
愛媛県松山市北条地区の沖合には、「伊予の江の島」と呼ばれる「北条鹿島(ほうじょうかしま)」が浮かんでいます。
鹿島港からわずか3分で上陸できて、お手軽に島旅を満喫できる人気の景勝地ですね。島内では、海水浴や釣り、キャンプなど様々なレジャーを楽しもう。商店や宿泊施設もあるので1日を通して遊べます。
また、自然豊かなビュースポットがいっぱい。特に標高約114mの鹿島(鹿島山)山頂からの眺めや、周遊船によるクルージング中の眺めは外せません。
本記事では、北条鹿島の鹿島登山とクルージングの魅力を紹介します。
目次
北条鹿島とは

北条鹿島は、単に鹿島とも呼ばれる周囲1.5kmの自然豊かな小さな島です。1956年5月に国立公園に選ばれ、2014年には恋人の聖地サテライトに認定されました。
名前が示す通り、古くから野生の鹿が生息されていましたが、現在では基本的に鹿園で保護されています。そのため、鹿のエサやりなどをしながら、触れあうことができますよ。
北条鹿島の見どころや行き方については、下記関連記事でくわしく紹介します。
絶景を求めて鹿島(鹿島山)登山へ

北条地区から渡し船に乗り、北条鹿島にある浮き桟橋へ到着すると、まず最初に鉄柱の間に掲げられた「Welcome to Kashima」の案内板を目にします。
その奥へ目を向けると、渡し船の時刻表や観光案内所、休憩所があるのに気が付くだろう。
この休憩所を正面から見て、右隣を少し歩くと左手側に鹿島神社の参道と共に登山道の大きな案内板が見えてきますので、そちらへ向かって歩いて下さいね。



北条鹿島にある山の名前は「鹿島」または「鹿島山」と呼ばれています。そもそも島全体が丘陵のような地形ですね。
麓から山頂までは、徒歩で20~30分ほど。遊歩道が整備されているので基本的に歩きやすいですが、ところどころに足場が悪い場所があるので、サンダルやハイヒールのような靴で歩くのはおすすめしません。滑りにくいスニーカーや歩きやすい靴を履いて下さいね。
それに標高約114mの低山だからと言って舐めないように。結構急勾配なのでキツイですよ。私が訪れたタイミングでは、子供連れのご家族がチャレンジしていました。
お子さんがスタスタと登っている姿を見ていると、子供の体力おそるべしと感じましたね。(笑)

登山道入り口は、鹿島神社の境内の一角だけでなく、キャンプ場の近くにもあります。どちらから登ってもほぼ直ぐ(1~2分ぐらい)に合流し、メインの登山道となります。

こちらのマップにご注目。見て分かるように、山頂にある展望台まではほぼ一本道です。道中には、展望台の方向を示す立札が複数立っているので、安堵を覚えると思います。

また、本ルートの他にも夕渚の道や風早の道、小鹿の道、波妻の道があるとのこと。マップを見て、一部の道は通行止めとなっているのに気が付いたので、私はそちらへ行っていません。
本ルートとは違った景色を楽しめると思います。
「鹿島の森」の中で遊歩道を歩く

山頂までの遊歩道は、美しい森林地帯を歩くことになるので、森林浴を楽しめます。
山頂まで一気に歩いてもいいですが、せっかくなので周囲の植物にも目を向けてみよう。道中にはスギやムクノキ、クスノキ、フウなど多種多様な植物が生成しています。
これらの植物の前には、案内板が立てられていたりして、簡単ですが植物の特徴について紹介していました。

個人的に気になったのは、シダの多さかな。かつて野生のシカにより、他の下草が食べ尽くされたみたい。そのため、シカが好まないシダ類だけが残り繁殖したのだろう。
シダで思い出したのが、高知県を旅した時に訪れた「伊尾木洞(いおきどう)」です。シダに覆われる渓谷は、実に見応えがありました。


こちらの「フウ」という植物。見た目は日本の「楓」に似ていますが、中国中南部、台湾原産なんだとか。楓のように紅葉シーズンになると、美しく色付きます。


緑豊かな森を歩いていると、葉の緑色や木漏れ日、野鳥の鳴き声、風の音などに心と体がリラックスするぞ。ぜひ森林のもつ癒しのパワーを五感で感じて下さいね。

石の大きさがバラバラで、高さや奥行きが一定でない石段があったりするので、足元に注意しながら歩きましょう。
また、始めの内は遊歩道に手すりがあるので、初心者にも安心感があります。しかし、手すりは山頂まである訳ではないのでお気をつけて。

植物の中には、触ると危ないものもあるので事前に知っておこう。たとえば、イラクサには細いトゲがあり、うっかり触るとそこから毒が注ぎ込まれ、かぶれや炎症、ショック症状を引き起こすそうですよ。
「植物の種類が分からない」という人は、それなりに多いと思うので、簡単な助言を一つ。「むやみやたらに触らない」のがベターだと思います。
鹿島にはかつて鹿島城があった

中腹辺りには広場があり、そこには休憩小屋があるので、一息つくのも良いでしょう。
この小屋の前にある案内板によると、かつて「鹿島城」があったとのこと。少し調べてみると、島全体が城郭として利用されたそうで、建武年間(1334年~1338年)に今岡通任(いまおか みちとう)が築いたそうです。

こちらがその案内板。こういうのを見ると、お城に興味がある人はテンションが上がるだろう。(私がそうでした)
戦国時代には得居通幸(とくい みちゆき)や来島通総(くるしま みちふさ)が城主を務めました。どちらも瀬戸内海の有力な海賊として名を馳せた、村上水軍の一族ですよ。
豊臣秀吉による四国征伐の後で、城主の転封などにより、残念ながら自然廃墟となることに。今でも当時の物らしい石積みの崩れた姿が残っています。
360度のパノラマ絶景を楽しめる山頂展望台

鹿島の山頂へ辿り着くと、苦労したほど喜びもひとしおですね。開放感あふれた広場に建つ展望台を目にした瞬間、思わず「やったー!」とガッツボーズを取りました。
山頂一帯は一の平と呼ばれていて、この展望台からは北条の町並みや伊予灘の風景、それに連なる山々が見渡せます。
その美しい風景を眺めていると、山登りの疲れがスーと取れていく。自分の足で登りきった後でみる絶景は格別ですよ。



目の前に広がる伊予灘はとても碧く、睦月島や小鹿島などの島々を見渡せます。そして、海の向こうに広がる北条の町並みと、高縄山などの山並みがいい感じ。360度の大パノラマを楽しんで下さいね。

また、大注連縄(しめなわ)が張られる夫婦岩(玉理島・寒戸島)の海上風景をお見逃しなく。展望台からの景観に、思わず時間を忘れてずっと見ていました。
日中でも見ごたえがありますが、伊予灘に沈む美しい夕日も楽しめるとのこと。1日の旅の終わりに、足を運ぶのも良いですね。

展望台の下で、こちらの「御野立の巌(おのだちのいわお)」という大きな岩を発見。この岩は、神功皇后が北条鹿島へ訪れた際にこの岩に立って、沖に向けて矢は放ち、戦勝を祈願したという伝説があります。
瀬戸内海地域を旅していると、神功皇后の伝承に出会う機会がそれなりに多いですね。
恋人の聖地のモニュメント「幸せの鐘」

展望台には、恋人の聖地に相応しい「幸せの鐘」があります。2014年8月に設置されたステンレス製のモニュメントですよ。
プロポーズにふさわしいロマンティックな観光スポットは、「恋人の聖地」または「恋人の聖地サテライト」に選ばれていて、北条鹿島もその内の一つ。
カップルで白い階段を一緒に上り、展望台の上で二人で鐘を鳴らすのは、「絆の誓い」を象徴するロマンチックな儀式かな。確かにデートスポットに持って来いです。

特にこの鐘を夫婦岩を見ながらカップルで鳴らすと、恋が成就すると言われています。
ちなみに恋人の聖地で一人で鐘を鳴らしても大丈夫。旅の記念になるぞ。また、自分の未来の幸せを願うために鳴らしてみるのも良いですね。
【恋人の聖地の紹介】
旅先で訪れた恋人の聖地を、下記記事で紹介します。
周遊船「愛の航路」で外周クルージング

四国本土の鹿島港から北条鹿島へ行き交う渡し船は、外周を一周する周遊船にもなります。
周遊船は、1日に1便しか運行(北条鹿島を14時15分に出航)しないので、時間にはお気を付けて。乗車券は、現地の渡船待合所(北条地区側、北条鹿島側)で入手できますね。(大人410円、小児210円)
なので、あらかじめクルージングへ参加するのであれば、本土側の渡船待合所で渡し船の乗船券と一緒に周遊券も手に入れておくと便利です。
船のてっぺんにある鹿のモニュメントは、バンビちゃん。可愛いバンビちゃんと一緒に、クルージングを楽しんで下さいね。


出航してから直ぐに見えてくるのが、海の上に迫り出した太田屋旅館です。4月から11月上旬に営業されていて、北条地区伝統の鯛飯や鮮魚料理などを味わえるとのこと。宿泊しなくてもランチを利用できます。
この旅館の前を通りかかると、手を振ってくるお客さんがいて、ほっこりとしました。

出航してからほどなくして、海の中にまっすぐ伸びる一本の線が見えてきます。それは、先端に赤灯台が建つ長い堤防です。
青空の下、海に囲まれた島の曲線と対比をなす直線的な人工物の組み合わせがいい感じ。どことなく切なさを感じませんか。
周遊船は2名から運航しており、約30分をかけて北条鹿島を一周します。現在は崩落の危険性から島の裏側へ歩いていけないので、周遊船から島の裏側をしっかりと見物して下さいね。
「水晶ヶ浜」や「石門」の眺め

島の裏側には、水晶のように白く輝くという「水晶ヶ浜」があります。
かつては、千畳敷と呼ばれる磯が広がる場所だったそうですね。そこに堤防を造り、砂を入れて砂浜を作りました。そうです、水晶ヶ浜は人の手によって造られたのです。
こうして、多くの人たちが集まる美しい砂浜へ変貌を遂げたのですが、島肌から崩れ落ちた岩や石の影響により、かつての面影が少なくなっているのが現状です。

こちらは、砂浜のそばに佇む「石門」。かつては美しいアーチ状でした。残念ながら、2018年に上部が崩れ今の姿に。
インターネットの画像で昔の在りし日の姿を見ましたが、もう永久に見られないかと思うと残念で仕方ありません。何百年後の未来には、大自然の力で新たな石門の誕生を期待します。

こちらの写真にご注目。水晶ヶ浜へ向かう遊歩道の一部には亀裂が入っており、いつ崩れてもおかしくないですね。これでは、通行禁止になるのも当然だろう。
復旧するに当たり、色々と大変なのは察せますが、いつの日か島内を歩いて一周できる日をお待ちしています。
「伊予の二見」と呼ばれる夫婦岩

クルージングで一番の見どころは、夫婦岩(玉理島・寒戸島)の景観です。遊覧船は夫婦岩へ近づき、しばらくの間停船してくれるので、じっくりと見物できるのはありがたいですよ。
毎年5月3日と5月4日には「鹿島まつり」が開催されていて、地元消防団や奉賛会の人たちによって、5月4日に大注連縄の張替え作業を行ないます。
そのため、約30mほど離れたこの2つの岩の間には、長さ約45m・直径30cmの大注連縄(しめなわ)を見物できるのですが、私が訪れた日は注連縄そのものがありませんでした。
実は作業当日に強風が吹いたため延期になったとのこと。その結果、レアな姿が見られたので、これはこれでアリかな。

岩の頂上へ目を向けると、そこには小さな祠(龍神社)と白い鳥居を発見。海上安全や五穀豊穣の守護神として、寒戸島に祀っています。
本家となる伊勢・二見浦の夫婦岩では、岩の間から富士山と日の出を仰ぐことで有名ですね。こちらでは、2つの岩の間に沈む美しい夕日を眺めよう。ロマンチックな景色を楽しめるスポットになっています。

ちなみに、大注連縄を張っている姿がこちら。どうですか、凛々しいでしょ。この注連縄には、縁結びや合格祈願、家内安全などを祈願した「願い文」を入れているという。

興味がある方は、ぜひ「願い文ポスト」へ願い文をしたため投函してはいかがですか。願い文ポストは、JR伊予北条駅や渡し船の待合所、北条鹿島に設置されています。
【遊覧船を楽しむ観光スポットを紹介】
旅先で訪れた遊覧船を、下記記事で紹介します。
まとめ

北条鹿島のように、全国的にあまり知られてはいない島は数多くあります。この島は、地元や四国では「伊予の江の島」と呼ばれるほど人気の景勝地ですよ。
観光目的で訪れるのも良いし、お遍路旅などの旅路で北条地区へ足を運んだ際に、ふらっと立ち寄るのも良いですね。四国本土から船に乗って、わずか3分で行けます。
せっかく観光で訪れたのであれば、標高約114mの鹿島(鹿島山)へ登山してみよう。山頂から眺める北条の町並みや伊予灘の風景は見事なり。
また、周遊船のよる外周一周クルージングも魅力的。船の上からでは、また違った視点で島内の様子を見渡せます。大自然が創り上げた夫婦岩(玉理島・寒戸島)や水晶ヶ浜などの景観を楽しんで下さいね。
ゆっくり流れる島独特の時間の中、非日常を満喫してはいかがですか。


