
兵庫県朝来市(あさごし)の山間部には、日本最大級の銀山跡こと「生野銀山(いくのぎんざん)」が残っています。
今や観光地化されており、この坑道内では、多くのマネキン人形を用いて案内してくれるという。案内人?の名は、超スーパー地下アイドル「銀山ボーイズ」ですよ。
銀山跡だけで面白そうなのに、ある意味本物の地下アイドルがいるとは興味津々です。そして、調べている内に「これは行くしかないでしょ」となりました。
ということで、今回の自転車旅は朝来市生野町にある生野銀山と、そのお膝元の鉱山町・口銀谷(くちがなや)地区に決定。さて、どんな旅になるのか楽しみ♪
本記事では、朝来市生野町を観光して、加西市へ赴く自転車旅の様子をお届けします。
目次
銀山町を巡り生野銀山へ

本日の旅は、生野駅から始まります。岡山駅から新幹線や特急列車(はまかぜ)を乗り継いで輪行を行なうこと約2時間30分。辿り着くのに結構時間がかかりました。
空を見上げると、青空が広がる良い天気で、まさに旅日和です。まずは駅舎内にある朝来市観光情報センターで、生野町の見どころをゲットします。
事前にある程度は調べていますが、やはり地元のことは地元の人に聞くのがベストなので、こういう地道な調査は欠かせません。
ふむふむ、なるほど、生野名物はハヤシライスのようです。町内の至るどころで提供されていますが、生野の歴史と深い関わりがある旧浅田邸(現:口銀谷銀山町ミュージアムセンター)でもランチできるとのこと。これは行くしかないですね。

生野駅から北上して約350mほど進むと、道端に但馬基点一里塚趾を発見。一里塚というのは、街道筋の距離を表した標識ですね。旅をしていると見かける機会が多いかな。
但馬国と播磨国の国境を基点として、金山のあった中瀬(養父市)や遠阪までの間には、一里ごとに塚を配置していたそうです。昔の旅人にとっては、なくてはならない物だったのでしょう。
とりあえず、昔の旅人たちに敬意を表して一里塚の前でお辞儀すると、色々と町内を巡りました。




生野書院や旧生野警察署、寺前通り、通称で「甲社宅」と呼ばれる旧生野鉱山職員宿舎・志村喬記念館などへ立ち寄りながら、生野観光を満喫。
そうこうしている内に、いつしか生野地域を蛇行して流れる市川周辺の通りへ入りました。そこには、古い町並みが残り、趣きのある景観が良いですね。

生野クラブの塀沿いでは、不思議な木製の構造物を見つけました。
実はこれ「会所」と呼ばれるもので、山から引いた水を圧力調整しながら周囲の家庭に分配するための装置なんだとか。意外に重要な役割があるようです。
板で覆われた会所は、周囲の風景に溶け込んでいて、口銀谷地区の独特の雰囲気に一役買っています。
時刻を確認すると丁度昼時です。口銀谷銀山町ミュージアムセンターへ生野ハヤシライスを食べに急ぎましょう。


口銀谷銀山町ミュージアムセンターは、本館の旧浅田邸と別館の旧吉川邸で構成された古民家カフェです。無料で見学できるのはありがたいですね。
生野ハヤシライスを注文すると、しばらく時間があるので邸宅内を見学していました。私が訪れた日は、団体客が多かったですね。皆さんのお目当てもハヤシライスかしら。

一通り邸宅内の見学を終えると、生野ハヤシライスとご対面。うん、見るからに美味しそう。
市販のルーを使わずに、但馬牛の旨みを生かした濃厚な味を楽しめます。

口銀谷銀山町ミュージアムセンターの向かい側には、生野まちづくり工房「井筒屋」があったのでこちらにも立ち寄りました。

井筒屋では「オオサンショウウオがすむ町」として、大々的にPRしているようで、所狭しとオオサンショウウオのグッズがいっぱい。デフォルメされた愛らしいオオサンショウウオの姿に和みます。


また、定期的に様々なイベントを開催しており、私が訪れた日は鉛筆画展を開催中。本日の展示終了間際に滑り込めたぞ。どの作品も上手に描けており、運よく見学できました。
旅をしていると、偶然このような機会が訪れたり、反対にギリギリで間に合わないこともある。これも旅人あるあるですね。ということは、本日は運が付いている日なんだろうな。
そんなことを考えながら井筒屋を後にして、姫宮神社へ向かうため市川に架かる参道橋を渡っていると、思わず「うぉ~~~!!」と感嘆する景観に出会いました。

それがこちらの景観です。どうですか、アーチ型に積んだ石垣と川に張り出した線路の組み合わせが見事でしょ。
その後、姫宮神社へ参拝を終えると、よいよ生野銀山へ向かうために市街地を後にしました。生野町口銀谷地区の見どころについては、下記関連記事でくわしく紹介します。
生野銀山の観光

国道429号線を東へ向けて疾走していると、前方に「生野銀山 2km」と書かれた案内板が見えてきました。生野駅からの距離を考えると約4kmほど。歩けない距離ではありませんが、歩きたくない距離といったところかな。
なので、移動にはタクシーやバス、自転車を使った方が良いですね。私はMy自転車ですが、朝来市観光情報センターではレンタサイクルを借りられます。

また、道中で見かけた青看板によると、道なりに進むと銀山湖へ辿り着くみたい。
銀山湖といえば、西日本随一の釣り場として有名です。コイやマス、ヘラブナなどが釣れるそうですよ。また、ブラックバスのプロフィッシング大会が開催されています。
それに加え、銀山湖や周辺の市川上流地域は、国内有数のオオサンショウウオの生息地という。バスフィッシング中に見かけたという目撃情報があるので、いつか私も実物を見てみたいですね。
本日は時間の都合があるため、銀山湖までは行きませんが、余裕があれば絶対に向かっていたかな。一周約12kmの銀山湖を、のんびりとサイクリングしたいです。

そんなことを考えながら生野銀山へ向かっていると、新町地区を抜けて奥銀谷地区へ到着。すると路面には境界線のようなものが・・・
同じアスファルトでもベージュ系色の方が、華やかな印象を与えてくれます。

住宅地を抜けて、市川に架かる小野大橋を渡ると、これまでのほぼ平坦のような緩やかな坂道が一遍し、急勾配となり、10%前後の劇坂区間となりました。
まぁ、ここまでくれば生野銀山まで数百メートルぐらい。ペダルを踏み込む足に力を込めて、一気に駆け上ると、あっという間に生野銀山へ到着した次第です。

生野銀山は、室町時代から本格的な採掘が行われ、昭和中期から後期へ移り変わる時期に閉山となりました。今は総延長350kmの坑道一部を公開しており、観光地化しています。

見学コースは、大きく分けて坑道内(金香瀬坑道)と坑道外(金香瀬旧坑露頭群跡)の2つあり。
その他にも生野鉱物館や鉱山資料館、吹屋資料館といった博物館があるので、一通り見て回るだけでも1時間30分から2時間ほどの所要時間は必要ですね。


坑内には鉱夫たちを再現した約60体のマネキン人形の「銀山ボーイズ」がお出迎え。それに、年間を通して13度前後に保たれているので、快適に見学できます。
坑内は近代坑道と江戸時代の旧坑道の2種類で構成。時代に応じて、銀山ボーイズの服装や装備もまちまち。時代は違えど過酷な環境には変わりなく、落盤やガス、塵肺などの危険と常に隣り合わせでした。当時の鉱夫たちは、日本を支える命がけのお仕事に従事していた訳です。
坑内は単調な景観が続くので、退屈と感じるかも知れませんが、銀山ボーイズの案内のもと、巻揚機やシュリンケージ採掘跡、五枚合掌支柱組など見どころが多くて面白かったです。

坑内の見学を終えると、坑道外にある露天掘り跡や坑口の見物をしました。こちらも面白く、特に徳川時代の露頭採掘跡「慶寿ひ」は圧巻ですよ。
これを人手で彫ったのかと思うと、どれだけ長い年月を費やしたのか想像もできません。
その後、各博物館を見学して生野銀山を後しました。それにしても生野銀山の面白さは期待以上で、これは遠くから来たかいがあったというものです。
さて、本日の観光はここまでですが、これから約40kmほど離れた加西市まで行かなくてはならないので、少し急がなくては。(暗くなるまでに辿り着きたい。)
生野銀山については、下記関連記事でくわしく紹介します。
銀の馬車道を疾走し、夫婦杉の里に出会う

来た道を引き返し、再び生野市街へ辿り着くと南下して国道312号線へ合流しました。その道中では、市川に架かる盛明橋へ差し掛かると、その欄干のデザインに目が留まります。
そのデザインは、まるで車輪の下半分を表しているみたい。まさに「銀の馬車道」に相応しいかな。
銀の馬車道は、明治初期に整備された、生野鉱山と飾磨港(現・姫路港)の約49kmを結んた日本初の高速産業道路のこと。いつか自転車で走破したいと思っています。

生野市街を抜け出して、それほど時間が経たない内に下り勾配に。さて、ジョットコースターの開始です。生野町は山間にあるので、瀬戸内海へ向けて走ると長い下り勾配の区間が続きます。
事前に分かってはいましたが、結構スピードが出るのでブレーキをかけて調整し、時速40kmぐらいの巡航速度で一気に下りました。このくらいですと、個人的にそれほど運転に不安がないですね。
昔、一度だけ急坂を下っている最中に時速70kmを出してしまった経験がありますが、あれは本当に怖かった。それ以来、自分で制御できないスピードは、出さないように常に心掛けています。
基本的に国道312号線を道なりに南下すれば、神河町や市川町、福崎町へ入る。そして福崎町から東へ県道23号を道なりに進むと、加西市へ到着しますので、走る道路はわかりやすいですね。




いつしか神河町へ入ると、「夫婦杉の里」と書かれた案内板を発見。気になったので、自転車を停車すると、案内板の奥に大年神社を見つけました。
その時に、たまたま地元の人と出会うと大年神社を案内してくれることに。ありがとうございます。

大年神社の主祭神は、大年大神(おおとしのおおかみ)。境内はそれほど広くなく、5~10分もあればゆっくりと見て回れます。参拝録を確認すると、高知県や和歌山県など全国から多くの参拝者が訪れているようですね。
私は知らなかったのですが、地元の人(Aさん)によるとそれなりに知られているみたい。偶然とはいえ、この出会いに感謝です。


社殿の前には、ドーンと佇む夫婦杉がお出迎え。丁度、鳥居の裏にあることから、鳥居に続き悪しきものを弾く結界のような存在ではないでしょうか。
この杉の間をくぐり回ると、縁結びや夫婦円満、家内安全、無業息災などご利益があるとのこと。
旅をしていると夫婦杉や夫婦岩などに出会う機会が多く、つい立ち寄ってしまうかな。そういう人はそれなりに多いと思います。

夫婦杉だけでなく、境内にはたくさんの「カゴノキ(鹿子の木)」が生えています。幹肌が、鹿の子のようなまだら模様に見えるのが特徴的ですね。
また、温暖な地域の山林に自生し、他の樹木と混ざって生えることが多いという。そのため、同じ場所に集団で固まって生えることは少ないそうですよ。
そんな特徴を持つカゴノキが境内には数本もあり、とても珍しい景色が見られました。

拝殿で手作りと思われる木製のキーホールダを発見。初めは飾っているだけだと思いましたが、地元の人の話では、無料で持って帰っても良いとのこと。話しぶりから、どうやらAさんのお手製のようです。
参拝をすますと、ありがたく交通安全のキーホールダを頂きました。
銀の馬車道のモニュメントに出会いながら加西市へ赴く

大年神社を後にして、しばらくすると道の駅へ到着しました。
この道の駅は、神河町の魅力と歴史を発信する拠点です。そもそも神河町周辺は、姫路市と朝来市の中間地点に位置しているので、この道の駅にお世話になる方も多いでしょう。
せっかくなので立ち寄り、少し休憩することにしました。自転車で中長距離を走行するのであれば、定期的に休憩を取りながら走る方がパフォーマンスを高く維持できて、疲労を軽減しやすいです。
なので、時間に余裕がなくても休憩を取りながら走る方が、結果的に早く目的地へ到着します。この頃になると、明るい内に加西市へ到着する見込みもたち、慌てる必要もなくなりました。

道の駅の駐車場前に石の彫刻を発見。パッと見に馬の形をしているかしら。作品名をみると「銀の馬車道」という。これは、今いる場所に相応しい題名ですね。
案内板によると、生野に向かう場所と飾麿へ向かう場所がすれ違う様子を想定しているそうです。なるほど、そう言われると確かにそのように見えるかな。
ちょっとした軽食を食べながら15分ほど休憩をとると、銀の馬車道を南下しました。


町中を抜けて国道312号線を道なりに進んでいると、いつの間にか市川町浅野地区へ入ります。
先ほどの道の駅以降でしょうか、勾配が1%程度の緩やかな下り道となっており、急坂を下るより、走りにより安定感がでてきましたね。
それに先ほど休憩を取ったので、ペダルを漕ぐ足取りが軽やかです。そんな感じで快調に突き進んでいると、道端に「ハヤブ」のモニュメントを見つけました。

こちらが「ハヤブ」です。どうですか、可愛いでしょ。ハヤブは、銀の馬車道の公式キャラクターですよ。以前、福崎町を旅した時にも出会ったので良く覚えています。(その時の自転車旅は、こちらの記事で紹介)
このモニュメントは、明治時代に馬車で物資や鉱石が運ばれていた当時の雰囲気を再現しているようですね。
実は、手綱を引くとハヤブーがお喋りしてくれるとのこと。私はそのことを後から知り、「えっ、そうなの?」となり、少しばかり悔しい思いをしました。また出会う機会があると思うので、どのような喋りをするのか、絶対に聞いてみます。



福崎町へ入ると、辻川観光交流センターへ立ち寄ることに。去年(2025年)も訪れており、ここでハヤブに出会いましたね。

また、福崎町は日本民俗学の父・柳田國男氏の生誕地であることに由来して、妖怪をテーマにした町おこしが有名。町の至るどころに妖怪のモニュメントがあり、それを見て回るのは楽しいですよ。
特に辻川山公園では、河童や天狗など妖怪がいっぱい。妖怪小屋から逆さ天狗が空中を移動して登場するなど、妖怪の登場シーンがこっており、とても楽しい時間を過ごせたのを良く覚えています。

東へ向けて県道23号を道なりに進むと加西市へ到着。この頃になると、既に辺りはオレンジ色に包まれていました。
個人的に、1日の終わりを告げる夕方の雰囲気は大好き。静けさ中で、どこか寂しげで懐かしい感情を抱かせますね。
その後、あっという間にお宿へ到着し、本日の旅は終わりを告げました。
まとめ

本日は、かつて銀山で栄えた生野町口銀谷地区を巡りました。口銀谷銀山町ミュージアムセンターや井筒屋、生野書院など無料で楽しめる所が多いのは、実にありがたいですね。
特に市川に沿って築かれた、石積みのアーチとトロッコ軌道跡は見応え抜群ですよ。そして、生野銀山は予想以上に面白く、時間を経つのを忘れるほど楽しめました。
坑内は単調な景色が続き退屈と思われがちですが、迫力ある巻揚機やシュリンケージ採掘跡、五枚合掌支柱組などの見どころがいっぱい。それに銀山ボーイズの皆さんのリアルな作業姿に、当時の情景をありありと思い浮かべることができました。
以前訪れた島根県にある世界遺産・石見銀山いらい久しぶりの銀山訪問でしたが、また見ぬ銀山や金山へ機会を作り訪れたいと思います。

