桃太郎の鬼退治のお話は、日本人ならば誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。
様々な謎が残る桃太郎伝説ですが、香川県にもその謎が残っています。
香川県高松市の北約4kmに位置し、瀬戸内海に浮かぶ女木島(めぎじま)は、鬼ヶ島とも言われており、島のほぼ中心部には、かつて鬼の住処とされる大きな洞窟がありますね。
今では、この洞窟は観光化されて中へ立ち入れますので、鬼の住処の雰囲気を味わってみませんか。
本記事では、桃太郎伝説が残る鬼ヶ島大洞窟について紹介します。
鬼ヶ島大洞窟とは
鬼ヶ島大洞窟は、誰がどういう目的で掘ったのか全く分かっていません。
女木島北部にある標高約187mの鷲ヶ峰(わしがみね)山頂の直下に位置し、紀元前100年頃に作られたと言われています。
1914年(大正4年)に当時の鬼無町(現在の高松市鬼無町)の郷土史家であった橋本仙太郎(はしもとせんたろう)氏によって発見されました。
直ぐ南には、女木島丸山古墳が見つかっており、瀬戸内海を支配していた古代の豪族と関係があるやも知れません。
広さは4,000平方メートル、奥行きは400mもあり、1931年(昭和6年)に一般公開されました。
時代背景的に国威発揚などの気運が高まっていたため、桃太郎伝説と洞窟を結び付けたのでしょう。
それ以来、女木島は「鬼ヶ島」と呼ばれています。
戦前に巻き起こった鬼ヶ島の一大ブームでは、毎日数千人の観光客が絶えなかったそうです。
尚、この洞窟から5分ほど歩けば、鷲ヶ峰山頂にある展望台へ辿り着けます。
この展望台は、瀬戸内海の島々や高松の市街地を一望できるビュースポットになっていますので、洞窟と共に楽しみましょう。
【鍾乳洞の紹介】
洞窟にも色々ありますが、有名な物として鍾乳洞がありますね。下記記事では、旅で訪れた鍾乳洞を紹介します。
鬼ヶ島大洞窟のアクセスと移動時間
鬼ヶ島大洞窟のある女木島(めぎじま)の行き方は、JR高松駅の周辺にある高松港からフェリーに乗って訪れます。
尚、JR高松駅から高松港までは、徒歩で約10分程度です。
フェリーのチケット売り場で乗船券を買って、フェリーの到着を待ちましょう。
女木島までの運賃
- 片道:大人370円、小人190円
- 往復:大人740円、小人390円
- 大人は中学生以上、小人は小学生。
- 尚、自転車やバイク、車を乗せる場合は更に運賃がかかります。(自転車の場合は、片道340円、往復680円)
こちらは、フェリーの時刻表。
高松港から出航するフェリーは、日に6本しかありませんので、乗り遅れることなく。
高松港から女木島までは、20分程度で到着しますので、フェリー内でくつろいだり、船内を探検してみては如何ですか。
女木島の女木港へ到着したら、直ぐ近くに観光案内所になっている「おにの館」がありますので、ここを起点にすると何かと便利です。
尚、鬼ヶ島大洞窟へ向かう手段は、主に以下の3つになります。
鬼ヶ島大洞窟のへ向かう手段と所用時間
- バス 約7~8分
- レンタサイクル(電動アシスト付き自転車) 約15分
- 徒歩 約30~40分
バスの発着及び乗車券の購入は、おにの館で行ないます。
また、おにの館には、沢山のレンタサイクルが用意されていますね。
個人的にお勧めなのは、レンタサイクル(レンタル料は1,500円、返却は17時頃まで)です。
バスの運行時間に関係なく、ゆっくり女木島を周れます。
女木島をサイクリングしながら、鬼ヶ島大洞窟を目指しましょう。
ちなみに私はマイ自転車を持ち込んで、鬼ヶ島大洞窟へ向かいました。
鬼ヶ島大洞窟までは、10%を越える急勾配が続く区間もあり、レンタサイクルが電動アシスト付き自転車ばっかりだったのも納得です。
バスで向かう場合は、発車時刻に注意しましょう。
おにの館
- 住所 香川県高松市女木町15-22
- 電話番号 087-873-0728
- 営業時間 8:00~17:20
- 定休日 無休
- ※館内には食堂もあります。
鷲ヶ峰と鬼ヶ島大洞窟
先ほども触れましたが鬼ヶ島大洞窟は、標高187mの鷲ヶ峰(わしがみね)山頂の直下に存在します。
入口と出口は別々になっており、歩いて鷲ヶ峰の山頂へ向かえますね。
山頂からの景色はパノラマ絶景であり、特に桜シーズンは、山頂周辺に見事な桜が咲き乱れます。
香川県の桃太郎伝説
香川県では、桃太郎のモデルとなったのは、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の弟、稚武彦命(わかたけひこのみこと)と言われています。
尚、岡山県では、吉備津彦命が桃太郎のモデルと言われていますね。
別に桃太郎と呼ばれる存在が複数いてもおかしくはありませんので、初代桃太郎は兄の吉備津彦命、2代目が稚武彦命と言った所ではないでしょうか。
香川県は、その昔、讃岐国と呼ばれており、讃岐国で暮らしていた人々は、度重なる鬼(海賊)の出現に苦しめられていたそうです。
稚武彦命が讃岐国へ訪れた時に、鬼の存在を知り、お供のイヌ・サル・キジと供に鬼退治へ出かけました。
イヌ・サル・キジは動物ではなく、イヌは岡山県の備前にある犬島出身の家来、サルは香川県綾南町にある陶の猿王出身の家来、キジは鬼無町の雉ヶ谷出身の家来であったそうで、家来と共に鬼を退治したとか。
これが桃太郎伝説の始まりですね。
もし、私がお供に動物を連れて行くならば、イヌ・サル・キジではなくライオン・グリズリー・ヒクイドリでしょうか。
更に海の戦いに備えて、ホホジロザメは絶対に仲間にしたいですね。(笑)
【桃太郎伝説が残るスポット】
下記記事では、桃太郎の伝説が残るスポットについて紹介します。
鬼ヶ島大洞窟へ潜入(観光)、鬼たちの生活を垣間見よ
いざ、鬼の住む洞窟へ向かう
鷲ヶ峰の激坂を自転車で上り切り、鬼ヶ島大洞窟の入口へ到着。
早速洞窟へ向かうため、階段を上ろうとすると、いきなりラスボス級の鬼の登場です。
思わず「何だと!」と声が漏れてしまいました。(笑)
かつて桃太郎との戦いで学んだのでしょうか、ザコ鬼でなくボスクラスの鬼がいきなり現れると、面喰らいますね。
気を取り直して、階段を上っていると、次々に鬼が現れます。
流石、鬼の住処。入口前には厳重な見張り役がいました。
望遠鏡を覗いて、島の住民を監視しているのでしょうか。
そんな鬼たちを横目で眺めながら、階段を上って行くと、鬼ヶ島大洞窟の入洞券売り場へ到着。
入洞券を購入して、いざ鬼の住処へ向かいます。
【サイクリストの管理人の一言】
自転車で鬼ヶ島大洞窟へ向かう場合は、斜度10%以上の激坂を上らなければなりません。そこで、坂道を楽に上るには、電動アシスト付き自転車か楽に上るための運転技術が必要になりますので、下記記事で紹介します。
洞窟内に住む鬼たちの日常
洞窟内は想像以上に広く、足元もゴツゴツしていないため歩き易いです。
尚、天上の低い所があったりしますので、頭上に注意して歩きましょう。
緊張とワクワクを胸にしながら、洞窟内を探検していると鬼の群れを発見しました。
いったい何をしているのでしょうか。
どうやらここは、鬼の会議室のようで、何か悪さ?を考えているのやも知れません。
無数の鬼瓦がスゴイ
洞窟内で見つけた無数の鬼瓦にビックリ!
暗い洞窟内で、いきなりこのような物を見つけたら驚いてしまいますね。
小さなお子さんならば泣いてしまうかも。
実はこれらの鬼瓦は、2013年の瀬戸内国際芸術祭で初めてお見えになったそうで、香川県内の中学生約3,000人の手により作られました。
この鬼瓦をじっくり見てみると、一つ一つデザインが違っていて面白いですね。
お気に入りの鬼瓦を探してみませんか。
さらった婦女子を閉じ込める監禁室
奥の方へ歩いて行くと、怖い鬼の見張り役を発見しました。
見張り役のいる向こう側には、人が入れそうな大きな穴が空いています。
鬼に見つからないように近づいてみると、格子の向こう側に婦女子の姿が。
おのれ卑劣な鬼め許せません!
どうやらここは鬼がさらってきた婦女子を閉じ込める監禁室のようです。
「ごめんよ、お姉さん。無力な私を許して・・・今から桃太郎を呼んでくるよ。」
そんな思いを抱き、そそくさと監禁室を後にしたのでした。
洞窟内で祀られている鬼ヶ島天満宮
洞窟内で見つけた鬼ヶ島天満宮。御祭神は、菅原道真(すがわらのみちざね)公です。
「なぜ、こんなところに学問の神様が?」と疑問に思うのもごもっとも。
実は、鬼ヶ島大洞窟における桃太郎の鬼征伐の物語を作った人が菅原道真公なんだとか。
う~ん、この事実にはビックリですね。
この功績を永久に記念するために鬼ヶ島天満宮の御祭神として祀っています。
ミッション宝庫を探れ
洞窟内には、鬼(海賊)が奪ってきた金、銀、財宝を隠した宝庫(たからぐら)がありました。
この洞窟へ入る前に必ずあると思っていたお宝。どんな宝物があるのでしょうか。
宝庫の入口前には、棍棒を持った青鬼が辺り一帯を睨みつけています。
流石に警備は厳重ですね。
青鬼の目を盗み、こっそり宝庫への潜入を果たしました。
よいよ宝物とご対面。繰り抜かれた岩穴の中には、大きな宝箱を見つけましたが、中身が何なのかわかりません。(トホホ・・・)
「宝物に打ち出の小槌(こづち)があればいいな」と思ったのはナイショです。(笑)
亀の甲天井を見逃すな!
洞窟の出口付近へ向かうと、天井が高い空間に辿り着きました。
壁面には「亀の甲天井」と書かれた案内板があったので、頭上を見上げてみると天上全体が亀の甲羅のように見えます。
ノミでコツコツと彫った跡が残っており、大変な重労働であったことが感じ取れますね。
本当かな?桃太郎と鬼の和解
桃太郎とその仲間たちが無事鬼を退治し、住民たちに平穏が戻りました。
桃太郎にコテンパンにされた鬼たちは、心を入れ替えて桃太郎と和解?
両者、満面の笑みで握手を交わします。
これは昭和の不良漫画などに良く見かけた「死闘の末、お互いの力を認め合い友になる」の流れでは。
桃太郎と鬼にも友情が芽生えたのでしょうか。
信じる信じないかはあなた次第です。
出口近くの大広間、ボス鬼登場にビックリ
もうすぐ出口へ到着する頃になって、人ひとりが通れそうな横穴を見つけました。
この横穴を通り抜けると、そこにいたのは、貫禄たっぷりで髭もじゃの鬼です。
一目でわかりました。これがボス鬼でしょう。
入口こそ狭いですが、中は広々としており、ボス鬼に相応しい大広間です。
既に桃太郎と鬼は和解?しており、我々人類が鬼と戦う理由はありません。
ボス鬼に挨拶をして、部屋を後にしました。
その後、無事出口を抜けて洞窟の外へ。
これにて、鬼ヶ島大洞窟の潜入(観光)捜査は無事完了しました。
パノラマ絶景を堪能!鷲ヶ峰の山頂へ登ろう
鬼ヶ島大洞窟の出口を出ると、目の前には案内板があります。
ここまで来たからには、是非鷲ヶ峰展望台へ向かいましょう。
尚、案内板があった所から、振り返って洞窟上部を見上げると柱状節理(ちゅうじょうせつり)が見られますので、お忘れなく。(申し訳ありませんが、写真を撮り忘れました。)
この柱状節理は、今から約500万年前に起こった火山噴火により、流れ出た溶岩がゆっくり冷え固まり、五角型や六角型のように規則正しい柱状の割れ目になった物だそうです。
高松市の天然記念物に指定されています。
山頂へ向かう遊歩道は整備されており、歩き易いですね。
海の景色を眺めながら、時折航行している船へ大声で挨拶してみませんか。
約5分ほど歩くと、山頂の展望台へ辿り着きました。
尚、山頂へ向かう道中には、至るどころで桜が咲き誇り、気持ち良く散策できた次第です。
展望台へ上ると、そこからは海の絶景が広がります。
見て下さい。この瀬戸内海の絶景を。海を挟んで向こう岸には、高松市の市街地が見て取れます。
また、手前の方には、女木島のもう一つの峰である標高216mのタカト山も良く見えました。
タカト山の左手側には、女木島港や特徴的な外観をした「おにの館」も見えて、あそこからここまで上って来たと思うと何だか感慨深いですね。
それにしても瀬戸内海の絶景を眺めていると、心が落ち着きます。
時間の許す限り、鷲ヶ峰の山頂からパノラマ絶景を漫喫しましょう。
【海の絶景を紹介】
旅の道中では、鷲ヶ峰のように山頂へ登り、海の絶景を堪能したりしますね。そんな絶景を下記記事で紹介します。
鬼ヶ島大洞窟の基本情報
住所 | 香川県高松市女木町235 |
電話番号 | 087-840-9055(鬼ケ島観光協会) |
営業時間 | 8:30~17:00(入場は16:30まで) |
定休日 | 無休 |
入洞料 | 大人(高校生以上)600円 小人(小・中学生)300円 65歳以上300円 幼稚園児 無料(15人以上の団体では150円/人) ※障害者手帳をお持ちの方300円(引率者無料) ※15名以上で団体割引有り(大人500円、小人250円) |
鬼ヶ島大洞窟の駐車場
鬼ヶ島大洞窟には、無料駐車場があります。(車10台)
駐車場内は、定期バスの通り道になっているため、駐車する場所には注意が必要です。
まとめ
鬼ヶ島大洞窟は、思った以上に楽しめました。
まさか最後に桃太郎と鬼が和解?するとは思ってもみませんでしたね。
また、洞窟から歩いていける鷲ヶ峰の山頂は絶景スポットです。
瀬戸内海の絶景は元より、女木島一体を良く見通せます。
女木島へ訪れる機会があれば、是非訪れてみては如何でしょうか。