兵庫県姫路市には、日本だけでなく世界中の玩具(おもちゃ)を収集している「日本玩具博物館」があります。
その話を知った時、「これは、是が非でも見学しないといけないな」と思いました。
旅を始める動機なんて、単純明快なほど分かりやすい。こうして、旅の計画を練り上げると、早速行動開始です。
今回の旅の舞台は、姫路市と東西に隣接する加西市・たつの市になります。
旅の道中では、鶉野(うずらの)飛行場周辺にある戦争遺産を見学したり、旅の動機となった日本玩具博物館へ足を運びました。
特に鶉野飛行場の跡地では、旧日本海軍の戦闘機「紫電改」の実物大レプリカと出会い、魂が震えましたね。
本記事では、兵庫県の南西部を自転車で旅した道中の様子をお届けします。
姫路駅から旅立つ
やってきました兵庫県姫路市。
本日の旅の開始となる場所は、姫路市の玄関口「姫路駅」です。
いつものように、輪行袋に自転車を入れて、電車輪行にて訪れました。
姫路市といえば、姫路城が有名すぎますね。
姫路駅の2階にある展望デッキから姫路城を眺めた後で、早速1階へ降り、輪行袋から自転車を取り出します。
慣れた手つきで、あっという間に自転車を組立てました。
それでは、早速本日の最初に目的地「鶉野飛行場」へ向かいましょう。
城見台公園の横を通り抜けようすると、園内に見覚えのあるものが・・・
その時の私の第一声が「あれ、シャチホコがある!」ですね。(笑)
旅の道中では、気になったものを見つけたら誰だって立ち寄りますね。それは私も同じです。
早速、城見台公園の中へ入り、シャチホコを隅々まで見学したのは言うまでもありません。
シャチホコは、横2つに並んでおり、2つのシャチホコの間にはスペースが開けていますよ。そして、そのスペースの奥には、姫路城がバッチリ見えるじゃないですか。
なので、記念に1枚撮りました。
そんな調子で辺りを散策していると、赤レンガのシックな感じが際立つ「姫路市立美術館」を発見。
この美術館の後ろには、真っ白な姫路城が見て取れます。
青空の下、素晴らしいビュースポットに心の中で拍手喝采!!
しばらくの間、撮影会が開催された次第です。(嬉)
姫路城の撮影に満足した後で、ふっと我に返ると、既に姫路駅を出発して30分以上が経過していることに気が付きました。
自転車でまだ1.5km程度しか走ってないですよ。いきなりこれでは先が思いやられますが、これも私の旅のスタイルです。
それでは、改めて旅を開始することを宣言し、自転車のペダルを軽やかに回している内に、姫路市街を抜け出しました。
【姫路城と周辺の見所】
姫路城とその周辺の見所について、下記記事で紹介します。
法華口駅のパン工房で休憩
姫路市街を抜け出すと、そこはもう普通の田舎道。
知らない田舎の風景に心驚かせながら、東へ向けて進んでいれば、加西市へ入ります。
しばらく道なりに走り、鶉野(うずらの)飛行場の跡地へ向かう途中にある法華口駅へ寄り道しました。
実は、この駅の駅舎内では、パン屋「モンファボリ」が営業してますよ。
米粉で作るおいしいパンが評判で、地元住民だけでなく、遠方からも訪れる人が絶えないとか。(私も遠方から来た1人だね)
まずは、駅舎へ入る前に、駅舎チェックといきましょう。
歴史を感じる木造駅舎と隣接する三重塔が織りなす景観がいい感じ。うん、往年の鉄道ファンもうならせる納得の雰囲気といえるのでは。
せっかくなので、三重塔と愛車(自転車)のツーショトを1枚撮りますよ。
趣のあるホームに佇みながら、電車がくるの待とうか思案に暮れていたところ、少し小腹がすいていたので、すぐさまパン屋へ向かいました。
まさに「花より団子」、いやこの場合は「鉄道よりパン」と言った方が正しいか。(笑)
こじんまりとした駅舎内には、約20種類ほどのパンが並んでおり、どのパンも美味しそうですね。
私が選んだのは、ハチミツ入りの「米粉あげぱん」です。
米粉生地のモチモチ感が堪らなく、上品な甘さが絶妙。これは評判になるのも頷けますね。
風情を感じる待合室で、パンを食べながら休憩していました。
尚、この時点で既に鉄道のことは、すっかり頭から抜け落ちており、そのことに気がつくのは駅を後にして数分後のことです。(シクシク)
【自転車旅の様子(その1)】
兵庫県内を自転車で旅した様子を下記記事でお届けします。
鶉野飛行場周辺の戦争遺産を巡る
法華口駅から鶉野(うずらの)飛行場の跡地までは、約3kmていどの距離なので、自転車ならば直ぐですね。
実はこの3kmの間には、太平洋戦争時の様々な戦争遺産が点在しています。まずは見学の拠点に便利な施設「soraかさい」へ向かいましょう。それに、この施設ではアレが見学できるんですよ。(アレについては乞うご期待)
道中では、そよ風に揺れるコスモス畑を見つけたりすれば、自転車を止めて花見を行なうことも忘れません。(いつものことです)
周りの風景を楽しんで走っていると、鶉野飛行場の滑走路跡が見えてきました。その先には「soraかさい」がありますよ。
「soraかさい」へ近づくにつれ、滑走路跡に何やら人だかりがありますね。
その中心にあった物をみて「あれ、紫電改だ!!」と心の中で叫び、テンションが急上昇。
これは、嬉しい誤算ですね。どうやら本日は紫電改の室外お披露目の日だったようです。
紫電改について、知らない人もいると思うので簡単に紹介すると、あの有名な零戦に変わる旧日本海軍の次期主力制空戦闘機になります。
大平洋戦争末期、旧日本海軍の切り札として配備されました。その活躍を目覚ましく、「紫電改最強伝説」が残っているほどですね。
実物大の紫電改(レプリカ)のカッコいい姿を見ていると興奮します。
かつて神風特別攻撃隊「白鷺隊」が編成され、鶉野飛行場から飛び立ち、63名の尊い命が失われた歴史を知っているので、紫電改の姿に魂が震えました。
紫電改の見学をし終えた後は、周辺の戦争遺産を見て回っていた次第です。見学した戦争遺産は、以下の通り。
- 鶉野飛行場滑走路跡
- 巨大防空壕跡
- 対空機銃座跡
- 爆弾庫跡・防空壕跡
- 門柱・衛兵詰所跡
このような戦争遺産を見学していると、色々考えさせられますね。
見学した遺産の1つを紹介します。こちらは、巨大防空壕跡ですよ。
スタッフの案内の下、階段を下りて中へ入れば、それなりの広さを持つ部屋がありました。
この防空壕では、シアターの観覧ができますね。映像の内容は、神風特別攻撃隊「白鷺隊」に所属した隊員たちが残した遺書だそうです。
戦争は何も産みません。戦争遺産の見学を終えて、平和の大切さを今まで以上に意識させられました。
尚、鶉野飛行場周辺の戦争遺産と紫電改のレプリカについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
日本玩具博物館へ向かう道中にて
戦争遺産の見学終了後、再び姫路市へ戻りますよ。(来た道を引き返す訳ではありません)
次の目的地は、今回の旅のきっかけとなった「日本玩具博物館」です。
読者の中には、「鶉野飛行場へ行くのならば、始めから最寄りの法華口駅まで電車で向った方が良かったのでは?」と思う方もいると思うので、少し補足します。
私もそれについて1度は考えたのですが、姫路駅から法華口駅へ向かう電車の便が少ないのがネックでした。姫路駅で電車の待ち時間を考えれば、「自転車で行くのと、それほど変わらないのでは?」となる訳ですね。
姫路駅から法華口駅までの距離は、約18kmほど。自転車で観光ペースで走っても1時間余りで到着しますよ。サイクリストならば、恐らく私と同じ結論になるでしょう。
穏やかな秋空に感謝しながら、のどかな風景を横目に自転車のペダルを回します。
しばらくすると、畑の中に小高い丘が見えてきました。
最初は、古墳かな?と思いましたが、丘の前には「山下城跡」のパネルが設置されており、寄り道しようか考えます。
今現状でも、本記事で紹介していないだけで、結構寄り道してますので、これ以上の寄り道は時間的に難しいと判断。日が暮れるまでには、たつの市へ辿り着きたいですからね。
後ろ髪を引かれる思いで、山下城跡をスルーします。
そんな一幕がありましたが、ふと視線を空へ向けると、電線の上にたくさんのカラスが止まっているじゃないですか。
ここまでならば、それほど珍しくはないのですが、その後、カラスが一斉に飛び立ち、上空を舞い始めたのです。
いあ~、その光景はまさに「壮観」の一言。
特に襲ってくるということはありませんでしたが、普段あまり見られない景色に何だか得した気分になりました。
カラスは縁起が悪くて不吉な鳥という人もいますが、その昔は神の使いとして崇められていますね。
今でも日本サッカー協会のシンボルマークとして「八咫烏」を使用しているのは、多くの方が知るところでしょう。
カラスは頭の良い鳥としても知られているので、人間にとってそれが不気味に見えたのかも。真っ黒な姿と合わさって、不吉のイメージが定着されたのかも知れないですよ。
舞飛ぶカラスを見ながら、そんなことを考えていました。
日本玩具博物館へ近づいてくると、こちらの建物の前を通ります。
建物の外観には、ニワトリとチューリップが描かれており、何だか微笑ましいですね。
建物の裏手には、市川が流れており、空と雲を映しています。うん、素晴らしい。こういう何気ない景色にも癒されます。
鼻歌交じりに気分よくペダルを回していると、いきなり目の前に牛の頭が飛び込んできました。
どうやら牛舎があるようですね。旅を道中では、たまに見かけたりするのでもう慣れっこですよ。けれど、こういう出会いはいつでも大歓迎かな。
そして、遭遇率が非常に高いドラエモンのパネルを見つけます。
旅の道中では、色々なキャラクターを見かけたりしますが、ドラエモンとピカチュウがダントツに多い印象ですね。
こういうのを発見するのも、今では旅の楽しみになっています。
そうこうしている内に、日本玩具博物館へ到着しました。
【自転車旅の様子(その2)】
様々な自転車旅の様子を下記記事でお届けします。
日本玩具博物館の見学
日本玩具博物館には、日本を始め世界の玩具が展示されています。
館長の井上重義氏が、約50年の年月をかけて、世界160ヶ国の玩具を収集しました。
その数は何と約9万点に上るという。凄すぎますね。尚、展示ケースには5,000点ほど並べられていますので、見て回るだけでも1時間から1時間30分程度はかかる。
日本の郷土玩具が、関東や近畿など地方別に並べられており、その地方の特色が色濃く反映されているのが見ていて面白い。
また、世界の珍しい民族玩具にビックリすることも。アジア・オセアニア・アフリカ・ヨーロッパ・南北アメリカなど地域ごとの玩具は見応えがありますね。
個人的なお勧めは、ちりめん細工です。
古くから日本女性が伝承してきた、美的感覚の良さをこれでもかと表した作品群は素晴らし過ぎる!
花鳥風月を表したり、四季の風物詩を織り込んだ美しい作品にうっとりする方がいても何も不思議ではありません。
そんな「和の伝統」が伝わる作品群の素晴らしさに感動しました。
尚、日本玩具博物館については、下記関連記事でくわしく紹介します。
本日のゴール・たつの市へ
日本玩具博物館を後にして、本日何度目かになるコスモスロードを走ります。
本日のお宿は、たつの市の玄関口「本竜野駅」周辺にある旅館ですよ。
ほぼ姫路市を横断して、たつの市へ向かうので、距離にすれば約20kmと少しかな。日暮れが気になりますが、恐らくギリギリ大丈夫でしょう。
たつの市へ向かう道中では、辺りがオレンジ色に染まってきました。
オレンジ色に染まる山門が絵になりますね。
この子供たちの像は、一体何物でしょうか。気になるけどスルーしなきゃ。(日が落ちそうなので少し焦り気味)
夕空に流れる雲が素晴らしく、思わず1枚撮ることも。(そんなことしている余裕があるのか?)
私には、雲の姿がまるで不死鳥の後ろ姿に見えましたね。
しばらくして「童話の里たつの」へ入りました。さて、少し早いかもしれませんが、ラストスパートをかけましょう。
この時の私は、泉田塔一郎。大胸筋のアンディ(右)とフランク(左)に優しく呼びかけ、雄たけびを上げますよ。
「アブッ!アブッ!アブーッ!!」の雄たけびと共に、自転車のペダルを力強く高速に回します。(笑)
そうすると、あっという間に本竜野駅へ到着。我ながら素晴らしい。(自画自賛)
その後、駅近くにある旅館へ向かい、本日の旅はこれにて終了しました。
【自転車旅の様子(その3)】
様々な自転車旅の様子を下記記事でお届けします。
まとめ
今回の旅は、兵庫県の南西部をサイクリングしながら、鶉野飛行場周辺の戦争遺産と日本玩具博物館の見学をしました。
日本玩具博物館の見学では、私も昔遊んだ懐かしい玩具があったりして、思い出にふけることがありましたね。(例えばファミコンとか)
それ以上に、ちりめん細工の素晴らしさや、数々の日本の郷土玩具や世界の民芸玩具が一堂にそろう様は圧巻ですよ。来てよかったです。
また、戦争遺産の見学を通して、平和のありがたさがいかに大事なのか考えさせられました。
平和な時代だからこそ、こうして私も自転車旅を続けていけます。