半島といえば、海に向かってすっと伸びた崖状の海岸線をイメージする人が多いですね。
日本全国には、そのような半島が無数にあり、個人的にはそんな場所を自転車で走るのが大好きだ!
ということで、本日やってきたのが香川県の北西部に位置する「荘内半島(しょうないはんとう)」。
この半島には、浦島太郎の伝説が至るどころに残っている。凄くないですか。それに何よりも、瀬戸内海の多島美を眺めながら走れる絶景ロードですよ。
時期的にマーガレットが開花しているので、マーガレットが織りなす絶景花畑で有名な「フラワーパーク浦島」へ訪れる予定です。
本記事では、浦島太郎ゆかりの地を巡りながら、荘内半島を自転車で一周した旅の様子をお届けします。
宅間駅から旅立ち、荘内半島の西海岸へ向かう
旅のスタートは、荘内半島を巡る最寄り駅となるJR宅間駅から始まります。
荘内半島は、香川県三豊市宅間町に位置しているので、電車輪行するならば、この駅から始めるのが便利ですね。
駅前の広場には、浦島太郎がいじめっ子からカメを助けているリアルな像が並んでおり、これから太郎の伝承地を巡るのに相応しいスタート地点といえるでしょう。
さて、それでは荘内半島へ向けてレッツゴー。
荘内半島を時計回りに一周したいので、まずは荘内半島の西海岸を目指し、丸亀宅間豊浜線(県道21号)を進みました。
道中に立ちはばかるのは加嶺峠。詫間町と仁尾町にまたがり、峠といっても勾配はそれほどでもありません。
自転車のペダルを軽くして、スイスイとひたすら駆け上る。「俺の足はまだ満タンだぜ!」と吠えていると、あっと今に峠へ到着。そこからは、下り天国の始まりです。
く~、やっぱり下りは気持ちがいい♪♪♪
横目で町並みを眺めながら下りきると、荘内半島の西海岸側へ到着。宅間駅から約6kmほど走りました。
近くには、仁尾マリーナがあったので少し立ち寄ることに。うん、船舶が並んでいるのを見ると、テンションが上がるのはなぜでしょうかね。なので、個人的には漁港などへ立ち寄るのが大好きだ。
荘内半島はアップダウンが多いのですが、勾配は大したことなく、ギアを軽くすればサクサク上れます。
大浜仁尾線(県道234号)を北上してしばらくすると、左手側に瀬戸内海に浮かぶ丸山島が見えてきました。
【自転車旅のアイテム紹介(その1)】
自転車旅に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
鴨之越から丸山島へ渡りたい
実は、丸山島へは鴨之越から干潮の時だけ、海中から歩道が浮かび上がるので、タイミングが合えば渡れますね。
いわゆるトンボロ現象と呼ばれるもの。有名なところでいえば、小豆島のエンジェルロードが世に知られています。
瀬戸内海には、このトンボロ現象を見られる場所が多いのも面白い。
私が訪れた時間帯は、歩道は完全に海中に沈んでいましたが、どうせなら近くまで行きたいではないですか。
ということで、鴨之越のバス停から海側へ下って、鴨之越集落を目指しました。
こちらの場所が、丸山島へ向けて歩道がのびる場所ですね。潮が満ちている時は、絶対に歩けないぞ。
それに、この場所は結構滑りやすい。気を付けて歩かないと危ないです。
島内へ目を向けると、浦島神社がハッキリ見えました。
カメラのズーム機能を使って、浦島神社周辺を撮影すると、防波堤に浦島太郎の人形があるではないですか。これは近くで見たかったかな。
ここ鴨之越は、浦島太郎が亀を助けたとされる浜です。うん、であれば宅間駅にあった太郎の像は、ここにあっても良いのでなかろうか。そんなことを思いながら丸山島を眺めていました。
その後、たまたま通りかかった住民の方と世間話をしていると、一部の観光客のマナーの悪さを知りました。
なんと浦島太郎の人形の一部が壊されたり、石で作ったカメがバラバラに破壊される出来事があったそうです。本当にひどい話ですね。なぜ、そのような行為をするのか、私には全然理解できません。
少し暗い話になりましたので、鴨之越海岸の素敵なところをアピールしよう。丸山島だけでなく、奇岩群や海食洞群を楽しめる。さらに夕日スポットとしても知られています。
ジーンズを祀る尾崎神社と登れない紫雲出山
鴨之越海岸を後にして、再び大浜仁尾線へ合流。そのまま道なりに進みます。
それにしても本当に車が通らない。仁尾マリーナから大浜仁尾線を走っていますが、鴨之越まで数えるほどしか車を見かけていません。
うろ覚えですが、5台も走っていないのではないだろうか。
紫雲出山の入口を目指してマイペースに走っていると、面白い案内板を発見。
そこには「命を守り、はぐくむ神社 日本で唯一のジーンズ神社 尾崎神社」と書かれているではないですか。これは・・・行くしかないでしょう。(笑)
ということで、案内板が指し示す方向へ進路を変更。ちょっと寄り道するぞ。
幅の狭い急坂をかけ乗っていると、駐車場らしき場所へ到着。どうやらここから徒歩で山道を歩くようだ。
季節柄イモムシが多いので、気を付けて2~3分ほど歩くと、額に「尾崎大明神」と書かれた鳥居が見えてきました。
その先の階段を上り尾崎神社へ参拝。ここで面白いことに気が付く。
鈴を鳴らすための紐(鈴緒)をよく見ると、なんとジーンズと同じくインディゴ染めになっている。
後から調べて分かったのですが、この神社は、国産ジーンズの元祖「ボブソン」などの創始者・尾崎家と縁が深いという。
毎年10月に行なわれる祭りでは、地元の人たちがジーンズを着用して参加されるそうですよ。
また、社の中にはジーンズが奉納されていて、「勝負事の前に願をかけると叶う」という噂があるみたい。
まさに知る人ぞ知る神社、面白い神社に参拝できてラッキーでしたね。
尾崎神社を後にして、再び大浜仁尾線を北上すれば紫雲出山(しうでやま)の入口前へ到着。
けれど、通行禁止となっているではないですか。ふっ、事前に知っていたので動じませんよ。
前もってきちんと確認して訪れたので、去年(2023年)の大串半島のような二の舞にはならないぞ。
落石による通行止めで、いつ解除されるのか分からないみたい。本当ならば紫雲出山へヒルクライムしたかったのですが、今回はおあずけ。またの機会にチャレンジします。
後日、しばらくして通行止めが解除されたことを知ったのですが、解除された日が、なんと私が訪れた日の翌日ということであり、「なんてこったい!!」となりましたね。(笑)
ちなみに、紫雲出山も浦島太郎伝説ゆかりの地であり、玉手箱から出た煙がたなびいたことから名前が付けられました。
入口前には、竜宮城をイメージして作られた公衆トイレがありましたので、しばしトイレ休憩を入れて自販機でジュースを買って喉を潤しました。
【珍しい神社仏閣の紹介】
旅先で訪れた珍しい神社仏閣を、下記記事で紹介します。
浦島太郎の生誕地、詫間町朱里を見て回る
紫雲出山の入口前を後にして、いつしか県道232号線へ入っており、アップダウンが続きます。
左手側には、瀬戸内ブルーを楽しめる。そのためか、多少アップダウンがあったとしても気にならないですね。
また、民家が並んでおり、この辺りにお住いの人たちは、いつも瀬戸内ブルーを楽しめると思うと少し羨ましいぞ。
そんなことを考えながら、気分良く自転車のペダルを回す。すると、いつしか詫間町朱里へ辿り着いていました。
この朱里(なまり)地区は、浦島太郎の母の生家があったといわれています。つまり、太郎の誕生地ですよ。
この地区で始めに訪れたのは、香川県の保存木「川江家のツバキ」のある場所だ。大きいですね。樹高9m、幹周り3.1mもあり、花は少し小さめかな。
野生のヤブツバキに近い品種のようですが、品種改良された晩生種なんだとか。香川県では珍しいといいます。
ツバキの横には、鑑賞出来る屋根付き小屋があるのもGood。
見頃は少し過ぎていましたが、優美なツバキが見られたことに満足♪
また、こちらのように坂道を下った先に見える瀬戸内海のロケーションが実に良いですね。
海岸線へ向かい堤防の外側へ移動すれば、海がとても近い。それに、透明度も高く見ていて気持ちがいいですよ。
ということで、しらばく海を眺めながら休憩していました。
その後、住宅街へ入ると辿り着いたのは生里集会所前。おっ、朱里のバス停を発見。この辺りのどこかに浦島太郎の生家があったのでしょうね。
そのまま北上していると、仁老浜(にろはま)へ到着しました。
仁老浜は、玉手箱を開けて老人になった太郎が余生を送った場所という。なるほど、確かに静かに余生を送るにはいい場所だと思うな。
今は海辺のキャンプ場となっており、紫雲出山の入口前で見かけた竜宮城をイメージした公衆トイレがありました。
さらに奥へ足を運ぶと、荘内半島先端にある讃岐三埼灯台まで山道(四国自然歩道)が続いています。
興味はあったのですが、自転車での移動は難しいので諦めました。
室浜と浦島太郎の墓を見に行く
仁老浜を後にして、再び県道232号線へ合流。自転車のギアを軽くして、緩い坂道を駆け上ります。
坂道の終わりが見えてきたタイミングで、遠くには瀬戸内海が見えてくる。よいよ荘内半島の東海岸ですね。
それに、こういうシチュエーションはテンションが上がる、上がる。
下り道に入り、そのまま県道232号線を進めば荘内半島を一周できるのですが、糸の越のバス停から西へ向かい県道232号線から離れました。
これから向かうのは「室浜」ですよ。室浜は、竜宮城から帰ってきた太郎が、玉手箱を開けるまで過ごした海岸です。つまり、太郎が不老のまま過ごしていた場所ですね。
室浜へ向かう途中で見つけたのが、カメに乗った太郎の像。偶然の発見に嬉しくなります。
特に目立つような場所ではなく、電信柱の横に普通に設置していたので、危うくスルーするところでした。
また、道中では「三埼灯台 〇〇km」と書かれた立札を何度も見かけ、「これは自転車で行けるかも」と期待してしまう。
しばらく道なりに進むと室浜へ到着。かつては、不老浜(ぶろま)と呼ばれていた場所です。なるほど、地名から太郎ゆかりの地というのも頷ける。
それに、太郎うんぬん関係なく、凄く透明度の高い海なんですけど。まさに知る人ぞ知る穴場スポットといえます。
直ぐ近くには、香川の保存木に指定された室浜大明神のシンパクがあり、これも見逃せないですね。
奥へ向かうと讃岐三埼灯台へ続く道を見つけましたが、自転車では難しそうだ。くっ~、ワンチャンあると思っていただけにガッカリだ。
気を取り直して、来た道を引き返し県道232号線へ合流をはたすと、箱浦ビジターハウスへやってきました。
先ほど訪れた室浜も含めて、この辺りは詫間町箱地区です。「箱」の名前から「玉手箱」を連想しますね。
この場所は、太郎が玉手箱を開けたとされる場所。箱の地名もそこからきているかも知れないな。
箱浦ビジターハウスの裏側には、永久不滅の象徴として「常世亀(とこよがめ)」が設置されている。
常世亀の甲羅を「ありがたや、ありがたや」と思いながら触ってみる。(笑)
荘内半島へ訪れる人たち全ての幸福を願っており、カメの背に乗ると幸せになるという。それにカメが見つめる先には、竜宮城があるといいます。
箱浦ビジターハウスに隣接する浦島公園では、太郎親子の墓がありました。真ん中の五輪塔が太郎の墓ですよ。
ちなみに、太郎親子の墓の奥にある石碑は、海上安全や商売繁盛などを願って建てられた「諸大龍王の石碑」です。
太郎親子は、穏やかな瀬戸内海を眺めながら、この地を訪れる人たちを暖かく見守っているのでしょうね。
【自転車旅のアイテム紹介(その2)】
自転車旅に役立つ様々なアイテムを、下記記事で紹介します。
絶景花畑「フラワーパーク浦島」で大興奮
浦島公園を後にして、東海岸を南下していると、ガードレールの端にタケノコがあるのを見つけました。
思わず自転車を停めて、タケノコをまじまじと見てしまう。このようなファーストコンタクトは、インパクトがありすぎだ。
「なんで、こんなところにタケノコが?」と不思議に思っていると、近くに小屋があったので、おそらくタケノコの販売を行なっていたのではないだろうか。
タケノコの宣伝かも知れませんが、周囲にのぼり旗がないので、無人販売なのでしょうかね。
いきなりタケノコの登場にビックリしましたが、のどかなでいて美しい自然が続きます。それに東海岸は、西海岸と比べて民家が多いですね。
箱地区のお隣は積地区であり、この辺りは、太郎が乙姫様からもらった宝物を積んだカメが到着した場所なんだそうな。
積地区は、絶景花畑として有名な「フラワーパーク浦島」があるところ。
ということで、フラワーパーク浦島でマーガレットを満喫。本当に来てよかった~。
以前にも来たことがありますが、何度きても素晴らしいですね。
瀬戸内海の多島美をバックに真っ白なマーガレットが咲き乱れる姿には、拍手喝采を贈りたい。特に高台から見渡す景色は感動ものですよ。
この景色が、乙姫様からのプレゼントだといわれても信じてしまいそうです。
フラワーパーク浦島については、下記関連記事でくわしく紹介します。
荘内半島一周後に三豊市詫間町を後にする
フラワーパーク浦島を後にして、県道232号線を南下すると大浜地区へ入りました。
ここまでくれば、荘内半島一周も終盤ですね。宅間駅まで約8kmほどで辿り着きます。
今回は通過しませんが、東西をつなぐ宅間仁尾線(県道231号)を通過すれば、西海岸へショートカットできる。
大浜漁港の近くに出るので、そこから北上すると紫雲出山の入口まで約1.6kmほどで辿り着きますね。
宅間駅から紫雲出山へ向かうのに便利ですよ。
この頃には、道はほぼ平坦路になっており、快調に自転車を走らせます。
それに、こちらのような美しい海岸線が広がっているので、ついつい自転車を停めて見物してしまうのはしょうがないかな。
そんな風に進んでいると、左手側に学校が見えたり、神島化学工業の工業地帯が現れる。西海岸と比較して明らかに人口密度が高いですね。
そして詫間町の市街地へ突入し、西野近隣公園へ到着。
見るからに自然いっぱいの公園で、市民の憩いの場ですね。子供連れのご家族を何人も見かけました。
この公園には、竜宮城をイメージした公衆トイレがあるので訪れた次第です。
これまで同じタイプの公衆トイレを、荘内半島で何度も見かけましたが、どれも同じ外観に見える。個人的には、外観を変えたり、少なくとも色違いであった方が面白いと思いましたね。
そもそも公衆トレイを見て回る人なんていないか。(笑)
また、文部省唱歌「浦島太郎」の歌詞が書かれた石板もありました。
宅間駅までは残り約3kmほどですが、まだ時間があるため、もう少し走ることに決定。ということで、宅間駅より東へ約9kmほど離れた多度津駅へ向かいます。
脳内BGMとして、「むかし、むかし、浦島は~、助けたカメに連れられて~」といった風に、先ほど見つけた浦島太郎の歌が響き渡る。
高瀬川に架かる宅間大橋へ辿り着くと、そこには大きなカメにのった浦島太郎の像を目撃。そういえば、昔見た覚えがあるぞ。
この大橋の街灯や欄干は、竜宮城をイメージしており、見ていて楽しいですね。
高瀬川の畔には、川に向けてベンチがポツンと設置されている。このような場所でゆっくりするのもいいかも知れない。
その後、海岸線に整備された県道21号線(さぬき浜街道)を主に走りながら、多度津町へ向かった次第です。
JR多度津駅へ到着すると、テキパキと帰り支度を済ませ帰路に付きました。
【半島を巡る旅】
自転車旅で巡った様々な半島を、下記記事で紹介します。
まとめ
荘内半島はアップダウンの多い道ですが、交通量が少なく快適にサイクリングができました。
浦島太郎の伝説を追いながら、様々なスポットを見物できたのは面白かったですね。
アップダウンが多い道でしたが、走行距離は約30kmほどしかなく獲得標高もたいしたことないので、初心者でも少し経験を積めば余裕で一周できると思います。
今度訪れる時には、紫雲出山のヒルクライムを楽しみたい。さらに出来れば丸山島へ渡れたら最高でしょうね。