京都府の日本海側には、大自然の造形美が広がる丹後半島があります。
山陰ジオパークを構成する景勝地として知られており、複雑に入り組んだ海岸線が織りなす景観を眺めながらサイクリングを楽しもう。心が開放的になる「海の京都」の魅力があふれているスポットですね。
サイクリングの道中では、鳴き砂で有名な「琴引浜」や珍しい高床式舟屋で知られる「伊根の舟屋」など絶景・観光スポットが目白押し。そして何より日本三景の一つに数えられる「天橋立」は必見ですよ。
本記事では、丹後半島のサイクリングコースの魅力と、寄り道したい絶景・観光スポットを紹介します。
丹後半島の魅力を知るとサイクリングしたくなる
丹後半島一周サイクリングは「タンイチ」と呼ばれており、多くのサイクリストに深い満足感を与える関西屈指の絶景ロードです。
走るコースにもよりますが、平地・海・山・観光スポットの全てがそろっており、走り終えた後の充実感は素晴らしすぎるの一言。
そのような丹後半島の魅力を以下の4つにしぼりました。
- 山陰ジオパークが織りなす絶景ロード
- 琴引浜や天橋立などの感動的な景勝地
- 海に向かって広がる棚田の数々
- 独特な舟屋の町並み
基本的には、国道178号線を走るコース取りとなるため、ほぼ道に迷う心配はないだろう。実走した結果、全般的に車の交通量はそれほど多くなく、個人的には気になるレベルではなかったですね。ただし、天橋立周辺は人通りが多いので気を付けるように。
それでは、丹後半島の魅力を紹介します。
山陰ジオパークが織りなす絶景ロード
丹後半島は、陸地の谷が水没してできたリアス海岸が続く区間なので、アップダウンが多く走りごたえがあります。
陽光に照らされた透明度の高い日本海には、大小様々な奇岩が浮かんでいる。また、断崖絶壁の切り立った岩肌が縫うようなコースが続くのが丹後半島の特徴だ。
美しい紺碧の海が広がる区間が多く、テンションは上がりぱなしになりました。そのような絶景ロードを駆け抜けていると、思わず「うぉ~」と叫びたくなるだろう。(私がそうでした。)
天候や太陽の角度、波の高さによってコロコロと表情を変えていき、深みのある鮮やかな藍色の海は「丹後ブルー」と呼ばれているのにも納得です。
道中では、屏風岩展望台や丹後松島展望所、間人展望台、蒲入展望所など多くの展望台を見かけるので、立ち寄ってみて下さいね。
たとえば丹後松島展望所では、京都の自然200選に選ばれた「丹後松島」を楽しめる。日本三景の松島に似ている景色として、丹後半島を代表する景色の一つです。
間人(たいざ)ガニで知られる京丹後市丹後町の間人地区では、海へ突き出た場所に立てられた間人展望台があり、休憩しながら眺望のよい景観を楽しもう。また、遊歩道が整備されています。
特に見逃せないのは「立岩」の存在だ。1,500万年前に地下から噴出したマグマが冷えて固まって造られた高さ20m、周囲約1kmもある巨大な自然岩ですよ。
安山岩の直線的な荒々しい岩肌が特徴的であり、周辺地域のシンボルとして親しまれています。私が訪れた時は、サイクリストたちが愛車とともに記念撮影しているのを見かけました。
立岩だけでも素晴らしいのですが、周囲の白い砂浜とのコントラストが印象的で記憶に残りやすいですね。まさにフォトジェニックスポットといえます。
立岩の周囲にある、てんきてんき橋という木製の橋もいい感じ。橋を渡ると立岩へ近づけます。
至るどころに見どころの多い、山陰ジオパークが織りなす絶景ロードを駆け抜けましょう。
【カメラに関する話】
丹後半島のサイクリング中には、至るどころで絶景が見られるのでカメラ撮影を楽しもう。カメラに関する話を下記記事で紹介します。
琴引浜や天橋立などの感動的な景勝地
丹後半島の魅力の一つには、風光明媚な景勝地が多いことが挙げられます。そのような景勝地が、サイクリングの最中に気軽に立ち寄れるのだから行かない理由はないだろう。
特に足を運びたい景勝地として、私から「琴引浜・夕日ヶ浦海岸・天橋立」の3つを紹介。
琴引浜は、日本全国に20数か所しかない鳴き砂の名所の1つです。自然のままの状態で保たれた白砂青松の風景を楽しめる。
特に砂浜を歩くと「キュッキュッ」と音が鳴るのが面白く、私なんて歩く際には力加減を変えたり、歩幅を変えたりしながらリズミカルに歩いていましたね。(笑)
また、近くにある琴引浜鳴き砂文化館では、鳴き砂の仕組みを学べたり、水中で鳴く不思議な鳴き砂を体験できるのでおすすめします。
夕日ヶ浦海岸は、サイクリストならばぜひ立ち寄りたいスポットだ。なぜなら砂浜の近くにある浜詰夕日の丘では、「YUHIGAURA」の文字モニュメントがあるからです。
こういうのを知るとサイクリストの性(さが)でしょうか、愛車と一緒に記念撮影したくなる。
もちろんそれだけでなく、丹後地方を代表する美しい夕景が見られる場所として有名。別名で「常世の浜」と呼ばれていることから、その素晴らしさが思い知れるでしょう。
浜辺に沿ってのびる散策路「夕日の路」には、ベンチが並んでいるので、ゆっくりと夕日の鑑賞ができます。
また、青空の下、白い砂浜に立つ木でできたビーチブランコ「ゆらり」は、フォトジェニックな存在ですよ。この場所で思い出に残る一枚をぜひ撮ってみて下さいね。
最後に紹介するのは、天橋立です。
天橋立は、全長約3.6kmの砂嘴(さし)でできた砂浜に、約8,000本の大小様々な松が生い茂る全国でも珍しい地形であり、悠久の年月をかけて造られた大自然の造形美を楽しめます。
左右に連なる美しい松並木の中を自転車でゆっくり走るのは、最高に気分が良い。丹後半島を巡るにあたり、天橋立ライドは欠かせませんね。
長距離をサイクリングする際には、無理のないペースで走ることと休憩が大事。最高のロケーションで休憩を取れば、より満足度の高いサイクリングになるでしょう。
海に向かって広がる棚田の数々
丹後半島のサイクリングでは、断崖絶壁の切り立った岩肌がよく見られます。それに加えて、岸段丘の地形を巧みに利用して海に向かって広がる美しい棚田も見応え抜群ですね。
突如、海側に緑の棚田が広がっているのを見かけると「青(空)・碧(海)・緑(棚田)」のグラデーションが目に留まり、思わず自転車をとめて、まじまじと見続けてしまうほど。
特に丹後半島北端にある経ヶ岬灯台から西へ約3kmほど離れたところには、「袖志の棚田(そでしのたなだ)」があり、この棚田が素晴らしすぎる。「日本の棚田百選」に選ばれたというのも納得です。
おおきく4段の段丘には、約400枚の棚田が海に向かって広がっています。標高は20~100mほどなので、10分もたたない内に、自転車で坂道を上れて棚田の近くまで辿り着きました。
眼下に広がる棚田と海、集落が調和した美しい景観には、拍手喝采を贈りたい。そのフォトジェニックスな景観をバックにして、ぜひ記念撮影としゃれ込みましょう。
季節があえば、今では全国的にも貴重となった、刈り取られた稲を稲木にかけて天日干しさせる風景をみることができます。
独特な舟屋の町並み
丹後半島を旅する際には、必ず足を運んでおきたい場所の1つが「伊根の舟屋」です。
伊根湾に面し、家屋が直接海に接する独特の町並みは他に類をみないですね。伊根湾の5kmに及び周囲には、約230軒の舟屋が建ち並ぶのは壮観そのものだ。
舟屋とは、1階が船のガレージ、2階が居住スペースになっている漁師町特有の家屋のこと。海辺ぎりぎりに建ち並んでいるため、海に浮かんでいるように見えるのが素晴らしい。
伊根町観光協会の目の前にある伊根浦公園では、舟屋の様子がよく見えるフォトジェニックスポットです。
また、高台に建てられた「道の駅 舟屋の里伊根」からでは、伊根湾を一望できるのでぜひ足を運んでみて下さいね。
さらに遊覧船に乗り込み、伊根湾を巡る景色をみれば、「日本で最も海に近い町」と呼ばれている理由がよく分かります。
丹後半島の海岸線を巡るサイクリングコース
丹後半島をサイクリングする際、おすすめのサイクリングコースを紹介します。輪行するならば、スタートとゴールは以下の駅が便利ですよ。
- スタート:夕日ヶ浦木津温泉駅(または豊岡駅)
- ゴール:天橋立駅
どちらの駅からスタートしても基本的に国道178号線を走り、時計回りで丹後半島を駆け抜けるコースです。
豊岡駅と夕日ヶ浦木津温泉駅の間は、約22kmほど離れていますが、豊岡駅からスタートして、道中に見えてくる、かぶと山へ立ち寄ってみよう。山頂の展望台から久美浜湾や小天橋砂州を一望できる絶景スポットを楽しめます。
夕日ヶ浦木津温泉駅から天橋立駅までは、約70kmなので、それなりの経験を積んだサイクリストであれば、日帰りライドが十分に可能だ。
けれど、丹後半島には、天橋立や伊根の舟屋、琴引浜など魅力的な観光スポットが多いので、足を運んで観光すれば最低でも1泊はしたいですね。
【自転車旅の様子を紹介】
丹後半島を自転車で巡った旅の様子を、下記記事で紹介します。
丹後半島で寄り道したい絶景・観光スポットの紹介
丹後半島をサイクリングする最中に、ちょっと寄り道したいスポットを2つ紹介します。それが「経ヶ岬灯台(きょうがみさきとうだい)」と「天橋立の周辺一帯の眺望・参拝スポット」です。
それぞれについて説明します。
経ヶ岬灯台
経ヶ岬灯台は、丹後半島の最北端にある経ヶ岬に建つ灯台です。国内に5ヶ所のみしか存在しない希少な第1等レンズを導入している国の重要文化財ですよ。
国道178号線の沿岸にある経ヶ岬バス停駐車場から約1kmほど北上すれば、経ヶ岬の駐車場へ辿り着く。そこから整備された遊歩道を歩いて灯台へ向かおう。
遊歩道は、初級・中級・上級の3コースに分かれており、初級コースであれば、約15分ほどで灯台へ辿り着きますね。
青空の下、碧い日本海と白亜の灯台が織りなす光景は、まさにフォトジェニックです。
経ヶ岬では、灯台以外にも山頂展望台や柱状節理といった見どころがありますので、時間に余裕があれば訪れてみましょう。
天橋立の周辺一帯の眺望・参拝スポット
天橋立の周辺には、山の上から天橋立を一望できる絶景スポットが点在しています。特に有名なのは、「天橋立ビューランド」と「傘松公園」です。
どちらの展望スポットでも股のぞきすれば、阿蘇海に横たわる天橋立の姿が、天に舞い上がる龍のように見える。ただし、見える角度が違ってくるため、できれば両方から眺めてみるのをおすすめします。
また、展望台以外にも、最大級の社格を誇る「元伊勢籠神社」や、「三人寄れば文殊の知恵」のことわざに登場する文殊菩薩を祀る「智恩寺」などの由緒ある神社仏閣があるので、合わせて参拝に訪れてみましょう。
まとめ
本記事では、丹後半島の海岸ロードを中心に紹介してきました。自転車で海風を感じながら疾走するだけでも満足度が高く、1日あれば走り切れます。
海岸線なので、アップダウンはそれなりにありますが、本格的なヒルクライムのような劇坂はないので、マイペースに走っていれば完走は難しくありません。
道中には、多くの絶景・観光スポットが点在しているので、サイクリングの最中にぜひ足を運んでみて下さいね。
1日で走る切るのはもったいないので、1泊2日や2泊3日で計画を立て、サイクリングだけでなく観光もしっかり楽しむのもおすすめします。