美しい山々に囲まれた盆地の中心部には、備中の小京都・岡山県高梁市(たかはしし)がある。
備中の要所として栄えた歴史があり、今もな市内には多くの名残が残されています。
その中でも天守が現存する日本唯一の山城「備中松山城(びっちゅうまつやまじょう)」は、高梁市のシンボルであり、観光スポットとして人気が高いですね。
また、雲海に浮かぶ姿から、天空の山城として多くの人々に知られています。
このお城には、猫城主・さんじゅーろーが暮らしている。ぜひ会いに出かけてみませんか。ふいご峠から登山して、猫城主が住まうお城へ向かいましょう。
本記事では、備中松山城のアクセス方法と見どころを紹介します。
天空の山城「備中松山城」とは
高梁市街の北端には、標高480mの臥牛山がそびえ立ち、市民の間では「おしろやま」の愛称で親しまれています。
この臥牛山は4つの峰からなっており、その内の1つが標高430mの小松山。この小松山の山頂を中心に備中松山城が築かれました。
現存天守を持つ山城として、最も高いところにある。徒歩ならば、1時間以上の山道を登らなければならず、簡単に登城できません。
味方からしてそんな状態なので、攻め落としに来た敵兵の気持ちを考えると、心が折れるのではないでしょうか。
このお城の歴史は古く、鎌倉時代まで遡ります。1240年(延応2年)に有漢郷(現在の高梁市有漢町)の地頭であった秋葉三郎重信により、築かれた中世城郭がはじまりとされる。
その後、1683年に水谷勝宗によって、修築されて今の天守の姿になりました。
天守を始め、二重櫓や三の平櫓東土塀は、国指定の重要文化財に指定されており、本丸南御門や東御門、腕木御門、路地門など史実にもとづき復元されています。
日本100名城に選ばれており、秋から冬にかけては雲海に包まれる姿から「天空の山城」として、何度もマスコミやSNSに登場。そのため、日本全国に知られていますね。
また、備中松山城PR大使として猫城主・さんじゅーろーが、城の管理事務所に常駐していますので、ぜひ会いにいってみてはいかがですか。
江戸時代以前の天守が現存するのは、日本全国でもわずか12城のみ。岡山県の備中松山城の近くにある現存天守は、以下の通り。
- 丸亀城(香川県)
- 松山城(愛媛県)
- 姫路城(兵庫県)
- 松江城(島根県)
興味のある方は、足を延ばしてみるのもよいでしょう。
備中松山城のアクセス方法と所要時間
備中松山城は山頂にあるため、そこへ向かうのは結構大変です。そのため、登山口(登城口)のある「ふいご峠」の駐車場までは車を使いたい。
ふいご峠から山道を歩けば、約20分ほどで備中松山城へ辿り着きますね。山道の往復と備中高松城の観光時間を合わせれば所要時間は、約60~90分ほどかかる。
ちなみに、ふいご峠にある駐車場には、休憩所や売店があるので一息付けます。
そこで、ふいご峠までの行き方を以下にまとめました。
- 最寄り駅まで鉄道を利用してタクシーで移動する
- マイカーやレンタカーで移動する
- シャトルバスで移動する
それぞれについて説明します。
【旅に役立つサービスの紹介】
旅の道中で役立つ便利なサービスを、下記記事で紹介します。
最寄り駅まで鉄道を利用してタクシーで移動する
鉄道を利用するならば、最寄り駅のJR伯備線「備中高梁駅」で下車しましょう。そこから約90ほど歩けば備中松山城へ辿り着きますが、結構たいへんですね。
なので、備中高梁駅近くにある観光案内所から出ているタクシーを使うのが便利。タクシーを使ってふいご峠まで移動しましょう。
尚、乗合タクシーであれば、料金を安く抑えられます。事前予約が必要で運行時刻も決まっていますので、くわしくは備中松山城観光乗合タクシー(TEL 0866-22-8666)へご確認下さい。
マイカーやレンタカーで移動する
平日であれば、ふいご峠にある駐車場(14台)までマイカーやレンタカーで移動できます。ただし、シャトルバスの運行日であれば、城見橋公園からふいご峠駐車場の間は一般車の通行ができません。
5合目となる城見橋公園までは、比較的道が広いので、通行しやすいですが、それ以降は道幅が細くなり、車1台分しか通過できなくなる。
そのため、対向車がくると、かなり運転が厳しくなるのは覚悟しておきましょう。
ちなみにレンタカーを借りる際、便利なサービス「旅楽」を活用してみてはいかがですか。くわしくは、こちらの記事で紹介します。
シャトルバス(登城整理バス)で移動する
城見橋公園駐車場からふいご峠までの間を、往復するシャトルバスが運行しています。
城見橋公園駐車場は、普通車が120台も駐車できるほどの広さがある。なので、ここまで車できて、シャトルバスに乗るのがおすすめです。
また、休憩所や売店もあるので、バスが発車するまでのんびり過ごせますね。
ちなみに売店では、備中松山城や猫城主・さんじゅーろー関連のグッズが、たくさん販売されている。
シャトルバスの運行日時は、以下の期間の土日祝日のみ。
- 4月~9月 8:45~17:45(登り最終便16:30)
- 10月~3月 8:45~16:45(登り最終便15:30)
- 約15分間隔でピストン運行。天候等により、予告なく運行時間が変更になる場合あり。
- 料金 500円(往復)小学生以下無料
GWやお盆休み、雲海シーズンなどでは平日も運行している。くわしくは、備中松山城の公式ホームページでご確認下さい。
登城口「ふいご峠」から山道を歩く
ふいご峠の駐車場の奥には、備中松山城へ続く山道があります。備中松山城へ到着するまでに約20分ほど歩くのですが、普段からあまり歩かない人は、結構しんどいと思いますね。
入口前には、無料で使える杖が用意されているので、お借りしましょう。杖を使えば、山道を歩くのが楽になる。
道中には、こちらのような「登城心得」が数ヶ所に設置されていました。
うん、このような演出は個人的に好きかな。城主からのありがたいお言葉に元気をもらう。
山道は整備されているので歩きやすいですね。
お城まで行かなければ、自動販売機はなく水分補給ができるような場所はありません。
なので、事前に準備しておきましょう。ふいご峠の駐車場には、売店があるのでそこを利用すると便利です。
おっ、こちらの登城心得では、「この先足もと悪しきにつき気を付けて歩むべし」と注意喚起が促されている。
この言葉から分かるように、登山は歩きやすい服装が一番。間違ってもハイヒールとかは履かないように。危ないですよ。
しばらく歩いていると、石垣が現れました。恐らく初見では、お城へ到着したかと思われますが、ここままで大体半分ぐらいの距離ですかね。
石垣の上へのぼり少し休憩。ここからの眺めがこちら。
うん、いい景色。高梁川沿いには、高梁市の町並みが広がっています。
再び登山を再開し、山道を歩いていくと、大手門脇の石垣が目の間に現れる。天然の岩盤の上に石垣を築いており、さらに土塀を建てています。
その迫力に思わず「おー」と言葉が漏れてしまいました。
三の丸、二の丸を経て登ること5分ほどで本丸に到着。美しい天守が見て取れます。
そして、一匹の猫がくつろいでいる。では猫城主・さんじゅーろーに挨拶していきましょう。
【周辺の見所】
備中松山城の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
猫城主・さんじゅーろーと記念撮影しよう
猫城主・さんじゅーろーは、先ほども触れましたが、普段城の管理事務所に常駐しています。
城内見回り(散歩)などで会えない時もありますが、そもそも猫は自由気ままに行動する動物。待っていれば、ひょっこり戻ってくるでしょう。
私は本丸へ足を踏み入れると、すぐに出会うことができてラッキー。何気に猫城主とのファーストコンタクトです。
猫城主は、大勢の観光客に囲まれても悠然としています。しばらくの間、さんじゅーろーを愛でていました。
さんじゅーろーは、2018年(平成30年)7月に発生した岡山県にも甚大な被害を及ぼした西日本豪雨の後、備中松山城三の丸で保護された猫です。
備中松山藩の藩士から、新撰組の隊長になった谷三十郎にちなんで名付けられる。
ともて人懐っこい性格と可愛さでたちまち観光客の人気物となりました。さんじゅーろーの影響力は絶大で、豪雨の影響で落ち込んでいた観光客数がV字回復したという。まさにアイドルなみの大活躍ですね。
その後、一時行方不明になるなど色々ありましたが、最終的に今の備中松山城PR大使に就任。猫城主として、日々お城を見守っています。
ぜひ「さんじゅーろー」に会いに足を運んでみて下さい。そして旅の思い出に一緒に記念撮影しましょう。
【カメラに関する話】
カメラで撮影する際、記憶に残る渾身の1枚を撮りたい瞬間がある。そんな時は、性能の優れたカメラを使いたいものです。下記記事では、カメラに関する話を紹介します。
【見所①】天守
備中松山城の天守は、木造本瓦葺き二層二階の建物で、高さ11mほどしかありません。現存天守12城の中では、もっとも低い天守です。
石垣と複数の櫓で囲んだ本丸の中に、天守が設けており、二の丸から塀や櫓の高さに隠れることなく、天守が見て取れるのが実によい。
天守1階の見どころは、こちらの囲炉裏。現存12天守の中で囲炉裏があるのは、備中松山城だけですよ。恐らく籠城した時にここで料理することを考えて作ったのでしょう。
また、城主が装束を改め死に臨む場所として装束の間がありました。
それに敵が忍び込んできても、簡単に室内で刀を振り回せないだろうと感じる広さです。古い木組みの構造の中、美しい手斧(ちょうな)と槍鉋(やりがんな)の跡が見られます。
2階へ上がる階段は、細くて急勾配。なので落ち着いてゆっくり上ろう。
2階は1階とほぼ同じ広さ。城の守護神を祀った御社壇(神棚)がありました。
こちらは、2階から外を眺めた景色。
かつての城主や城住まいの人たちと同じ視点ですよ。感慨深いですね。
天守の東脇には、復元された本丸東御門がある。これは本丸の勝手口。
本丸内で唯一の引き戸で、常時、本丸内に人がいなかったことがうかがえます。
【見所②】二重櫓
天守と同じく天然の巨石を櫓台にした、天守より小ぶりの建物が「二重櫓」です。
名前の通り二層二階の構造で、高さは約8.4m。1681~1683年の大修築の際に建てられました。
天守と同じ唯一の二階建ての櫓であることから、いかに二重櫓が重要な施設であったのか伺い知れますね。南北2つの出入り口は、北は後曲輪に、南は天守裏に通じている。
こちらは、復元された腕木御門。
木造本瓦葺きの開け戸。二重櫓の正面脇にあり、本丸の裏門にあたります。
ちなみに二重櫓や腕木御門のある場所は、天守の裏側へ続く道を歩いて行かなけばならない。
しばらく歩くと、後曲輪跡に出て、さらに奥へ続く道がある。
その先には、相畑城戸跡や天神の丸跡、切通及び番所跡、大池(血の池)などがあるという。時間に余裕がある方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。
【見所③】石垣と三の平櫓東土塀
備中松山城の入口の役割りを担っていたのが大手門ですね。現在、大手門には櫓などありませんが、この大手門脇には、迫力満点の石垣があります。
この石垣に見覚えがある方もいるのではないでしょうか。2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングで、CG合成された想像の真田氏の城として登場しました。
その他にも立派な石垣が至るどころで目に付きます。石垣の機能美は、見ていて実に面白い。
そんな石垣をダイジェストで紹介。
石垣以外にも注目して欲しいのが、三の平櫓東土塀ですよ。
土塀といえば、四角い矢狭間や丸い筒狭間を備えており、様々なお城へ行けばよく見られます。
しかし、こちら土塀は、永年の風雪に耐えて残った奇跡的に現存する土塀。天守もろとも要チェックですね。
備中松山城を包み込む雲海は全国的に有名
天空の城と呼ばれる城又は城跡で特に有名なのが、竹田城跡ですね。備中松山城も日本三大山城の知名度と共に全国的に有名ですよ。
高梁市では、9月下旬~4月上旬にかけて雲海が発生しやすくなる。特に10月下旬~12月上旬の早朝では、濃い朝霧が期待できます。
気象条件が整うことで、雲海に浮かぶ幻想的な天空の城が楽しめる。そんな風景を眺めに、タイミングを合わせて備中松山城展望台へ足を運ばれてみてはいかがですか。
備中松山城の基本情報
住所 | 岡山県高梁市内山下1 |
電話番号 | 0866-22-1487(松山城管理事務所) |
営業時間 | 4月~9月 9:00~17:30(入城は17:00まで) 10月~3月 9:00~16:30(入城は16:00まで) |
定休日 | 年末年始(12/29~1/3) |
天守の入城料 | 大人500円 小中学生200円 団体割引あり、30人以上1割引、100人以上2割引 |
まとめ
備中松山城は、山道を歩いていかなければならなく、決してアクセスが良いわけではありません。
しかし、そもそも城というのは敵を拒む防御施設。簡単に辿り着いてしまっていたら意味がないですね。
そういう意味でも、城へ辿り着いた時の達成感は、十分に感じられます。天守や二重櫓、石垣など見どころに足を運びながら、当時を思い偲んでみましょう。
それに猫城主・さんじゅーろーとふれあえば、元気になれますよ。