鳥取県最東端にある町「若桜町」は、長閑な景色とレトロな風景を楽しめます。
かつて若桜鬼ケ城の城下町として整備され、江戸時代以降は鳥取と姫路を結ぶ若桜街道と伊勢道の宿場町として栄えました。今でも当時の古き面影を残しており、独特の景観を楽しめる。
仮屋通り・蔵通りの古い町並みを始め、若桜神社や若桜郷土文化の里、不動院岩屋堂など見どころが盛り沢山。
観光スポットが集まっているところが多く、お手軽にノスタルジックな雰囲気を味わえますね。
本記事では、若桜町で手短にレトロ旅を漫喫できる見どころを紹介します。
鳥取県の「若桜町」とはどんなところ
鳥取県の若桜町は、県庁所在地の鳥取市から車で約40分ほど離れた位置にあり、兵庫県と岡山県に隣接しています。
東側には、中国地方で2番目に高い高峰氷ノ山がそびえ立ち、北は扇ノ山、西は東山に囲まれている。町の95%が山林という豊かな自然が広がり、登山やスキーの人気スポットですよ。
冒頭でもお伝えしましたが、かつて宿場として栄えた歴史があり、若桜街道と伊勢道をつなぐ主要な通路でもありました。
歴史ある町並みや神社仏閣が魅力的で、国の重要伝統的建造物群保存地区に認定されています。
【周辺の見所】
若桜町の周辺の見所を、下記記事で紹介します。
若桜町でお手軽に楽しめる観光スポットのおすすめ
若桜町の玄関口となる若桜駅。この若桜駅を起点にして、徒歩約20分以内に見どころが集中しています。また、駅近くには観光協会がありますので、まずそこで情報収集を図りましょう。
以下におすすめの観光スポットを紹介します。
- 若桜駅
- 若桜の町並み(仮屋通り・蔵通り)
- 若桜郷土文化の里
- 若桜民工芸館
- 若桜神社
- 不動院岩屋堂
これらの観光スポットで不動院岩屋堂は、町から少し離れており、タクシーやバス、自転車で訪れるのが無難です。
くわしくは後述しますが、珍しい観光スポットなのでお見逃しなく。
それでは、それぞれについて紹介します。
【旅に役立つサービスの紹介】
旅の道中に役立つ様々なサービスを、下記記事で紹介します。
【見所①】若桜駅
若桜駅は、若桜鉄道若桜線の終点となる駅で、ノスタルジーを感じる木造の駅舎は、1930年(昭和5年)に国鉄若桜線開業と同時に完成しました。
さらに当時から利用されていた給水塔や、手動式転車台など7つの国の登録有形文化財があります。当時の蒸気機関車時代を彷彿させる貴重な施設を見学できるので、見応え十分ですよ。
若桜駅の構内は、若桜鉄道を利用しなくても入構料(300円)を支払えば、自由に見学ができます。まずは、駅舎を一通り見学しよう。その後、構内へ向かうと鉄道ファンには堪らないものが見えてくる。
それは、若桜線を運行していたSL、「C12型167号機」ですね。
保管しているだけでなく、今でも走らせています。完全予約制ですが、春から秋にかけてSLの体験運転ができるので、くわしい日程については若桜鉄道の公式ホームぺージでご確認下さい。
こちらは、機関車を方向転換させるための「手動式転車台」です。
昔の機関車では、直進しかできないため、この転車台の上に乗せて回転させていました。約40tもあるSLでもこの回転台を使えば、大人2人で簡単に回せたそうですよ。うん、これは試してみたかったかも。
若桜鉄道の運行車両には、主に昭和号・八頭号・若桜号と呼ばれるレトロな外観のワンマン車両があります。
私が訪れた時は、鮮やかなブルーが眩しい「昭和号」が停車していました。旅情を楽しめそうな車両にテンションがあがりますね。
ちなみに、八頭号のカラーは、ロイヤルレッド。若桜号はブリディッシュグリーンです。運行中の若桜号は見かけたので、またの機会では八頭号を見てみたいかな。
鉄道ファンはもちろんですが、レトロ好きな人にもおすすめできるスポットです。
- 住所 鳥取県八頭郡若桜町若桜345-2
- 電話番号 0858-82-0919(若桜鉄道株式会社)
【見所②】若桜の町並み(仮屋通り・蔵通り)
若桜町中心部にある「仮屋通り」と「蔵通り」の町歩きを楽しみましょう。
仮屋通りでは、家と道路の間に約1.2mほどの仮屋(ひさし)のついた道が見て取れます。今は途切れ途切れになっているひさしですが、当時は700~800mに渡り連なっていたそうです。
このひさしのおかげで、雨や雪の日でも傘なしで通り抜けることができました。豪雪地帯として知られている若桜ならではのアーケードですね。
1885年(明治18年)に発生した若桜宿の大火の後、当時の自治組織・若桜宿会により、このひさしを付けることが決められたそうです。
古い建物が立ち並ぶ通りでもあるので、じっくり見学しよう。そこで若桜の町並みをダイジェストで紹介します。
昭和おもちゃ館では、懐かしの駄菓子をたくさん販売している。興味がある方は立ち寄ってみよう。
ポツンと建っている駐在所にも仮屋(ひさし)が付いていた。さすがです。
趣のあるバス待合所を発見。自転車旅をする人にとって、深夜の寝床につかえるかも。
蔵通りでは、商家の土蔵・白壁・赤瓦・板張りなどを楽しめる。現在20の蔵があり、情緒ある散歩道として高い人気を誇ります。
そんな通りが約300mほど続いており、往時の若桜宿の繁栄ぶりをしのばせていました。
また土蔵だけでなく、数多くのお寺が見て取れますね。参拝のため足を運んでみてはいかがですか。
実は、この蔵通りは、若桜宿の大火後に寺を火災から守るため、蔵以外を建てられなくなった場所ですよ。
通りを過ぎた先には、八東川に架かる若桜橋があります。この若桜橋は、国の登録有形文化財に指定されており、土木学会選奨土木遺産にも選ばれている。
全長833m、幅55mのアーチ橋で1945年(昭和20年)に造られました。3つのアーチが連なる橋は、若桜橋以外で鳥取県内では他に例がありません。
今はもう通行できませんが、その美しい景観は一見の価値があります。
【古い町並みの紹介】
旅先で訪れたノスタルジーを感じる古い町並みを、下記記事で紹介します。
【見所③】若桜郷土文化の里
若桜郷土文化の里では、若桜町の自然・歴史・文化・民俗などを学べます。
この里の施設は「たくみの館」「三百田(さんびゃくだ)氏住宅」「若桜町歴史民俗資料館」の3つに分かれており、無料で見学ができる。
たくみの館は受付場所にもなっており、展示室や研修室、収蔵庫など気軽に利用できます。また、木工づくりを体験できますね。時間があれば、こけしやコマなどを作ってみてはいかがですか。
建物の外には、大正時代のポンプが展示されていますので、お見逃しなく。
たくみの館に隣接する茅葺屋根が目立つ建物が、三百田氏住宅です。
この住宅は、もともと若桜町の吉川集落にありました。約2年の歳月をかけて、1694年(元禄7年)の建築当初の姿に移築復元された庄屋の家です。
住宅内へ入ると、太い梁と大きな囲炉裏が見て取れて、いかにも庄屋らしい家格を感じました。
草履や日除け笠、ふご(物入れ)など稲藁で編んだ手作りの農具が並べられており、当時の生活を垣間見ることができます。また、土間横にある牛小屋も見応えがありますね。
この住居は、17世紀の因幡地方の典型的な住居だそうです。さすがは庄屋の家なので、当時の住居としては規模が大きいですね。
三百田氏住宅は、鳥取県指定保護文化財に指定されています。
若桜町歴史民俗資料館は、1981年(昭和56年)に山陰合同銀行若桜支店の社屋を新築する際、旧社屋を譲り受けて移築復元したものです。
明治時代の典型的な土蔵造りの建築様式であり、銘木を駆使して造られたとか。当時としては、斬新なデザインでした。
館内へ入ると、生活にまつわる様々な資料や浅井古墳の出土品、化石などが展示されています。
その他に長砂集落から移築された「無動山永福寺跡」の山門が存在感がありますね。
特に仁王様の愛嬌のあるお顔がGood。これほどの規模の施設を無料公開しているのは、実にありがたいです。
若桜郷土文化の里は、若桜駅から約10分ほど歩くので、のどかな風景を眺めながら訪ねてみましょう。
- 住所 鳥取県八頭郡若桜町屋堂羅37
- 電話番号 0858-82-0583(たくみの館)
- 営業時間 9:00~17:00
- 休日 月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始
- 料金 無料(木工づくり体験は有料)
【見所④】若桜民工芸館
若桜民工芸館は、築約100年の古民家をリノベーションしてできた施設であり、若桜町に縁のある方々の民工芸品を展示しています。
入館してまず始めに目に付くのは、所狭しに並べられた約2,000点の土鈴の数々。その迫力は圧巻ですよ。
伝統的な土鈴を始め、鹿や提灯、蔵などユニークな形状のものも多い。一つ一つが違った顔をみせる土鈴は、見ているだけでも面白いですね。
また、若桜の伝統的な町屋造りや庭園も見学できる。
これらが全て無料なのは、実にありがたい。
個人的に気に入ったのは、こちらの干支の土鈴。愛嬌があって可愛いですね。
- 住所 鳥取県八頭郡若桜町若桜268
- 電話番号 0858-82-1289
- 営業時間 10:00~17:00
- 冬期(12月~2月末)は16:00までの営業
- 休日 年末年始
- 料金 無料
【見所⑤】若桜神社
若桜神社は、鬼ケ城の初代城主である矢部氏が創設した神社だと伝わっています。古くは、松上大明神と呼ばれていました。
熊野権現と八幡八代を合祀し、ご祭神とした若桜の氏神様です。神仏分離令後の1873年に若桜神社に改称され、今にいたります。
江戸時代から鳥取藩主池田家の庇護を受けており、若桜町の歴史と共に親しまれてきました。
また、当時からの宝物帳が残されており、それによると後醍醐天皇の短冊、平盛継の陣笠、名和長利の鉾、平の師盛の甲冑など多くの貴重なものが寄進されていたことが分かっています。
鳥居をくぐり抜けると、200段以上の階段が続く。周りの高くそびえる木々と相まって、厳かな雰囲気を醸し出していました。
また、中盤に見えてくる朱塗りの門が印象的ですね。春には桜、秋には紅葉を楽しめる。静寂の中に佇む社殿は、実に神秘的だ。ぜひお詣りに訪れることをおすすめします。
毎年5月3日には例祭日が開催され、獅子舞や神輿などを繰り出し、多くの人で賑わいます。
- 住所 鳥取県八頭郡若桜町若桜534
- 電話番号 0858-82-1068
【見所⑥】不動院岩屋堂
不動院岩屋堂は、日本三大投入堂の1つに数えられており、国の指定重要文化財になっています。
天然の岩洞にすっぽりと収められたお堂は、一見の価値ありです。周囲は、自然あふれる場所でありながらも、国道沿いに位置しているため、お手軽に足を運べます。
ただし、若桜駅からそれなりに離れており、徒歩で向かうのは厳しいですね。タクシーを使えば約10分ほどで辿り着きます。
尚、不動院岩屋堂については、下記関連記事でくわしく紹介します。
若桜町の基本情報とアクセス
住所 | 鳥取県八頭郡若桜町若桜356-1(若桜町観光協会) |
電話番号 | 085-882-2237(若桜町観光協会) |
【アクセス】
- 鳥取から約50分(若桜鉄道・若桜駅で下車)
- 岡山から約2時間40分(特急いなば・郡家駅下車後、若桜鉄道・若桜駅で下車)
- 鳥取から約40分(国道29号)
まとめ
若桜町は、若桜駅を起点にして、徒歩約20分以内のところに見どころが集中しています。
ゆっくり歩きながら仮屋通り・蔵通りなど古い町並みや若桜神社、若桜郷土文化の里などへ足を運んでみよう。また、少し離れたところにある不動院岩屋堂は見逃せません。
今回はレトロ旅を中心に紹介しましたが、自然あふれるスポットが多いのも若桜町の特徴です。ぜひ足を運んでみて、ゆったり時間が流れている若桜町を漫喫してみてはいかがでしょうか。