2泊3日の香川旅の最終日となる3日は、四国最北端・竹居岬のある庵治(あじ)半島と大串半島を巡ります。(1日目はこちらの記事、2日目はこちらの記事で紹介)
庵治半島は、源平合戦の古戦場が点在している歴史ロマンを感じる場所ですよ。本日の旅の最大のお目当ては、大串半島に位置する大串自然公園からの眺望だ。
実は2022年5月に香川県のサイクルイベント(ツール・ド・103)に参加した際に訪れましたが、その時はあいにくの曇り空。それでも景色が良かったので、今度は晴れた日に訪れたいと思っていました。
ということで、昨晩から楽しみにしていた次第です。しかし、この時は思いもよらぬ結末を迎えるとは、想像してもいませんでした。
本記事では、香川県高松市からさぬき市まで自転車で旅をした様子をお届けします。
庵治半島へ向けて疾走する
香川旅3日の朝は曇天から始まりました。朝から高松市街に整備された瀬戸大橋通り(県道157号)を自転車で駆け抜けながら、まずは庵治半島へ向かいます。
今は曇天ですが、今朝ホテルのテレビで見た天気予報では「晴れ予報」だったため、しばらくすれば天気は回復するだろう。ひたすら東方向へ真っ直ぐ進んでいると、屋島大橋へ辿り着く。
その名が示す通り、この橋からは遠くに特徴的な真っ平な山頂の屋島がよく見えます。
屋島は高松市のシンボルであり、かつては源平合戦の「屋島の戦い」の舞台となった古戦場。地元のサイクリストにとっては、本格的なヒルクライムが楽しめる場所として知られている。
前回、高松市へ訪れた時に屋島ヒルクライムを楽しんだのは良い思い出ですね。(その時の自転車旅については、こちらの記事で紹介)
そんな屋島の入口前をスルーし、本日は大串半島のヒルクライムを楽しむ予定ですよ。
いつしか牟礼町へ入っており、住宅が連なる路地へ入り込む。
すると、沿岸にはたくさんの石像を発見。もちろん石像を見学しながら路地裏を進んでいれば、三叉路の前に「石あかりロード」と刻まれた石柱を目撃。さらにその奥には、ひと際大きなライオンの表情をした石像が現れました。
【屋島の紹介】
高松市のシンボル「屋島」の見どころを、下記記事で紹介します。
石あかりロードで源平合戦の古戦場を見物
高松市牟礼町には、源平合戦の史跡を結ぶ「石あかりロード」と呼ばれる道が整備されており、定期的にイベントを開催しています。
この辺りには、源平合戦で活躍した弓の名手・那須与一(なすのよいち)に関連する史跡が多い。那須与一といえば、やはり「扇の的」でしょう。
それは平氏(平家)と源氏のプライドをかけた戦いだ。海面に揺れる船の上に立てられた扇の的にめがけて弓をひき、見事命中させた出来事は、敵味方問わず称賛されました。
さて、三叉路で発見したライオンの石像ですが、「真実の石」といって、イベント開催には口の中におみくじが入っているといいます。なるほど、面白ですね。
このライオンの石像の隣には「那須与一 扇の的」がある場所を案内していたので行ってみよう。
案内板が指示する方向へ歩いて行く道中、目に入ったほとんど干からびた川岸には、何かしらいわれのありそうな、特徴的な岩がポツンと立っている。
実はこの岩は、那須与一が弓を放つ前に命中を祈願した「祈りの岩」のレプリカですよ。「なんだレプリカかよ!」と思ったあなた、ご安心を。徒歩約1~2分ほど離れた場所に本物もあります。
ん、なんだかレプリカと本物の形が全然違うのだけどなぜだろう?
岩の上には、小銭がちらほら見える。ここへ訪れた方が、何かしらの必中(必勝)を祈願したのでしょうかね。
先ほどのレプリカ版「祈りの岩」から数メートル離れたところには、馬に乗ったまま海に入った与一が足場を安定させるために、乗り上げた「駒立岩」がありました。
こちらは、駒立岩の説明板です。なるほど、勉強になります。
そして、屋島の方向に向けて、少し離れた正面には「扇の的」があるじゃないですか。
カメラのズーム機能を使えば、このように「扇の的」がハッキリ分かる。
現在は水門になっていますが、かつては海だったそうですよ。駒立岩からだいたい50~80mほどの距離かな。こんな距離を弓で当てるのは、与一の技術と精神力に感嘆するばかりです。
悲劇は突然に訪れるもの
旅は必ずしも順風満帆とは限りません。実は、源平合戦の史跡を見学している最中に、突然ですがカメラのシャッターが切れなくなりました。
私が使っているカメラ(SONYのRX100M7)は、時々自動的にピントが定まらない時があり、調子が悪かったのですが、まさかこんなことになるとは。それだけでなく、電源もON・OFFができなくなりました。ナンテコッタイ!
これは、完全に故障ですね。近くにあったコンビニのイートインコーナーで、タブレットを使って色々調べていたのですが、カメラだけでなく、どうやらSDカードも故障している可能性が濃厚だということが分かり、少し焦りましたね。
ということは、香川旅3日間の記録が全て駄目になってしまうかも。これは痛すぎる!!
後日、家電店で修理依頼を出すと、カメラだけでなく、SDカードの故障も確定。そんな中、SDカードのデータが復旧できたのは、不幸中の幸いでした。
このような出来事があったため、この先からは気軽に写真が撮れずじまい。タブレットを使って撮影するので、いちいち取り出すのが面倒くさいですね。
【カメラに関する話】
旅はカメラ撮影する機会が多いものです。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
庵治半島を征く
すでに天候は、曇りから晴れに変わっていましたが、カメラの一見が尾を引いて、テンションはあまり上がりません。いつまでもそんな調子なのは、精神上良くないので、両手でほほをパシッと叩き、気合を入れなおしました。
自転車のペダルを回し、相引川の河口沿いを進むと、対岸には屋島が横たわる。そのまま真っ直ぐ進み、屋島マリーナ前の道を右折し、高松牟礼線(県道36号)へ合流。しばらく道なりに進むと舟かくしのバス停が見えてくる。ここから急斜面を下ると、海岸へ辿り着きました。
この辺りの入り江は「舟隠し」と呼ばれています。源平合戦の時に平家の兵船500隻以上が隠れていた場所ですよ。なるほど、確かに屋島が見えないかな。平家さん、中々良い場所を見つけましたね。
しかし、平家は海路からの源氏の襲来に備えていたため、背後から戦の天才・源義経の急襲・火攻めにより、屋島の戦いに源氏が勝利したのは、歴史の知るところです。
今の舟隠しは、とても静かだ。コンクリートでできた桟橋が、何に使われいるのかは不明ですが、これはこれで絵になる写真が撮れます。
桟橋の上を先端まで歩くと、橋の上にポッカリ穴が開いているのを発見。う~む、これ危なくないかな。
遠くには、城岬公園(しろばなこうえん)が見えますね。よし、この公園へ立ち寄り休憩していこう。ということで、来た道を戻り、城岬公園へ向けて出発。あっという間に城岬公園へ到着しました。
城岬公園は、美しいロケーション抜群の公園です。後から知ったのですが、観光やデートスポットの定番なんだとか。特に夕日の美しさが素晴らしいという、地元の人たちの憩いの場ですよ。
園内の芝生広場には、多くの石彫作品があり、見て回るだけでも楽しいですね。
おっ、あれは漁船を改造したローラー滑り台じゃないですか。子供たちが喜びそう。
私が訪れ時は、お子さんを連れた数組の家族がのんびり過ごしていました。
しばらく園内でくつろいだ後、再び高松牟礼線を北上すると、目の前に「純愛の聖地庵治 観光交流館」の文字が飛び込んできた。以前聞いたことがある名前だったので、少し立ち寄ってみた次第です。
ここでは、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」に登場したロケセットの「雨平写真館」が復元されており、喫茶店になっています。興味がある方は訪れてみよう。
雨平写真館を後にし、よいよ目指すは四国最北端・竹居岬です。
四国最北端・竹居岬へ立ち寄る
岬の先端へ近づくにつれ、アップダウンが続く高松牟礼線(県道36号)を進んでいると、沿岸に「四国北端 観音崎」の案内板が見えてきました。
その案内板が指し示す方向にめがけて急坂を約100mほど下れば、四国本土の最北端「竹居岬」へ到着。立派なモニュメントが建てられているので記念撮影に持ってこいですね。
四国最南端の足摺岬と比べてしまうと知名度が低いですが、旅する多くの自転車乗りにとっては、「最〇端」は心惹かれるフレーズといえる。それだけで訪れる価値は十分あるだろう。
竹居岬は、観音崎とも呼ばれており、モニュメントを正面から見て左手側には、竹居観音寺の参道が続きます。
正面に見える瀬戸内海は凄くきれい。海水の透明度が半端ないぞ。
フェリーや貨物船など多数の船舶が行き交うのが見て取れる。近くには、笹尾海水浴場があるので、夏には海水浴が楽しめます。
しばらく海の景色を楽しんだ後で、竹居観音寺の本堂へ参拝しました。
その後、奥院のある岬の先端へ向かうに当たり、入口前の賽銭箱に拝観料(200円)を入れて、岩壁沿いをゆっくり歩く。
巨岩の上には鳥居が建ち、沖合には小豆島が見える。そのまま奥へ進むと岩屋がありました。残念ながら、岩屋の中は撮影禁止。ぜひ自分の目で確かめてみよう。
この場所は、生駒親正(いこまちかまさ)公が、高松城を築城する際に城の鬼門(北東)の守り神として馬頭観世音菩薩を祀りました。
さらに高松藩初代藩主・松平頼重(まつだいら よりしげ)公が、勢至菩薩(せいしぼさつ)十一面観世音菩薩を奉納したことで知られる、古くからのパワースポット。
ということで、パワーを授かりに足を運んだ次第です。
竹居観音寺の参拝を終えると、竹居岬から急坂を上り、高松牟礼線(県道36号)へ合流。そのまま道なりに進むと、高尻海水浴場へ辿り着く。
ここからの景色も素晴らしい。思わずタブレットを取り出し撮影しました。たとえ自転車から降りて、タブレットを取り出するのが面倒くさくても、残したい景色があれば撮影するのは苦になりませんね。
その後、颯爽と庵治半島を駆け抜けました。
【神社仏閣の紹介】
香川県を旅した際に訪れた神社仏閣を、下記記事で紹介します。
大串自然公園へ向けてヒルクライム
讃岐街道を東へ進み、途中から大串志度線(県道135号)へコースを変え、道なりに進んでいく。鴨部川に架かる橋を越えると「大串自然公園」と書かれた大きな青い看板が現れました。
青い看板を確認すると、この場所から公園までの距離は5.3kmということ。平地ならば大したことはないけれど、上りとなれば話はかわる。
この辺りから、徐々に勾配が上がってきますが劇坂ではないので、自転車のギアを軽くし、クルクルとペダルを回していけば、軽やかに進みます。ただし、頂上へ近づくと勾配がキツクなる。体感的には、勾配10%前後といったところでしょうかね。
時折、後ろからはバイカーが私を追い抜いていく。また、遠くの前の方には、サイクリストのグループが、頂上に向けて駆け上る姿がチラホラ見えます。
さすがは、大串半島というべきですね。決して交通量が多い訳ではないですが、知る人ぞ知る注目度の高いスポットなのでしょう。
左手側に見える鴨庄湾の景色を横目で眺めながら自転車を走らせる。高度が高くなるにつれ、より遠くまで見通せる。
その気持ちの良い眺めは、疲れを幾分か忘れさせてくれます。
おっ、これは「バベ木の端展望所」だ。2022年5月にサイクルイベント(ツール・ド・103)へ参加した時もここで足を止めた記憶がある。
近くにあった説明板によると、この辺りから見える鴨庄湾では、太平洋戦争の終盤、米軍のB29の爆雷投下により、民間商船「島根丸」を改造してできた護衛空母しまね丸が大破鎮座したそうですよ。
前に訪れた時と違って今度は晴天なので、大串自然公園からの素晴らしい景色に期待していると、ペダルを回す足にも力が入ります。
そして、ついに頂上へ到着。そこで待っていたのは、工事中のため関係者以外「立入禁止」という厳しい現実でした。
【自転車旅に役立つアイテム】
自転車旅に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
予想外の結末と救いの景色
最初にこちらの「立入禁止」の文字を見かけた時は、思わず「うっそ~~!!」と声を上げて叫んでしまった次第です。
まさに青天の霹靂(へきれき)。本日の最大の目的地がまさかの工事中とは。頭をハンマーで殴られたような衝撃に呆然となりました。
しばらくして復活すると、たまたま出会った地元のサイクリストさんに状況を確認。何でも今年(2023)中は工事が終わらないということが分かり、ショックでしたね。その他の入口はないということなので、どうしよう迷っていると、音楽広場について教えて頂きました。
この音楽広場については、私も知っていましたが、訪れたことがなかったので足を運んでみることに。すると、古代ギリシャの円形コロッセアムにモチーフにした、その広場に大興奮!
この音楽広場は「野外音楽広場テアトロン」といって、中四国一の規模を誇る多目的な野外劇場なんだとか。夏にはライブコンサートが開催されており、演劇などの文化行事が行われるという。自然豊かな景観の中、ライブするのは気持ちがよさそう。
そんな広場を散策したり、座席に座り瀬戸内の多島島を眺めて過ごしました。
本日の最終目的は達成できませんでしたが、ヒルクライム自体は楽しめたので良しとします。それに、テアトロンからの景色には、拍手喝采を贈りたい。
しばらく休憩した後で帰路へつき、こうして本日の旅は終わりを告げました。
まとめ
旅の序盤からカメラが故障するアクシデントが起こり、ガックリきましたが、それでもめげずに大串自然公園を目指した結果が、工事中とは何ということだ。だけど、最後に音楽広場テアトロンから絶景が眺められたのは救いでした。
私も長く旅を続けているので、カメラなど機器の故障は何度か経験しており、それほど慌てたりはしないし、よほどのことがないと旅を中止しません。けれど、いらぬ出費は懐が痛みますね。
本日の旅では、まさか公園が工事中で中へ入れないとは、思ってもいなかったかな。なので、また時間を作って大串半島を巡り、今度こそ大串自然公園からの眺望を満喫したいと思います。