サイクリストの聖地と呼ばれる「しまなみ海道」。
しまなみ海道には、世界に誇る美麗な橋たちが架かっていることをご存じでしょうか。
広島県尾道市から愛媛県今治市を隔てる瀬戸内海には、多数の有人島が浮かんでおり、その内6つの島では、当時最高の技術で建設された橋でつながれています。
しななみ海道を走っていると、瀬戸内海にそびえ立ち、島々をつなぐ橋を発見する度に高揚を覚える人も多いでしょう。
本記事では、しまなみ海道の道中で島々を結ぶ橋の特徴を紹介します。
しまなみ海道、島々を結ぶ美麗な橋たち
しまなみ海道の島々を結ぶ橋は全部で6つあります。
それぞれの橋ごとに特徴があり、瀬戸内海の多島美に良くマッチした景観を保っているため、訪れる人を魅了させてしまいますね。
それらの橋の名前と架かっている島について以下に述べます。
橋名 | 架かっている島々 |
---|---|
因島大橋 | 向島と因島 |
生口橋 | 因島と生口島 |
多田羅大橋 | 生口島と大三島 |
大三島橋 | 大三島と伯方島 |
伯方・大島大橋 | 伯方島と大島 |
来島海峡大橋 | 大島と四国本土(今治市) |
この他に向島と本州(尾道市)にも新尾道大橋が架かっていますが、こちらは車の往来が多いため、自転車で向島と本州の往来を行なうには、一般的には渡し船を利用します。
尾道市から向島へ向かう渡し船乗り場は複数点在しており、こちらの写真はJR尾道駅前にある渡し船乗り場です。
しまなみ海道に架かる橋は、まるで橋の博物館と呼べるほどの景観ですので、サイクリングの道中に是非じっくりと見学していきましょう。
【美麗な橋、面白い橋の紹介】
旅を続けていると、しまなみ海道に架かる橋のように美麗な橋や珍しい橋を目撃しますので、下記記事で紹介します。
二段造りが特徴的な「因島大橋」
因島大橋は、しまなみ海道の橋の中でも特に独創的な構造です。
こちらの写真を見てわかるように、二段造りの橋となっており、上段は車が走り、下段は歩行者や自転車、原動機付自転車が走れるようになっています。
因島大橋の周辺は金網に囲まれており、見晴らしはそれほど良くはありません。
また、橋の上段を走る車の振動が伝わってきたりしますね。
橋の全長は1,270mもありますので、ゆっくり走るとそれなりの時間がかかります。
建設当時は東洋一の吊り橋と呼ばれ、大いに注目を集めていたそうです。
1983年に因島大橋は、本州四国連絡橋として最初に完成しました。
ケーブルを架設するにあたり、世界初となる素線数127本のプレハブストランドを採用したり、国内初となる吊橋に鋼床版を使ったりなど新技術が導入され、工期の短縮や荷重の削減が図られたそうです。
この因島大橋の完成により、今後建設する本州四国連絡橋における標準技術が確立しました。
こちらの写真は、向島から因島大橋を撮った物です。2段構造になっていることが良くわかりますね。
因島大橋の周辺には、向島休憩所がありますので立ち寄ってみましょう。
この休憩所から因島大橋の全景を楽しめます。
尚、しまなみ海道の島々を渡る橋の入口へ向かうには、こちらのような案内版がありますので見落とすことは少ないでしょう。
因島大橋周辺にある浜辺を散策して、瀬戸内海の絶景を楽しんでみて下さい。
因島大橋
- 形式 3径間2ヒンジ補剛トラス吊橋
- 橋長 1,270m
- 中央支間長 770m
- 自転車道の高さ 海面から58m
【ゆっくりサイクリングしよう】
しまなみ海道をゆっくりとサイクリングしませんか。ゆっくり走ることで新たな発見があるかも知れません。下記記事では、ゆっくりサイクリングするメリットなどについてお伝えします。
栄光の「生口橋」
生口橋は、形状が美しい斜張橋で、瀬戸内海に浮かぶ生口島と因島を結んでいる全長790mの橋です。
建設当初は世界最長の斜張橋でした。
生口橋の最大の特徴を上げると、日本で初めて採用された側径間でコンクリー卜桁を使用し、中央径間では鋼桁を使用する複合桁構造を採用したことです。
もし、斜張橋の側径間と中央支間を同一材料で造るとすれば、長さ比は1:2程度になりますが、新しく採用された方式では、長さ比は1:3.27になります。
これにより、橋梁計画の自由度を大幅に改善し、重くて変形が生じにくい側径間の採用により、斜張橋の中央径間を長くできました。
径間とは、橋構造物の橋脚など支点と支点の間のことだよ。
美麗な生口橋の姿を近くで目撃します。 斜めに伸びたケーブルも橋の美しさを引き立てますね。
正面から見る生口橋のタワーもカッコ良く見えます。
橋の上から眼下を見下ろすと、瀬戸内海の絶景が広がっていました。
こちらの写真は、生口島から見た生口橋です。 周りの景観に見事にマッチしていますね。
生口橋の建設で得た経験や技術が、日本最長の斜張橋である多々羅大橋に活かされました。
生口橋
- 形式 3径間連続複合箱桁斜張橋
- 橋長 790m
- 中央支間長 490m
- 海面から高さ 35m
鳴き龍を楽しめる「多田羅大橋」
多々羅大橋は、生口島と大三島を結んでいる全長1,480mの橋です。
中央径間は890mもある世界有数の斜張橋で、瀬戸内海の多島美にマッチしているその姿に魅了されますね。
多田羅大橋の計画当初は、吊橋だったそうです。
しかし、斜張橋の技術が進歩することで、環境保全と自然景観との調和を重視した橋になりました。
この橋の建設には、生口橋で得られた建設技術が大きく貢献しています。
また、強度的な安全性、信頼性、耐風性などを確認するために様々な実験や解析を行うと同じく、景観上の検討も行い、最終的に洗練された美しい斜張橋が建設された次第です。
中央支間長856mもあるフランスのノルマンディー橋とは、姉妹橋縁組みをしているよ。
多田羅大橋の特徴の一つは、何と言っても「鳴き龍」が楽しめることでしょう。
鳴き龍とは、天井や床などで手をたたいたり、声を叫ぶと、音や声が鳴り響く現象のことを言います。
鳴き龍の楽しみ方は、まずは多田羅大橋のタワーの下に行きましょう。
すると、鳴き龍の案内版がありました。案内板の横には拍子木が用意されていますので、遠慮なく使いましょう。
拍子木を「カチ、カチ」鳴らすと、辺りにその音が響き渡ります。
面白いですね。別に拍子木でなくて、手を叩いても音が響きますね。
私のお勧めは声を出すことです。
「た・び・り・んー」と叫ぶと、辺りに声がこだましました。(嬉)
また、多田羅大橋は広島県と愛媛県の県境になっています。
橋の上から瀬戸内海の絶海を眺めていると、気分が高揚しますね。
こちらの光景を見て、思わず「ビューティフル!!」と叫んでしまいました。(笑)
多田羅大橋とつながっている生口島は、国産レモン発祥の地と言われ、レモンの生産は日本一です。
多田羅大橋の自転車歩行者用道路では、多くのレモン畑が見て取れます。
このレモン畑の近くで面白い物を発見しました。
なんと「レモン谷へようこそ」と書かれた張り紙を貼っているガチャガチャです。
私はガチャガチャはしないので、スルーしたのですが、何が当たるのかは気になりました。
後日調べたところ、YouTube動画で「レモンに目玉が付いている人形のキーホルダー」が入っているのを見かけました。
尚、この人形の他にも別の物が入っているのかも知れません。
個人的には、多田羅大橋のフォトスポットは「道の駅 多々羅しまなみ公園」が最適だと思います。
この道の駅へ立ち寄って、景観の美しい多田羅大橋を記念撮影してみませんか。
また、多々羅しまなみ公園は、サイクリストの聖地碑があることで有名ですね。
私にとっては、聖地碑の前へ旅の相棒(自転車)を立てかけて、多々羅大橋をバックに写真を撮ることが定番行事になっています。
多田羅大橋
- 形式 3径間連続複合箱桁斜張橋
- 橋長 1,480m
- 中央支間長 890m
- 海面からの高さ 48m
【道の駅の紹介】
旅先で良く立ち寄る場所として道の駅がありますね。下記記事では、私が旅先で訪れた道の駅を紹介します。
しまなみ海道唯一のアーチ橋「大三島橋」
大三島橋は、鼻栗瀬戸と呼ばれる海峡をまたいで大三島と伯方島を結んでいます。
しまなみ海道唯一のアーチ橋であり全長は328mです。
大三島橋は、1979年に開通しており、完成当時は日本最長のアーチ支間297mを記録しています。
また、塗装や舗装の材料、施工方法など、その後建設されたしなまみ海道に架かる橋のパイロット的な役割を果たしました。
大三島橋の周辺からは、鼻栗瀬戸の絶景を見渡せます。
また、春には綺麗な桜が咲き誇り、海の絶景だけでなく目を楽しませてくれますね。
アーチ橋の景観も周辺と良くマッチしており、考えた人のセンスが光っています。
大三島橋は、他の橋と比べて距離が短く、あっという間に走り去ってしまうため、ゆっくりと自転車のペダルを漕いで走ると良いでしょう。
大三島橋
- 形式 単径間ソリッドリブ2ヒンジアーチ橋
- 橋長 328m
- 中央支間長 297m
- 海面からの高さ 41m
無人島を挟む「伯方・大島大橋」
伯方・大島大橋は、2つの橋から成り立っています。
それは「伯方の塩」で有名な伯方島と見近島に架かっている伯方橋と、見近島と大島に架かっている大島大橋です。
伯方・大島大橋は、潮流の激しい宮窪瀬戸に架けられており、全長は1,230mもありますね。
特に大島大橋は、狭い海域での工事期間を短くするために、直下吊り工法を採用しています。
この工法により、多くの船舶が航行している海域で、工事の安全性を確保しました。
直下吊り工法とは、あらかじめ桁ブロックを工場で作った後で、架設海域まで輸送台船などで運び、架設地点の直下から吊り上げる方法だよ。
この伯方・大島大橋には、他の橋には見られない特徴があります。
それは、なんと橋の途中から歩行者と自転車・バイクのみは、無人島へ降りることができるため、なんだかワクワクしますね。
その無人島は、見近島と呼ばれていて、キャンプをする人にとっては憩いの場になっています。
かつては、能島村上海賊の駐屯地となっていた島ですが、今では無料のキャンプ場が整備されており、サイクリストやバイカーに取っては旅人の聖地ですね。
橋の上から眺めた写真がこちら。テントが張られていることが見て取れます。
カメラをズームしてみると、自転車とテントが見えますね。
私と同じように自転車旅を漫喫しているのでしょう。
橋の上から眺める瀬戸内海の絶景は、何度見ても飽きることはありません。
伯方・大島大橋の自転車歩行者用道路にある展望台から橋を眺めてみましょう。
伯方・大島大橋の真下を船が航行しているタイミングで見かけると、不思議にテンションが上がりますね。(笑)
伯方・大島大橋
- 形式 単径間ソリッドリブ2ヒンジアーチ橋
- 橋長 1,230m
- 中央支間長 伯方橋:145m 大島大橋:560m
- 海面からの高さ 伯方橋:34m 大島大橋:39m
しまなみ海道最長の「来島海峡大橋」
来島海峡大橋は、3つの吊り橋そのものが直列に並んで構成されている全長4,105mの世界初の3連吊り橋です。
来島海峡大橋は、来島海峡第一大橋と来島海峡第二大橋、来島海峡第三大橋の総称だよ。第一大橋は今治市の大島と同市の武志島をつないでいて、次に第二大橋が架かり、最後の来島海峡に第三大橋が架かっているね。
海の難所である来島海峡に架けられ、四国(今治市)と大島を結んでいます。
来島海峡大橋の長大な長さも特徴的ですが、何と言っても唯一のループ橋となっているところが他の橋と全く違っていますね。
来島海峡大橋の建設場所は、芸予諸島の多島美が広がる景勝地であり、特に来島海峡は鳴門海峡、関門海峡と並び海の難所として知られています。
そのため、橋梁計画は、自然環境の保全に配慮すると共に自然景観の調和を重視する方向で考えられました。
海中基礎の建設や直下吊り工法などを取り入れ、調査・設計・施工など全てにおいて、あらゆる分野の最新・最先端技術が結集されて誕生するに至ります。
来島海峡大橋は約4kmと長いため、渡るのに時間がかかると思われますが、感覚的にはそんな風な印象を受けません。(実際はそれなりに時間はかかります。)
橋の両端はループ状になっており、ゆっくりと走り先へ進んで行きましょう。
橋の上まで辿り着いたら、多島美が広がる絶景の瀬戸内海を横目に自転車のペダルを漕いでみて下さい。
余りの絶景に目を奪われ、何度も自転車を停止させるでしょう。(私がそうでした。)
来島海峡大橋から見えた小島(おしま)をカメラでズームして見てみると、多くの住宅が見て取れます。
小島には、かつての芸予要塞の砲台跡や弾薬庫跡が残っているそうです。
機会があれば見てみたいですね。
エメラルドグリーンの海を見たときは、思わず声を上げてしまいました。(笑)
眼下の景観に見とれてしまい、周辺の注意を怠ってはいけません。
橋の上は他の自転車が走っていたり、歩行者が歩いていたりしますので注意して走りましょう。
橋の途中には、馬島へ降りるエレベータがあります。
私は未だ馬島へ行ったことがありませんので、次の機会に訪れてみたいですね。(後日、馬島へ訪れたので、こちらの記事で紹介します。)
瀬戸内海の絶景を眺めながら走っていると、時間が経つのも忘れてしまいます。
気付いた時には、来島海峡大橋を渡り切っているでしょう。
来島海峡大橋
形式
- 来島海峡第一大橋(3径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋)
- 来島海峡第二大橋(2径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋)
- 来島海峡第三大橋(単径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋)
橋長 4,105m
中央支間長
- 来島海峡第一大橋(600m)
- 来島海峡第二大橋(1,020m)
- 来島海峡第三大橋(1,030m)
海面からの高さ
- 来島海峡第一大橋(58m)
- 来島海峡第二大橋(78m)
- 来島海峡第三大橋(78m)
【鳴門海峡について】
来島海峡のように海の難所で知られている鳴門海峡の周辺について、下記記事で紹介します。
まとめ
しまなみ海道の島々をつないでいる橋は、建設過程から周りの景観を考慮して考えられており、美麗な橋は芸術品のように感じました。
そのため、橋と周辺の景色を一緒に写真に撮ると、非常に印象的な写真が撮れます。
しまなみ海道は、島々をつなぐ橋を含めて世界に誇るサイクリストの聖地ですので、機会があればじっくりと橋の見学をして見て下さい。
きっと新たな発見にワクワクするかも知れません。