今回の旅は、兵庫県朝来市和田山町から峠を越えて、丹波市へ向かい、最終的には丹波篠山市を目指しました。
早朝から立雲峡へ向かい、幻想的な雲海と天空の城として名高い竹田城跡の景色が、とても印象に残っています。
そして何より、自転車を走らせ、兵庫県中部を巡りながら初めて訪れる土地を満喫したのが楽しかったです。
旅人にとって、初めて訪れる土地はワクワクするもの。
一体どんな冒険が待っているのか、好奇心が抑えられないですね。
旅の道中では、インパクト抜群の茶すり山古墳公園、但馬国の一宮「粟鹿神社」、徳川家康が天下普請で築いた篠山城(跡)・篠山城大書院へ足を運びました。
本記事は、朝来市から丹波篠山市へ向かった自転車旅の様子をお届けします。
朝来市和田山町から立雲峡へ行こう
本日の旅のスタートは、JR和田山駅周辺にあるビジネスホテルから。
昨晩ホテルでニュースを見ていたら、「雲海が見れる」という情報をゲット。
これは、もう行くしかないですね。
昨日、竹田城跡へ足を運んで観光してきましたが、雲海が見らるかどうかは微妙という情報を得ていたため、半ば諦めていました。
そのため、嬉しさもひとしお。
しかし、どの程度の雲海が見られるのか、当日にならなければ、誰もハッキリと分からないでしょう。
朝5:00に起床して、旅の準備を整えた後で、6:00頃に出発。
雲海に包まれる竹田城跡のベストビュースポットとして知られている立雲峡を目指した次第です。
こちらは、霧が立ち込む早朝の景色。
普段このような状態の中で、自転車を走らせることもないので、私にとっては貴重な体験。
霧が怖いのは視界がゼロになることですが、規模の小さな朝もや程度なので全く影響はありませんでした。
緩い坂道を駆け上り、立雲峡の入口へ到着。
ここまで20~30分程度の時間を要しましたが、まだまだ体が温まってなくて激坂に耐えらえるのか少し心配です。
前日に地元の人から話を聞いた限りでは、立雲峡へ自転車で向かうのはかなりキツイということ。
どんなものなのか、サイクリストとしてチャレンジするしかないでしょう。(笑)
坂道を上り、ほどなくして「斜度12%」の標識を目撃。
なかなか手ごわいですね。
立雲峡の登山道入り口までの距離は、約1.2km程度ですので上れない距離ではありません。
無心で自転車のペダルを回し続け、立雲峡のゲートへ到着すると、急に斜度が緩やかになりました。
しばらく上っていると駐車場へ辿り着いたので記念撮影。
私もサイクリストの端くれなので、スピードは遅くともロードバイクで短距離ならば難なく激坂を上れます。
これがママチャリならば確かにツライですね。(自転車を押して歩けない距離でもありません。)
やはり、自転車で激坂を上るには、電動アシストが付いているE-Bikeが最適でしょう。
体が温まっていない内に激坂を上り続けたため、体力の消耗が大きかったですが、休憩していられない事情もあり、記念撮影後は急いで登山道へ向かいました。
尚、休憩できない理由とは、雲海が見える時間帯には制限があるからですね。
【ヒルクラムの楽しみ方】
自転車旅では、旅先で峠や山道を上ることも多いです。下記記事では、ヒルクライムの楽しみ方や上達方法について紹介します。
立雲峡から見る雲海の絶景
私は旅の道中で、たまに登山することがあります。
今回登山する立雲峡は、標高757mの朝来山中腹にある歩きやすい登山道。
ハイキング気分で歩けるため、歩きやすい服装と靴ならば楽に登れますよ。
この立雲峡には、4つの展望台が整備されており、どこからでも雲海を楽しめる。
特に最も高い場所にある立雲峡テラスからの景色は必見です。
朝早く訪れる場合は、朝露で路面や階段が濡れていて滑りやすいので注意が必要かな。
そんな路面を速足で歩きながら、立雲峡テラスを目指しました。
第2展望台までは、比較的楽に登れますが、第1展望台へ向かう途中から急な山道に。
自転車で使う筋肉と徒歩(登山)で使う筋肉は別物であり、普段から登山をしない私には結構辛かったです。
苦労して登った立雲峡テラスから眺めた景色がこちら。
幻想的な景色に出会え、これまでの苦労が吹き飛びました。
この景色は、絶対に一度は見て起きたいもの。
もしまだ見たことがない方がいましたら、足を運ぶことをお勧めします。
茶すり山古墳公園の眺望
立雲峡を後にして、東にある丹波市を目指しました。
その道中で見つけたのが、こちらの茶すり山古墳公園。
県道136号を走っていると、突然目の前に現れた特徴的な外見を持つ小高い丘のような古墳。
思わず「何だ、あれは!」と叫んでしまいました。(笑)
インパクト抜群であり、何より古墳の周りには、沢山の埴輪が見て取れて興味がそそられることに。
こうなると、もう立ち寄るしかないですね。
後日調べて分かったのですが、この古墳は近畿地方最大規模を有しているという。
5世紀前葉の大型円墳であり、直径約90m、高さ約18mもあり、2段に築成されていたと考えられます。
園路を歩いていくと、斜面には葺石(ふきいし)が見れました。
古墳の斜面はもともとは、この葺石で覆われていたそうです。
今の姿からは想像できませんね。
墳頂部は、東西約36m、南北約30mの楕円形の広い平坦面になっており、内側を埴輪が等間隔で並んでいる。
まさに何かの儀式を行うような雰囲気。
こちらは、墳頂部からの景色です。
そこには、のどかな風景が広がっていました。
尚、墳頂部には2つの埋葬施設があり、ヤマト政権と強く結びついた首長の墓だそうです。
旅をしていると、面白いものを見つける機会が多く、だからこそ旅はやめられない。
このような出会いや発見は、旅を続けて行くモチベーションになっています。
但馬国の一宮「粟鹿神社」へ参拝
のどかな田舎道を気分良く走り続けていると、粟鹿神社(あわがじんじゃ)へ辿り着きました。
粟鹿神社は、但馬国の一宮。
近くへ訪れた際は、足を運ばなければならないと思っていた神社です。
鳥居の前には、御神木の案内板があったので、まずは御神木を見くことに。
50mほど歩くと、注連縄をした立派な杉の木が見て取れます。
御神木からパワーを授けてもらいましょう。
その後、粟鹿神社の境内へ向かいました。
こちらは、勅使門(ちょくしもん)。
説明板によると、勅使(天皇の使者)が神社へ参向する際に使用する門だそうだ。
創建は不明ですが、記録によると4回の勅使参向があったという。
朝来市指定文化財に指定されている貴重な歴史的建築物です。
こちらに見えるのは、隋審門ですね。
隋審門には、神様が祀られていることが多いのですが、粟鹿神社では狛犬が安置されていました。
この狛犬は、江戸時代前期に作られた物と推測されており、力強く迫力ある表情がGood。
この狛犬も朝来市指定文化財ですよ。
大きな杉や檜などの社叢林に囲まれた社殿は風格があり、流石は一宮と言えます。
境内はそれほど広くないため、さっと見て回るならば、10分もあれば十分でしょう。
尚、境内には、味のある土俵があるのでお見逃しなく。
【神社仏閣の紹介】
旅の道中では、様々な神社仏閣へ足を運びますので、下記記事で紹介します。
丹波の森街道の風景
国道427号へ合流すると、そのまま進み峠越えを行ないます。
暦では10月なのですが、気温は30℃近くもあり、とても暑い。
ムシムシした暑さでないのが救いでしょう。
早朝から速足で登山をした影響が出たのでしょうか。
暑さと疲れのダブルパンチで、体に力が入りません。
仕方がないので、峠を越える途中で見つけた東屋で休憩を取ることに。
20~30分程度休憩すると、だいぶ楽になりました。
無理に速足で、登山するものではないですね。
登山は自分のペースで上るのが大事だと再認識した次第です。
また、いつも登山する時は、登山前後に休憩を入れるのですが、それを怠ったのも疲れの要因でしょう。
旅を再開し、峠を上りながら眼下を眺めた景色がこちら。
遠くに山に囲まれた住宅地が見え、それなりに上っていることを実感しますね。
しばらくすると丹波市へ入りました。
そのまま、峠を抜けると、今走っている所が「丹波の森街道」と呼ばれていることが分かりました。
この時は知る由もなかったのですが、丹波篠山市まで向かう道中で何度も「丹波の森街道」を走ることになります。
周辺を見てみると、どこにでもあるような田舎の景色です。
このような景色は、一般的に刺激的ではありません。
しかし、私は田舎の風景を眺めながら自転車で走るのが大好きです。
自然が感じられる緑豊かな環境は、そこにいるだけで幸せを感じませんか。
季節の変化も色濃く感じられる。
個人的には、秋の自転車旅が最高であると考えており、特に紅葉シーズンが素晴らしい。
鼻歌を歌いながら気分良くペダル回していると、道の駅まで残り1kmの標識を目撃しました。
これは、立ち寄るしかありません。
旅の道中で、道の駅を見つけたら立ち寄るのが、私のポリシーです。(笑)
スピードを加速させると、あっという間に「道の駅あおがき」へ到着。
時間も丁度昼時であったため、道の駅で昼食を取り、その後はのんびり休憩タイムへ。
丹波篠山市へ向かうには、またもや峠を越えなけれならないため、しっかり休憩を取りました。
道の駅を後にした後は、住宅街をのんびり走りながら通過。
市街地では、歩行者が多かったりするので、スピードを出すのは危ないですね。
ゆっくり走っている道中で見かけた、まるで美術品のような建屋。
思わず写真に撮ってしまいました。
後から調べて分かったのですが、こちらの建物は、丹波市立植野記念美術館です。
そのことを知って、「美術館に相応しい建屋だな」と感心したのは言うまでもありません。
再び丹波の森街道へ合流し、鐘ヶ坂峠を目指します。
結果論となりますが、鐘ヶ坂峠は粛々と上れば、それほど大した峠ではありませんでした。
事前に峠があることは分かっていたため、少し身構えていましたね。
楽に上れたとは言いませんが、体への負担を差し引いたとしても、午前中に上った朝来市から丹波市へ向かう峠の方が大変だったと思います。
尚、峠の頂上付近は、トンネルとなっており、このトンネル内で丹波市と丹波篠山市の市境となっている。
また、トンネル内は明るくて、歩道の幅がとても広い。
長いトンネル内では、安全のために自転車でも歩道を徐行した方が良いですね。
もしトンネル内で大型トラックが通過し、自転車の横を通過すると本当に怖い。
あれは、経験しない方が絶対に良いです。
トンネルを抜けて南下を続けていると、いつの間にか丹波篠山市の市街地まで残り5kmの地点に。
ここからは、ラストスパート。
本日の旅の最終章。丹波篠山市を観光しましょう。
【自転車旅の様子】
自転車旅では、自分のペースで走るもの。その道中では、様々な景色に出会えたり、色々な発見がある。下記記事では、そんな自転車旅の様子を紹介します。
篠山城跡と篠山城大書院、城下町の観光
丹波篠山市は、四方を山々で囲まれた美しい自然に恵まれています。
また、古くから京都への交通の要所として知られていました。
そのため、この地に注目したのが徳川家康です。
彼が関ヶ原の戦いの勝利後に、西日本の諸大名を抑える拠点として、この地に築城を行ないました。
それが「篠山城」の始まりです。
丹波篠山市の観光スポットとして、外してならない物と言えば、やはり「篠山城跡」と「篠山城大書院」ですね。
まずは、篠山城跡へ向かいましょう。
このお城は、260年余の江戸幕府が続く中、篠山藩5万石の政治・経済・文化の拠点となりました。
明治時代に入り、廃藩置県後の廃城令により、大書院以外は取り壊されることに。
そのため、城内は広場となっているので、散策しながら当時暮らしていた人たちを偲んでみては如何でしょうか。
残された大書院は、天守閣のなかった篠山城に取って、中核をなす建物です。
主に篠山藩の公式行事などに使用されました。
驚くのは、建屋の大きさですね。
京都二条城の二の丸御殿を参考にして建てられたため、一大名の書院としては破格の規模ですよ。
1944年(昭和19年)1月6日の夜に発生した火災により、大書院は焼失してしまいましたが、2000年(平成12年)4月に再建され今に至ります。
5万石の小藩だった篠山藩に取って、天守は必要なかったのでしょう。
しかし、それに比べて豪華過ぎる規模の大書院は、一体どのような思惑があったのでしょうか。
そんなことを考えながら、観光するのも面白いですよ。
篠山城跡の南東に位置する河原町へ足を運ぶと、そこには「河原町妻入商家群(かわらまちつまいりしょうかぐん)」と呼ばれる古い町並みがありました。
この町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
東西約700mに建ち並ぶ、様々な商家は、出格子窓(でごうしまど)や虫籠窓(むしこまど)、外壁が白漆喰の建屋が多い。
また、西坂家住宅や川端家住宅など篠山の伝統的建築物が見て取れます。
藩政時代の面影を色濃く残す家並みが連なっていますので、ゆっくり歩きながら見て回るのがお勧めです。
城下町を歩きながら、古い町並みを堪能した後は、周辺にある宿泊先のホテルへ。
こうして本日の旅は、終わりを告げました。
尚、篠山城跡や篠山城大書院、河原町妻入商家群については、下記関連記事で詳しく紹介します。
まとめ
兵庫県中部のサイクリングは、初めてのこともあり、ワクワクしましたね。
しかし、旅路は暑さがそれなりに堪えたことは否めません。
道中では、数回の小休憩を入れながら走っていたのですが、普段10分程度の小休止が今回は、20~30分も休憩することが何度もありました。
無事に走り切り一安心した次第です。
今回の旅で訪れた観光スポットをまとめると以下になります。
- 立雲峡
- 茶すり山古墳公園
- 粟鹿神社
- 篠山城跡と篠山城大書院
- 河原町妻入商家群
特に立雲峡から眺めた雲海に浮かぶ竹田城跡の景色は、大変素晴らしい。
自転車旅を続けていると、予想外の出会いやハプニングが起こることもありますが、それも含めて良い思い出になります。