津山城(鶴山公園)は、「日本さくら名所100選」に選ばれている岡山県屈指の桜の名所です。
桜以外にも美しい石垣は、城ファンならば絶対に見ておきたいですね。「備中櫓+石垣+桜」の組み合わせは大変素晴らしく、多くの人を惹きつけます。
残念ながら廃城令により天守はありませんが、もし天守があれば今以上の景観だったでしょう。当時、廃城令が出されたのには、理由があることでしょうが、現代になって残されなかった遺産の代償は大きいですよ。
ですがご安心して下さい。たとえ天守がなくとも津山城の魅力は、隠しきれる物ではありません。
本記事では、桜シーズンの津山城(鶴山公園)を紹介しながら、廃城令の結果がもったいないと思う理由と津山城の見どころについてお伝えします。
西日本有数の桜の名所「津山城(鶴山公園)」とは
津山城は、岡山県津山市に位置し、津山市のシンボルになっています。
「本能寺の変」で討死にした森蘭丸の弟である森忠政(もり ただまさ)により、13年の歳月をかけて1616年(元和2年)に完成しました。
城郭の形式は梯郭式(ていかくしき)平山城であり、日本三大平山城のひとつに数えられています。
また、「日本100名城」にも選定されており、お城や歴史ファンならば必見です。現在は、鶴山(かくざん)公園として整備され、桜の名所として多くの人に知られていますね。
そのため、例年桜シーズンになると「津山さくらまつり」を開催し、大変な賑わいをみせますよ。
津山城(鶴山公園)は「日本さくら名所100選」「日本の歴史公園100選」にも選ばれており、沢山の人々に親しまれる憩いの場所になっています。
津山さくらまつりは、例年3月下旬から4月上旬に開催されます。
桜シーズン到来、津山城のシンボル「備中櫓」と桜の景観
津山城が最も美しく見えるのは、桜シーズンです。
ソメイヨシノを中心に約1,000本が植えられており、圧倒的ボリュームで咲き乱れる桜の花々は、備中櫓(びっちゅうやぐら)や石垣を優しく包み込んでいます。
その姿は、まさに息を呑むほど美しく、言葉が出てきません。この備中櫓は一際存在感を放っていますので、津山市のシンボルとして申し分ないですね。
尚、備中櫓は築城400周年を記念して、2005年に復元されたそうですよ。
様々な角度から、備中櫓を眺めて見ましょう。
津山城には天守がありませんが、小ぶりながら左右対称に均整のとれた備中櫓は、天守に負けない程の風格を醸し出しています。
青天の下、太陽の光を浴び、輝く白壁と淡い桜のコントラストは、思わずため息が出てしまうほど美しい。まさに「日本の春」を体現した存在なのではないでしょうか。
私はもちろんのこと、多くの花見客が備中櫓と桜をバックに記念撮影を撮っていました。
例え桜シーズン以外でも備中櫓をバックにした景色は、撮影スポットとして申し分ないね。
津山城は現在、鶴山公園として整備されており、広々とした空間で、のんびりと花見を楽しめます。
至るどころで桜の花が咲き誇っていますので、自分のお気に入りの場所を探してみましょう。
そんな事をしていれば、新しい発見や出会いがあるのかも。
また、津山城で楽しめるのは桜だけでなく、菜の花畑も素晴らしい。
重厚な石垣の周囲に咲いている菜の花は、石垣をバックに明るく彩りますね。
「備中櫓+石垣+桜」のコラボも素晴らしいですが、負けないぐらい「桜+菜の花+石垣」のコラボも最高ですよ。
津山城を隅々まで歩いてみて、春の景色を楽しみましょう。
【春の景色を紹介】
春の景色と言えば「桜」を思い浮かべる人が多いですね。下記記事では、桜など春の景色を紹介します。
廃城令により結果がもったいないと思う理由
1873年(明治6年)に出された廃城令により、津山城の天守閣や櫓、門などはことごとく破却されました。
天守閣は地上5階建てであり、石垣を除くと高さが約22mもあったそうです。これは、一般的な五層の天守閣と比べてみても最大規模ですね。
こちらは津山城内に展示されていた往時の津山城であり、立派な天守閣が見て取れます。
この天守閣が、今も残っていたらと思うと、残念でなりません。
往時の津山城の城郭は、世界遺産に認定されている姫路城より規模が大きかったと言われています。また、天守閣や櫓などが建てられた時代は、姫路城とそんなに変わらないですよ。
廃城令が出されていなければ、堅牢の要塞であった津山城は、規模や歴史、構造物を見ても国宝になったのは間違いないでしょう。実にもったいないと思います。
その時代には、当事者でしか分からない事情があったと思うので、一概に当時の廃城令を出した人たちを糾弾するのは良くないですね。
もし津山城が当時のまま今に残っていたら、国宝だけでなく、歴史的価値を考慮して、恐らく日本遺産及び世界遺産に選ばれていてもおかしくありません。
きっと今以上に、日本国内や世界中から多くの観光客が訪れて、物凄い盛り上がりを魅せていたでしょう。
昔の人が長い年月をかけて造った物を壊すのは、慎重に良く考える必要がありますね。
【見所①】本丸や天守台からの景色
津山城は小高い丘の上に築かれたため、本丸から桜の風景や津山市を一望できます。
備中櫓の近くには、ベンチが多数設置されていますので、ベンチに座ってゆっくりと眼下の景色を楽しみましょう。
また、備中櫓の近くには、かつて高さ22mにもなる天守がそびえ立っていた天守台があります。
この天守台は、津山市の町並みが一望できるビュースポットですよ。
心地よい風を感じながら、ボーと眺めるなんて、何かと忙しい現代では、最高の時間の使い方かも知れません。なので、時間の許す限り眼下の景色を眺めてみましょう。
かつて城に住んでいた住人達は、眼下からみえる町に住む人々の営みを眺めて、何を思っていたのでしょうか。
時代が変わり、発展した町並みは昔と違っていますが、山や川など自然は、ありし日のままだと思います。そんな風に考えると、感慨深いものがありますよ。
こちらが津山市の町並みです。
もし森忠政(もり ただまさ)が生きていたら、今の津山市の景色を見て、余りの発展ぶりに驚くと同時に誇らしく感じるかも知れませんね。
【見所②】美しく堅牢な石垣
城とは、元々敵を防ぐために造られた軍事的な防衛施設です。
そのため、城には城壁を始め、堀や城門、櫓(やぐら)などを造ります。
津山城の石垣は、まずは反り立った美しさに目が行きますが、ひな壇のような形状をしており、威圧感を感じずにいられません。
また、石垣に囲まれた複雑に折曲がる通路は、攻め込むことが困難ですね。
更に石垣の上からは見晴らしが良いため、階段を上る侵入者に対して易々と狙撃ができそうです。
津山城の城門や櫓などの数は100棟を越えていたと言われています。
通常の城では、20棟もあれば多い方なので、津山城が如何に防備に力を入れていたのが分かりますね。
それでは、一体なぜこれほど堅牢な要塞を築く必要があったのでしょうか。
森忠政が津山城を建てた当時は、地元の豪族たちが多数いて、その力は拮抗していたそうです。そのため、地元の豪族たちに威圧感を与え、森家の力を直接見せつけるためであったと言われています。
余談ですが、津山城があまりに堅牢過ぎるため、徳川幕府から森家は「謀反を企んでいるのでは」と疑られたそうですよ。
う~ん、そう考えると、時の権力者に十全に配慮しなくてはならないなんて、時代は違えど人類は根本的なところで進歩していないなぁと思えるのは、私だけでしょうかね。
【美しい石垣】
津山城の石垣は美しいですが、日本一高い石垣と言えば丸亀城の石垣であり、津山城に負けず劣らず美しいですね。下記記事では、丸亀城について紹介します。
【見所③】備中櫓の見学
備中櫓の中は、無料で入れますので立ち寄ることをお勧めします。
2階建ての建物ですが、1階にあった売店では、津山城関連のお土産グッズを販売していますよ。一通り品物を見てみると、主にポストカードや家紋の入ったコースター、キーホルダーなど小物中心ですね。
備中櫓内の各部屋は畳が敷かれており、茶室もありました。
櫓としてだけでなく、日常生活を快適に送れるように工夫されています。
尚、部屋の壁紙をよく見てみると、森家の鶴の家紋が並び「いいね!」と感じた次第です。
部屋だけでなく、厠(かわや)も再現されています。(厠は今で言うトイレのことです。)
その他には、軍事施設らしく至る所に狭間(さま)が作られていますね。(狭間は防御用の小窓です。)
残念ながら狭間は、閉じられていましたが、この小さな窓から鉄炮で狙われたら、侵入者は訳が分からない内に狙撃されていたことでしょう。
一通り部屋を眺めましたが、軍事施設とは思えないほど、優雅さを感じました。
【見所④】石垣の中に隠されている「ハート型の石」
天守台に使われている石垣には、ハートの形をした石があり「愛の奇石」と呼ばれています。
この石に触れたカップルは、恋が成就するとか。
案内板が指し示す方向を見てみると、確かにハート型の石がありました。
案内板がなければ絶対にスルーしていましたね。(笑)
花見に訪れたカップルが、二人で一緒にこのハート型の石へタッチしている光景が印象に残っています。
カップルで津山城へ訪れた場合は、「愛の奇石」のお力にあやかってみませんか。
【恋人たちのデートスポットを紹介】
旅先で訪れた観光地が、恋人たちのデートスポットになっている場合がありました。そんな観光地を下記記事で紹介します。
津山城(鶴山公園)の「津山さくらまつり」について
例年、桜が咲き誇る3月下旬から4月上旬にかけて津山城(鶴山公園)では、「津山さくらまつり」が開催されます。
2020年、2021年はコロナの影響で祭は開催されませんでしたが、2022年は3年ぶりに開催され、大いに盛り上がった次第です。
私が訪れた日は、「桜満開+日曜日+3年ぶりのさくらまつり」のコンボにより、鶴山公園は人で溢れかえっており、多くの花見客が園内で思い思いの時間を過ごしていました。
さくらまつりのイベントは、美作(みまさか)のご当地グルメを始め、芸能人のライブや太鼓ショー、大道芸人のショー、忍者迷路などがあり、期間中は日によって様々なイベントが行われます。
尚、夜間はライトアップされますので、夜桜も楽しめますね。
津山市観光協会によると、2022年の鶴山公園の来園者は10万人を突破したそうです。尚、10万人突破は2019年以来になります。
ちなみに、コロナの影響で2020年は過去最少の2万9872人、2021年は5万9822人でした。
2022年の開催期間は、3月26日から4月10日までの16日間です。単純計算で10万人を16日で割ると1日当たり、6,250人が来園したことになります。
どうりで人が溢れかえる訳ですね。
「津山さくらまつり」のまとめ
- 例年、3月下旬から4月上旬にかけて開催
- 期間中は、ご当地グルメを始め、日によって様々なイベントが開催される
- 夜間はライトアップされるので夜桜も楽しめる(日没~22:00)
津山城と合わせて訪れたい「城東町並み保存地区」
津山城の周辺には、津山の城下町の面影を残す「城東(じょうとう)町並み保存地区」があります。
なまこ壁や袖壁(そでかべ)、虫籠窓(むしこまど)など、当時の面影を残した建物が連なっていますよ。
ゆっくり散策しながら、当時の生活を偲んでみませんか。
城下町らしく街道は、何箇所も小さな路地に分岐していますが、全長は約1.2kmほどです。
尚、それぞれの小さな路地には名前が付いていますね。
2013年(平成25年)8月7日には、「津山市城東」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれました。
くわしくは、こちらの記事で紹介します。
城東町並み保存地区
- 住所 岡山県津山市橋本町~東新町
- 電話番号 0868-24-6288(和蘭堂・城東観光案内所)
- 駐車場 あり(城東観光駐車場)
【古い町並みの紹介】
城東町並み保存地区のように古い町並みは、日本全国に点在しており、保存している地区もありますね。そんな町並みを下記記事で紹介します。
津山城(鶴山公園)の基本情報とアクセス
住所 | 岡山県津山市山下135 |
電話番号 | 0868-22-3310(津山市観光協会) |
営業時間 | 4月~9月 8:40~19:00 10月~3月 8:40~17:00 さくらまつり期間 7:30~22:00 |
定休日 | 年末(12/29~12/31) |
入園料 | 大人310円 小人(中学生以下)無料 |
【アクセス】
- JR津山駅より徒歩約10分
- 津山IC又は院庄ICより車で約15分
津山城(鶴山公園)の駐車場
津山城周辺には、2つの無料駐車場があります。(その他に有料駐車場が2つありますね。)
無料駐車場の一つが「鶴山公園駐車場」であり、約30台駐車できますね。
尚、営業時間は9:00~19:00(17:00)で季節によって変動します。
2つ目の無料駐車場は「津山観光センター駐車場」です。
収容台数は普通車が30台、バス6台になります。
観光センター以外で長時間利用する場合は、念のためセンターの方へ確認した方が無難でしょう。
尚、営業時間は4月~9月で9:00~18:00、10月~3月は9:00~17:00になります。
まとめ
津山城(鶴山公園)は、岡山県屈指の桜の名所であり、桜シーズンには多くの花見客が訪れます。
また、桜以外にも「日本100名城」に選定されており、備中櫓や美しい石垣は、城ファンならば外せません。
かつて森忠政(もり ただまさ)が築いた石垣の要塞は、見所が満載です。
津山市へ訪れる機会があれば、津山市のシンボルである津山城へ足を運ぶことをお勧めします。