瀬戸内海の中で淡路島についで大きな島が小豆島です。自然や観光、グルメを楽しめる島として人気が高い。
近年では、小豆島一周するサイクリングを「マメイチ」と呼び、多くのサイクリストが訪れます。そんな小豆島の中でも、あまり焦点があたらない、いわゆる「穴場」と呼ばれるスポットが数多くある。その中の一つが「三都半島(みとはんとう)」ですよ。
けれどそのポテンシャルは侮ることなかれ。自然豊かな環境が生み出す海の絶景と、現代アートの野外展示品がみごとに調和しており、サイクリング中は終始笑顔が絶えません。
本記事では、小豆島の三都半島にスポットを当て、その魅力とサイクリング時に立ち寄りたい見どころを紹介します。
小豆島の三都半島とはどんなところ
三都半島は、小豆島の中でも有数の美しい自然が根付いており、瀬戸内国際芸術祭にお披露目された数多くの現代アート作品が野外展示されています。
小豆島全体を俯瞰して見ると、横に向いた牛が西を見ているように見えますね。その前足部分に位置しているのが三都半島ですよ。
小豆島の最南端となる地蔵崎灯台は、讃岐百景にも選ばれている絶景スポット。マメイチを行なう際、スルーされてしまうこともある三都半島ですが、周囲約30kmほどのこの半島には多くの見どころが満載です。
サイクリングで楽しむ三都半島の魅力
三都半島は、アップダウンの多いシーサイドロードですが、勾配が10%以上の劇坂は少なく、あったとしても短めです。
普段平坦路しか走らないロードバイク初心者には少し厳しいかも知れませんが、それでも瀬戸内海の自然や見事なアート作品の数々に癒されるので、意外に走れると思います。
その際、2つの道の駅「小豆島ふるさと村」または「小豆島オリーブ公園」を拠点にするのが便利ですよ。じっくり三都半島を満喫して下さいね。
また、普段から100km以上のロングライドを楽しむ人には、距離的に満足度が足りないかも知れない。なので、小豆島を一周する際にプラスαとして、三都半島を盛り込んでみよう。
それでは、サイクリングで楽しむ三都半島の魅力を紹介します。
【サイクリングに役立つアイテムやサービスの紹介(その1)】
サイクリングに役立つ様々なアイテムやサービスを、下記記事で紹介します。
海に近いシーサイドロードの景色
三都半島は、海沿いの道を一周できるように道路が整備されており、特に道案内がなくても普通に走れます。半島を自転車で走る際には、時計回りがより海に近づけて走れるためおすすめ。
「道の駅 小豆島オリーブ公園」前にある国道436号線から南下し三都半島へ入ろう。しばらくの間は、木々に囲まれた緩いアップダウンが続きますが、しだいに爽快なシーサイド区間が始まります。
驚くほど透き通った瀬戸内海の景色を始め、至るどころで見かける綺麗な浜辺には拍手喝采を贈りたい。
私はそのような景色を見かける度に自転車を一時停車し、景色を眺めていたため、中々先へ進めませんでしたね。(笑)
海に近いシーサイドロード区間は、自転車で走り抜けると気持ちがいいですよ。特に花寿波島(はなすわじま)周辺は、開放感がGood。
谷尻漁港辺りから南側先端へ向かうと、いままでより勾配がキツクなってきますが、その先には絶景スポット「釈迦ヶ鼻園地」がある。時間に余裕がない方は、谷尻漁港の少し手前にある三都港平木線(県道250号)を道なりに進み西海岸線へショートカットできます。
西海岸側は、アップダウンが多い林道区間と海沿い区間を走り抜けることになるので、本格的なアップダウンが始まる前に、神浦地区でカフェなどへ立ち寄り、休憩を取ると良いでしょう。
また、三都半島の終盤に余力があれば、道の駅・小豆島ふるさと村の西側にあるつづら折りの坂道を駆け上ってみて下さいね。
高台には、日本夕陽百選に選ばれた「国民宿舎 小豆島」があり、瀬戸内海の眺望を楽しめます。
【海の絶景サイクリングコースを紹介】
三都半島のような海の絶景サイクリングを楽しめるコースを、下記記事で紹介します。
フォトジェニックなアート作品の野外展示が多い
小豆島全体に瀬戸内国際芸術祭のアート作品が野外展示または室内展示されています。
三都半島には、数多くの野外展示作品が無料で見られる。また、規模の小さいものから大きいものまでバラエティーに富んでいますね。
個人的には「境界線の庭」と「ダイダラウルトラボウ」は必見だと思うので、ぜひ足を運んでもらいたい。(くわしくは後で紹介します。)
絶景とアート作品を同時に楽しめる機会なんて、そうそうあるものではありません。なので、一つ一つじっくり見物していこう。
たとえば、こちらは「山声洞」と呼ばれるアート作品です。
作品内へ入り耳をすませば、自然界の多様な音が聞こえるという仕組み。実際、鳥のさえずりや木々のざわめきなどが聞こえてくる。
こちらは見るからにツリーハウスですが、これも立派な現代アート作品です。作品名は『自然の目「大地から」』という。
中へ入れば、秘密基地のような雰囲気を味わえるので面白いですよ。これらのように実際に見て触れて体験できるアート作品は、印象深いです。
三都半島で見て回れる主なアート作品を以下にまとめました。
- 境界線の庭
- ダイダラウルトラボウ
- ヒトクサヤドカリ
- 山声洞
- 自然の目「大地から」
- ひとりおどり
- Utopia dungeon ~Command from …
これらのアート作品は2024年時点では存在しますが、今後増えたり減ることもあるので、最新のアート作品は「瀬戸内国際芸術祭」関連の記事を検索して確認して下さいね。
【アート作品の紹介】
三都半島のようにサイクリングしながらアート作品を楽しめるスポットを、下記記事で紹介します。
釈迦ヶ鼻園地と地蔵崎灯台が織りなす景観が魅力的
三都半島の南端へ向かえば「釈迦ヶ鼻」へ辿り着きます。小豆島の中でも人里から離れた場所なのですが、そんな場所であるからこそ自然が豊かというものだ。
釈迦ヶ鼻は別名で「お釈迦さま」という。釈迦ヶ鼻の地名は、半島の先端(鼻)で海の安全を見守るお釈迦さまが由来だそうですよ。
海を挟んで向こう側には、四国・高松方面が見えます。さらに大小様々な船が行きかう様子を眺められる。ボーとしながら、そんな風景を見ていると心が落ち着くだろう。
釈迦ヶ鼻園地は、瀬戸内海国立公園のひとつであり、少し離れところには地蔵崎灯台がそびえ立つ。
駐車場から階段を降りると芝生広場があり、そこには三都白浜釈迦堂や藤棚がありますね。ベンチに座りながら目の前の景色を眺めて休憩してみてはいかがですか。また、芝生広場で寝っ転がるのも気持ちがよいですね。
遊歩道を歩いた先には、白い砂浜の海岸が広がっており、ただ波の音と鳥のさえずりが聞こえてくるだけ。山の中腹に見える地蔵崎灯台が誇らしい。
砂浜をゆっくりと歩きながらくつろいでみて下さいね。帰路につくころには、きっとお釈迦様のような穏やかな気持ちになれるでしょう。
地蔵崎灯台へ向かう遊歩道が整備されていますが、階段を結構上らないと灯台前まで辿り着けないので、駐車場へ戻り車道を移動した方が速く楽に辿り着けました。
残念ながら地蔵崎灯台は立入禁止なので、直ぐ近くまでは行けませんが、緑の山と青い海、白い灯台が織りなす景観は見応え十分です。
四国十景・さぬき百景に選ばれた景色をぜひ楽しみましょう。
【サイクリングに役立つアイテムやサービスの紹介(その2)】
サイクリングに役立つ様々なアイテムやサービスを、下記記事で紹介します。
三都半島のサイクリングには道の駅が拠点に便利
三都半島をサイクリングする際、拠点とするのに便利なのが2つの道の駅です。
それは三都半島の西側にある「小豆島ふるさと村」と東側にある「小豆島オリーブ公園」ですね。
拠点では、サイクリング前には英気を養い、三都半島一周後は疲れを癒そう。
小豆島ふるさと村では、「小豆島ではここでしか食べられない」という謳い文句がある「すももソフトクリーム」が甘酸っぱくておすすめ。
サイクリングの出発前に食べても良いし、戻ってきてから食べても良い。すもも以外にも定番のバニラやイチゴ、小豆島らしくオリーブオイルかけのソフトクリームなどがある。
また、軽食喫茶コーナーでは、そうめん、こびきうどん等も食べられるし、オリーブ製品や醤油など小豆島の特産品も販売している。さらに宿泊施設やオートキャンプ場もあるので滞在も可能です。
尚、小豆島オリーブ公園については、こちらの記事で紹介します。
- 住所 香川県小豆郡小豆島町室生2084-1
- 電話番号 0879-75-2266
- 店舗・売店・物産販売コーナーの営業時間 8:30~17:00
- 定休日 無休
- ※12月~2月の毎週水曜日は軽食のみ休み
小豆島ふるさと村
三都半島で立ち寄りたい見どころを紹介
先ほど紹介した「釈迦ヶ鼻園地」と「地蔵崎灯台」以外にも魅了的な見どころが沢山ありますので、主な見どころを以下にまとめました。
- アート作品・境界線の庭
- アート作品・ダイダラウルトラボウ
- アート作品・ヒトクサヤドカリ
- 池田の桟敷
- 犬の墓
- 花寿波島
それぞれについて説明します。
まるで神秘の祭壇を思わせる「境界線の庭」
初めて「境界線の庭」を見た時は、その周囲の景観と相まって、まるで何かを鎮魂しているような不思議な感じがしました。
地面に埋められた鳥居を中心に溝が掘られており、鳥居の奥には祭壇のようなピラミッド見て取れる。見るからに意味深だ。
かつてこの場所では、酷い災害に見舞われた歴史があり、そのことを知っていると、まるで今と昔を隔てている境界線を表しているように感じるだろう。
鳥居の上をよく見てみると面白いことに気づいた。それは、このアート作品のある広場の状況をミニチュアとして表現しているではないですか。面白い発想ですね。
このアート作品は桜に囲まれているため、桜シーズンに訪れば、より一層シンボリックな雰囲気を醸し出します。
巨神兵「ダイダラウルトラボウ」に大興奮
ダイダラウルトラボウと呼ばれる作品は、全高が10mもあるので近づくと迫力が物凄い。大宇宙や自然界と人間社会とをつなぐためのアイコンとしてこの巨人が作られたそうです。
材料は、拡幅工事に伴い取り払われた神浦地区の小径の石垣や瀬戸内海の各所で集めた流木、廃船などがもとになっている。
三都半島の海岸沿いを普通に一周していると、彼と遭遇することはできないので注意したい。西海岸沿いにある神浦地区の住宅地から東へ向けて三都港平木線(県道250号)を通過し、内陸部のちょっとした坂道を上れば見えてくる。
名前から分かるように、山や湖沼を造る国造りの神様「ダイダラボッチ」がモチーフになっているのだろう。また、お顔はまるでウルトラマンのように見える。
だから「ダイダラウルトラボウ」という名前が付けられたと個人的には思っています。
彼はじっと海のほうを見つめて腰を下ろしている。彼の隣に同じポーズで座りながら写真を撮れば、凄くフォトジェニックな1枚が撮れるでしょうね。
貝殻じゃない民家をまとう「ヒトクサヤドカリ」
ヤドカリといえば貝殻に住み着くものですが、ヒトクサヤドカリは民家に住み着いています。
高さ約2mほどの木彫りのヤドカリは、実にリアル。近づて良く見てみると、木目がくっきりと分かるだけでなく、関節部がリアルなため今にも動き出しそうだ。
琉球(沖縄)の神話がこの作品のモチーフになっており、その神話の内容を要約すると、神々が島を創るとその穴の中にヤドカリが作られ、ヤドカリが繁殖した後には、穴の中から人間が生まれてきたという。う~む、実に興味深い話だと思う。
ダイダラウルトラボウとともにインパクト抜群な作品。この作品は、西海岸沿いにある神浦地区の住宅地内にあるので、少し見つけづらいかもしれませんね。なので、お見逃しなく。
石積で造られた「池田の桟敷」
池田の桟敷(さじき)は、秋祭りの見物のために利用されている石垣で築かれた野天の桟敷です。
築造時期は不明ですが、「亀山八幡宮奉懸当社御祭礼之図」から1812年(文化9年)以前の築造と推定されています。
急傾斜を利用して造られており、6〜8段の階段毎に平地を形作っている。石を野面積(のづらつみ)にした桟敷の傑作であり、高さ約18m、長さ約80mもある巨大な石垣の建造物は、実に壮観ですよ。
池田の桟敷は「道の駅 小豆島ふるさと村」から北へ約1kmほど離れた三都半島の西側の付け根辺りにあり、三都港平木線(県道250号)を走っていれば自然に見えてくるので見逃すことは少ないでしょう。
できれば、池田の桟敷から西へ約4.5kmほどのところにも石垣で造られた巨大な「富丘八幡神社の桟敷」がありますので、合わせて訪れてみよう。
池田の桟敷は、今でも10月16日の亀山八幡宮の秋祭りの見物席として使用されており、国指定重要有形民俗文化財や日本遺産に指定されています。
民間伝承として伝わる「犬の墓」
三都半島の先端付近には、かつて主人を守るために大蛇と戦い、海に飛び込んで命を投げ出し主人の危機を救った犬を祀る祠があります。
それが「犬の墓」と呼ばれていますね。現地の人でもあまり知られていない民間伝承なのですが、せっかくなので参拝してはいかがですか。
昔は山中にあったそうですが、山中は不便で近くにはマムシの生息地もあったということで、今は海岸通りに移されました。
そのため、三都半島一周サイクリングをしている最中に、沿岸に「犬の墓」と書かれた案内板があるので見つけやすいですよ。
波の上に浮かぶ美しい島「花寿波島」
花寿波島(はなすわじま)は、三都半島の東海岸に位置する香川県が指定する自然記念物です。
海食作用により島が2分され、今の形になりました。典型的な海食地形が、1地域で数多く観察されるのは珍しいといいます。
この島の名前には、「波の上に浮かぶ美しい島」という意味が込められており、見る角度によっては海食洞門が見て取れる。さらに海食崖や柱状節理が発達しているので見応えがありますね。
先ほど触れましたが、花寿波島が見られる区間は、開放的なシーサイドロードになっており、つい自転車のスピードを上げてしまいがち。なので、気付くと走り去っていたことにならないよう気を付けよう。
花寿波島は、2つの島が寄り添っていることから夫婦に例えられるそうだ。夕方になると島の間から見える夕日が特に綺麗と評判なので、カップルで訪れてみるのもよいですね。
まとめ
小豆島南部に突き出た三都半島では、美しい瀬戸内海に囲まれた豊かな自然を堪能できます。さらに数多くのアート作品が野外展示されており、自然と織りなす景観は見事なものですね。
自転車で潮風を感じながら三都半島を一周し、本記事で紹介した様々な見どころへ足を運んだり、お気に入りの場所を見つけてみよう。
小豆島の新たな側面に触れて、より小豆島をサイクリングするのが楽しくなります。