンションが高ければ、そんな状態でも気にならないものだ。
この時の私がまさにそのような状態だったため、意気揚々とゆっくりと走る。道中には短い距離の劇坂があり、そこを乗り越えて下ると、岩城橋が見えてきた。
青い空と碧い海、緑の島に真っ白な岩城橋が織りなす光景に、思わず「うぉ~!!」と声が漏れましたね。

おっ、撮影におあつらえ向きのモニュメント(YUMESHIMA CIRCLE)があるではないですか。
ゆめしま海道を周遊する自転車のイメージにピッタリ。

ということで、モニュメントや愛車を交えて岩城橋を撮影。うん、よい1枚が撮れて満足、満足♪
しばらくの間、この場所で撮影会をすると共に岩城橋が織りなす風景を楽しみました。




こうして岩城橋を渡りきると、生名島へ上陸。
生名島には三秀園メンヒルや防波堤アートなど見どころがありますが、今回は立ち寄らずに真っ直ぐ生名橋へ向かいます。
佐島のブルーラインUターン場へ向かう

生名橋を渡り終えると佐島へ上陸。そのまま道なりに進み、佐島展望所へ到着。
車であれば2~3台ほどしか駐車できない小さなスペースですが、東屋やサイクルスタンド、テーブルを完備しているので、ちょっとした休憩に持って来いの場所ですね。
また、岩城島や生名島、因島、魚島、豊島といった周辺の島々が連なる景観を楽しめる。ゆめしま海道をサイクリングする際には、この場所で小休止するサイクリストが多いだろうな。

ここから東へ向かうと、直ぐに弓削大橋が見えてくるのですが、本日は弓削大橋を渡る前に佐島のほぼ南端に位置する長磯の浜へ向かいます。
理由はいたってシンプルで、珍しいブルーラインUターン場を見たいから。旅の動機として、これだけで十分ですね。

佐島展望所の近くから南側へ分岐する道へ入ると、次第に車一台分しか幅がない急坂が続く。
周囲には果樹園や民家が点在しているのが見て取れる。急坂を越えると、西側へ向かって緩やかな下り坂となり、海岸線へ向かいます。

しばらくすると、佐島港へ到着。
ここから先は、本格的に山奥へ向かって進むことになるぞ。なので、佐島港務所でトイレを済ませたり、自販機で水分を補給しておきたい。

たまたまサイクリストに出会ったので、挨拶をしてしばし談笑。どうやらブルーラインUターン場から戻ってきたばっかりということで、この先の道についてお話を聞きました。
アップダウンが多いということですが、20分もあれば到着するようです。

サイクリストに別れを告げて、海岸線を南下しているとブルーラインを目撃しました。一本道なので間違いようはないですが、実際にブルーラインを確認できると、安心感が半端ないですね。
そもそも瀬戸内のサイクリングコースに欠かせないともいえるブルーラインは、サイクリストにとっては大事な道しるべ。なので、お世話になった人も多いだろうな。
実際、私も道に迷った時にブルーラインを見かけると、「何とかなる」と思ってしまいます。

細い林道を黙々と突き進む。陽気の中、鳥のさえずりだけがこだまし、人影は全く見かけません。
周囲には果樹園があるので、車の出入りがあるのは分かりますが、この細い道で対向車に出会うと大変だろうな。

林道を道なりに進むと、ついに目的の場所へ到着。これですよ、これを見るためにやってきました。
なぜ、このようなブルーラインを作ったのか分かりませんが、サイクリストの習性をよく理解していると思うのは、きっと私だけではないはずだ。
ここで得られるものは、単なる自己満足と達成感のみ。南北に長い佐島のほぼ先端へ行った人だけが見られるご褒美です。

せっかくなので、Uターンの中に愛車を寝かせて記念撮影。このような珍スポットを作ってくれてありがとう!
多くの人は、最初から行き止まりと分かっている山奥へ入るのは、無駄や徒労と思うだろうな。
しかし、このような場所はここだけでしか見られないので、旅の土産話として一度は足を運んでみるのもいいと思います。

また、ブルーラインの先にある「長磯の浜」がいい感じ。
実は「かくれビーチ」というニックネームがついているほどですよ。更衣室やシャワーなどはなく、決して海水浴に適しているとはいえませんが、静かな瀬戸内海の景観と打ち寄せる波の音に癒されます。
しばらくの間、長磯の浜で過ごすと来た道を引き返しました。
松原海岸の風景を楽しみ、弓削神社へ参拝する

弓削大橋を渡り弓削島へ上陸して、橋の近くから眼下の景色を眺めると、港町の景色が広がっています。こういう景色をみると、テンションが上がるというものだ。
そのまま道なりに進み、弓削島循環線(県道172号)へ合流。そして、高校前を通り抜けて弓削島の東海岸へ辿り着くと、松原海水浴場が見えてきました。
松原海水浴場は、環境省が定める快水浴場百選に選ばれており、これは愛媛県で唯一なんだとか。愛媛県には、道の駅ふたみ前にある海水浴場など景観がよいところがあるので、意外と思う人も多いと思います。

松原海水浴場は、ひょうたん形をした弓削島のくびれた箇所に位置しており、弧を描いた景観がGood!
それに、自然豊かな緑を背にして穏やかな波と美しい砂浜が印象的ですね。
私が訪れた日は、海水浴のシーズンには全然早いため、誰もいなくてこの景色を独り占め。ここでボケーと過ごすのも良きかな、良きかな。

また、広大な松林に囲まれたキャンプ場が隣接しているぞ。
離島の隔絶感の中、静けさに包まれた松林を散策しながら、その先に広がる青々とした海を眺めていると、日本は本当に美しい国というのを再認識しました。

さらにすぐ近くにある弓削神社からは、海に向かって鳥居が立っている。
それは、まるで一枚の美しい絵画を見ているようだ。特に海水浴場に用事がなくても、これを見るためだけに訪れる価値は十分あると思います。
もし私が弓削島に住んでいたならば、絶対この辺りは毎日の散歩コースにしただろうな。朝日が鳥居の中を通って、社殿に差し込む作りになっているそうなので、その光景も見てみたいですね。

弓削神社は、平安時代の怪僧として有名な道鏡(どうきょう)を祀ったという伝説があります。
道鏡は、日本三悪人の筆頭ですよ。なんと「自ら天皇になろう」とした人物であり、もし彼の画策が成功していたら、今の天皇系は存続せず日本の歴史は大きく変わっていたのには間違いありません。
上弓削港へ向かう道中にて

弓削神社をあとにして、弓削島の西海岸へ向けて弓削島循環線を疾走。向かった場所は、弓削港ひだまり公園です。
芝生とウッドテラスが調和する綺麗な公園で雰囲気良し。ここで、弁当を広げてランチするのは楽しそう。

奥の方へ歩いていくと、岩城橋の近くで見かけた同種のモニュメントを発見しました。
それにこの場所は、弓削大橋の全景を楽しめるビュースポットになっています。海沿いのベンチに座って、のんびり過ごしていると、時間が経つのを忘れてしまいそう。
いつでもそういう時間が取れる人というのは、心に余裕がある証拠かも。超多忙な日々を過ごしていると、公園でのんびり過ごすという発想が、まず出てこないですね。(私もそういう時期がありました。)

弓削港ひだまり公園をあとにして、弓削島循環線を北上し、向かった先は「おやつタイム」です。
ここでは、上島町のマスコットキャラクター「かみりん」の形をしたおやつ「かみりん焼き」を販売しています。しかし、お店へ到着すると、残念ながら臨時休業のお知らせがありガックリ。
旅をしていると、このような機会にはよく合うので、気にしても仕方がない。気持ちを切り替えていきましょう。
ちなみに、かみりん焼きとは、かみりんの形をした人形焼きのこと。自家製あんこやカスタードクリーム、チョコクリームなどラインナップが豊富ですよ。今度来るときの楽しみにとっておきます。


おやつタイムから北へ約500mほど弓削島循環線を北上すると、上弓削港へ到着。
船の出航時刻までにまだ余裕があるため、港前にある「お好み焼き 西野」で、少し遅めのランチを取りました。

本日は、岩城島から始まり生名島・佐島・弓削島を疾走し、ゆめしま海道を十分堪能しました。後は渡し船に乗って因島へ渡り、本州の尾道へ向かうだけ。
なので、もう少し旅は続きますが、ゆめしま海道を巡る旅の様子については、ここまでとします。
その後、しまなみ海道を駆け抜けて本州の尾道駅へ到着すると、輪行にて帰路へつきました。
まとめ

3日間に渡り、瀬戸内海の多島美が織りなす風景を、これでもかっていうくらい堪能した次第です。
晴天の下、潮風に包まれながら自転車で海沿いを疾走するのは心地よく、絶景に出会う旅というのは、何度訪れても飽きがこないですね。
いつもは尾道からしまなみ海道を渡ると折り返して尾道に戻るか、今治駅から電車に乗って帰路に付くのですが、今回の旅では、帰路にゆめしま海道を使うという新しい試みにチャレンジしました。
結果は、想像以上に素晴らしく、今後のスタンダートになるかも。それに、ゆめしま海道を走るためには、必ず船で渡航して島へ上陸しなければならないので、それがより旅情を醸し出します。
しなまみ海道の周辺には、ゆめしま海道やとびしま海道、さざなみ海道など海の絶景コースが多いので、今後も旅をする機会が多いのは間違いなし。
さて、今度はどの海道へ行こうかな?